慰謝料請求
2026/10/29
不倫の慰謝料を多く請求することができる?増額の理由や事例を解説

配偶者の不倫によって大きな精神的苦痛を受けた場合、できる限り多くの慰謝料を請求したいと考えるのは自然なことです。一方で、どのような事情が増額につながるのか、相場を超える金額を請求できるのか分からず、不安に感じる方もいるでしょう。
本記事では、不倫の慰謝料が増額される可能性のある事情や減額されやすいケース、金額の目安などを解説します。適正な金額を請求するための参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 不倫の慰謝料を相場より多く請求できるケースと、増額につながる主な事情
- 不倫の慰謝料が減額されやすいケースと、離婚・別居の有無による相場の違い
- 慰謝料請求を弁護士に相談するメリットや、証拠収集・交渉の進め方
不倫の慰謝料を相場より多く請求できることはある?
不倫の慰謝料を相場より多く請求できる場合はあります。慰謝料には、法律で定められた一律の計算式や明確な上限額がないためです。
慰謝料額は、不倫によって離婚や別居に至ったか、婚姻期間はどの程度か、不貞行為がどれほど続いたかなどを踏まえて決まります。未成年の子どもがいることや、不倫相手の妊娠・出産、不倫発覚後の対応も判断材料になるでしょう。
裁判をせずに話し合いで解決する場合は、当事者が合意すれば、相場を超える慰謝料額を定めることも可能です。ただし、請求額を自由に設定できることと、その全額を受け取れることは同じではありません。
根拠のない高額請求は、相手の反発を招いて交渉を難しくする恐れがあります。多額の慰謝料を求めるには、精神的苦痛の大きさや不倫の悪質性を示す事情と証拠を整理することが重要です。
不倫の慰謝料を増額できる可能性がある理由・事情
不倫の慰謝料額は、夫婦関係への影響や不倫の態様によって変わります。ここでは、増額につながる可能性がある主な事情を説明します。
不倫が原因で離婚や別居に至った
不倫を原因として離婚や別居に至った場合は、慰謝料が高くなる傾向にあります。夫婦関係を継続する場合よりも、婚姻生活への影響や精神的苦痛が大きいと評価されやすいためです。
離婚すれば、それまで築いてきた家庭生活を失い、住居や仕事、子育てなどの環境も変わる可能性があります。別居の場合も、生活費の負担が増えたり、家族と暮らせなくなったりすることがあるでしょう。
ただし、不倫後に離婚したという事実だけで増額されるわけではありません。不倫をきっかけに夫婦関係が悪化し、離婚や別居へ至ったという因果関係が必要です。
夫婦の婚姻期間が長い
婚姻期間が長いことも、増額につながり得る事情です。長い年月をかけて築いた夫婦関係が不倫によって損なわれた場合、裏切りによる精神的苦痛が大きいと評価されやすくなります。
一方、婚姻期間が長いだけで慰謝料が必ず高くなるわけではありません。長期間別居していた、夫婦間の交流がほとんどなかったなど、不倫前の関係も併せて考慮されます。
未成年の子供がいる
夫婦の間に未成年の子どもがいる場合、不倫による家庭への影響が大きいとして、慰謝料額に影響することがあります。特に、不倫をきっかけに離婚し、一方が主に子どもを育てることになれば、仕事と育児を両立する負担も生じるでしょう。
ただし、子どもの生活費は原則として養育費の問題であり、慰謝料とは区別されます。子どもがいるという事実だけではなく、不倫によって家庭生活や子どもの心身にどのような影響が生じたのかが重要です。
不貞行為の回数や頻度が多い場合
不貞行為の回数が多い場合や、高い頻度で繰り返されていた場合は、慰謝料が増額される可能性があります。一時的な関係ではなく、継続して婚姻生活を侵害していたと評価されやすいからです。
例えば、数年間にわたって関係が続いていた、毎週のように密会していた、不倫相手の家へ継続的に宿泊していたといった事情が考えられます。事実上の同棲状態にあった場合も、不倫が常態化していたことを示す材料になるでしょう。
回数を正確に数えられなくても、メッセージや写真、宿泊記録などを組み合わせることで、継続的な関係だったと示せる場合があります。
不倫相手との間に子供を妊娠・出産した
配偶者と不倫相手との間で妊娠や出産に至った場合は、精神的苦痛が大きく、不倫の態様も悪質だとして増額要因になる可能性があります。不倫関係が深く、継続していたことを示す事情にもなるでしょう。
子どもが生まれれば、配偶者が認知や養育費の支払いを求められる場合もあります。不倫関係が終わった後も子どもを通じて関わりが続く可能性があり、不倫をされた側の精神的負担は小さくありません。
不倫相手が積極的に関係を主導した
不倫相手が夫婦関係を壊す目的で積極的に働きかけていた場合、その悪質性が慰謝料額の判断で考慮されることがあります。
例えば、既婚者だと知りながら離婚を繰り返し迫った、不倫をやめようとした配偶者に働きかけて関係を再開させた、自宅へ連絡して家庭を混乱させたといったケースです。職場での立場を利用して関係を迫った事情も、経緯によっては判断材料になります。
ただし、単に不倫相手から誘ったというだけで、必ず増額されるわけではありません。関係の始まり方や継続の経緯、夫婦への干渉の程度などが総合的に判断されます。
反省の態度が見られない
不倫発覚後も関係を続けたり、嫌がらせをしたりした場合は、新たな精神的苦痛を与えたとして慰謝料額に影響する可能性があります。
一方、謝罪しなかっただけで自動的に増額されるわけではありません。証拠があるのに不合理な否認を続ける、被害者へ責任を押し付ける、関係解消の約束後に密会を再開するといった事情があると、悪質性を主張しやすくなるでしょう。
不倫以外にも不法行為がある
不倫をした配偶者にDVやモラハラ、悪意の遺棄などの行為もあった場合は、不倫とは別の不法行為として、配偶者に対する慰謝料額へ影響する可能性があります。
また配偶者が正当な理由なく家を出て、不倫相手と生活しながら生活費を渡さない場合は、悪意の遺棄に該当することがあります。悪意の遺棄とは、夫婦間の同居・協力・扶助義務を正当な理由なく果たさない行為です。
ただし、DVやモラハラの慰謝料が不倫の慰謝料へ自動的に上乗せされるわけではありません。診断書や録音、メッセージ、相談記録などを用意し、それぞれの行為と損害を示す必要があります。
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不倫で多額の慰謝料を獲得できた事例
慰謝料額は、婚姻期間や不倫の継続期間、離婚・別居の有無などによって異なります。ここでは、ライズ綜合法律事務所が慰謝料請求の交渉を担当した事例を紹介します。
結婚歴3年/30代女性の事例
Aさんは30代の女性で、結婚歴は3年、夫婦の間には幼い子どもがいました。
夫が不倫相手に送る予定だったメッセージを誤ってAさんへ送ったことから、不倫が発覚します。Aさんが問い詰めると、夫は職場の同僚との不貞行為を認めました。
Aさんは夫との別居を始めたものの、幼い子どもがいたため、離婚をすぐには決断できない状況でした。そこで弁護士へ相談し、不倫相手への慰謝料請求を進めています。
交渉の結果、不倫相手に仕事以外で夫と私的に接触しないことを約束させ、300万円の慰謝料を獲得しました。一般論として、別居に至ったことや幼い子どもがいることは、慰謝料額を判断する際の重要な事情です。
結婚歴28年/50代男性の事例
Kさんは50代の男性で、結婚歴は28年、夫婦の間には子どもがいました。
妻は、職場の既婚者である上司と約7年間にわたって不貞行為を続けていました。不倫相手の妻から連絡があり、Kさんが妻へ確認したところ、不貞行為を認めたとのことです。
妻との話し合いで離婚が決まり、Kさんは不倫相手への慰謝料請求について弁護士へ相談しました。不倫相手は不貞行為を認めた一方、Kさん夫婦の婚姻関係はすでに破綻していたと主張し、減額を求めています。
弁護士が交渉を続けた結果、Kさんは250万円の慰謝料を獲得しました。長い婚姻期間や約7年間に及ぶ不倫、離婚に至った事実は、一般に慰謝料額へ影響する事情です。
不倫の慰謝料が減額されやすいケース
請求額がそのまま認められるとは限りません。証拠や不倫前の夫婦関係によっては、減額されたり、請求自体が認められなかったりすることがあります。
不貞行為を証明できない場合
不倫の慰謝料を請求する側は、原則として不貞行為があったことを証明しなければなりません。不貞行為とは、一般に、既婚者が自由な意思に基づいて配偶者以外の人と肉体関係を持つことです。
頻繁に連絡を取っていた、二人で食事へ行っていたという事情だけでは、肉体関係があったと認められない可能性があります。証拠が不十分であれば、慰謝料が減額されたり、請求が退けられたりするでしょう。
証拠としては、ラブホテルへ出入りする写真や動画、宿泊施設の利用記録、肉体関係を推認できるメッセージ、探偵の調査報告書、本人が不貞行為を認めた録音や書面などが挙げられます。
単独では決め手にならない資料でも、複数を組み合わせることで不貞行為を推認できる場合があります。証拠が少ない段階で相手を問い詰めると履歴を削除される恐れがあるため、請求前に必要な資料を確保することが大切です。
不倫相手に故意・過失がなかった場合
不倫相手に慰謝料を請求するには、婚姻共同生活の平和を侵害したことについて、故意または過失が必要です。
配偶者が独身だと偽っており、不倫相手が既婚者だと知らず、知らなかったことにも落ち度がない場合は、原則として請求は認められません。また既婚者だと知っていた場合でも、婚姻関係がすでに破綻していると信じ、そのように信じる相当な理由があったときは、過失が否定される可能性があります。
一方、家族の存在をうかがわせる言動があった、共通の知人から既婚者だと聞いていたなどの事情があれば、故意・過失が認められることもあるでしょう。交際を始めた経緯や二人のやり取りなどから個別に判断されます。
不倫前から夫婦関係が破綻していた場合
不貞行為が始まる前から婚姻関係がすでに破綻していた場合、不倫相手への慰謝料請求が認められない可能性があります。守られるべき平穏な婚姻生活がすでに失われていれば、不倫相手による新たな侵害がないと考えられるためです。
破綻の有無は、夫婦の一方が「仲が悪かった」と主張するだけでは決まりません。別居期間や別居の経緯、夫婦間の交流、生活費の負担、離婚協議の状況、関係修復に向けた行動などから判断されます。
長期間別居し、具体的な離婚協議も進んでいた場合は、破綻が認められやすくなるでしょう。反対に、同居して家計や家庭生活を共有していた場合は、一時的な不和だけで破綻していたとは認められにくい傾向です。
無理やり関係を強いられた場合
暴行や脅迫などによって肉体関係を強いられた場合は、本人の自由な意思に基づく行為ではありません。そのため、被害を受けた側に不貞行為の責任を問い、慰謝料を請求することはできないと考えられます。
職場の上司と部下のように立場の差があっても、それだけで自由な意思が否定されるわけではありません。解雇を示唆して脅した、暴力で抵抗を抑えたなど、関係をどの程度強制されたかが個別に判断されるでしょう。
一方、強く誘われたものの自分の意思で応じた場合は、慰謝料の支払い義務を免れない可能性があります。
不倫の慰謝料の相場
不倫の慰謝料は、離婚や別居の有無によって目安となる金額が異なります。ここでは、夫婦関係への影響に応じた一般的な相場を確認します。
離婚や別居に至った場合
不倫が原因で離婚に至った場合、慰謝料は100万〜300万円程度が一つの目安です。別居にとどまるケースでは、離婚した場合より低い金額になることもあります。
ただし、離婚や別居をしただけで相場の上限に近い金額が認められるわけではありません。先述のように、婚姻期間や不倫の継続期間、回数、子どもの有無なども考慮されます。
また不倫とは別の理由で離婚した場合は、不倫による精神的苦痛が限定的だったと判断される可能性があります。増額を求めるには、不倫と離婚・別居との関係を説明することが重要です。
離婚も別居もしない場合
不倫発覚後も離婚や別居をせず、夫婦関係を継続する場合の慰謝料は、数十万〜100万円程度が一つの目安です。婚姻生活への影響が、離婚したケースより小さいと評価されやすいためです。
ただし、夫婦関係を継続したからといって、精神的苦痛が小さいとは限りません。不倫が長期間続いていた、関係解消の約束後も密会を繰り返したといった事情があれば、目安を上回る可能性もあるでしょう。
離婚しない場合でも、不倫相手への請求は可能です。一方、配偶者と家計が同一であれば、配偶者から慰謝料を受け取っても同じ家計の中でお金が移るだけになる場合があります。
なお、配偶者と不倫相手の双方へ請求することはできますが、同じ精神的損害について慰謝料を二重に受け取ることはできません。
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不倫の慰謝料について弁護士に相談するメリット
慰謝料の増額を目指すには、請求額の設定や証拠の整理、相手との交渉が必要です。ここでは、弁護士に相談する主なメリットを紹介します。
適正な請求金額や増額の見込みを判断してもらえる
弁護士に相談すれば、不倫の経緯や夫婦関係への影響を踏まえ、適正な慰謝料額を検討してもらえます。先述した増額要因や減額要因を個別の事情へ当てはめ、どの程度の金額を主張できるか判断してもらえる点がメリットです。
請求額が低過ぎると、本来受け取れる可能性があった慰謝料を得られない恐れがあります。反対に、高額過ぎる請求は交渉を難しくするかもしれません。
弁護士へ相談することで、相場と個別事情の両方を踏まえ、根拠を説明できる請求額を設定しやすくなります。
有効な証拠の集め方について助言してもらえる
慰謝料請求では、不貞行為や不倫相手の故意・過失を証明する必要があります。しかし、手元にある写真やメッセージがどの程度有効なのか、自分で判断するのは難しいでしょう。
弁護士に相談すれば、現在保有している資料を確認してもらい、不足している証拠や適法な収集方法について助言を受けられます。複数の資料をどのように組み合わせて主張するかも検討してもらえるため、証拠の価値を生かしやすくなります。
早い段階で相談すれば、証拠を失う前に対応方針を決められる点もメリットです。
交渉や手続きをサポートしてもらえる
弁護士へ依頼すると、本人の代理人として配偶者や不倫相手との交渉を任せられます。相手と直接連絡を取る必要がなくなるため、精神的な負担を抑えられるでしょう。
当事者同士では感情的な言い争いに発展したり、相手が連絡を無視したりすることがあります。弁護士が慰謝料額の根拠や証拠を法的な観点から示せば、相手からの減額主張にも対応しやすくなります。
示談が成立した場合は、慰謝料の金額や支払期限、分割払いの条件、接触禁止などを記載した示談書の作成も依頼できます。話し合いで解決できなければ、調停や訴訟に必要な書類の作成、証拠の整理、期日への対応も任せられます。
まとめ
不倫の慰謝料には一律の金額がなく、離婚・別居の有無や婚姻期間、不倫の期間・回数などを踏まえて決まります。相手と合意できれば、一般的な相場を上回る金額で示談することも可能です。
ただし、希望する金額を請求すれば、そのまま全額が認められるわけではありません。多額の慰謝料を求めるには、精神的苦痛の大きさや不倫の悪質性を裏付ける事情と証拠が必要です。
ライズ綜合法律事務所では、不倫の慰謝料請求に関する無料相談を受け付けています。不倫相手にいくら請求できるか知りたい方や、慰謝料の増額を目指したい方は、お気軽にお問い合わせください。
【ご相談専用フリーダイヤル】
0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)
このページの監修弁護士
弁護士
三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。
都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。


