1.クレジットカードの料金が払えないときの7つの対処法
クレジットカードの料金が払えない場合、すぐに検討できる対処法として、以下の7つが挙げられます。それぞれ詳しく見てみましょう。
1-1 1.すみやかにクレジットカード会社に連絡する
まずは、支払いが厳しいとわかった時点で、クレジットカード会社に連絡しましょう。クレジットカード会社によって遅延への対応はさまざまですが、早期に連絡すれば、引き落とし日の変更や、支払期日を延長してくれることもあります。
支払いの遅れを放置していると、高利の遅延損害金の対象となるケースもあり、支払いが増加する原因となります。早めに連絡し、遅延の理由や支払いの予定を伝えましょう。
1-2 2.リボ払い・分割払いに変更する
一括での支払いが厳しい場合、急場をしのぐ手段として「リボ払い」「分割払い」に変更する方法もあるので検討してみましょう。公式のアプリやWEBサイトから変更できる場合が多いですが、変更する前にまずはクレジットカード会社に相談することをおすすめします。
1-2-1 リボ払いとは
リボ払いとは、クレジットカードの毎月の支払いを一定金額に抑え、金利と元本を返済する支払い方法です。
毎月の支払額を少額に抑えられ、短期的な負担を小さくすることができます。その反面、利用額が大きい場合は支払いが長期化し、支払う利息も増える点に注意しましょう。
1-2-2 分割払いとは
分割払いとは、クレジットカードの利用料金を所定の回数に分けて返済する方法です。一度の支払額を抑えることができ、支払回数も決まっているので計画的に返済ができます。
その一方、支払回数が多くなるにつれて利息分の支払いが発生する他、返済期間も長くなります。利用料が多い場合は残高を定期的に確認するようにしましょう。
1-3 3.ボーナス一括払いにする
ボーナス一括払いにすることで、一時的に支払いを先延ばしにできることもあります。
ボーナス一括払いとは、夏や冬のボーナス支給シーズンに、料金をまとめて支払う方法です。利用できる期間や支払月はクレジットカード会社によって異なりますが、夏は6~8月、冬は12~1月のうちに設定されているのが一般的です。
手数料がかからないクレジットカード会社も多いため、臨時収入やボーナスが見込める場合は、毎月の負担を大きく軽減できます。
一方で、支払確定後の変更ができない場合や、決済前の利用額が増加すると限度額に達してしまうこともあります。
1-4 4.会社の福利厚生を利用する
働いている人は、勤務先の福利厚生で当面のお金を確保できることがあります。
【従業員貸付制度】
従業員(おもに正社員)を対象に、会社から貸付を行う制度です。まとまったお金が急に必要になった場合に利用できます。社内で審査が行われるため、入院や葬儀など、正当な理由が必要となります。
一般的に、従業員貸付制度は低い金利で借り入れできることが多いです。また、返済は給料やボーナスから天引きされるため、払い忘れる心配がありません。
一方、借入金を完済できるまで退職できない、支払いの遅れが社内評価に直結するといったリスクもあります。
【前借り】
労働基準法第25条で、従業員の緊急事態に際して給料の前借りを認めています。そのため、下記の正当な理由により従業員から申し出があった場合、勤め先は給料を前払いする義務があります。
(非常時払)
第二十五条 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
※引用:労働基準法|e-GOV法令検索
前借りは、雇用形態に関わらず利用できます。また、借入ではなく給料の支払いなので、利息はかかりません。
一方、前借りした分は給料日の支給分から引かれる点には注意が必要です。
1-5 5.生命保険の契約者貸付制度を利用する
生命保険など、解約返戻金のある保険には、契約者貸付の制度が設けられていることがあります。
契約者貸付制度は、解約返戻金を担保に保険会社から一定額の範囲内で融資を受けられるもので、保険の契約中に利用できます。借り入れに際して審査はないことが多く、一般的な消費者金融などと比べて低利で借り入れが可能です。
ただし、返済を滞納すると借入分が保険金から相殺されることがあります。また、貸付中に支払事由が発生した場合も、満額の受け取りができないこともあるため注意が必要です。
1-6 6.カードローンを利用する
当面の支払いを、銀行や貸金業者のカードローンでまかなう方法もあります。
カードローンは、個人向けの融資サービスのひとつで、銀行や消費者金融業者などが取り扱っています。担保や保証人が不要で少額の借入ができ、利用目的も特に問われません。
ただし、貸金業者から借り入れできる金額の上限は、原則として年収の3分の1です。このルールは「総量規制」と呼ばれており、過剰な貸付によって返済不能に陥ることを防ぐため、貸金業法に規定されています。
(過剰貸付け等の禁止)
第十三条の二 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。
※引用:貸金業法|e-GOV法令検索
また、クレジットカードの支払いのための借り入れは、借金返済のための借金となるため、計画を立てて確実に返済する必要があります。
1-7 7.弁護士に相談して債務整理を検討する
クレジットカードの支払いを続けることが難しい場合、弁護士に相談して債務整理することも選択肢のひとつです。
債務整理とは、おもに法的アプローチによって借金を整理・減額することを指します。
【債務整理のおもな手段】
- 任意整理
- 自己破産
- 民事再生(個人再生)
それぞれの詳細は後述しますが、弁護士に依頼することで自分に適した提案を受けられ、債権者(クレジットカード会社)との交渉も任せられます。弁護士を代理人にすると、債権者からの督促・取り立ても停止するため、精神的負担も大きく減少します。無料相談が可能な事務所も多いため、自己解決が難しい場合は早めに相談するのがおすすめです。
一般的に、クレジットカードの返済は比較的少額なため、まずは任意整理での解決を検討しましょう。任意整理については以降で解説します。
2.クレジットカード返済における任意整理
任意整理は、債権者と債務者の当事者間で話し合い、返済方法や返済額を調整する債務整理の一種です。自己破産や個人再生とは異なり、裁判所の手続きによらず借金問題を解決できます。
調整後の返済期間は金額にもよりますが、おおむね3~5年ほどで無理なく完済を目指します。
2-1 任意整理のメリット
2-1-1 ショッピングリボもキャッシングも任意整理できる
任意整理では、クレジットカードのショッピングリボとキャッシング、どちらの支払いも対象です。
買い物でクレジットカードを使い過ぎたときや、キャッシングの利用しすぎで支払いができなくなった場合に相談できます。
なお、任意整理では、原則、元金は全額支払う必要があり、手数料や利息部分を対象に調整を行います。
2-1-2 今後の利息をカットして返済額を減らせる
任意整理では、債権者との交渉次第で、将来的に発生する利息をカットし、総合的な返済額を減らすことができます。
その結果、月々の返済額を抑えられ、同じ返済額でも期間の短縮ができるといったメリットがあります。
2-1-3 過払い金が戻る可能性がある
2010年頃までの借金を現在も支払っているケースでは、過払い金が発生している可能性があり、払い過ぎた分は残高と相殺でき、余剰分があれば返還を受けることも可能です。
過払い金とは、本来払う必要がないにも関わらず、過去に存在した上限金利の二重規定により返済金として支払っているお金のことです。
かつて、金利の上限に対して「出資法」「利息制限法」の2つの法律があった時代に、利息制限法の上限より高い金利で貸し付けを行っていた金融機関が多くありました。改正出資法が完全施行された2010年6月18日以降は、利息制限法の上限金利にあわせるかたちで出資法の上限金利が見直しされました。過去の高い金利での貸し付けに対する返済につき、利息制限法の上限で借金と過去の返済額を計算し直し、払い過ぎている分の返還を受けることができます。
現在借り入れを行っているクレジットカード会社から過去にもキャッシングをしており、未請求の過払い金があった場合、現在の借り入れ額から相殺できる可能性があります。
2-2-4 残したい財産を守れる場合がある
任意整理は、当事者間の話し合いによって借金を整理する方法です。そのため、裁判所の介入により財産を強制的に処分されることはありません。
現金や預貯金、有価証券、生命保険は残せる財産の対象になります。ただし、十分な預貯金があることがクレジットカード会社に知られている場合は、簡単に交渉に応じてもらえないこともあります。
また、自動車ローンや住宅ローン、不動産担保ローン、クレジットカードのリボ払いで購入した商品の金額が少額である場合などは任意整理の対象にならない、あるいは対象とするメリットがない場合があります。複数の債務がある場合は、弁護士と相談のうえ、対処法を検討するのがよいでしょう。
2-2-5 手続きが簡単
任意整理は、手続きが簡単という特徴があります。自分で用意する書類が少なく、債権者との交渉が成立するまで約6ヶ月程度とスピーディに進みます。手続きや交渉は弁護士にまるごと依頼でき、多忙な場合も問題ありません。
家族に知られずに手続きができるため、秘密にしておきたいという方にも適しています。
2-2 任意整理後にクレジットカードは使える?
任意整理の対象としたクレジットカードは、弁護士が介入した後に強制的に解約されます。
その他任意整理の対象としないクレジットカードについては当面の間は利用可能です。ただし、クレジットカード会社が与信審査を行い、信用情報機関の事故情報を知ると利用できなくなる可能性があります。使えなくなるリスクを考え、各種の支払い方法を変更しておくことをおすすめします。
2-3 任意整理する際の注意点
任意整理には、継続的な安定収入が必要となります。返済の見込みがなければクレジットカード会社が分割返済の和解に同意しないためです。
また、任意整理に法的な拘束力はなく、債権者が交渉に応じないケースもあります。この場合は、債権者が応じる見込みのある和解案を提示するか、後述する他の方法での債務整理を行わなければなりません。
なお、クレジットカードの支払いが遅延して信用情報機関のデータベースに事故情報が登録されると、原則として手続き終了から約5~7年の間は新たなローン契約やクレジットカードの発行が難しくなります。
3.クレジットカードの返済で自己破産、民事再生(個人再生)になるケースは?
クレジットカード以外にも借金がある多重債務状態になっている場合や、債権者と和解できなかった場合は「民事再生(個人再生)」「自己破産」を検討する必要があります。
おもな特徴は下記のとおりです。詳しい内容は下記の法律コラムページも参照ください。
債務整理とは?3種類のメリット・デメリットや生活への影響を解説
民事再生(個人再生) | 自己破産 | |
---|---|---|
概要 | 債務を圧縮して返済額を大幅に減額し、原則3~5年以内に返済する | 免責許可を得ることで破産法所定の非免責債権を除いて、すべての借金の返済義務がなくなる |
裁判所に納める費用 | 2万5,000円程度~ | 約1~50万円(手続き内容によって別途予納金が必要) |
債務の削減効果 | 再生計画案が裁判所より認可されれば、再生計画で定められた弁済金額にまで債務金額が削減 | 免責許可決定が確定すると、債務を支払う義務から免れる(ただし、非免責債権を除く) |
財産の没収 | 強制的な換価処分はなし(ただし、仮に自己破産をしていたら換価処分の対象になっていたであろう財産の価値分は弁済しなければならない「清算価値保障原則」) | 預貯金や換金できる動産は換価処分の対象(ただし、生活を送るための最低限度の財産については自由財産として換価処分の対象にならない。) |
就業の規制 | なし | 手続きの際、職業や資格によっては制限がかかる場合がある |
完了までの期間(目安) | 約6ヶ月~約1年 | 約6ヶ月~約1年 |
手続きできる条件 | 再生計画どおりに返済できる見込みがあること | 返済不能状態にあり、免責不許可事由に該当しないこと |
4.クレジットカードを滞納した場合はどうなる?
一般的に、クレジットカードの利用料を滞納すると、次のような流れで督促や債権の回収が行われます。
- 1.クレジットカードが使えなくなる
- 2.支払いを促す連絡がくる(電話・郵送など)
- 3.督促状の到着
- 4.クレジットカードの強制解約
- 5.期限の利益の喪失(一括払いの請求)
- 6.裁判を申し立てられる
最終的には財産や給料の差し押さえに及ぶケースもあるため、早期に弁護士へ相談することをおすすめします。
4-1 知っておきたい滞納時のリスク
クレジットカードの支払いを滞納すると、さまざまな悪影響があります。
たとえば、支払期限を超過すると発生するのが遅延損害金です。1日ごとに加算されるため、債務がどんどん増えてしまいます。遅延損害利率はクレジットカード会社によって異なります。
また、信用情報機関に事故情報が登録されることも無視できません。延滞情報が登録されると、手続き完了後約5~7年は、いわゆるブラックリスト入りした状態になります。新規の借り入れやクレジットカードの作成ができなくなるため注意が必要です。
滞納を長期間放置すると、裁判を起こされて、場合によっては財産や給与などが差し押さえられるリスクもあります。
5.債務整理後クレジットカードを利用しない生活で気を付けることは?
債務整理を行った後は、クレジットカードを利用できない暮らしが待っています。債務整理後はどのような点に注意して生活すればよいのでしょうか。
5-1 1ヶ月の予算を決める
債務整理後も返済は続くため、毎月のお金を計画的に使うことが大切です。なるべく1ヶ月の予算を決めて、その範囲内で生活するようにしましょう。家計簿やスマートフォンの家計簿アプリなどを使い、毎月の収支を明確化するところから始めてみてください。
また、毎月の返済をスムーズにするために、下記の方法も効果的です。
- 携帯電話や保険のプラン、光熱費、食費などを見直し支出を減らす
- 転職や副業で収入を増やす
5-2 携帯電話料金や公共料金の支払い方法を変更する
債務整理によってクレジットカードが使えなくなることから、携帯電話や家賃、公共料金などの各種支払い方法を変更しましょう。
口座振替や振り込みに変更すると払い忘れる心配がなくなります。
5-3 闇金業者からの借金は避ける
多重債務に陥り「借金グセ」がついてしまっている人が特に注意したいのが、闇金業者です。信用情報に事故情報が登録されていると、審査の甘い闇金業者に手を出してしまう人も多くみられますが、利率が高く借金があっという間に膨らんでしまいます。また、闇金業者の督促や取り立ては正規の貸金業者と比べて厳しく執拗であることが予想されます。
したがって、闇金業者からの借り入れは避けるべきです。
5-4 公的支援制度を利用する
どうしてもお金が必要な場合は、公的支援制度を利用するのも選択肢のひとつです。たとえば、厚生労働省の「生活福祉資金貸付制度」では、無利子・保証人不要で借り入れが可能です。
緊急かつ一時的に生計の維持が難しくなったときに少額の資金を借り入れられる「緊急小口資金」や、生活再建までの資金を借り入れられる「総合支援資金」が用意されています。
いずれも貸付上限額や申請期限が設けられていますので、詳しくは居住している市区町村の社会福祉協議会に問い合わせてください。
5-5 代替手段としてデビッドカードやプリペイドカードを使用する
買い物などでカードを使いたい場合、即時口座引き落としのデビットカードや、PASMOやSuicaなどの事前チャージ式のプリペイドカードを利用できます。いずれも入会審査がなく、事故情報が登録されていても作れるので、検討してみてください。
6.クレジットカード会社への誠実な姿勢が大切!生活再建のために債務整理のノウハウがある弁護士に相談しよう
クレジットカードの返済が厳しい場合は、まずは早めにクレジットカード会社に連絡し、誠実に対応することが大切です。
そのうえで、どうしても支払いが難しい場合は弁護士に相談しましょう。支払いの減額や債権者との交渉を依頼でき、後の生活が楽になるようサポートしてくれます。
弁護士法人ライズ綜合法律事務所は、債務整理に強い弁護士を多数抱える事務所です。20万件以上の法律相談実績でつちかったノウハウで、借金問題の解決をお手伝いします。
相談は全国からお受けしており、相談料も無料です。お気軽にお問合せください。
このページの監修弁護士
弁護士
三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。
都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。東京弁護士会所属。