法律コラム

債務整理

2024/07/25

借金一本化で負担軽減が可能!おまとめローンのメリットや注意点は?

複数の金融機関から借り入れを行っていると、返済日や金利がそれぞれ異なるため、支払いの管理が負担になることもあります。「総額がいくらか分かりにくい」「返済日を忘れてしまう」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。 借金がいくつかあるのであれば、「おまとめローン」を利用して借金を1つにまとめることで、負担が軽減することがあります。 この記事では、借金を一本化する方法と、検討する際の注意点を紹介します。返済を管理しきれず悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
借金一本化で負担軽減が可能!おまとめローンのメリットや注意点は?

1.借金一本化とは?

借金の一本化とは、おまとめローンを利用して、複数社からの借り入れを1つにまとめることです。

借金の総額と同額をおまとめローンで借り入れ、その借入金でバラバラに借りていた借金を全て返済します。あとは、おまとめローンだけを返していけば良いので、借金が1つにまとまります。

1-1 借換えとの違い

一般的に、ローンの借換えは1社から別の1社への借換えを指します。例えば、住宅ローンを返済中の方が、別の住宅ローンに乗り換える場合は、借換えと呼ばれることが多いです。より金利の低いローン商品に乗り換えることで、金利分の負担を抑えることを目的として行われます。

一方おまとめローンは、借り入れをまとめることが目的です。新規のローンに乗り換えることは共通していますが、複数社の借金を1社にまとめる点が異なります。

1-2 債務整理との違い

債務整理とは、法的な手段で借金の返済の免除や負担の軽減を行うことです。自己破産や任意整理という言葉を聞いたことはないでしょうか。

債務整理は、基本的に弁護士など法律の専門家と相談して行います。返済負担が小さくなる一方、個人信用情報機関に金融事故情報が掲載され、いわゆるブラックリスト入りするリスクがあります。法律事務所への依頼が前提となるため、報酬の支払いも必要です。

おまとめローンは、あくまで金融機関が提供する商品を利用した方法です。支払額の大幅な軽減が期待できるわけではありませんが、おまとめローンの利用が原因で個人信用情報に傷がつくことはありません。

 

2.借金一本化の種類

借金の一本化に利用できるおまとめローンは、主に銀行や消費者金融、ろうきん(労働金庫)で提供されています。それぞれ詳細を見てみましょう。

2-1 銀行のおまとめローン

地方銀行やネット銀行、大手都市銀行など、さまざまな銀行がおまとめローンを提供しています。ローンの集約を前提としているもののほか、使途の制限のない「フリーローン」として利用できるものもあります。

銀行のおまとめローンの金利は、年利1.5%から15%程度が相場です。消費者金融と比較して上限金利は低いことが多いのですが、その分審査は厳しいといわれています。

2-2 消費者金融のおまとめローン

消費者金融でも、おまとめローンは提供されています。銀行系のローンと比べると金利はやや高く、3%から18%ほどに設定されていることが一般的です。

消費者金融のローンは、銀行と比べて審査が早いことで知られており、中には最短即日での融資実行をうたう会社もあります。

「クレジットカードは不可」など、一本化できる借金の種類が限定されているローン商品もあるため、申し込み前に貸し付け条件をよく確認しておきましょう。

2-3 ろうきんのおまとめローン

ろうきん(労働金庫)は、地方によって取り扱いローン商品が異なります。おまとめローンや、使途無制限の「フリーローン」の取り扱いがあるろうきんもあるため、居住地のろうきんのWebサイトを確認してみましょう。

金利の相場は3%から7%と、消費者金融などと比べて低く設定されています。

ただし、ろうきんのローンサービスの対象は、原則ろうきんがあるエリアの住民もしくは勤務先の方になります。例えば、東京都に居住している場合は「中央ろうきん」が利用できます。ほかにもさまざまな利用条件があるため、詳細はWebサイトで確認してください。

 

3.借金一本化のメリット

借金を一本化すると、1社からの借入額が大きくなるため、不安を感じている方も多いかもしれません。

借金の一本化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

3-1 金利が低くなる可能性が高い

借金を一本化すると、借り入れの金額によっては金利が下がる可能性があります。

消費者金融などの金利には、法律で借入額ごとの上限が定められています。借金を一本化すると、1社あたりの借入額は増加するため、その分金利が低くなる可能性があるのです。金利の上限額は、借入金額に応じて以下のように設定されています。

借入額 上限金利
10万円未満 年利20%
10万円以上100万円未満 年利18%
100万円以上 年利15%

※参考:上限金利について|日本貸金業協会

例えば、A社、B社、C社、D社の4社から30万円ずつ借り入れている場合、それぞれ最大で18%の金利が発生します。この4社の借金を、E社のおまとめローンでまとめて120万円の借り入れとした場合、利率の上限は15%です。分散して借り入れていた場合よりも、上限が下がります。

なお、銀行は法律上「貸金業者」には当たりませんが、利用者保護の観点や、貸付時のリスク軽減のため、貸金業法に準じた金利の自主規制を行っています。

3-2 返済日が月に1日になる

返済日が月に1日だけになることも、借金を一本化するメリットです。月に2回、3回と支払日があると、そのたびに口座の残高を気にしたり、お金の心配をしなければなりません。心理的な負担が大きいですし、うっかり払い忘れることもあります。

借金を一本化すれば、返済日は月に1日だけです。支払日の管理がしやすくなり、借金の総額や残額も分かりやすくなります。

3-3 ブラックリストに掲載されない

借金を一本化しても、債務整理のようにブラックリスト入りすることはありません。

俗に言う「ブラックリスト」は、個人信用情報に金融事故情報が登録され、クレジットカードやローンの契約ができなくなるなどの不利益を受けることです。法的に債務整理を行うと、支払いの軽減ができる一方で、数年にわたりデータベースに金融事故情報が残るため、そのあとの経済活動で大きく制限を受けます。

借金の一本化は、借り換えと同じようにローンの新規契約と返済です。マイナスの情報として登録されるわけではないため、ブラックリスト入りすることはありません。

3-4 総量規制の対象外で年収の3分の1を超えても借りられる可能性がある

おまとめローンは総量規制の対象外となることがあり、その場合は年収の3分の1以上の借り入れも可能です。

総量規制とは、個人を過剰な借り入れによる金銭的負担から保護するための貸金業法の規定です。これにより、消費者金融の貸し付けは、借入総額で年収の3分の1までと決まっています。

総量規制には、対象外となるローンがいくつかあります。おまとめローンは、消費者にとって有利になる借り入れのため、以下の条件を満たす場合は3分の1以上の借り入れができます。

  • (1)貸金業者からの借入債務全般が対象(銀行や個人間の借り入れは含まない)
  • (2)一本化した後の金利が、借換え前の金利を上回らない
  • (3)返済方法として分割払いを採用していること
  • (4)一本化した後の月額負担額が、借換え前の月額負担額を上回らない。
  • (5)担保や保証に関する条件について、一本化した後の条件が一本化前の条件より厳しくならないこと

※参考:総量規制が適用されない場合について|日本貸金業協会

 

4.借金一本化の注意点

借金の一本化は、管理面や返済負担の面でメリットが大きいのですが、他方で注意したいポイントもあります。詳しく見てみましょう。

4-1 審査に通過できるとは限らない

おまとめローンにも審査があり、必ず通過できるとは限りません。借入状況や収入の金額によっては利用を断られる可能性があります。

おまとめローンは、複数社の借金を一緒にまとめる性質上、おまとめローンの借入金額が大きくなります。高い申し込み額に業者側が難色を示すと、融資を断られることもあるでしょう。

また、おまとめローンは複数社から借り入れをしている、いわゆる「多重債務者」が利用することが前提のローン商品です。しかし、借入件数や金額があまりにも多いと、審査に通過できない可能性があります。

4-2 全て一本化できないこともある

審査の結果、借入可能という回答になった場合でも、借入額が希望に満たないこともあります。全ての借金を一本化したくても、一部だけしかまとめられないかもしれません。

この場合、返済日を管理しやすくしたり、上限金利が低くなるといった効果は半減するため、注意してください。

 

5.借金を一本化したいときの流れ

借金を一本化する際は、何から始めてどのような手順で進めれば良いのか、詳しく紹介します。

①現在の借金の総額を計算
おまとめローンでいくら借りれば一本化できるのか、合計を割り出します。借金には利息が発生しており金額が変動しているため、借りた金額から割り出すのではなく、現在の残高を確認しましょう。消費者金融のWebサイトやアプリ、窓口で確認できます。

②おまとめローンに申し込む
必要書類(本人確認書類や収入証明書)をそろえ、申し込みを行います。ローンによっては、他社の借入状況がわかる書類を求められることもあります。どのような書類が必要なのかは、金融機関のWebサイトを確認してみてください。

③審査と契約
申し込み後審査が行われ、無事に通過できれば契約が可能です。

④借入金の入金と以前の借金の返済
融資が実行されるため、借入金でもとの借金を完済します。ローン商品によっては、一本化した会社が、もとの借金の会社に直接支払うこともあります。

 

6.借金を一本化できないときのよくある原因

おまとめローンを利用したくても、審査に通過できず利用できないことがあります。審査に落ちた場合でも、なぜ審査に落ちたのかを教えてもらえません。

おまとめローンの審査に通過できない場合のよくある原因を紹介します。

6-1 収入が低い・安定収入がない

収入が低い場合や、安定した収入が見込めない場合は審査に落ちやすくなります。

おまとめローンもあくまでローン商品の一つです。そのため、借入後は毎月返済する必要があります。返済できる十分な収入がない、収入が安定しておらず毎月金額にばらつきがある場合などは審査に落ちる可能性が高くなります。

パートで働いている方や収入の低いフリーター、開業間もない個人事業主などは、審査で落とされたり、十分な借り入れが受けられないケースもあります。

6-2 借入件数が多すぎる

おまとめローンは、複数の借金がある方が対象のローン商品ですが、あまりにも借入件数が多いと審査で不利になることがあります。「返済不能に陥るのではないか」「自転車操業状態で、お金の管理が甘いのではないか」「完済できないのではないか」と懸念されるためです。

おまとめローンの具体的な融資条件は、金融機関ごとに異なるため詳細は不明です。借入件数が多く不安な場合は、まずは一部だけをまとめる、返済を続けて借入件数を減らしてから申し込む、といった方法も選択肢となります。

6-3 返済を滞納している

現在ある借金をすでに滞納しており、借金を返済できない状況だと、おまとめローンの審査に通過することは難しくなります。

各金融機関は、前述の個人信用情報機関に、利用者の個別の返済状況などを登録しており、加盟中の金融機関で共有しています。滞納しているとその情報も登録されるため、おまとめローン申し込み先の金融機関に隠すことはできません。

すでに返済が難しい状況に陥っているのであれば、おまとめローンで状況を好転させるのは難しいでしょう。その場合、次に紹介する債務整理を検討してみましょう。

 

7.借金を一本化できないときは債務整理を検討する

借金の一本化が難しく、返済ができない状況であれば、債務整理を検討してみましょう。

債務整理は、法的手続きで借金の返済を軽減できる方法です。利息分の返済を減少させたり、手続きによっては借金の大半の免除を受けられたりすることもあります。

なお、債務整理は手続きが複雑であり、方法もいくつか存在します。自分に合った方法で確実に借金を減らすには、専門家のサポートが必要です。

まずは弁護士に相談し、どの程度借金を減らせるのか、自分の希望にあった方法は何なのか確認することをおすすめします。

関連記事:債務整理とは?3種類のメリット・デメリットや生活への影響を解説

 

8.借金一本化で負担軽減は可能!ただし審査に通過できないときもある

借金の一本化とは、今ある借金を1社のおまとめローンに集約することです。借入金額によっては上限金利が下がる可能性があり、返済日の管理も楽になります。

ただし、安定した収入がない場合や、現在の借金をすでに滞納し、返済能力を疑問視された場合は、審査に通過できません。この場合は、一本化を検討するよりも、弁護士に相談して債務整理を行った方が効果的なこともあります。

債務整理には専門知識と経験が必要なため、実績の豊富な弁護士事務所に相談することが大切です。ライズ綜合法律事務所は、債務整理の経験が豊富な弁護士が多数在籍しており、依頼者様の生活再建をサポートしています。借金問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


 

このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。東京弁護士会所属。

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