立ち退き交渉・建物明渡請求
2026/09/14
強制退去後の荷物はどうなる?撤去までの流れや処分の方法を解説

強制退去を検討しているものの、どのような手順で進めればよいのか分からず不安を感じている方も多いのではないでしょうか。実務では、借主との交渉が難航し、最終的に法的手続きへ進むケースも少なくありません。
しかし、強制退去は貸主の判断だけで進められるものではなく、裁判や強制執行といった正式な手続きを経る必要があります。手順を誤ると違法行為と判断され、損害賠償請求を受けるリスクもあるため注意が必要です。
また退去後の荷物の扱いや費用負担についても、実務上の疑問が多く見られます。どこまで貸主が対応すべきか分からず、対応に迷うケースもあるでしょう。
本記事では、強制退去後の荷物の扱いを中心に、撤去までの流れや処分方法、費用の考え方について体系的に解説します。正しい知識を身につけることで、トラブルを回避しながら適切に対応できるようになります。
※本記事の内容は2026年4月時点の情報です。
【この記事で分かること】
- 強制退去により搬出された荷物がどこでどのように管理されるのか
- 期限までに引き取りがなかった場合に荷物はどう扱われるのか
- 建物明渡に関する一連の流れ
強制退去により撤去された荷物の保管場所と保管期限
強制退去は一般的な呼び方であり、法的には「明渡しの強制執行」という手続きに当たります。この手続きでは、借主本人だけではなく、室内にある荷物も含めて一括で搬出されるのが特徴です。
そのため、貸主としては「撤去された荷物はどうなるのか」「勝手に処分してよいのか」といった疑問を抱くこともあるでしょう。しかし、荷物の扱いには明確なルールがあり、貸主が自由に処分できるわけではありません。
実務では、執行官の管理のもとで荷物の保管や処分が進められます。これにより、借主の権利を保護しつつ、適正な手続きが確保されています。
ここでは、強制退去後の荷物がどのように扱われるのかについて、保管場所や保管期限を中心に解説します。
保管場所
強制退去によって搬出された荷物は、執行官の指揮のもとで適切に管理されます。まず、明らかに廃棄物と認められるものを除き、荷物はトラックで運搬され、その後は民間の倉庫などに保管されるのが一般的です。
保管は執行官の管理のもとで行われ、適切な管理体制が確保されます。さらに、執行官には引き渡せなかった荷物を保管する義務があり(民事執行法168条6項)、荷物は慎重に取り扱われる必要があります。
具体的には、以下のような対応が行われます。
- 荷物の写真撮影による記録
- 品目リストの作成
- 破損防止のための梱包や管理
このように、荷物は雑に扱われるのではなく、法的義務に基づいて適切に管理されます。貸主が直接管理するわけではない点も押さえておきましょう。
保管期限
荷物の保管期限については、法律で明確に定められているわけではありません。ただし、実務上は搬出日からおおよそ1カ月程度が目安とされています。
この期間中に、借主本人や家族、関係者が荷物を引き取る必要があります。早めに対応しなければ、その後の処分手続きへ進む可能性があるため注意が必要です。
また運用は裁判所や案件ごとに異なる場合もあるため、個別の状況に応じて確認することが重要です。
期日までに引き取りに来なかった場合は廃棄・売却される
保管期限内に借主が荷物を引き取りに来なかった場合、荷物はそのまま保管され続けるわけではありません。執行官の手続きにより、廃棄または売却が行われます。
売却が可能な物品については執行官が売却し、代金から売却と保管にかかった費用を差し引いた残りは供託されます。一方で、価値が低く買い手がつかない場合には、実務上は貸主が買い受けた上で廃棄処分するケースが多く見られます。
なお、保管期限の延長は原則として難しいとされています。期限を過ぎると手続きは速やかに進められるため、借主にとっては不利益が生じる可能性があります。
このように、荷物の処分は貸主の判断ではなく、執行官の管理下で進められる点が重要です。適切な流れを理解しておくことで、無用なトラブルを防ぐことにつながります。
借主が自主退去した場合の荷物はどうする?
強制退去とは異なり、自主退去や夜逃げの場合は執行官が関与しません。そのため、室内に残された荷物の対応は貸主自身で検討する必要があります。この違いを理解していないと、思わぬ法的トラブルに発展するおそれがあります。
特に注意したいのは、荷物が放置されているからといって自由に処分できるわけではない点です。残された荷物には借主の所有権が残っているケースが多く、対応を誤ると違法と判断される可能性があります。
夜逃げや連絡不能のケースでは判断が難しくなりがちですが、安易な処分は避けるべきです。ここでは、残置物の基本的な考え方と適切な対応方法について解説します。
残置物とは
残置物とは、借主が退去した後に室内に残された家具や家電、日用品などの動産を指します。見た目には不要品に見える場合でも、法律上は借主の所有物と扱われるのが原則です。
そのため、長期間放置されていたとしても、直ちに所有権が放棄されたと判断されるわけではありません。貸主が独断で処分することは原則として認められていない点に注意が必要です。
ただし、以下のような事情がある場合には、例外的に放棄と判断される可能性があります。
- 借主が明確に放棄の意思を示している
- 長期間の通知にも一切応答がない
- 貸主が合理的な確認を尽くしている
もっとも、これらの判断は非常に慎重に行う必要があります。実務では、判断を誤ることで損害賠償請求につながるケースもあるため、安易な対応は避けるべきでしょう。
残置物を勝手に処分するのは厳禁
残置物の所有権は原則として借主にあるため、貸主が無断で処分すると違法と判断される可能性があります。たとえ賃貸借契約が終了していても、所有権そのものが消滅するわけではありません。
このような無断処分は「自力救済」と呼ばれます。自力救済とは、裁判手続きなどを経ずに自らの判断で権利を実現する行為を指し、日本では原則として認められていません。
具体的には、以下のような行為は避ける必要があります。
- 室内に立ち入り荷物を搬出する
- 荷物を廃棄する
- 外部へ移動させる
これらの行為が違法と判断された場合、借主から損害賠償を請求されるおそれがあります。さらに、連帯保証人であっても残置物を勝手に処分する権限はないため注意が必要です。
入居者募集を急ぐあまり、早期に原状回復を進めたいと考える貸主も多いでしょう。しかし、法的手続きを無視した対応はかえってリスクを高めます。安全に進めるためには、専門家へ相談しながら対応することが重要です。
残置物を勝手に処分した行為が違法と判断された判例
残置物の無断処分が違法とされた代表的な事例として、東京高裁平成3年1月29日判決があります。
この事案の賃貸借契約書には賃貸借終了後に借主が期限内に所有物を搬出しないときは貸主が搬出保管または処分できる、という趣旨の条項がありました。貸主は借主の家賃滞納を理由に契約を解除した上で、建物の入口扉に錠を取り付け、室内に残されていた借主の動産を搬出・処分しています。これに対し借主が、違法な自力救済であるとして損害賠償を請求した事案です。
裁判所は、建物を依然として借主が占有していた点を重視しました。その上で、貸主の行為は借主の占有と所有権を違法に侵害するものであり、自力救済に該当すると判断しています。
契約書の条項についても、借主が任意に退去した後の搬出処分を定めたものと解釈し、占有の侵害を伴う処分まで許容したものではないとしました。結果として、契約書に条項があっても行為の違法性はなくならないとして、損害賠償責任が認められています。
この判例から分かる重要なポイントは、以下の通りです。
- 借主が任意に明け渡していない状態での搬出処分は、契約書に条項があっても違法となり得る
- 判断の分かれ目は所有権を放棄したかどうかではなく、借主の占有を侵害したかどうか
- 手続きを経ない処分は違法と評価される可能性が高い
一見すると不要品に見える物であっても、法的には保護される対象となります。実務においては、軽率な判断を避け、必ず適切な手続きを踏むことが求められます。
※参考:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会・公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会.「賃貸借終了後、貸主による残置物の搬出処分の可否は?」Realpartner 2017年12月号.
https://www.takuken.or.jp/hq/soudan/file/houmu-201712.pdf ,(参照2026-08-17).
貸主・オーナー様向け
素早く、円満退去に向けて進めたい方へ
豊富な解決事例をもとに、
適正な条件の落としどころを整理します。
ご相談は何度でも無料。
まずは方針整理から。
- 相談無料
- 全国対応・オンライン可
- 相談件数 1.6万件/解決実績 3,000件
残置物の処分方法
残置物を処分するには、状況に応じた適切な手段を選択する必要があります。借主と連絡が取れる場合と取れない場合では、対応方法が大きく異なるためです。
いずれのケースでも、法的リスクを回避することが重要です。安易に処分を進めるのではなく、段階を踏んで慎重に対応する必要があります。ここでは、代表的な処分方法を順に解説します。
借主と交渉する
借主と連絡が取れる場合は、まず荷物の引き取りを求める交渉を行います。この方法が最もシンプルで、トラブルを回避しやすい対応といえるでしょう。
交渉が成立した場合は、必ず内容を書面で残すことが重要です。具体的には、以下の点を明確にしておきます。
- 引き取り期限
- 引き取り方法
- 期限経過後の処分方法
特に、期限を過ぎても引き取らない場合に処分する旨を記載しておくことで、後のトラブル防止につながります。口頭での合意だけでは証拠が残らないため、書面化を徹底してください。
強制執行を申し立てる
借主が荷物を残したまま退去しない場合、その状態は明け渡しが完了していないと評価されます。このようなケースでは、建物明渡請求訴訟を提起する必要があります。
訴訟で勝訴し、明け渡し命令が出たにもかかわらず履行されない場合には、強制執行の申立てへ進みます。強制執行では、執行官のもとで荷物の搬出や保管が行われるため、適法に問題を解決できます。
一方で、これらの手続きには時間や費用がかかります。以下のような流れで進む点を理解しておきましょう。
- 訴訟提起
- 判決または和解
- 強制執行申立て
手続きの複雑さや負担を考えると、早い段階で専門家へ相談することが望ましいといえます。
家賃滞納から裁判までの流れ
家賃滞納が発生した場合、すぐに裁判へ進むのではなく、段階的に対応を進めることが重要です。初動対応の内容や証拠の残し方によって、その後の契約解除や訴訟の結果に影響する可能性があります。
また家賃を滞納したからといって直ちに契約を解除できるわけではありません。実務では、借主との信頼関係が破壊されたと評価される必要があります。そのためにも、適切な手順を踏んで対応することが求められます。
ここでは、家賃滞納から裁判に至るまでの基本的な流れについて解説します。
借主へ家賃支払いの督促を行う
家賃の滞納を確認した場合、まずは借主に対して支払いの督促を行います。初動対応としての督促は、その後の手続きにおいても重要な意味を持ちます。
督促は口頭でも行えますが、記録を残す観点から書面で行うことが望ましいでしょう。借主と連絡が取れる場合は、事情を確認した上で支払い計画を検討することも有効です。
一方で、督促に応じない場合や連絡が取れない場合には、複数回にわたって改善を求める必要があります。督促の履歴は、後に裁判となった際に重要な証拠として扱われるためです。
例えば、以下のような対応が考えられます。
- 電話や書面による複数回の督促
- 支払い期限の設定
- 分割払いの提案
このように、継続的な対応と記録の蓄積が、後の手続きを円滑に進めるポイントとなります。
連帯保証人に連絡する
借主への督促を繰り返しても改善が見られない場合、連帯保証人へ連絡を行います。連帯保証人は借主と同等の支払い義務を負うため、家賃の請求が可能です。
連帯保証人へ連絡することで、借主へ間接的に働きかけが行われるケースもあります。その結果、家賃が支払われる可能性もあるでしょう。
もっとも、必ず支払いが行われるわけではありません。連帯保証人の資力や状況によって結果は異なるため、他の対応と併せて進めることが重要です。
催告書と賃貸借契約解除通知を送る
再三の督促にもかかわらず状況が改善しない場合は、内容証明郵便で催告書を送付します。内容証明郵便を利用することで、送付した内容と日付を証明できるため、後の裁判で重要な証拠となります。
催告書には、以下の内容を明確に記載する必要があります。
- 未払い家賃の金額
- 支払い期限
- 支払いがない場合の対応
催告は契約解除の前提となる重要な手続きです。民法上も、原則として相当期間を定めた催告が必要とされています。
さらに、催告に応じない場合には賃貸借契約解除通知を送付します。これは、契約を終了させる意思表示として重要な役割を持ちます。
これらの書面は内容の正確性が求められるため、弁護士に作成を依頼することが望ましいといえます。
建物明渡請求訴訟を提訴する
催告書で定めた期限までに支払いが行われない場合、建物明渡請求訴訟を提起します。この訴訟では、物件の明け渡しと併せて滞納家賃の支払い請求を行うことが一般的です。
裁判では、必ずしも判決に至るとは限りません。当事者間の話し合いにより和解が成立するケースも多くあります。和解が成立した場合は「和解調書」が作成され、判決と同様の効力を持ちます。
また和解内容に違反した場合には、改めて裁判を行うことなく強制執行に進むことが可能です。この点は、貸主にとって大きなメリットといえるでしょう。
一方で、訴訟には時間や費用がかかるため、早期解決を図るための判断も重要です。
裁判後から強制執行までの流れ
裁判で貸主が勝訴したとしても、借主が直ちに退去するとは限りません。任意での明け渡しが行われない場合には、次の段階として強制執行の準備を進める必要があります。
この段階では、交渉を継続しながらも、法的手続きの準備を並行して行うことが重要です。強制執行には一定の時間と費用がかかるため、全体の流れを把握しておく必要があります。
ここでは、裁判後から強制執行に至るまでの具体的な流れを解説します。
強制執行を申し立てる
強制執行を行うためには、裁判所へ申立てを行う必要があります。その際には、いくつかの書類を準備しなければなりません。
主な手続きは以下の通りです。
- 判決書正本に執行文の付与を受ける
- 判決書が借主に送達されたことを証明する送達証明書を取得する
- 判決が確定していることを示す確定証明書を取得する
これらの書類をそろえた上で、裁判所へ強制執行の申立てを行います。手続きは専門的で煩雑なため、弁護士に依頼することでスムーズに進めることができるでしょう。
執行官と打ち合わせをする
申立て後は、執行官との打ち合わせを行います。この打ち合わせでは、強制執行の具体的な内容が決定されます。
主な確認事項は以下の通りです。
- 明け渡しの催告日および断行日の日程
- 物件の状況や借主の生活状況
- 同居人の有無や健康状態
これらの情報は、当日の安全な執行に大きく影響します。また執行補助者や開錠業者の手配も必要です。執行補助者とは、荷物の搬出や運搬を担当する業者を指します。
事前に手配しておくことで当日の作業が円滑に進みます。執行官から紹介を受けることも可能ですが、弁護士に相談しておくと安心です。
明け渡しの催告を行う
明け渡しの催告とは、執行官が現地に赴き、借主に対して退去期限を正式に通知する手続きです。この際、物件内に公示書が掲示され、強制執行の断行日が明示されます。
引き渡し期限は、民事執行法第168条の2に基づき、原則として催告から1カ月を経過する日とされます。実務では、その期限の数日前に強制執行が行われることが多いです。
また申立てから催告までには、おおむね2週間程度の期間がかかります。この間に借主が自主的に退去するケースもあります。
この手続きは即時退去を求めるものではなく、最終的な機会を与えるための段階である点を理解しておきましょう。
強制執行を断行し荷物を撤去する
事前に定められた断行日になると、執行官や執行補助者が現地に出向き、強制執行が実施されます。借主が不在であっても、開錠技術者により室内へ立ち入ることが可能です。
その後、執行補助者が室内の荷物を搬出し、所定の場所へ運搬します。全ての荷物が撤去された後、鍵の交換が行われ、明け渡しが完了します。
当日は複数の関係者が関与し、手続きは執行官主導で進められます。貸主が独自に作業を行うわけではない点を押さえておきましょう。
滞納した家賃の回収は給与の差し押さえを行う
滞納した家賃を回収するには、別途手続きが必要です。建物の明け渡しと家賃回収は異なる手続きであり、それぞれ独立して進める必要があります。
給与の差し押さえを行うためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 債務名義(判決など)を取得し、執行文の付与を受けていること
- 債務名義が借主に送達されていること
- 勤務先(給与の支払元)を特定していること
給与差し押さえは債権執行に該当し、不動産の明け渡しとは別に申立てを行います。なお、差し押さえ可能な金額には上限があるため、全額回収できるとは限りません。
実務では回収が困難なケースもあるため、事前に見通しを立てておくことが重要です。
貸主・オーナー様向け
素早く、円満退去に向けて進めたい方へ
豊富な解決事例をもとに、
適正な条件の落としどころを整理します。
ご相談は何度でも無料。
まずは方針整理から。
- 相談無料
- 全国対応・オンライン可
- 相談件数 1.6万件/解決実績 3,000件
強制執行にかかる費用
強制執行を行う場合、想像以上に多くの費用が発生します。事前に費用の全体像を把握しておかないと、想定外の負担につながるおそれがあります。
費用は物件の広さや荷物の量、作業内容によって大きく変動します。同じ手続きであっても、ケースによって数十万円以上の差が出ることも珍しくありません。
主な費用の目安は以下の通りです。
|
項目 |
費用の目安 |
|
開錠技術者報酬 |
1~5万円 |
|
執行補助者報酬 |
15~60万円 |
|
運搬費用 |
5~10万円 |
|
保管・処分費用 |
数万円~10万円 |
|
弁護士費用 |
数十万円程度 |
特に、荷物が多い場合や部屋が広い場合は執行補助者の費用が高額になりやすい傾向があります。また遠方への運搬や長期保管が必要な場合には追加費用が発生することもあります。
このように、強制執行の費用は一律ではありません。事前に見積もりを取り、余裕を持った資金準備を行うことが重要です。次に、費用の中でも重要な予納金について解説します。
予納金は貸主が納める
強制執行を申し立てる際には、裁判所へ予納金を納める必要があります。予納金とは、手続きを円滑に進めるためにあらかじめ支払う費用のことです。
この費用は申立人である貸主が負担するのが原則です。東京地方裁判所の場合、基本額は約6万5,000円とされており、物件が増えるごとに追加費用が発生します。
予納金はあくまで仮払いの性質を持っています。実際の手続きで発生した執行官の手数料などを差し引いた後、余剰があれば返還されます。
一方で、全額が戻るわけではありません。実費分は差し引かれるため、最終的な負担額はケースによって異なります。また荷物の量が多い場合などは追加費用が必要になることもあります。
このように、予納金と実際の費用は別物である点を理解しておきましょう。
費用は借主へ請求できる
強制執行にかかった費用は、原則として借主に請求することが可能です。民事執行法第42条では、必要な執行費用は債務者の負担とする旨が定められています。
そのため、貸主が立て替えた費用については、後から借主に対して請求することができます。
ただし、実務上は注意が必要です。家賃滞納が発生しているケースでは、借主に十分な支払い能力がない場合も多く、全額を回収できるとは限りません。
このように、制度上は請求できるものの、実際の回収には限界がある点を理解しておくことが重要です。
早期解決を図るなら弁護士に相談するのがおすすめ
強制退去の手続きは複雑であり、判断を誤ると大きなリスクにつながります。早い段階で弁護士へ相談することで、手続きを適切に進められる可能性が高まります。
また専門家の関与によって解決までの期間が短縮されるケースもあります。ここでは、弁護士に依頼する具体的なメリットを解説します。
手続きを全て代行してもらえる
強制退去に至るまでには、督促、書面作成、訴訟、強制執行といった多くの手続きが必要です。これらを貸主自身で対応するのは容易ではありません。
例えば、催告書や契約解除通知書の作成には法的な知識が求められます。記載内容に不備があると、手続き全体に影響するおそれがあります。
弁護士に依頼することで、以下のような業務を一括して任せることが可能です。
- 督促対応や交渉
- 各種書類の作成
- 訴訟の提起や対応
- 強制執行の申立て
さらに、強制執行時に必要となる執行補助者の手配についても、弁護士のネットワークを活用できます。これにより、準備の手間を大きく軽減できるでしょう。
このように、専門家のサポートを受けることで、手続きの負担を大幅に軽減できます。
強制退去に至る前に退去してもらえる可能性が高くなる
弁護士に早期に相談することで、強制執行に至る前に問題が解決する可能性があります。専門家が介入することで、交渉の進め方が大きく変わるためです。
弁護士は法律知識や過去の判例を踏まえ、適切な主張や対応を行います。その結果、交渉が停滞する事態を回避できる可能性があります。
また借主と連絡が取れない場合でも、状況に応じた適切な対応策を提示してもらえます。これにより、無駄に時間が経過するリスクを抑えられるでしょう。
仮に強制執行まで進んだ場合、以下のような期間がかかることがあります。
- 滞納期間:約3カ月
- 訴訟期間:約6カ月
- 強制執行まで:約2カ月
合計すると、約11カ月もの間、家賃収入が得られない状況が続く可能性があります。
一方で、弁護士の関与により早期退去が実現すれば、未回収期間を短縮できます。さらに、裁判や強制執行にかかる費用も抑えられるため、結果的に負担軽減につながります。
まとめ
強制退去は、単に借主を退去させる手続きではありません。裁判や強制執行といった段階を経る必要があり、荷物の扱いや費用の問題など、複雑な要素が絡みます。
特に、残置物の処分や手続きの進め方を誤ると、違法行為と判断されるおそれがあります。適切な手順を理解し、慎重に対応することが重要です。
また強制執行には数十万円規模の費用が発生することもあり、事前の準備が欠かせません。さらに、借主からの費用回収が難しいケースもあるため、リスクを踏まえた判断が求められます。
このような複雑な問題をスムーズに解決するためには、弁護士への相談が有効です。ライズ綜合法律事務所では、不動産鑑定士と連携しながら立ち退き料の算定を行っており、より実態に即した金額で交渉できます。相談実績16,000件以上、解決実績3,000件以上と、これまでの経験も強みといえるでしょう。まずはお気軽にお問い合わせください。
【ご相談専用フリーダイヤル】
0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)
貸主・オーナー様向け
素早く、円満退去に向けて進めたい方へ
豊富な解決事例をもとに、
適正な条件の落としどころを整理します。
ご相談は何度でも無料。
まずは方針整理から。
- 相談無料
- 全国対応・オンライン可
- 相談件数 1.6万件/解決実績 3,000件
このページの監修弁護士
弁護士
三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。
都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。


