債務整理

2026/09/30

個人再生すると借金はどのくらい減る?最低弁済額はいくらになる?

個人再生すると借金はどのくらい減る?最低弁済額はいくらになる?

借金の返済が徐々に苦しくなり、将来に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。このような状況を解決する選択肢の一つとして、個人再生という債務整理手続きがあります。しかし、実際に借金がどのくらい減るのかは人によって異なり、自分のケースに当てはめて考えなければなりません。

本記事では、個人再生で借金がどの程度減るのかの目安や、返済額が決まる仕組みを解説します。さらに、具体的な計算基準やケース別の違いも整理するため、自分に当てはめた減額イメージを持てるようになるでしょう。

【この記事で分かること】

  • 借金がどの程度減るのかの目安
  • 最低弁済基準・清算価値など返済額の決まり方
  • 自分の借金や資産状況に応じた減額イメージの考え方

個人再生をすると借金はどのくらい減る?

個人再生を利用すると、借金は大きく減る可能性があります。例えば、500万円の借金であれば100万円まで減額される可能性があり、返済負担が大きく軽減されます。

ただし、借金がゼロになるわけではありません。法律に基づいて算出された金額を、原則3年で分割返済していく必要があります。事情によっては、収入状況などを踏まえて最長5年まで延長される場合もあります。

また減額幅は一律ではなく、借金の総額だけでなく、保有している財産や選択する手続きの種類によっても変わります。例えば、預貯金や車、保険などの資産が多い場合は、返済額が下がりにくくなる傾向があります。さらに、住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローン自体は減額対象とはならず、これまで通り支払いを続ける必要があります。

つまり、自己破産のように借金が全て免除される手続きとは異なり、個人再生は一定額を返済しながら生活再建を目指す制度です。そのため、単に減額率だけを見るのではなく、自分が無理なく返済を続けられるかどうかも含めて検討することが重要です。

個人再生において返済額を決める際の3つの基準

個人再生の返済額は、任意に決められるものではありません。法律に基づき「最低弁済基準」「清算価値保障原則」「可処分所得」という3つの基準を用いて算出されます。そして、これらのうち最も高い金額が最終的な返済額として採用されます。

つまり「最低弁済基準の金額だけを返済すればよい」というわけではなく、資産や収入状況によっては、それ以上の金額を返済する必要があるということです。この仕組みにより、債権者との公平性が保たれています。

また選択する手続きの種類によって比較対象となる基準が異なります。そのため、同じ借金額であっても、選ぶ手続きや収入状況によって返済額が大きく変わることがあります。事前にこれらの基準を理解しておくことで、より現実的な返済計画を立てやすくなるでしょう。

1.最低弁済基準

最低弁済基準とは、借金総額に応じて法律で定められた最低限返済しなければならない金額のことです。個人再生では、どれだけ借金を減額できるかの判断は、この基準が出発点となります。借金の額が大きくなるほど減額率は高くなる仕組みになっており、一定のルールに基づいて段階的に設定されています。

主な基準は以下の通りです。

借金総額

最低弁済額

100万円未満

全額

100万円以上500万円以下

100万円

500万円超1,500万円以下

借金の5分の1

1,500万円超3,000万円以下

300万円

3,000万円超5,000万円以下

借金の10分の1

例えば、借金が500万円の場合は100万円が最低弁済額となります。一方、800万円の場合は5分の1に当たる160万円が基準となります。このように、借金額が増えると一定の割合で計算されるようになります。

ただし、この基準はあくまで最低ラインです。実際の返済額は、後述する清算価値や手続きの種類などと比較して決まります。そのため、最低弁済基準だけを見て「この金額になる」と判断することはできません。あくまで目安として理解しておくことが大切です。

2.清算価値保障原則

清算価値保障原則とは、仮に自己破産をした場合に債権者へ分配される財産の価値以上は、必ず返済しなければならないというルールです。これは、個人再生において債権者との公平性を確保するための重要な考え方です。

つまり、保有している財産の価値が高い場合、その分だけ返済額も上がることになります。最低弁済基準よりも清算価値の方が高い場合には、その清算価値がそのまま返済額として採用されます。

対象となる主な財産は以下の通りです。

  • 現金や預貯金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 自動車や不動産
  • 退職金見込額の一部

例えば、最低弁済基準が100万円であっても、財産の合計が200万円ある場合は、200万円が返済額になります。このように、資産状況によって減額幅が大きく変わる点は、個人再生を検討する上で重要なポイントです。

ただし、資産があること自体が不利になるわけではありません。あくまで破産した場合と比較して不公平が生じないようにするためのルールであり、制度の公平性を保つために設けられています。

3.手続きの種類

個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。どちらを選ぶかによって、返済額を決める基準が変わるため、結果にも大きな影響が出ます。

小規模個人再生では、最低弁済基準と清算価値の2つを比較します。一方で、給与所得者等再生では、これに可処分所得の基準が加わり、3つの基準で比較されます。

一般的には、小規模個人再生の方が返済額を抑えやすいため選ばれるケースが多い傾向にあります。ただし、債権者の同意が必要になるなどの条件もあるため、状況によっては給与所得者等再生が適している場合もあります。

それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った手続きを選ぶことが重要です。

小規模個人再生

小規模個人再生は、個人再生の中でも基本となる手続きです。主に個人事業主を想定していますが、給与所得者でも利用できます。多くのケースで選ばれる一般的な手続きといえるでしょう。

返済額は、最低弁済基準と清算価値を比較し、いずれか高い方で決まります。可処分所得の影響を受けないため、返済総額を抑えやすい点が大きな特徴です。そのため、できるだけ負担を軽くしたい方に向いています。

一方で、再生計画を認可してもらうためには、不同意とした債権者が半数以上にならず、かつその債権額が総額の2分の1を超えないことが条件となります。不同意とは、債権者が再生計画に反対することを指します。この条件を満たせない場合は、別の手続きを検討する必要があります。

返済額を抑えやすい一方で、債権者の意向に左右される点があるため、事前の見通しが重要になります。

給与所得者等再生

給与所得者等再生は、安定した収入がある方を対象とした手続きです。主に会社員など、収入の変動が比較的少ない方が利用する傾向にあります。

この手続きでは、最低弁済基準と清算価値に加えて「可処分所得の2年分」も比較対象となります。可処分所得とは、収入から生活費などを差し引いた後に自由に使えるお金のことです。この金額が高い場合、返済額も大きくなる傾向があります。

そのため、小規模個人再生と比べると、返済負担が重くなるケースが少なくありません。一方で、債権者の同意が不要であるため、反対される可能性が高い場合でも手続きを進めやすいというメリットがあります。

減額幅と手続きの確実性はトレードオフの関係にあるといえます。どちらを優先するかを踏まえ、自分の状況に合った手続きを選ぶことが重要です。

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個人再生により減額できる借金の計算例

ここまでに紹介してきたように、個人再生の減額幅は一律にいくらと決まっているものではありません。複数の基準を比較して決まるため、同じ借金額であっても結果が変わる点が大きな特徴です。以下では、代表的な5つのケースをもとに、返済額や減額幅のイメージを具体的に解説します。

※以下はあくまでシミュレーションであり、実際の返済額は個別の収入状況や資産内容によって変動します。

ケース

借金額

財産

手続き

返済額

月額

減額幅

ケース1

400万円

30万円

小規模個人再生

100万円

約2.8万円

300万円

ケース2

400万円

200万円

小規模個人再生

200万円

約5.6万円

200万円

ケース3

800万円

30万円

小規模個人再生

160万円

約4.4万円

640万円

ケース4

600万円

50万円

小規模個人再生+住宅ローン特則

120万円

約3.3万円

480万円

ケース5

500万円

50万円

給与所得者等再生

360万円

約10万円

140万円

【ケース1】借金400万円・財産ほぼなし

試算の条件は以下の通りです。

  • 借金:400万円
  • 財産:30万円
  • 手続き:小規模個人再生

このケースでは、借金が500万円未満に収まっており、かつ財産も少ないため、比較的シンプルな計算になります。個人再生では、借金が100万円以上500万円以下の場合、最低弁済基準は100万円と定められています。一方で、清算価値は預貯金30万円のみです。

そのため、100万円と30万円を比較し、高い方である100万円が返済額として採用されます。結果として、返済額は100万円となり、36回分割では月々約27,800円となります。借金400万円に対して300万円が減額される計算です。

このように、財産が少ない場合は最低弁済基準がそのまま適用されるケースが多く、個人再生のメリットを感じやすい典型例といえるでしょう。

【ケース2】借金400万円・貯金+車あり

試算の条件は以下の通りです。

  • 借金:400万円
  • 財産:200万円(預金80万円+車120万円)
  • 手続き:小規模個人再生

このケースでは借金額自体はケース1と同じですが、財産が増えることで結果が大きく変わります。最低弁済基準は同様に100万円ですが、清算価値は預貯金と車を合わせて200万円となります。

個人再生では高い方の金額が採用されるため、この場合は200万円が返済額となります。結果として、返済額は200万円、月々約55,600円となり、減額幅は200万円にとどまります。

借金額が同じでも、資産の有無によって返済額が倍になることもある点は重要です。個人再生を検討する際は、借金だけではなく資産状況も正確に把握しておく必要があります。

【ケース3】借金800万円・財産ほぼなし

試算の条件は以下の通りです。

  • 借金:800万円
  • 財産:30万円
  • 手続き:小規模個人再生

借金が500万円を超える場合、最低弁済基準の計算方法が変わります。この範囲では「借金の5分の1」が基準となるため、800万円の場合は160万円が最低弁済基準です。

清算価値は30万円のため、160万円と30万円を比較し、160万円が返済額として採用されます。返済額は160万円、月々約44,400円となり、減額幅は640万円です。

借金額が大きくなるほど減額幅も大きくなりやすいですが、その分返済期間中の負担も考慮する必要があります。減額率だけではなく、現実的に返済を続けられるかどうかも重要な判断ポイントです。

【ケース4】借金600万円+住宅ローンあり

試算の条件は以下の通りです。

  • 住宅ローン:2,500万円
  • 借金:600万円
  • 財産:50万円
  • 手続き:小規模個人再生+住宅ローン特則

このケースでは住宅ローン特則を利用するため、住宅ローンは減額の対象にはなりません。計算対象となるのは、カードローンなどの債務600万円のみです。

最低弁済基準は600万円の5分の1で120万円、清算価値は50万円となります。比較の結果、120万円が返済額として採用されます。

返済額は120万円、月々約33,300円となり、減額幅は480万円です。ただし、住宅ローンについては従来どおり支払いを継続する必要があります。

自宅を手放さずに借金を減らせる点が大きな特徴ですが、住宅ローン自体は軽減されない点には注意が必要です。

【ケース5】借金500万円・給与所得者等再生

試算の条件は以下の通りです。

  • 借金:500万円
  • 財産:50万円
  • 可処分所得:15万円/月
  • 手続き:給与所得者等再生

給与所得者等再生では、最低弁済基準と清算価値に加えて「可処分所得の2年分」が比較対象になります。このケースでは、15万円×24カ月で360万円となります。

最低弁済基準は100万円、清算価値は50万円ですが、最も高い360万円が返済額として採用されます。結果として、月々の返済額は10万円となり、減額幅は140万円にとどまります。

このように、給与所得者等再生では減額効果が小さくなる場合があります。ただし、債権者の不同意に左右されにくいという特徴があるため、確実に手続きを進めたい場合に選択されることがあります。

最低弁済額の返済が難しくなったらどうなる?

個人再生は、返済を継続できる見込みがあることを前提に認可される手続きです。そのため、本来は返済が難しくなる前提で利用する制度ではありません。ただし、認可後に病気や失業など予期せぬ事情が生じ、当初の計画通りに返済できなくなることもあります。

このような場合でも、直ちに手続きが無効になるわけではなく、状況に応じた対応策が用意されています。代表的なものとしては「再生計画の変更」と「ハードシップ免責」があります。ただし、いずれも一定の要件を満たす必要があり、誰でも利用できる制度ではありません。

返済が苦しくなった場合は放置せず、早い段階で専門家に相談することが重要です。支払い遅延が続くと再生計画の履行が困難と判断され、別の手続きを検討する必要が出てくる可能性もあります。

再生計画の変更を申し立てる

再生計画の変更とは、やむを得ない事情により返済が困難になった場合に、裁判所へ申し立てを行い、返済期間の延長を認めてもらう制度です。個人再生では原則3年での返済が求められますが、特別な事情がある場合は最長5年まで延長されます。さらに、認可後に状況が悪化した場合には、そこから最長2年の延長が認められる可能性があります。

対象となるのは、病気や失業、勤務先の業績悪化による減給など、本人の責めに帰しにくい事情です。一方で、浪費やギャンブルなど自己都合による理由では認められにくい点に注意が必要です。また、この制度は返済総額を減らすものではありません。返済期間を延ばし、月々の負担を軽減することで支払いを継続しやすくする仕組みです。

例えば、収入が一時的に減少した場合でも、返済期間を延長することで現実的な支払い計画に見直せる可能性があります。ただし、将来的に返済を続けられる見込みがあることが前提となるため、申立ての際には家計状況や収入見通しを具体的に説明する必要があります。

ハードシップ免責を申し立てる

再生計画の変更をしてもなお返済が難しい場合には「ハードシップ免責」という制度を検討することになります。これは、一定の厳しい条件を満たした場合に限り、残りの借金の支払いが免除される例外的な仕組みです。

主な要件は以下の通りです。

  • 再生計画に基づく返済額の4分の3以上を既に支払っていること
  • 本人の責任ではない事情で返済が極めて困難になったこと
  • 債権者一般の利益に反しないと認められること

このように、利用には高いハードルがあります。再生計画の序盤で返済が難しくなった場合には適用されにくく、まずは再生計画の変更が優先されるのが一般的です。

また住宅ローン特則を利用している場合には特に注意が必要です。ハードシップ免責を受けることで特則の保護が維持されず、結果として自宅を手放すことになる可能性があります。制度のメリットだけではなく、影響も踏まえて慎重に判断することが求められます。

まとめ

個人再生は、借金を大きく減らしながら生活の立て直しを目指せる手続きです。借金を5分の1など大きく圧縮できる可能性がありますが、実際の返済額は一律ではありません。最低弁済基準や清算価値、手続きの種類によって結果が変わるため、借金総額だけで判断することは難しいでしょう。

また返済開始後に事情が変わり、支払いが難しくなるケースもあります。その際には再生計画の変更やハードシップ免責といった対応策がありますが、いずれも厳格な要件があるため、必ず利用できるわけではありません。だからこそ、事前に自分の状況を正確に把握し、無理のない計画を立てることが重要です。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。