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立ち退き交渉・建物明渡請求

2026/09/16

オーナーチェンジ物件の追い出しとは?賃貸の立ち退き交渉成功のコツ

オーナーチェンジ物件の追い出しとは?賃貸の立ち退き交渉成功のコツ

オーナーチェンジ物件の購入を検討しているものの、既存の入居者の存在がネックになっている方もいるのではないでしょうか。家賃を見直したい、自分で住みたいと考えても、簡単に立ち退きを求められるのか不安に感じる場面は少なくありません。

実際のところ、オーナーチェンジ物件では借主の権利が強く保護されています。そのため、条件を満たさなければ立ち退きを求めることは難しいといえます。一方で、契約内容やタイミング、正当な理由の有無によっては、立ち退きが認められるケースもあります。

本記事では、オーナーチェンジ物件における立ち退きの可否や判断基準、交渉の進め方について分かりやすく解説します。

【この記事で分かること】

  • 立ち退きの要求が認められる条件や判断基準
  • 契約内容や立ち退きを求めるタイミングによるリスク
  • 立ち退き交渉の進め方やトラブルを避けるためのコツ

オーナーチェンジ物件とは?

まずは、オーナーチェンジ物件の基本的な仕組みを理解しておきましょう。前提を押さえることで、立ち退きの可否についても判断しやすくなります。

オーナーチェンジ物件とは、すでに借主が入居している状態で売買される不動産のことです。購入後も入居者はそのまま住み続け、貸主だけが新しいオーナーへと変わります。

この場合、賃貸借契約はそのまま引き継がれます。新しいオーナーには、以下のような権利と義務が承継される点が重要です。

  • 権利:借主から家賃を受け取る権利
  • 義務:建物の修繕・管理義務、敷金の返還義務

これは借主の居住の安定を守るための仕組みです。借地借家法により、貸主が変わっただけで契約内容が不利に変更されることはありません。

空室物件とは異なり、購入後すぐに自由に使えるわけではない点には注意が必要です。立ち退きを検討する場合でも、契約内容を踏まえた慎重な判断が求められます。

オーナーチェンジ物件を運用するメリット

オーナーチェンジ物件には、投資面での魅力がいくつかあります。特に、収益性や初期コストの観点でメリットを感じやすいでしょう。大きな特徴は、購入時点で入居者がいることです。そのため、取得直後から家賃収入を得られます。通常の賃貸経営のように、入居者募集や広告掲載といった準備を省略できる点はメリットです。

また入居者募集にかかる費用も抑えられます。仲介手数料や広告費が不要となるため、初期投資を抑えながら運用を開始できます。さらに、既存の契約条件や入居状況をもとに収益の見通しを立てやすい点も特徴です。過去の賃料や入居期間を確認できるため、投資判断がしやすくなります。

このように、オーナーチェンジ物件は比較的安定した収益を見込みやすい投資手法といえます。

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オーナーチェンジ物件を運用するデメリット

オーナーチェンジ物件には利点がある一方で、特有のリスクも存在します。購入前に把握しておかないと、想定外のトラブルにつながるおそれがあります。まず入居中のため室内を自由に確認できない点が挙げられます。内見が制限されることで、設備の劣化や修繕の必要性を正確に把握しにくくなります。

次に、既存の契約条件をそのまま引き継ぐ点にも注意が必要です。家賃が相場より低く設定されている場合でも、すぐに変更できない可能性があります。また前のオーナー時代の問題を引き継ぐリスクも考えられます。例えば、家賃滞納や近隣トラブルがある場合、その対応を新オーナーが引き継ぐことになります。

このようなリスクを踏まえずに購入すると、想定していた利回りと実際の収益に差が生じる場合があります。契約内容や入居状況を十分に確認した上で、慎重に判断することが重要です。

オーナーチェンジ物件で借主の追い出しの可否を決める3つの要素

オーナーチェンジ物件における立ち退きは、一律に判断できるものではありません。借主の権利が強く保護されているため、原則として容易ではないといえます。ただし、一定の条件がそろえば、立ち退きが認められるケースもあります。

立ち退きの可否を判断する際には、主に次の3つの要素が重要です。

  • 賃貸借契約の種類
  • 建物明渡請求のタイミング
  • 正当の事由の強弱

これらは単独で判断されるものではなく、総合的に評価されます。どれか1つを満たしていればよいわけではない点に注意が必要です。

借主の居住を保護する制度設計となっているため、貸主側の事情だけでは立ち退きが認められない場合もあります。ここでは、それぞれの要素について詳しく解説します。

1:賃貸借契約の種類

賃貸借契約の種類によって、立ち退き交渉の難易度は大きく異なります。

一般的に、賃貸借契約には次の2種類があります。

  • 普通借家契約
  • 定期借家契約

どちらの契約かによって、退去を求める際の条件や手続きが変わります。そのため、購入前に契約書の内容を確認しておくことが重要です。

契約書では、契約期間や更新の有無、解約に関する条項などをチェックしましょう。特に更新条件の記載は、立ち退きの可否に大きく影響します。

それぞれの契約形態について詳しく見ていきます。

普通借家契約とは?

普通借家契約は、更新を前提とした契約形態です。借主が更新を希望する場合、貸主は原則としてこれを拒むことができません。そのため、貸主の都合だけで契約を終了させることは難しくなっています。

更新を拒絶する場合には、正当な理由が必要です。さらに、実務では立退料の支払いが求められるケースも多く見られます。このように、普通借家契約は借主保護の色合いが強く、立ち退いてもらうことのハードルが高い契約形態といえます。

定期借家契約とは?

定期借家契約は、あらかじめ定めた期間で終了する契約です。普通借家契約とは異なり、更新がない点が特徴となります。定期借家契約の場合、契約期間が満了すると原則として契約は終了します。そのため、満了時には借主に退去してもらうことが可能です。

ただし、貸主・借主の双方が合意すれば、再契約することもできます。また契約終了時には事前の通知が必要となるため、手続き面の確認も欠かせません。

将来的に自己使用や建替えを予定している場合に活用されることが多い契約です。

2:建物明渡請求のタイミング

立ち退きを求める際には、適切なタイミングを守る必要があります。いつでも自由に請求できるわけではない点に注意が必要です。期間の定めがある契約では、契約満了前の一定期間に更新拒絶通知を行う必要があります。具体的には、満了の1年前から6カ月前までの間に通知しなければなりません。このタイミングを逃すと契約が自動更新されるため、立ち退きがさらに難しくなります。手続きの遅れが大きな不利益につながる可能性があります。

一方で、期間の定めがない契約では、解約の申し入れが可能です。申し入れが認められると、6カ月後に契約が終了します。実務では、内容証明郵便を用いて通知を行うケースが多く見られます。なお、通知を行えば必ず退去してもらえるわけではなく、正当の事由の有無も併せて判断されます。

3:正当の事由の強弱

立ち退きの可否を最終的に左右するのが「正当の事由」です。これは、建物の明渡しを求めるに足る合理的な理由を指します。

普通借家契約においては、原則として正当の事由がなければ立ち退きを求めることはできません。代表的な例として、以下のような事情が挙げられます。

  • 建物の老朽化が進み、安全性に問題がある場合
  • 貸主が経済的な事情などから物件を自己使用する必要がある場合
  • 借主が契約違反をしている場合

ただし、これらの理由があれば必ず立ち退きが認められるわけではありません。実際には、貸主と借主双方の事情を比較し、総合的に判断されます。

例えば、借主の生活基盤が強く依存している場合には、貸主の事情だけでは認められないこともあります。その一方で、立退料の支払いによって正当の事由が補強されるケースも見られます。

またオーナーチェンジ物件では、前の貸主時代の事情がどのように評価されるかも論点となります。契約違反の扱いや管理状況については、個別の事情に応じて判断されるため、一概に結論が出るものではありません。

このように、正当の事由の判断はケースごとに異なります。単純な基準ではなく、総合的な事情を踏まえて慎重に検討することが重要です。

貸主にとっての追い出しのメリット

立ち退き交渉には負担も伴いますが、貸主にとっては一定のメリットがあるのも事実です。状況によっては、物件の価値や収益性の向上につながる場合があります。

まず、物件の活用の自由度が高まる点が挙げられます。入居者がいない状態であれば、リノベーションや用途変更がしやすくなります。例えば、若年層向けの設備に改修する、自身で居住する、店舗として運用するなど、幅広い選択肢を検討できるようになります。

また問題のある借主との関係を解消できる点も重要です。家賃滞納や迷惑行為が続く場合、貸主の負担は大きくなります。立ち退いてもらうことによってこうした状況を整理できれば、管理の負担軽減につながるでしょう。

さらに、賃料の見直しが可能になる点もメリットです。前の貸主が相場より低い家賃で貸していた場合、退去後に適正な水準へ調整できる可能性があります。

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貸主にとっての追い出しのデメリット

一方で、立ち退きの要求には無視できないデメリットも存在します。メリットだけで判断すると、想定外の負担が生じる可能性があります。

まず、交渉に時間と手間がかかる点が挙げられます。借主がすぐに応じるとは限らず、話し合いが長期化するケースも少なくありません。場合によっては精神的な負担も大きくなります。

さらに、立ち退き料の支払いが必要となるケースが多い点にも注意が必要です。借主の生活基盤に影響があるため、一定の補償を求められることが一般的です。金額によっては、期待していた収益改善の効果が薄れることもあります。また交渉がまとまらない場合は、調停や裁判に進む可能性があります。これらの手続きには時間と費用がかかるため、負担がさらに増すことになります。

このように、立ち退きの要求には複数のリスクが伴います。メリットとデメリットを比較し、総合的に判断することが重要です。

悪質な借主を居住用・店舗用物件から追い出す方法

悪質な借主に対しては、感情的な対応ではなく、段階的に手続きを進めることが重要です。適切な手順を踏まなければ、かえってトラブルが拡大するおそれがあります。

基本的には、契約内容の確認から始め、交渉を経て、必要に応じて法的手続きへと進みます。証拠を整理しながら冷静に対応することが、円滑な解決につながります。

以下では、具体的な対応方法を順を追って解説します。

契約違反の有無を精査する

まず行うべきなのは、契約違反の有無を確認することです。立ち退きを求めるためには、契約に基づく正当な根拠が必要となります。

契約書の内容を確認し、借主の行為が違反に該当するかを精査しましょう。代表的な例としては、次のようなケースが挙げられます。

  • 長期間にわたる家賃の滞納
  • 無断での転貸
  • 契約外の用途での使用
  • 近隣への迷惑行為

これらに該当する場合、明渡請求の根拠となる可能性があります。ただし、軽微な違反では直ちに契約解除が認められない場合もあります。

重要なのは、違反の程度が信頼関係の破壊に至っているかどうかです。そのため、やり取りの記録や証拠を整理しておくことが重要になります。

定期借家契約を提案する

既存の契約内容を見直すことも、立ち退き交渉に向けた一つの方法です。定期借家契約へ切り替えることで、将来的な退去を実現しやすくなります。

普通借家契約の更新時に、定期借家契約への変更を提案するケースが一般的です。契約期間満了時に終了するため、退去の見通しを立てやすくなります。

ただし、この方法は借主の同意が前提となります。一方的に契約を変更することはできません。そのため、借主にとってのメリットを提示することが重要です。例えば、家賃の見直しや条件の緩和などを提案することで、合意に至る可能性が高まります。

双方にとって納得できる条件を探る姿勢が、交渉を進める上で欠かせません。

立ち退き料を支払う

交渉による解決が難しい場合は、立ち退き料の支払いを条件とする方法が検討されます。実務では比較的多く用いられる手段です。

立ち退き料は、貸主と借主双方の事情を踏まえて決定されます。一般的には、次のような費用が含まれることが多いです。

  • 引越し費用
  • 新居の初期費用
  • 営業補償

また立ち退き料は正当の事由を補完する役割を持つこともあります。貸主側の事情が弱い場合でも、一定の金銭補償を提示することで合意に至るケースがあります。

ただし、金額の相場は一律ではありません。個別事情によって大きく異なるため、具体的な金額については慎重に検討する必要があります。

必要に応じて調停・裁判を実施する

交渉で解決できない場合は、法的手続きに進むことも選択肢となります。段階的に対応を進めることが重要です。

まずは調停を利用し、第三者である裁判官などを交えて話し合いを行います。調停で合意に至れば、裁判に進まずに解決できる可能性があります。

それでも解決しない場合は、裁判を提起することになります。裁判では、契約内容や正当の事由の有無などをもとに、最終的な判断が下されます。

ただし、これらの手続きには時間と費用がかかります。結果も個別事情によって左右されるため、必ずしも望む結果になるとは限りません。

そのため、早い段階で専門家に相談し、適切な対応を検討することが重要です。

居住用・店舗用物件における立ち退き料の目安

立ち退き料は、交渉を進める上で重要な要素です。費用の目安を把握しておくことで、現実的な判断がしやすくなります。

ただし、立ち退き料は一律に決まるものではありません。借主の状況や物件の用途、立ち退きの理由によって大きく変動します。そのため、あくまで目安として捉えることが重要です。

一般的には、次のような水準が参考とされています。

  • 居住用物件:家賃の6〜20カ月分程度
  • 店舗用物件:家賃の2〜4年分程度

店舗の場合は営業への影響が大きいため、居住用より高額になる傾向があります。移転費用だけでなく、営業損失や設備移設費などが考慮されるためです。

また立ち退き料は正当の事由を補完する役割を持つことがあります。貸主側の事情が弱い場合でも、一定の補償を提示することで合意に至るケースがあります。

実際の交渉では、金額だけではなく条件全体で調整されることも少なくありません。例えば、退去時期の調整や代替物件の提案と組み合わせることもあります。

より詳しい相場や算定方法については、別記事も併せて確認しておくと理解が深まるでしょう。

【事例で紹介】立ち退き料とは?賃貸での相場金額や計算方法の内訳は?

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立ち退き交渉を成功させるコツ

立ち退き交渉は、単に条件を提示すれば成立するものではありません。事前準備や進め方によって結果が大きく変わります。

借主の状況や心理に配慮しながら進めることが重要です。ここでは、具体的な交渉のコツについて解説します。

早めに更新拒絶通知を行う

立ち退き交渉を進める上で、通知のタイミングは非常に重要です。適切な時期を逃すと、交渉自体が不利になる可能性があります。

期間の定めがある契約では、更新拒絶通知を満了の1年前から6カ月前までの間に行う必要があります。この期間を過ぎると契約が自動更新され、立ち退きがさらに難しくなります。

早めに通知を行うことで、借主に十分な準備期間を与えられます。余裕を持ったスケジュールであれば、交渉も円滑に進みやすくなります。

実務では、内容証明郵便を利用して通知するケースが一般的です。記録が残るため、後のトラブル防止にも役立ちます。

ただし、通知を行えば退去が確定するわけではありません。正当の事由の有無や交渉内容によって結果は変わるため、総合的な対応が求められます。

代わりの物件を提案する

借主の負担を軽減する工夫も、交渉を成功させるポイントです。その一つが、代替物件の提案です。

借主にとって大きな不安は、新たな住まいが確保できるかどうかです。この不安を解消できれば、立ち退きへの心理的ハードルを下げられます。

例えば、近隣の物件を紹介したり、仲介会社と連携して候補を提示したりする方法があります。また引越しの手配をサポートすることも有効です。

こうした対応により、借主にとっての負担が軽減されます。その結果、交渉が前向きに進む可能性が高まります。

必ず応じてもらえるとは限りませんが、条件面での工夫は重要です。借主の立場を踏まえた提案が、合意への近道となります。

弁護士のサポートを受ける

交渉が難航している場合や、法的な判断が必要な場合には、弁護士のサポートを受けることも検討しましょう。

立ち退きには法律が関係するため、対応を誤ると不利になる可能性があります。専門家の助言を受けることで、適切な手続きを進めやすくなります。

弁護士に依頼することで、交渉の代理や書面作成を任せることができます。これにより、貸主の負担軽減にもつながります。

また不要なトラブルや手続きの長期化を防げる点もメリットです。早い段階で相談することで、より適切な対応を選択しやすくなります。

必ずしも依頼が必要とは限りませんが、有効な選択肢の一つといえるでしょう。

まとめ

オーナーチェンジ物件における立ち退きは、要求すれば必ず実現できるものではありません。契約内容やタイミング、正当の事由の有無など、複数の要素を踏まえて判断されます。

また交渉には時間や費用がかかる場合があり、立ち退き料の支払いが必要となるケースもあります。メリットだけでなく、リスクも含めて検討することが重要です。そのため、立ち退きを検討する際には、早い段階で専門家に相談することが有効です。状況に応じた適切な対応を選択できる可能性が高まります。

ライズ綜合法律事務所では、不動産鑑定士と連携しながら立ち退き料を算定しています。実情に即した提示額を検討できる点が特徴です。また16,000件以上の相談実績と3,000件以上の解決実績を有しており、多くの事案に対応してきた経験があります。立ち退きに関するお悩みがある場合は、まずはお気軽にお問い合わせください。

【ご相談専用フリーダイヤル】

0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)

このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。