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債務整理

2025/07/23

リボ払いは債務整理できる!メリット・デメリットや手続きの流れ、注意点を徹底解説

クレジットカードでリボ払いを利用していると「気付いたら支払額が膨らんでしまっていた」という方も少なくありません。このように毎月の支払いに苦しんでいる方も、場合によっては債務整理を利用して負担を軽減できることがあります。 この記事ではリボ払いのしくみと債務整理のメリット、デメリットなど、法的アプローチによる支払減額の基礎知識について解説します。
リボ払いは債務整理できる!メリット・デメリットや手続きの流れ、注意点を徹底解説

1.クレジットカードのリボ払いとは?

リボ払いは「リボルビング払い」の略称で、クレジットカードの支払い方法の1つです。
高額の買い物をしても、支払いは毎月少額で良いという方法で、一見して返済負担が小さく見えるという特徴があります。

リボ払いの方式としては、「定額方式」と「残高スライド方式」があります。それぞれ特徴は次の通りです。

元金定額方式
  • 元金分を毎月一定として支払う
  • 手数料は元金に料率を乗じて計算されるため手数料負担が徐々に小さくなる
元利定額方式
  • 手数料分も含め一定額を支払う
  • 利用額が大きくても返済額は毎月変わらない
残高スライド方式
  • 残高の金額に応じて毎月の返済額が増減する
  • 借り入れ先に応じて「残高10万~20万円なら月1万円」などと決まっていることが多い

例えば元利定額方式では、利用金額や現在の債務残高に関係なく、毎月固定の金額を支払います。仮に支払方法を毎月2万円のリボ払いに設定していれば、支払残高が10万円でも100万円でも、月に支払う金額は2万円です。

このようにリボ払いでは、いくら利用しても月の支払いが残高に対して少ないのです。毎月の返済負担が小さい反面、返済はなかなか進まないため、元本が減らず完済に時間がかかるという問題があります。

当事務所にも、リボ払いが原因で経済的に追い詰められ、相談に来られる方は少なくありません。

1-1 分割払いとの違い

リボ払いと分割払いは「複数回に分けて支払いを行う」という点では共通しています。異なるのは、分割払いが「支払回数を固定」しているのに対し、リボ払いは「毎月の返済額を固定」している点です。

分割払いは支払回数が決まっているため、計画通りに規定の回数だけ支払えば完済できます。しかし、リボ払いの場合は金額で支払回数が決まるため、長期に渡り支払いが終わらないこともあります。

 

2.リボ払いの返済が長引く理由

リボ払いの利用者からは「いつになっても払い終わらない」「支払い残高が減っている気がしない」といった声を聞くことがあります。

これには、リボ払いの仕組みが関係しています。詳しく見てみましょう。

2-1 手数料が高い

リボ払いが終わらない大きな理由の1つが、高額な手数料(利息)です。

リボ払いは利用金額に応じて手数料が発生します。この手数料にかかる割合はクレジットカード会社によって異なりますが、一般的には実質年15%から16%ほどに設定されています。これは、銀行カードローンの年利とほぼ同水準です。

仮に、50万円の買い物を手数料15%、月額1万5,000円(手数料込)のリボ払いで支払った場合、結果は次のようになります。

  • 総支払額:65万823円(うち手数料15万823円)
  • 完済にかかる期間:3年7ヶ月

ここでは50万円の買い物1回分で計算していますが、日常的にクレジットカードを利用している方であれば、返済中にさらに支払残高が増加することも考えられます。実質的な完済までの期間はさらに長くなるでしょう。

2-2 利用額が把握しにくい

リボ払いでは毎月の支払額が固定されます。そのため、使った分だけ請求される一括払いと異なり、いくら使ったのか把握しづらいという点が特徴的です。

現在の利用額が分かりにくいため、利用額が多い状態でもあまり気にせずクレジットカードを使ってしまいやすくなる方もいます。中には、限度額に到達して初めて事態の深刻さに気付く、という方もいます。

2-3 毎月の支払額によっては元本が減りにくい

リボ払いは利用額の多少にかかわらず一定額を支払い続けます。そのため、毎月の支払額に対して利用額が大きい場合支払う手数料の割合が大きくなり、なかなか元本の支払いが終わらないという事態に陥りがちです。

毎月きちんと返済していても、ほとんど手数料分に消えており、元本がほとんど減っていないというケースも珍しくありません。

 

3.債務整理とは

リボ払いの支払期間が長期に渡り、完済が難しいと感じる場合、債務整理も選択肢の1つです。債務整理は、法的アプローチで借金問題を解決することで、大きく分けて「任意整理」「民事再生(個人再生)」「自己破産」の3種類があります。

債務整理に関しては、以下の記事でより詳しく解説しています。こちらも参照してください。
債務整理とは?3種類のメリット・デメリットや生活への影響を解説

では、それぞれどのような方法なのか簡単に確認してみましょう。

3-1 任意整理

任意整理とは、債権者(この場合はクレジットカード会社)と交渉し、元本完済に向けて返済の調整を行うことです。利息や遅延損害金のカット、減額を求め、元本を完済できるように支払い条件を調整します。

債務の金額にもよりますが、概ね3年から5年で完済できるよう交渉することが一般的です。任意整理は、以降の二つの方法とは違って裁判所を通しません。そのため比較的手続きが簡単でスピーディーです。裁判所からの書類の到着などもないため、家族にも秘密にしやすいといえます。

任意整理でメリットを享受しやすいのは、以下のような特徴のある方です。

  • リボ払いの支払いが苦しく近いうちに返済不能になりそうな方
  • 既にクレジットカードの返済を滞納してしまっている方
  • クレジットカードのほかにも借金があり負担が大きい方
  • 安定した収入があり利息や遅延損害金が削減されれば返済可能な方

3-2 民事再生(個人再生)

民事再生(個人再生)は、裁判所を通じて債務を整理、減額する方法の1つです。民事再生(個人再生)では、債務者側で借金を3年から5年で返済するよう再生計画案を作成します。この再生計画を裁判所が認可する決定が出され、これが確定することにより、再生計画に従った返済が始まります。定められた期間きちんと返済できれば、債務の残額が免除される仕組みです。

各種手続き書類の収集や再生計画の作成に相応の手間がかかりますが、その分削減効果は任意整理よりも大きいといえます。また、後述の自己破産とは違い、財産の強制的な処分は発生しません。

そのため、思い入れのある持ち家や自己所有の自動車(ローンを完済しているもの)を失いたくない場合に適しています。

ただし、民事再生(個人再生)で債務を圧縮しようとしても、債務者の保有している財産の額より下回ってはならない点には注意が必要です。これは、提出した再生計画での弁済額は、債務者の保有する財産の額(清算価値)を下回ってはいけないという原則によるものです。

民事再生(個人再生)は、債務整理の中でも特に手続きが煩雑で、適用が難しいため弁護士に相談して代行を依頼することをおすすめします。

3-3 自己破産

自己破産は、裁判所の決定を受けて債務の支払い義務の免除を受ける方法です。破産申立書を裁判所に提出し、免責許可決定が下り、確定すると借金の支払い義務がなくなります。ただし、税金や養育費の支払債務など、破産法所定の「非免責債権」は免除の対象とはなりません。

自己破産では財産と債務の清算を行いますので、一定金額以上の預貯金や不動産などの財産がある場合は換価処分の対象となります。

また、自己破産は裁判所からの書類の到着や財産の処分が発生することから、家族に知られずに手続きするのは難しいでしょう。

自己破産は、債務の金額が大きく利息や元本の一部だけ削減しても、経済状況の回復が見込めない場合に適した方法です。

 

4.リボ払いは債務整理できる

債務整理というと「借金の処理方法」というイメージが強いかもしれません。「リボ払いは買い物の代金だし、債務整理はできないのではないか」と思う方もいるでしょう。

債務整理の「債務」は、厳密には借金ではなく「お金を払う法的な義務」を指します。そのため、ショッピングでクレジットカードを利用した方の支払いも債務整理の対象です。任意整理でクレジットカード会社と交渉する、裁判所を通じて支払額を減少させるといった対処が可能です。

 

5.リボ払いで債務整理するときのメリット

リボ払いの支払いを債務整理しても良いかどうか悩む方も少なくありません。債務整理を利用して解決することのメリットを紹介します。

5-1 返済の負担が軽くなる

大きなメリットの1つは、返済の負担が軽くなる、またはなくなることです。どの方法を採用するかによっても異なりますが、いずれの手続きで債務整理をしても、次のように債務の削減効果があります。

削減できる債務 注意事項
任意整理 利息や遅延損害金 元本の削減はできない
民事再生(個人再生) 元本の一部も減額の対象 保有する財産の額に相当する金額は支払う必要あり
自己破産 免責許可決定が出れば返済義務免除
(実質借金がゼロに)
一部免責対象外の債務あり
財産がある場合は換価の対象になる

自力での返済が難しい場合、債務整理で返済額を減らすことも視野に入れてみてください。

5-2 金融機関からの督促が来なくなる

返済を滞納していると、クレジットカード会社から電話や書面で督促が行われます。返済するまで督促は行われるため、精神的な負担になることもあるでしょう。しかし、弁護士に債務整理を依頼したあとは弁護士が窓口になるため、それ以降は債務者本人に督促はされません。

債権者からの督促は、債務者にとっては大きな精神的負担です。「早く払わなければ」という意識から、闇金業者に手を出してしまう方もいるほどです。弁護士に債務整理を依頼していると、こういったストレスからは解放されます。

5-3 キャッシングのリボ払いは過払い金返還請求も可能

過去にもキャッシングを利用していた方であれば、過払い金返還請求で現在の債務を減少させられることもあります。

過払い金とは、本来払う必要がないのに、返済金として払い過ぎた利息のことです。かつて、融資の金利の上限として「出資法」「利息制限法」の二重の基準があった時代があり、多くの金融機関が利息制限法の上限以上の金利で貸し付けを行っていました。

この頃に支払っている返済金のうち、利息制限法の上限金利で計算し直した結果、払い過ぎている分は過払い金です。この分は返還を受けることができます。

対象となるのは2010年6月18日(改正貸金業法の施行日)より前に、利息制限法以上の金利で契約した債務です。過払い金の返還があったり、現在の債務と相殺して大きく減額できたりする場合があります。

過払い金返還請求に関しては、以下の記事でより詳しく解説しています。こちらも参照してください。
債務整理をしながら過払い金請求は可能?両者の違いや成功の秘訣とは

 

6.リボ払いを債務整理するデメリット

リボ払いの債務整理にはメリットもある一方デメリットも存在します。債務整理を検討する際はこちらも把握しておきましょう。

6-1 個人信用情報機関に事故情報が登録される

債務整理を行うと、個人信用情報機関のデータベースに事故情報が登録されます。これが、いわゆるブラックリスト入りした状態です。

事故情報が登録されると、金融機関や信販会社の申し込みの審査に通りづらくなります。また、下記のように、クレジットカードが停止され、新規のローンも組むことができなくなります。

もっとも、債務者が借金に依存している傾向が見られる場合、ブラックリストへの登録は大きな抑止力です。強制的に借金が増えない状態にするという点で、それ以上の借り入れができないことはむしろ有益でしょう。

ブラックリスト入りに関しては、以下でも詳しく紹介しています。参考にしてください。
ブラックリストとは?掲載されたときの影響や確認方法について解説

6-2 原則としてクレジットカードが使えなくなる

債務整理を行い事故情報が信用情報に登録されると、原則として手続き完了後(任意整理の場合には債務完済後)約5年から7年の間、クレジットカードは使えません。

債務整理を行ったクレジットカードは、弁護士が介入した時点で強制解約になります。ETCカードや家族カードを持っている場合、こちらも使えなくなるため注意してください。債務整理の対象としていないクレジットカード会社も、カード更新時の審査などで信用情報を確認します。事故情報の登録が発覚すると、カードの利用ができなくなる可能性があります。

債務整理を行う際は、もしクレジットカードが使えなくなっても問題ないように準備をしておきましょう。代替のデビットカードの発行や、支払方法の変更手続きをしておいてください。

6-3 ローンを組めない

個人信用情報機関に事故情報が残っている約5年から7年のうちは、住宅ローンやカーローンといったローンも組めなくなる可能性があります。こちらも、審査の際に金融機関が信用情報を確認するためです。また、ローンの連帯保証になる際も、審査に通らなくなるケースがあります。

ローンを利用する際は、家族の了解を得た上での家族名義での契約や、連帯保証人ではなく保証会社の利用ができないか検討してみましょう。

 

7.リボ払いで債務整理するための手順

前述のように、債務整理にはいくつか種類があり、人によって適した方法も異なります。手続き自体も難解なため、弁護士に依頼することが一般的です。

弁護士に依頼する際はどのような流れで行うのでしょうか。具体的な手順を見てみましょう。

7-1 弁護士に法律相談する

債務整理には法的な専門知識が必要なため、自分で行うことはおすすめできません。債務整理に失敗し、借金の減額ができなくなる可能性があります。まずは、法律相談などを行いながら依頼する弁護士を探しましょう。

最初の相談では、現在の状況(借入額や借入残高など)とどのような形で解決を望むかを伝えましょう。そうすると、弁護士からどのような解決方法があるのか提示されます。自分の借金の金額や、現在の財産の内訳などをまとめておくと相談がスムーズに進むため、メモ程度で良いので準備してみてください。

7-2 契約を行う

次に、債務整理を依頼する弁護士を決めて契約します。

債務整理の結果は弁護士の腕にかかっています。信頼できる弁護士を探し出すためには、なるべく複数の事務所に相談して依頼先を決めることをおすすめします。「女性弁護士が良い」「話しやすい同年代が良い」など希望がある場合、弁護士が複数人在籍している事務所を選ぶと効率的です。

無事依頼する弁護士が決まったら契約したい旨を伝えてください。ここから本格的に債務整理に向けて準備が始まります。

7-3 債務整理の方法を決める

弁護士と話し合いながら、自分に最も適した債務整理の方法を考えていきます。

前述の通り「任意整理」「民事再生(個人再生)」「自己破産」には、それぞれ特徴が異なります。メリットとデメリットを理解した上で、慎重に方針を決定しましょう。それぞれの状況によって最適な方法は異なるため、弁護士に相談して見解を聞いてみてください。

 

8.リボ払いにおすすめの債務整理は?

借金の総額や本人の意向によりますが、リボ払いで困窮しているケースでは、任意整理で回復を図るのが良いといわれています。

家族に知られずに借金を整理できる可能性が高く、ブラックリストに残る期間もほかの方法と比べて短いといったメリットがあるからです。

ただし、借入額が大きい場合や、解雇されて収入がないなどの事情で本人の返済能力がないケースでは、民事再生(個人再生)や自己破産の方が負担が小さいこともあります。

どの方法が適しているかは自分だけでは判断できない場合も多いため、まずは弁護士に相談して見解を聞いてみることをおすすめします。

 

9.リボ払いと債務整理に関するよくある質問

前述の通り、リボ払いでできた借金の債務整理には、任意整理がおすすめです。ここでは、当事務所でリボ払いを任意整理する際に、相談者の方からよく寄せられる質問を紹介し、回答していきます。

9-1 ショッピング枠はそのままに、キャッシング枠のみ任意整理はできますか?

任意整理は、原則「債権者単位」で行います。同じ会社のカードで、ショッピング枠とキャッシング枠両方の債務がある場合でも、切り離すことはできません。

これは過払い金があるケースも同様です。仮にキャッシング枠で過払い金が発生している場合も、キャッシング枠とショッピング枠の両方の債務と相殺が行われます。

例えば、キャッシング枠の債務だけと相殺し、ショッピング枠の借金を残しつつ過払い金を受け取る、といったことは難しいでしょう。過払い金全額と債務の全額で相殺を行い、残った分を任意整理で解決することとなります。

9-2 クレジットカードのショッピング枠も任意整理はできますか?

クレジットカードの債務を任意整理する場合、キャッシング枠だけでなく、ショッピング枠も任意整理できます。

ショッピング枠のリボ払いを利用している場合は、将来発生する利息や今ある遅延損害金を削減できることもあります。毎月の負担が大幅に減少し完済しやすくなるため、弁護士に相談の上検討してみてください。

9-3 任意整理の手続きをしたら、リボ払いで購入した商品はどうなりますか?

法律のルールとしては、リボ払いで購入した商品の所有権は、原則として完済するまではクレジットカード会社にあります。この点は、クレジットカード会社の約款にも「完済まで所有権を留保する」などと記載がありますので確認してみてください。

リボ払いの完済前に任意整理を開始した場合、クレジットカード会社が商品を引き上げるケースがあります。

ただし、実際に引き上げが行われるかは、購入した品によって対応が異なります。例えば自動車や高価な家電など、換価価値が高いものは引き上げられる可能性が高いでしょう。一方、日用品などはほとんどの場合、対象となりません。

この点はクレジットカード会社によっても対応が異なるため、実績の豊富な弁護士に相談し実態を確認してみるのが良いでしょう。

 

10.リボ払いの借金が増えたら債務整理を!弁護士に依頼して負担を軽くしよう

クレジットカードのリボ払いは債務整理の対象にできます。どうしても支払いが厳しい場合や、借金の増加で悩まされているときは、債務整理を検討してみましょう。

ただし、債務整理の種類には複数あり人によって適した解決策も異なる上、手続きは難解です。自分の状況に最適な方法を選びスムーズに借金問題を解消するには、債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼することは必須でしょう。

ライズ綜合法律事務所は、法律相談実績30万件を誇り、ご相談者様をサポートしている事務所です。「借金から抜け出せずに苦しい」「カードの支払いが終わらない」このような方から多くの相談が寄せられています。

当事務所には債務整理の経験が豊富な弁護士が多数在籍しており、一人ひとりに最適な解決方法をご提案しております。

ご相談は無料です。まずは何にお困りなのか、どのような形で解決したいのか、思いやご希望をお伺いします。お気軽にご相談ください。

 


このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。

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