慰謝料請求

2026/11/02

不倫の示談交渉の進め方は?示談金の相場と注意点・示談書について解説

不倫の示談交渉の進め方は?示談金の相場と注意点・示談書について解説

配偶者の不倫が発覚した場合、裁判を起こさず、当事者同士の話し合いで解決を目指す方法があります。このように、慰謝料や今後の取り決めについて合意することを示談といいます。

示談では、慰謝料の金額や支払方法に加え、不倫相手との接触禁止や不倫の事実を第三者に話さないという口外禁止などを取り決めることも可能です。しかし、具体的に何を準備し、どのように交渉を進めればよいのか分からない方もいるでしょう。

本記事では、不倫における示談金・慰謝料の相場や、交渉の進め方、示談書に記載する主な内容を解説します。示談後のトラブルを防ぐための注意点も紹介しますので、不倫問題を話し合いで解決したい方は参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 不倫問題を示談で解決するメリットと裁判との違い
  • 不倫の示談金・慰謝料の一般的な目安と金額を左右する事情
  • 示談交渉の進め方と示談書に盛り込む主な内容

不倫の示談とは?

不倫の示談とは、不貞行為によって生じた慰謝料などの問題を、裁判所を利用せず、当事者間の話し合いで解決することです。

一般的には、不倫をされた配偶者と、不倫をした配偶者または不倫相手との間で交渉します。話し合う内容は、慰謝料の金額や支払方法、今後の接触、第三者への口外などです。

裁判では、当事者の主張や証拠を踏まえて裁判所が判断します。一方、示談では、双方が合意できれば、個別の事情に応じた条件を設定できます。

例えば、一括払いが難しい場合に分割払いを認めたり、夫婦関係の修復を目指すために私的な接触を禁止したりすることも可能です。ただし、一方の希望だけで条件を決めることはできず、相手の同意がなければ示談は成立しません。

示談は口頭の合意でも成立する可能性がありますが、合意内容を確認できるよう、書面に残すことが重要です。

不倫問題を示談で解決するメリット

不倫問題を裁判で争うと、解決までに時間や費用がかかる場合があります。ここでは、示談を選ぶ主なメリットを確認します。

裁判よりも早期解決を目指しやすい

示談は、当事者間で条件に合意できれば、その時点で成立します。裁判所の期日や判決を待つ必要がないため、裁判よりも早く解決できる可能性があるでしょう。

裁判では、訴状の提出後に複数回の期日が開かれ、主張を記載した書面や証拠を提出します。相手が不貞行為を否定している場合や争点が多い場合は、解決まで長期間を要することもあります。

これに対し、相手が不貞行為や支払義務を認めており、条件に大きな隔たりがなければ、示談交渉は比較的早くまとまりやすい方法です。ただし、相手が連絡を無視する場合や、慰謝料額を巡って対立している場合は、交渉が長引く可能性もあります。

費用や精神的な負担を抑えやすい

示談で解決できれば、訴訟の提起に伴う裁判所の手数料などの費用はかかりません。弁護士に依頼する場合も、訴訟へ移行せず交渉で解決すれば、裁判対応にかかる費用を抑えられる可能性があります。

裁判では、書面や証拠を準備する他、場合によっては本人尋問への対応も必要です。不倫の経緯や夫婦関係について詳しく説明する場面もあり、精神的な負担は小さくないでしょう。

示談交渉は、書面や電話などを使って進められます。弁護士に依頼すれば、相手との連絡や条件交渉を任せられるため、直接やり取りする負担も軽減できます。

周囲に知られるリスクを抑えやすい

示談は、原則として当事者間で行う非公開の話し合いです。公開の法廷で審理される裁判と比べると、家族や職場に不倫の事実を知られるリスクを抑えやすいでしょう。

また双方が合意すれば、不倫の事実や示談内容を正当な理由なく第三者へ伝えないよう、口外禁止条項を設けることも可能です。

ただし、口外禁止条項を設けても、実際の口外を物理的に防げるわけではありません。弁護士への相談や裁判所への資料提出など、権利行使に必要な情報提供まで一律に禁止する内容も適切とは限らないため、禁止する範囲を明確にする必要があります。

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不倫の示談金・慰謝料の相場

不倫問題の示談で支払われる金銭は、一般に示談金と呼ばれることがあります。示談金には慰謝料が含まれることが多いため、本記事では、不貞行為による精神的苦痛に対する金銭を主に慰謝料として説明します。

不倫慰謝料は、一般的に50万〜300万円程度が目安として紹介されています。夫婦関係への影響による目安は、次の通りです。

不倫発覚後の状況

慰謝料の一般的な目安

離婚や別居に至った場合

100万〜300万円程度

離婚せず夫婦関係を継続する場合

50万〜100万円程度

ただし、法律で一律の金額が定められているわけではありません。示談では当事者の合意によって金額を決めるため、上記の範囲を上回る場合も、下回るケースもあります。

慰謝料額に影響する主な事情は、以下の通りです。

  • 婚姻期間の長さ
  • 不貞行為の期間や回数
  • 子どもの有無や年齢
  • 不倫が夫婦関係に与えた影響
  • 不倫を主導した人物
  • 不倫相手の故意・過失の程度
  • 発覚後の謝罪や対応
  • 当事者の収入や支払能力

一般には、不倫が原因で離婚や別居に至った場合や、不貞行為が長期間にわたって繰り返されていた場合は、慰謝料が高くなる傾向があります。反対に、期間が短く、夫婦関係への影響も小さい場合には、金額が低くなる可能性があるでしょう。

なお、不倫をした配偶者と不倫相手の双方に請求できる場合でも、認められる慰謝料の総額を超えて受け取ることはできません。一方から支払いを受けたときは、原則として、その金額を差し引いた残額を他方へ請求することになります。

不倫の慰謝料を多く請求することができる?増額の理由や事例を解説

不倫の示談交渉を始める前に準備すること

準備が不十分なまま交渉を始めると、不貞行為を否定されたり、条件を決められず話し合いが停滞したりする可能性があります。ここでは、交渉前に確認したい事項を解説します。

不貞行為を裏付ける証拠を集める

慰謝料を請求するには、原則として、配偶者と不倫相手との間に不貞行為があったことを示す必要があります。不貞行為とは、一般に、配偶者のある人が自由な意思に基づいて配偶者以外の人と性的関係を持つことです。

証拠としては、次のようなものが考えられます。

  • ラブホテルや相手の自宅へ出入りする写真・動画
  • 性的関係を推測できるLINEやメール
  • 宿泊施設の領収書や利用明細
  • 不貞行為を認める発言の録音
  • 配偶者や不倫相手が作成した謝罪文
  • 探偵や調査会社の調査報告書

一つでは不貞行為を十分に裏付けられない資料でも、複数を組み合わせることで証拠としての価値が高まる場合があります。

一方、無断で相手のアカウントへログインするなど、違法となる可能性がある方法は避けるべきです。証拠の取得方法に不安がある場合は、行動を起こす前に弁護士へ相談するとよいでしょう。

慰謝料を請求する相手を決める

不貞行為による慰謝料は、不倫をした配偶者と不倫相手の一方、または双方に請求できる可能性があります。

離婚せず夫婦関係を続ける場合、配偶者に慰謝料を請求しても、実質的に同じ家計から支払われるケースがあります。そのため、不倫相手だけを請求先に選ぶこともあるでしょう。

ただし、不倫相手に慰謝料を請求するには、相手が交際相手を既婚者だと知っていたか、注意すれば既婚者だと気づけた事情が必要です。既婚者であることを知らず、知らなかったことにも落ち度がなければ、請求が認められない可能性があります。

また不貞行為が始まる前から夫婦関係がすでに破綻していた場合も、不倫相手への慰謝料請求が認められないことがあります。請求先は、離婚の予定や夫婦関係を修復する意思、相手の支払能力などを踏まえて決めることが大切です。

請求額と譲歩できる条件を整理する

示談交渉を始める前に、最初に提示する慰謝料額と、最終的に受け入れられる条件を分けて整理します。

最初の請求額がそのまま認められるとは限りません。相手から減額や分割払いを求められることもあるため、次の事項を検討しておくと交渉方針がぶれにくくなります。

  • 請求する金額
  • 最低限受け入れられる金額
  • 一括払いを求めるか
  • 分割払いを認めるか
  • 分割払いの回数や毎月の金額
  • 支払期限
  • 金銭以外で重視する条件

相手に十分な資力がなければ、高額な慰謝料で合意しても回収できない恐れがあります。金額だけではなく、実際に支払いを受けられる条件かどうかも確認が必要です。

接触禁止などの条項を検討する

夫婦関係の修復を目指す場合は、不倫相手と配偶者との接触を禁止する条項も検討します。

接触禁止条項では、電話、メール、SNS、面会など、禁止する行為を具体的に定めることが大切です。不倫相手と配偶者が同じ職場にいる場合は、業務上必要な連絡を除外し、私的な接触だけを禁止する方法もあります。

この他、不倫の事実や示談内容を第三者へ伝えない口外禁止条項、違反時の違約金条項なども検討対象です。実際に守れる条件か、違反の有無を客観的に判断できるかを確認した上で内容を決める必要があります。

不倫の示談交渉の進め方

不倫の示談交渉では、事実関係を確認し、慰謝料や今後の約束について話し合います。ここでは、交渉開始から示談後の確認までを順番に解説します。

1.不倫の事実を指摘する

まずは、配偶者または不倫相手に対し、把握している不倫の事実を伝えます。相手が事実を認めるかどうかによって、その後の進め方が変わるためです。

連絡方法には、対面、電話、メール、書面などがあります。直接会うと感情的になりそうな場合は、やり取りを記録できるメールや書面を利用する方法もあるでしょう。

慰謝料を請求する意思を明確に伝えたいときは、内容証明郵便を利用することも可能です。内容証明郵便を使えば、いつ、誰から誰宛てに、どのような内容の文書を差し出したかを証明できます。相手への配達も記録したい場合は、配達証明を併用します。

ただし、内容証明郵便だけで相手に回答や支払いを強制できるわけではありません。保有する証拠をどこまで示すかも、相手の反応を見ながら判断する必要があります。

2.慰謝料を請求する

相手が交渉に応じたら、慰謝料の金額や支払条件を提示します。支払期限や一括・分割の別、振込先なども明確にしましょう。

接触禁止や口外禁止など、金銭以外に求める条件があれば、あわせて伝えます。請求額は、不貞行為の期間や回数、婚姻期間、夫婦関係への影響などを踏まえて設定することが大切です。

相手が不倫の事実を否定した場合は、証拠に基づいて請求の根拠を説明します。その際も、相手を威圧したり、職場や家族への暴露を持ち出して支払いを迫ったりする行為は避けなければなりません。

3.相手の回答を受けて条件を調整する

相手から慰謝料の減額や分割払いを求められた場合は、主張や支払能力を確認し、合意できる条件を探ります。

例えば、請求額を減らす代わりに一括払いを求める、分割払いを認める代わりに支払期間を短くするといった調整が考えられます。

慰謝料額だけではなく、回収の確実性や、不倫の再発を防ぐための条件も含めて判断するとよいでしょう。主張の隔たりが大きく、話し合いによる解決が見込めない場合は、弁護士への依頼や訴訟への移行を検討します。

4.合意できた内容を示談書にまとめる

慰謝料の金額や支払方法について合意できたら、その内容を示談書にまとめます。

示談書には、交渉で合意した事項を具体的に記載することが重要です。記載する項目については、後述の「不倫の示談書に記載する内容」で詳しく解説します。

5.示談書に署名・押印する

示談書の内容を双方で確認した後、当事者が署名・押印します。同じ内容の書面を当事者の人数分作成し、それぞれが1通ずつ保管する方法が一般的です。

対面で取り交わす他、郵送で手続きを進めることもできます。押印には必ずしも実印が必要とは限りませんが、本人の合意であることを明確にするため、署名と押印を併用することが多いでしょう。

慰謝料が長期の分割払いになる場合は、強制執行認諾文言を設けた公正証書の作成も検討します。支払いが滞ったときは、改めて支払いを命じる判決を得なくても、必要な手続きを経て給与や預金などの差押えを申し立てられます。

6.慰謝料の支払いと約束の履行を確認する

示談書を取り交わした後は、定めた期日までに慰謝料が支払われたか確認します。分割払いの場合は、各回の期日と入金状況を継続して管理する必要があります。

支払いが遅れたときは、相手に連絡し、支払予定日を確認します。それでも履行されない場合は、書面による督促や法的手続きを検討することになるでしょう。

通常の示談書があるだけでは、直ちに財産を差し押さえられるわけではありません。一方、強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、裁判所へ強制執行を申し立てられる可能性があります。

接触禁止や口外禁止に違反した疑いがあるときは、メッセージや通話履歴などを保存します。その上で、示談書の内容に基づいて違約金を請求できるか確認するとよいでしょう。

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不倫の示談書に記載する内容

示談書には、当事者間で合意した条件を具体的に記載します。内容が曖昧だと解釈の違いが生じるため、誰が・何を・いつまでに行うのかを明確にすることが大切です。

一般的な記載項目は、以下の通りです。

記載項目

主な内容

当事者の情報

氏名や住所など

不貞行為の事実

不貞行為があったことや期間

慰謝料

金額、支払期限、支払方法、振込先

分割払いの条件

各回の支払額や支払日

遅延時の取り扱い

遅延損害金や残額を一括請求できる条件

接触禁止

面会、電話、メール、SNSなどの禁止範囲

口外禁止

不倫の事実や示談内容を第三者へ伝えない旨

違約金

約束に違反した場合の金額や発生条件

求償権の取り扱い

不倫相手が配偶者へ求償しない旨を定めるか

清算条項

合意内容以外に債権債務がないことの確認

作成日・署名押印

合意日と当事者の署名・押印

求償権とは、不倫相手が自分の負担部分を超えて慰謝料を支払った場合に、その超えた分を不倫をした配偶者へ請求する権利です。放棄を求めるかどうかは、示談金額との関係も踏まえて個別に検討します。

清算条項を設けると、原則として、示談の対象となった問題について追加請求が難しくなります。不倫をした配偶者と不倫相手の双方へ請求する可能性がある場合は、対象となる当事者や紛争の範囲を慎重に確認しなければなりません。

不倫の示談交渉を進める際の注意点

示談交渉では、合意内容が現実に履行できるかを確認することも重要です。ここでは、交渉中や示談書の作成時に注意したいポイントを解説します。

感情的な連絡や脅迫的な言動を避ける

配偶者の不倫を知った直後は、相手を責めたいと感じることもあるでしょう。しかし、怒りに任せた連絡や威圧的な言動は、交渉を難しくする原因になります。

特に、慰謝料を支払わなければ職場や家族に不倫を暴露すると告げたり、危害を加えるような発言をしたりする行為は避けなければなりません。言動によっては、脅迫罪や強要罪などが問題になる可能性もあります。

相手の職場へ繰り返し電話をかける、自宅へ押しかける、SNSで実名を公開するといった行動も控える必要があります。慰謝料を請求する権利があっても、請求方法まで無制限に認められるわけではありません。

冷静にやり取りすることが難しい場合は、メールや書面を利用する他、弁護士に交渉を任せる方法もあります。

口約束で終わらせず示談書を取り交わす

示談は、当事者が口頭で合意した場合でも成立する可能性があります。しかし、口約束だけでは、合意内容を後から証明することが難しくなるでしょう。

例えば、慰謝料の支払期限や接触禁止の範囲について認識が食い違う可能性があります。支払われた金銭の名目や、分割払いが滞った際の対応が争われるケースも考えられます。

こうしたトラブルを防ぐため、合意内容は示談書として残すことが大切です。署名・押印前には、金額や日付に誤りがないか、交渉で決めた条件が反映されているかを確認します。

無理な条件や高額過ぎる違約金を設定しない

示談では、接触禁止や口外禁止、違反時の違約金などを定められます。ただし、相手に著しく不合理な負担を課す条件は避けるべきです。

例えば、仕事上の関係がある相手との会話を一切禁止したり、正当な理由があっても第三者への相談を認めなかったりする条件は、実際に守ることが難しいでしょう。相手へ退職や転居を強制する条項も、当然に有効となるわけではありません。

違約金についても、違反の内容に比べて著しく高額な金額を設定すると、公序良俗に反するとして、条項の全部または一部が無効になる可能性があります。

一方、金額が著しく低ければ、違反による損害を十分に補えないことも考えられます。禁止する行為や想定される影響、相手の支払能力を踏まえて、合理的な内容に整える必要があるでしょう。

まとめ

不倫の示談は、慰謝料や今後の約束について、裁判所を利用せず当事者間で解決する方法です。裁判より早期に解決できる可能性があり、費用や精神的な負担を抑えやすいという特徴があります。

交渉を始める前には、不貞行為の証拠を確保し、請求額や譲歩できる条件を整理することが大切です。合意できた内容は示談書に残し、慰謝料の支払いと約束の履行を確認しましょう。

相手との直接交渉に不安がある場合や、提示された条件が妥当か判断できないときは、弁護士への相談も検討するとよいでしょう。

ライズ綜合法律事務所では、不倫の慰謝料に関する相談を受け付けています。電話やメールからのお問い合わせに対応しており、相談料は無料です。不倫の慰謝料請求や示談交渉でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。