法律コラム

債務整理

2025/07/01

借金減額は本当にできる?仕組み、デメリット、手順について解説

借金の返済で苦しい思いをし、なんとかして減額できないか、と思っている方も多いのではないでしょうか。実は、借金は法的な手続きで減額や免除が可能です。 ただし、各手続きにはデメリットがあるため、事前に理解した上で検討する必要があります。 この記事では、借金減額の仕組みと具体的な減額方法について紹介します。利用する際の注意点も合わせて紹介しますので、迷っている場合は参考にしてください。
借金減額は本当にできる?仕組み、デメリット、手順について解説

1.借金減額の仕組み

合法的に可能な借金の減額は、大きく分けて「当事者間の交渉やで借金を減らしたり無くしたりする方法」「裁判所への手続きを経て元本を含めた借金を減らす方法」が存在します。代表的な手続きを、減額できる範囲ごとに分類すると以下のようになります。

借金の元本が減る方法
  • 過払い金請求
  • 自己破産
  • 個人再生
借金の総額(元本、利息及び損害金)
が減る方法
  • 過払い金請求
  • 自己破産
  • 個人再生
  • 任意整理

では、各手続きに関する詳細情報を見てみましょう。

 

2.過払い金請求をする

現在の法律では借金を返し過ぎているケースでは、過払い金請求をして借金を減額できるかもしれません。

2010年5月以前、個人向けの金銭の貸し付けに二つの法規制が存在しており、利息制限法の上限を超過する利率での貸付が横行していました。2010年6月の貸金業法改正によりこの状況は解消されており、上限を超過している分の利息は無効と定められています。

過去に上限を超過した金利で返済を行っており、本来返済すべき借金の金額より払い過ぎている場合は「過払い金」として返還請求ができます。

ただし、過払い金の請求には以下のように条件があるため、誰でも対象となるわけではありません。

債務整理をしながら過払い金請求は可能?両者の違いや成功の秘訣とは

2-1 過払い金請求の対象となるケース

前述のように、昔の借金がある場合は過払い金を請求できることがありますが、以下のように条件があるため、誰でも対象となるわけではありません。具体的には、以下の条件に全て当てはまっている必要があります。

過払い金請求の対象となるケース
  • 利息制限法の上限を超過した金利で借入を行っていた
  • 2010年6月17日以前に借入を開始している
  • 借金を完済してから10年を超過していない

借金がある場合でも、例えば住宅ローンのようななどは利息制限法の上限を下回る金利で貸付けが行われているためものについては、過払い金請求の対象とはなりません。

 

3.債務整理をする

債務整理は、法的な手続きや交渉によって借金を減額・免除する方法の総称です。一定の条件のもと、合法的に借金を減らすことができます。

いずれも、個人の信用情報を管理する「個人信用情報機関」に「金融事故情報」が掲載されます。いわゆるブラックリスト入りとなるため、事故情報が消えるまではクレジットカードやローンの新規契約は通常できません。以下で詳しく紹介していくデメリットも考慮して弁護士に相談し、適した解決法を探すことが大切です。

債務整理にはどのような手続きがあるのか、代表的な3つの方法を紹介します。

なお、債務整理については、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。

債務整理とは?3種類のメリット・デメリットや生活への影響を解説

3-1 自己破産

自己破産とは、裁判所に申し立てて債務の返済の免除を受ける手続きです。収入と比較して借金の額が大きく、返済のめどが立たない場合に検討されます。裁判所が債務の免責を許可する「免責許可決定」が下りると、その債務の責任を免れることができ、以降の支払い義務はなくなります。

自己破産の手続きでは、債務を清算するため財産を手放すことになります。不動産や一定以上の金額の預貯金などがある場合は、原則債権者に換価配当され手元には残せない点には注意が必要です。持ち家がある場合などは慎重に判断しましょう。

また、主債務者の自己破産で借金の免責許可が出た場合でも、保証人の保証債務は自動的に消滅しません主債務者の返済が免責された分は保証人が請求されるため、この点も考慮して申し立てるかどうか検討しましょう。

自己破産については、以下でも詳しく解説しています。検討中の方は参照してください。

自己破産とは?メリット・デメリットや条件、自己破産後の影響を解説

3-1-1 自己破産に向いている方

自己破産では、財産と債務を清算することにより、借金の支払いが全額免除されます。そのため、メリットを享受できる可能性が高いのは以下のような方です。

向いている方
  • 借金の金額が大きく3年で返済ができない
  • 収入が少ないまたは不安定
  • 財産がほぼないか債務の金額に対して少ない

3-2 個人再生

民事再生(個人再生)とは、個人の債務を整理し、あらかじめ作成した計画書どおりに一定期間返済することで、残額を免除する再生手続の一種です。企業向けの再生手続きもありますが、個人が借金を整理するために申し立てる場合は、手続の簡略化されている個人再生(小規模個人再生または給与所得者等再生)で申し立てるのが通例です。(例外的に、総債務額が5000万円を超える個人の場合は、通常の民事再生手続をとることもあります。)

個人再生では、減額後の借金の金額を仮計算し、その結果に従い3年(特別な事情がある場合は5年)で完済できるよう再生計画を作成します。作成した再生計画どおりに完済できれば、借金の残額は免責される仕組みです。

個人再生は、車や住宅などを残せるケースが多く、財産のある場合にメリットの大きい方法です。また、職業や借入れ原因等の事情で自己破産をしづらい人でも、個人再生ならば支障なくできる場合があります。ただし、個人再生の申し立て・認可には条件があるため、誰でも利用できる手続きではありません。詳細は以下の記事を参考にしてください。

個人再生(民事再生)とは?メリット・デメリットと費用の相場も解説

3-2-1 個人再生に向いている方

個人再生は、借金の全額免除はできませんが、大部分を削減することで返済負担を軽減できます。以下のような方であれば、メリットを享受しやすいでしょう。

向いている方
  • 安定した収入がある
  • 住宅ローン以外の借金の総額が5,000万円以下
  • 持ち家があり住み続けたい
  • 借金が現在の1~2割程度になれば返済できる

3-3 任意整理

任意整理とは、金融機関や消費者金融などの債権者と交渉を行い、債務のうち利息や遅延損害金の減額を求める手続きです。

借入元本の削減については債権者が交渉に応じることはほぼありませんが、利息・損害金の減額と今後の分割払いの交渉をすることによって、借金がこれ以上膨らまないよう歯止めをかけ、毎月の返済額を調整できるメリットがあります。任意整理を行うとき裁判所への手続きは必要ありません。あくまで当事者間の話し合い・合意によって負担の軽減を目指します。

債権者側も、返済の見込みが無ければ返済額の削減には同意できません。そのため安定した収入があることが条件です。

なお、元々低金利で借り入れており、任意整理によって得られるメリットが少ない場合は債権者の合意が取れないこともあります。

任意整理に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参照してください。

任意整理とほかの債務整理は違う?メリット・デメリットやしない方がいい人の特徴を解説

3-3-1 任意整理に向いている方

任意整理では、借金そのものは無くなりませんが、個別の交渉により減額が可能です。向いているのは、以下のような方です。

向いている方
  • 毎月安定した収入があり和解した条件で返済ができる
  • 3〜5年程度で借金を完済できる見込みがある
  • 家族に知られたくない
  • 保証人や担保のある借金を除外したい

 

4.過払い金請求・債務整理のデメリット

債務整理や過払い金請求には大きなメリットがあるものの、一方で無視できないデメリットもあります。借金の減額を検討する際は、あらかじめリスクも把握した上で判断しましょう。手続きごとの代表的なものは以下の通りです。

デメリット
過払い金請求
  • 過払い金で債務を相殺しきれない場合は個人信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)
  • 過払い金請求をしたカードやローンは使えなくなる(新規借入も不可)
債務整理(共通) 個人信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト入りする)
自己破産
  • 官報(国の発行する機関紙)に載る
  • 家族に知られる
  • 手続き中に就けなくなる職業がある
  • 免責の対象にならない債務がある
  • 保証人が一括返済を求められる
  • 一定以上の財産がなくなる
民事再生(個人再生)
  • 安定収入が必要
  • 対象となる債務に制限がある
  • 保証人が一括返済を迫られる
  • 途中で返済不能になると失敗する
  • 官報(国の発行する機関紙)に載る
任意整理
  • 債権者が任意整理に応じないことがある
  • 元本の削減はできない

ブラックリストについては、以下の記事でも詳細を解説しています。こちらも確認してみてください。

ブラックリストとは?掲載されたときの影響や確認方法について解説

 

5.実際に借金減額するための手順

前述のように、借金は法的な手続きで減額が可能です。実際に借金の減額をしたい場合、手続きや交渉を代行してくれる弁護士に依頼することが一般的です。

では、弁護士の力を借りて借金を減額する際は、具体的にどのような手順で進めることになるのでしょうか。

準備から着手後の手順まで、詳しく紹介します。

5-1 今ある借金を全て把握する

最初に、今ある借金について整理し「いつ」「どこに」「いくら」借りたかすべて確認しておきます。

弁護士や司法書士に相談して正確な削減額を知るためには、現在の借金の状況を把握しなければなりません。借金の詳細を思い出せない場合、信用情報を管理する「個人信用情報機関」に、借り入れの履歴を請求することもできます。

ブラックリストとは?掲載されたときの影響や確認方法について解説

取得した履歴を持参すれば確実ですが、急いで相談したい場合や、難しくてよく分からない場合は、状況の把握の仕方も含めて総合的に相談できます。気軽に連絡してみましょう。

5-2 弁護士に相談する

借金の状況が把握できたら、次に弁護士に相談し、現在の状況を共有します。自分の場合は借金を減額できるのか、いくら減らせるかを確認してみましょう。

借金減額の方法はさまざまであり、それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。自分の状況と希望を考慮して、最適な減額方法を選ぶのは個人では難しいでしょう。

手続きや交渉自体も裁判所を通さなければならない手続きもあり難解なため、法律の専門家を頼むほうが確実です。信頼できる弁護士を探してみてください。

相談の結果、納得できれば正式に依頼となります。

5-3 自分に合った方法を選択する

依頼する弁護士を決定したら、自分に合った方法を弁護士と検討してみましょう。このとき、借金の減額方法について要望があれば伝えます。

  • 家族に内緒で減額したい
  • 保証人への影響は最小限にしたい
  • 子どものために住宅は残したい

このような不安な点や希望がある場合、この段階ですべて話すようにしてください。借金の金額や借入時期などさまざまな要素を考慮し、担当弁護士から解決策の提案があるため、弁護士と話し合いつつ最終的な方針を決定します。

どの減額方法を採用するかによって、弁護士事務所に支払う報酬も変わってきます。費用を抑えたい場合はその点も併せて相談してみてください。

 

6.借金減額は合法!わなではないため一度ご検討を

借金減額にはさまざまな方法があり、いずれも法律で認められています。正しい手続きを経ることで、合法的に借金を減らすことができるため、借金で経済的に困窮している方は一度検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、各手続きには人によって向き不向きがあります。最適なものを選択する必要があるため、安心して相談できる債務整理の実績が豊富な弁護士を選びましょう。

ライズ綜合法律事務所は、借金問題の解決を得意とする法律事務所です。これまでに30万件の法律相談に対応しており、相談者様の生活再建をサポートしてきました。

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このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。

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