慰謝料請求
2026/11/04
慰謝料請求にかかる弁護士費用は相手に請求できる?相場はいくら?

慰謝料を請求するために弁護士へ依頼する場合、その費用は相手に負担してほしいと考える方も多いでしょう。被害を受けた上に弁護士費用まで自己負担となる状況には、納得しにくいものです。
本記事では、弁護士費用を相手に請求できるケースについて解説します。費用を用意できない場合の対処法も紹介するため、慰謝料請求を検討している方はぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 慰謝料請求にかかった弁護士費用を相手に請求できるケースと請求できないケース
- 慰謝料請求を弁護士に依頼する際の費用相場や、費用を払えない場合の対処法
- 慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットや、依頼前に確認しておきたいポイント
慰謝料請求にかかる弁護士費用は相手に請求できる?
慰謝料請求を弁護士に依頼しても、支払った弁護士費用の全額を相手に負担させられるわけではありません。
日本の民事裁判では、裁判所へ納める申立手数料や証人の旅費などの訴訟費用とは異なり、相手方の弁護士費用まで敗訴者が負担する制度は原則として採用されていません。相談料や着手金、報酬金などは基本的に依頼者自身が支払います。
ただし、相手の故意や過失による不法行為を理由として損害賠償請求訴訟を起こした場合は、例外があります。弁護士への依頼が必要だったと認められれば、費用の一部が不法行為と因果関係のある損害として、賠償額に加算される可能性があります。
裁判で認められる弁護士費用相当額は、裁判所が認容した損害額の1割程度となる例が多く見られます。例えば、慰謝料などの損害として300万円が認められた場合、30万円程度が加算される可能性があるでしょう。
ただし、1割という割合が法律で一律に定められているわけではありません。事件の内容や難易度、認容された損害額などを踏まえ、裁判所が個別に判断します。
また示談や裁判上の和解では、弁護士費用の扱いも当事者の合意によって決まります。実務上は、弁護士費用を別項目にせず、慰謝料やその他の損害を含む解決金として合意することもあります。
不倫の慰謝料を多く請求することができる?増額の理由や事例を解説
慰謝料請求にかかる弁護士費用を相手に請求できるケース
不法行為を理由とする訴訟で損害賠償請求が認められた場合は、弁護士費用相当額が損害に加算される可能性があります。ここでは、主な対象となるケースを解説します。
不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合
配偶者と第三者が自由な意思に基づいて肉体関係を持った不貞行為は、配偶者の権利や婚姻生活の平穏を侵害する不法行為に当たる可能性があります。
不貞行為による慰謝料請求が裁判で認められれば、弁護士費用相当額も損害に含まれることがあるでしょう。
ただし、不貞行為があっただけで必ず慰謝料を獲得できるわけではありません。不貞行為より前に夫婦関係がすでに破綻していた場合や、不倫相手が既婚者だと知らず、知らなかったことに過失もない場合などは、請求が認められない可能性があります。
暴行や傷害を受けて慰謝料を請求する場合
殴る、蹴る、物を投げつけるなどの暴行によってけがを負わされた場合、加害者の行為は不法行為に該当します。
被害者は、治療費や休業損害などに加え、肉体的・精神的苦痛に対する慰謝料を請求できる可能性があります。裁判所が加害者の責任を認めた場合は、弁護士費用相当額も損害に含まれることがあるでしょう。
なお、刑事事件として加害者が処罰されても、慰謝料などが自動的に支払われるわけではありません。損害の回復を求めるには、示談交渉や民事上の損害賠償請求が別途必要になる場合があります。
交通事故による精神的損害について慰謝料を請求する場合
交通事故は、運転者の故意または過失による不法行為に当たるのが一般的です。被害者は、治療費や休業損害、逸失利益などとともに、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。
相手方や保険会社との交渉がまとまらず、訴訟で損害賠償が認められた場合は、弁護士費用相当額が加算される可能性があります。
なお、自動車保険などに弁護士費用特約が付いている場合は、契約内容に応じて費用の補償を受けられることがあります。自分の保険だけではなく、同居家族などの契約を利用できるケースもあるため、保険会社へ確認するとよいでしょう。
名誉毀損やプライバシー侵害を理由に慰謝料を請求する場合
インターネットやSNSへの投稿によって社会的評価を低下させられた場合は、名誉毀損として慰謝料を請求できる可能性があります。
また住所や病歴、私生活上の情報などを本人の同意なく公開された場合は、プライバシー侵害に該当することがあるでしょう。
これらの行為が不法行為と認められれば、慰謝料に加えて弁護士費用相当額も損害に含まれる場合があります。
インターネット上の権利侵害では、投稿者を特定するために発信者情報開示命令などの手続きが必要になることもあります。ただし、投稿者の特定にかかった費用が全て相手の負担になるとは限りません。各費用の必要性や相手の行為との因果関係を踏まえ、賠償の対象となる範囲が判断されます。
ハラスメントやいじめなどを理由に慰謝料を請求する場合
職場でのパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、学校でのいじめなどによって権利や利益を侵害された場合も、不法行為に基づく慰謝料請求が考えられます。
加害者本人だけではなく、会社や学校などの管理責任が問題になるケースもあるでしょう。被害を把握しながら適切な対応を取らなかった場合は、組織側の責任が認められる可能性があります。
ただし、業務上の指導や注意が全てハラスメントになるわけではありません。行為の目的や内容、頻度、当事者の関係、被害の程度などを踏まえて、違法な権利侵害と評価できるかが判断されます。
違法な解雇や退職強要などが不法行為に当たる場合
会社から解雇された場合でも、解雇が無効というだけで、当然に慰謝料や弁護士費用を請求できるわけではありません。
一方、嫌がらせを伴う退職強要や、労働者の人格を傷つけるような解雇など、会社の対応が不法行為に当たる場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。
また安全配慮義務違反によって生命や身体に損害が生じたケースでは、債務不履行に基づく請求であっても、弁護士費用相当額が損害として認められる場合があります。
未払い賃金や解雇期間中の賃金と、精神的苦痛に対する慰謝料は性質が異なります。請求の根拠によって扱いが変わるため、個別に整理する必要があるでしょう。
その他、相手の故意・過失による権利侵害について慰謝料を請求する場合
ここまで紹介したケース以外でも、相手の故意や過失によって権利や法律上保護される利益を侵害された場合は、不法行為に基づく慰謝料請求が可能です。
例えば、次のようなトラブルが挙げられます。
- ストーカー行為や執拗な嫌がらせを受けた
- 医療上の過失によって身体に被害が生じた
- 違法な差別によって人格的利益を侵害された
- 本人の同意なく容貌や私生活に関する情報を公開された
ただし、不快な思いをしたという事情だけで、慰謝料が認められるわけではありません。相手の行為に違法性があり、その行為によって精神的損害が生じたことを、証拠に基づいて示す必要があります。
弁護士費用を損害に含める契約上の合意がある場合
契約違反による損害賠償請求では、不法行為の場合と異なり、弁護士費用を相手に請求することは原則として困難です。
ただし、契約書に「契約違反が発生した場合、違反した側は相手方が負担した合理的な弁護士費用を賠償する」といった特約があれば、契約に基づいて請求できる可能性があります。
特約があっても、依頼者が支払った費用を無条件で全て請求できるわけではありません。契約違反との関連性や弁護士へ依頼する必要性などを踏まえ、合理的な範囲に限られるでしょう。
また消費者に一方的な負担を課す条項などは、全部または一部が無効となる場合があります。
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慰謝料請求の弁護士費用を相手に請求できないケース
不法行為を理由に慰謝料を請求しても、弁護士費用相当額が必ず認められるわけではありません。ここでは、相手への請求が難しい主なケースを確認します。
慰謝料請求の原因となる不法行為が認められない場合
弁護士費用相当額を相手に負担させるには、前提となる不法行為や損害賠償請求が認められる必要があります。
相手の行為に違法性がない場合や、故意・過失を立証できない場合は、慰謝料だけではなく弁護士費用相当額も請求できません。
例えば、不貞行為を理由に請求したものの、肉体関係を裏付ける証拠が不足しているケースが挙げられます。不貞行為より前に婚姻関係が破綻していた場合も、慰謝料請求が認められない可能性があるでしょう。
また相手の言動によって不快な思いをしたとしても、法律上の不法行為になるとは限りません。行為の内容や程度、被害の大きさなどから、権利や法律上保護される利益が侵害されたかが判断されます。
裁判で慰謝料請求が棄却された場合でも、着手金や実費などは原則として依頼者の負担です。
相手の行為と弁護士費用との因果関係が認められない場合
先述のように、相手へ請求できるのは、実際に支払った弁護士費用の全額ではありません。不法行為と相当因果関係があると裁判所が判断した範囲に限られます。
裁判所は、主に次の事情を踏まえて金額を決めます。
- 認められた損害額
- 事件の内容や難易度
- 争点の数や複雑さ
- 弁護士へ依頼する必要性
- 審理にかかった期間
そのため、依頼者が高額な弁護士費用を支払っていても、その全額を相手に負担させられるとは限りません。請求の一部しか認められなかった場合は、弁護士費用相当額も想定より低くなる可能性があります。
和解や示談で弁護士費用を各自負担すると合意した場合
裁判外の示談や裁判上の和解では、当事者同士が支払額や条件を話し合って決めます。
その際「弁護士費用は各自の負担とする」と合意した場合は、自分が依頼した弁護士の費用を相手へ追加請求することは原則としてできません。
示談や和解では、慰謝料や治療費、休業損害などを個別に分けず、解決金としてまとめることもあります。合意後に弁護士費用を別途請求するのは難しいでしょう。
特に、示談書や和解調書に清算条項が設けられている場合は注意が必要です。清算条項とは、合意した内容を除き、当事者間に他の債権や債務がないことを確認する条項を指します。
合意後に、当事者の一方だけの判断で条件を変更したり、弁護士費用を追加請求したりすることは原則としてできません。署名前に、支払条件や清算条項の内容を確認しておくことが重要です。
慰謝料請求にかかる弁護士費用の相場
慰謝料請求にかかる弁護士費用は、法律事務所の料金体系や解決方法によって異なります。統一された公定価格はなく、各事務所が独自に料金を定めています。
以下は、慰謝料請求を扱う法律事務所で見られる料金設定の目安です。
|
費用の種類 |
相場の目安 |
内容 |
|
相談料 |
30分5,000円〜1万円程度 |
弁護士へ法律相談をする際の費用 |
|
着手金 |
20万〜40万円程度 |
事件の結果にかかわらず、依頼時に支払う費用 |
|
報酬金 |
獲得額の10〜20%程度 |
慰謝料を獲得した場合など、成果に応じて支払う費用 |
|
実費 |
数千円〜 |
郵便代、交通費、コピー代など |
|
日当 |
1日3万〜10万円程度 |
遠方への出張や裁判所への出廷にかかる費用 |
例えば、慰謝料200万円を獲得し、報酬金が獲得額の15%に設定されている場合、報酬金は30万円です。これに着手金や実費などが加わります。
交渉から訴訟へ移行すると、追加の着手金や出廷日当が発生することもあるでしょう。一方、相談料や着手金を無料とし、獲得した慰謝料から報酬金を支払う料金体系を採用している事務所もあります。
依頼前には、次の点を確認すると安心です。
- 示談交渉から訴訟へ移行した場合の追加費用
- 報酬金を計算する基準
- 途中で依頼を終了した場合の費用
- 実費や日当が発生する条件
- 慰謝料を回収できなかった場合の負担額
- 表示された料金に消費税が含まれているか
着手金の安さだけで判断せず、最終的な支払総額を比較することが大切です。
慰謝料請求にかかる弁護士費用が払えない場合の対処法
手元にまとまった資金がなくても、弁護士への依頼を諦める必要はありません。ここでは、費用の負担を抑える方法を紹介します。
法テラスの民事法律扶助を利用する
収入や資産が一定の基準以下である場合は、法テラスの民事法律扶助を利用できる可能性があります。
民事法律扶助は、経済的に余裕がない方を対象に、無料法律相談や弁護士費用などの立替えを行う制度です。
主な支援内容は、次の通りです。
- 同一の問題について原則3回まで無料法律相談を受けられる
- 着手金や実費などを法テラスに立て替えてもらえる
- 立替金を無利息で分割返済できる
- 一定の条件を満たす場合は返済の猶予や免除を受けられることがある
利用するには、収入や資産が基準以下であることに加え、勝訴の見込みがないとはいえないことや、民事法律扶助の趣旨に適していることなどの条件を満たす必要があります。
利用を希望する場合は、法テラスの地方事務所や、民事法律扶助に対応している法律事務所へ相談するとよいでしょう。
家族などから一時的に費用を借りる
法テラスの利用条件を満たさない場合は、家族や親族から一時的に費用を借りる方法があります。着手金を準備できれば、相手との交渉や証拠の整理などを早い段階で弁護士に任せられるでしょう。
ただし、口頭の約束だけでは、返済時期や金額を巡って家族間のトラブルになる恐れがあります。親しい間柄であっても、借りた金額や返済期限、毎月の返済額、利息の有無などを書面に残すと安心です。
なお、消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用すると、弁護士費用とは別に利息の負担が生じます。返済の見込みを十分に検討せず、新たな借り入れをするのは避けた方がよいでしょう。
分割払いに対応している弁護士事務所を選ぶ
一括払いが難しい場合は、着手金などの分割払いに対応している法律事務所を選ぶ方法があります。
事務所によっては、着手金を数回に分けて支払うプランや、慰謝料を回収した後に費用を精算する料金体系を設けています。まとまった資金がなくても依頼できる可能性があるでしょう。
ただし「着手金無料」と表示されていても、報酬金や事務手数料、実費などが発生する場合があります。分割払いを利用する際は、毎月の支払額や支払回数、慰謝料を回収できなかった場合の扱いを確認することが大切です。
依頼する業務の範囲を限定する
弁護士に全ての対応を任せず、必要な業務だけを依頼することで費用を抑えられる場合があります。
例えば、次のような方法が考えられます。
- 初回相談で証拠や請求額を確認してもらう
- 内容証明郵便や示談書の作成だけを依頼する
- 交渉が難航した段階から代理人を依頼する
書面の作成や法律相談だけであれば、示談交渉や訴訟を全面的に任せるよりも費用を抑えやすいでしょう。
一方、相手が支払いを拒否している場合や、事実関係を強く争っている場合は、一部の業務だけでは解決が難しい可能性があります。自分で対応する負担や不利な条件で合意するリスクも踏まえ、依頼範囲を判断する必要があります。
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慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット
慰謝料請求は自分で進めることもできますが、証拠の判断や相手との交渉には法的な知識が必要です。ここでは、弁護士へ依頼する主なメリットを解説します。
証拠の集め方について助言を受けられる
慰謝料請求を認めてもらうには、相手の不法行為や被害の内容を客観的な証拠で示す必要があります。しかし、どの資料が有効なのかを自分で判断するのは簡単ではありません。
弁護士に相談すれば、現在持っている証拠で請求できる可能性があるか確認してもらえます。不足している場合には、今後集めるべき資料や適切な収集方法についても助言を受けられるでしょう。
不貞行為による慰謝料請求では、ホテルへ出入りする写真や肉体関係を推認できるメッセージ、宿泊施設の利用履歴、探偵の調査報告書などが証拠になり得ます。
自分で無理に集めようとすると、違法な方法を取ってしまったり、相手に気付かれて証拠を消されたりする恐れがあります。早い段階で助言を受ければ、法的な問題を避けながら準備を進めやすくなるでしょう。
適正な慰謝料額を算定してもらえる
慰謝料には、被害の内容を当てはめるだけで金額を算出できる統一的な計算式がありません。裁判所も、当事者の関係や不法行為の内容、被害の程度などを踏まえて判断します。
不貞行為による慰謝料では、婚姻期間や不貞行為の期間・回数、未成年の子どもの有無、離婚や別居に至ったかなどが金額に影響します。
弁護士に依頼すれば、過去の裁判例や交渉実務、個別の事情を踏まえ、適正と考えられる請求額を検討してもらえます。
相場より低い金額で合意してしまうリスクを避けられる他、根拠のない高額請求によって交渉が長引く事態も防ぎやすくなるでしょう。
相手との交渉や連絡を任せられる
慰謝料請求では、金額だけではなく、支払期限や分割払いの可否、今後の接触などについても相手と話し合う必要があります。
当事者同士で交渉すると感情的な対立が深まり、話し合いが進まなくなることも少なくありません。弁護士に依頼すれば、相手への通知や連絡、条件交渉を代理してもらえます。
自分で相手と直接やり取りする必要がなくなるため、精神的な負担を軽減できる点もメリットです。
相手が支払いを拒否した場合は、証拠や主張を整理した上で、調停や訴訟へ移行するべきか判断してもらえます。合意に至った際は、支払額や期限、清算条項などを定めた示談書の作成も任せられるでしょう。
まとめ
慰謝料請求にかかった弁護士費用は、原則として依頼者自身が負担します。ただし、不貞行為や暴行、交通事故などの不法行為を理由に訴訟を起こした場合は、弁護士費用相当額の一部を相手に請求できる可能性があります。
もし相手に請求できず、弁護士費用を用意できない場合は、法テラスの民事法律扶助や法律事務所の分割払いを利用する方法があります。依頼する業務を限定し、費用を抑えることも選択肢の一つです。
ライズ綜合法律事務所では、慰謝料請求に関する相談に電話やメールで対応しています。月間700件、年間8,400件の相談実績があり、相談料は無料です。慰謝料を請求できるか分からない方や、弁護士費用を差し引いても依頼するメリットがあるか判断できない方は、まずはご相談ください。
【ご相談専用フリーダイヤル】
0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)
このページの監修弁護士
弁護士
三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。
都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。


