債務整理
2026/10/01
自己破産で裁判所から聞かれることは?呼び出しはいつ?

借金の返済が難しくなり、自己破産を検討していても、裁判所で何を聞かれるのか分からないと不安になるものです。初めて裁判所へ行くとなれば、裁判官から厳しく追及されるのではないかと緊張するものです。
本記事では、自己破産で裁判所などへ出向くタイミングや聞かれやすい質問、当日の注意点を解説します。自己破産の手続きや裁判所への出頭に際し、不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 自己破産で裁判所や破産管財人のもとへ出向く主なタイミング
- 裁判官や破産管財人から聞かれる借金・財産・家計に関する内容
- 詳しい説明を求められやすいケースや、出頭・調査対応で注意すべきポイント
自己破産で裁判所へ出頭する可能性があるタイミング
自己破産を申し立てても、何度も裁判所へ行くとは限りません。出頭の要否や回数は、事件の種類や申立先の裁判所の運用によって異なります。ここでは、本人が裁判所などへ出向く可能性がある主なタイミングを解説します。
申し立てを行うとき
自己破産の手続きを始めるには、住所地を管轄する地方裁判所へ申立書などの必要書類を提出します。個人が破産手続開始を申し立てた場合は、反対の意思を示していない限り、免責許可の申し立てもしたものとみなされる仕組みです。
本人が手続きを進める場合は、裁判所の窓口へ書類を持参することがあります。ただし、郵送による提出が認められるかなど、具体的な方法は裁判所によって異なるでしょう。
弁護士に依頼している場合は、代理人である弁護士が申立書類を提出するのが一般的です。そのため、申し立ての段階では本人が裁判所へ行かずに済むこともあります。
一方、裁判官が申立人から事情を聞く破産審尋などが実施される場合は、本人の出頭を求められる可能性があります。裁判所や弁護士から届いた案内を確認し、指示に従うことが大切です。
破産管財人との面談のとき
管財事件となった場合は、裁判所によって破産管財人が選任されます。破産管財人は財産や借金の経緯、免責不許可事由の有無などを調査し、換価できる財産があれば債権者への配当に充てる役割を担います。
選任後は、本人と破産管財人との面談が行われるのが一般的です。面談場所は裁判所とは限らず、破産管財人が所属する法律事務所となるケースもあります。面談では、借金を抱えた経緯や財産の状況、申し立て前のお金の動きなどが確認対象です。
初回の面談だけで調査が終わらず、追加資料の提出や再度の面談を求められることもあります。期限までに対応できない事情があるときは、放置せず弁護士や破産管財人へ相談するとよいでしょう。
債権者集会のとき
債権者集会は、管財事件において破産管財人が調査や換価の状況を裁判所と債権者へ報告する場です。原則として、破産者本人も出席を求められます。弁護士に依頼している場合は、一緒に出席するのが一般的でしょう。
調査や換価が完了していれば、1回の債権者集会で終了する場合が多いです。一方、不動産の売却や配当などが残っているケースでは期日が続行され、複数回の出席を求められることもあるでしょう。
免責審尋のとき
免責審尋では、裁判官が破産者本人から事情を聞き、免責不許可事由の有無や裁量免責の判断に必要な事情などを確認します。その際、指定された期日に裁判所への出頭を求められる場合があります。
なお、全てのケースで必ず対面の免責審尋が行われるわけではありません。書面による審査のみで判断されたり、複数の破産者を対象とする集団形式で行われたりする場合もあります。
管財事件では、債権者集会と同じ日に免責審尋が設定されることもあります。氏名や住所の変更、申立書の内容などを簡潔に確認して終わるケースもあるでしょう。
うまく話せなかっただけで、直ちに免責が不許可になるわけではありません。提出書類の内容を事前に読み返し、質問に対して事実を簡潔に答えることが重要です。
自己破産において裁判所で聞かれること
裁判所での質問は、破産者を責めるためではなく、申立書類の内容や免責判断に必要な事情を確認する目的で行われます。ここでは、裁判官や破産管財人から聞かれやすい項目を見ていきましょう。
借金をした経緯や理由
自己破産の手続きでは、いつ、どのような理由で借り入れを始めたのかを確認されます。借入先や借入件数が増えた経緯、借りたお金の使い道なども質問の対象です。
生活費や医療費を補うために借りたのであれば、失業で収入が減った、家族の治療費が必要になったなど、事情を時系列に沿って説明すると分かりやすいでしょう。
ギャンブルや買い物などが原因であっても、必要以上に正当化するのは適切ではありません。借金の原因を認識し、現在どのように改善しているかを自分の言葉で伝えることが大切です。
返済できなくなってしまった経緯や理由
借り入れを始めた理由と併せて、返済を続けられなくなった経緯も確認されます。借金が生じた原因と、最終的に支払不能へ至った理由は同じとは限らないためです。
例えば、当初は返済できていても、失業や休職、病気、離婚、事業不振などで収入が減れば、支払いが難しくなることがあります。また返済のために新たな借り入れを繰り返し、残高が膨らんだケースもあるでしょう。
裁判所や破産管財人は、収入の変化や借入残高の推移から、返済が困難になった時期を確認します。陳述書などの内容を事前に読み返し、年月や出来事の順序を整理しておくと答えやすいでしょう。
現在の借金の残高
現在の借金の総額や借入先についても質問される可能性があります。裁判所へ提出する債権者一覧表に、全ての債権者が記載されているかを確認するためです。
申告の対象は、消費者金融やクレジットカード会社、銀行からの借り入れの他、住宅ローンや自動車ローン、奨学金、滞納家賃、未払いの携帯電話料金なども含まれます。親族や友人から借りたお金も原則として申告が必要です。
借入先そのものを意図的に除外すると問題になるため、漏れがないように確認しておく必要があります。
保有している財産の内容
裁判所や破産管財人からは、現在どのような財産を保有しているかも確認されます。破産手続では、一定の財産を換価して債権者への配当に充てるためです。
対象となるのは、現金や預貯金、不動産、自動車、保険の解約返戻金、株式、投資信託、暗号資産、退職金の見込額などです。相続によって取得した財産なども申告対象となり得ます。
財産の種類だけではなく、取得時期や評価額、保管場所を聞かれる場合もあるでしょう。換価の対象になるかは本人ではなく裁判所や破産管財人が判断するため、価値が低いと思っても申告しておくことが重要です。
現在の収入や支出
借金が増えた原因や現在の家計状況、生活改善への取り組みを確認するため、収入や支出について質問されることがあります。
収入については、給与、年金、各種手当、家族からの援助などを説明します。支出では、家賃や食費、光熱費、通信費、保険料、趣味・娯楽費などが確認対象です。
収入に比べて家賃や娯楽費などが高い場合は、その理由を詳しく聞かれるかもしれません。必要な支出まで一律に削るよう求められるわけではないものの、収入を超える生活が続いていれば、家計の見直しが必要でしょう。
すでに家計簿をつけたり不要な契約を解約したりしている場合は、その取り組みを説明すると生活改善の状況が伝わりやすくなります。
免責不許可事由に該当する行為がないか
免責不許可事由とは、破産法上、原則として免責が認められなくなる事情のことです。裁判所は申立書類や破産管財人の調査結果を踏まえ、該当する行為がないかを確認します。
主な免責不許可事由としては、次のようなものがあります。
- 浪費や賭博などによって著しく財産を減少させた
- 債権者を害する目的で財産を隠したり不当に処分したりした
- 特定の債権者に特別な利益を与える目的で、義務に属さない方法や時期に返済した
- 虚偽の債権者一覧表を提出した
- 裁判所の調査で虚偽の説明をした
- 破産管財人の調査を妨害した
- 前回の免責許可決定の確定日から7年以内に再び免責を申し立てた
免責不許可事由に該当しても、必ず免責が認められないわけではありません。破産に至った経緯や行為の程度、反省の状況、調査への協力姿勢などを考慮し、裁判所の裁量で免責される場合があります。これを裁量免責といいます。
心当たりがある場合は、隠さず弁護士へ伝えることが重要です。問題となった行動をやめ、生活改善に取り組んでいる事情があれば、併せて説明するとよいでしょう。
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裁判所から詳しい説明を求められやすいケース
申立書類や取引履歴に不自然な点があると、裁判所や破産管財人から詳しい説明を求められることがあります。ここでは、調査が慎重に行われやすい代表的なケースを見ていきましょう。
ギャンブルや浪費が多い場合
先述のように、ギャンブルや過度な浪費は免責不許可事由に該当する可能性があります。そのため、これらに使った金額や期間、頻度、借金全体に占める割合などを詳しく聞かれるでしょう。
パチンコや競馬などに限らず、オンラインカジノ、ソーシャルゲームへの高額課金、収入に見合わない買い物や旅行、投機性の高い取引なども確認対象になり得るでしょう。裁判所や破産管財人は、通帳やカードの利用明細を見ながら支出額を調査します。
現在はやめているか、再発を防ぐためにどのような対策を取っているかも確認される場合があります。
申し立て前に財産を売却・譲渡している場合
申し立て前に不動産や自動車などを売却・譲渡していると、財産隠しや不当な処分ではないかを確認されます。破産者の財産は、債権者への配当に充てる原資となるためです。
親族へ無償で譲った、市場価格より著しく安く売った、名義だけを変更したといった事情があれば、詳しい調査を受ける可能性が高まります。売却代金の使い道が分からない場合や、そのお金で一部の債権者だけに返済した場合も同様でしょう。
適正な価格で売却し、生活費や医療費などに使ったのであれば、直ちに問題となるわけではありません。売買契約書や査定資料、入出金記録などを残し、処分の理由と代金の使途を説明できるようにしておく必要があります。
通帳に使途不明の出金がある場合
自己破産では、預貯金口座の取引履歴を提出し、入出金の内容を確認されるのが一般的です。まとまった現金の引き出しや親族への送金、申告していない口座との資金移動があると、財産隠しや偏頗弁済ではないかを調べられる可能性があります。
提出を求められる取引履歴の期間は、裁判所の運用や個別の事情によって異なります。一定期間の履歴を求められることがあるため、通帳やWeb通帳の明細を保管しておくと安心です。
生活費や家賃、医療費などに使ったのであれば、その用途を説明します。領収書や請求書、振込明細が残っている場合は、取引履歴と対応させて整理しておくと説明しやすいでしょう。
過去にも自己破産をしている場合
過去に免責許可を受けている場合は、前回の手続き後に再び借金を抱えた経緯について詳しく確認されます。特に、前回の免責許可決定が確定してから7年以内に再度申し立てるケースは、免責不許可事由に該当します。
前回の自己破産の原因、免責後に行った生活改善、再び借り入れを始めた理由などが主な確認事項です。今回の借金が前回と同じ原因によるものか、今後どのように再発を防ぐのかも聞かれるでしょう。
7年が経過していれば、過去の免責だけを理由に免責不許可事由へ該当するわけではありません。ただし、自己破産を繰り返している場合は、借金の原因や生活改善の状況を慎重に確認される可能性があります。
病気や失業など本人の努力だけでは避けにくい事情があったときは、診断書や収入資料などを用いて説明できるようにしておくことが大切です。
裁判所や管財人への対応でやってはいけないこと
自己破産では、借金や財産の状況だけではなく、裁判所や破産管財人へ誠実に対応しているかも重視されます。ここでは、免責の判断に悪影響を及ぼしかねない対応を取り上げましょう。
質問や調査に対して非協力的な態度を取る
破産者には、裁判所や破産管財人の調査へ協力し、必要な説明や資料を提出する義務があります。連絡を無視する、正当な理由なく面談や期日に出席しない、資料の提出を拒むといった行為は避けなければなりません。
調査を不当に妨げた場合は、免責不許可事由に該当する可能性があります。手続きが遅れる原因にもなるため、依頼された事項には期限内に対応することが重要です。
必要書類をすぐに用意できない事情がある場合は、早めに弁護士や破産管財人へ伝えます。回答が分からないときも推測で答えず、資料を確認した上で改めて報告するとよいでしょう。
借金の経緯や金額について虚偽の説明をする
借金の原因を良く見せようとして、事実と異なる説明をしてはいけません。例えば、ギャンブルに使った借金を生活費だったと説明したり、借入時期や金額を意図的に変えたりする行為が該当します。
申立書、通帳、カードの利用明細、債権者から提出される資料などを照合すれば、説明の不一致が判明することがあります。虚偽の説明が発覚すると、他の申告内容についても信用されにくくなるでしょう。
記憶が曖昧で結果的に説明を間違えた場合まで、直ちに虚偽と判断されるわけではありません。誤りに気づいた時点で訂正し、正しい事情を伝えることが重要です。
借り入れや財産を申告せずに隠そうとする
金融機関だけではなく、親族や友人からの借金も原則として申告する必要があります。特定の借入先を債権者一覧表から意図的に除外すると、債権者を不平等に扱うことになりかねません。財産についても同様です。使用していない口座、ネット銀行や証券会社の口座、保険の解約返戻金、暗号資産、退職金の見込額なども確認し、漏れなく申告する必要があります。
財産隠しは免責不許可事由となる他、債権者を害する目的で財産を隠すなど悪質な場合は、刑事責任を問われる恐れもあります。申し立て後に記載漏れへ気づいたときは放置せず、速やかに弁護士へ連絡して追加申告の方法を確認することが大切です。
自己破産で裁判所に出頭する当日の注意点
裁判所への出頭が決まったら、日時や持ち物を事前に確認しておくことが大切です。ここでは、当日に慌てず手続きを受けるための注意点を紹介します。
指定の日時を必ず守る
免責審尋や債権者集会などの期日に正当な理由なく遅刻や欠席をすると、手続きが進まないだけではなく、調査への協力姿勢を疑われかねません。交通機関の遅延や裁判所内での移動も考慮し、余裕を持って到着するとよいでしょう。
病気や事故などで出頭が難しくなった場合も、無断で欠席してはいけません。できる限り早く弁護士へ連絡し、依頼していない場合は呼出状に記載された裁判所の担当部署へ事情を伝える必要があります。
常識的な服装を選ぶ
裁判所へ出頭する際の服装に、スーツなどの明確な指定はありません。普段着でも差し支えありませんが、清潔感のある落ち着いた服装を選ぶと安心です。
仕事の都合で作業着のまま出頭したとしても、それだけで免責の判断が不利になるわけではありません。服装に迷う場合は、華美にならないオフィスカジュアルを目安にするとよいでしょう。
指定の持ち物を忘れずに持参する
必要な持ち物は、手続きの種類や裁判所の運用によって異なります。一般的な例は次の通りです。
- 裁判所から届いた呼出状や期日通知書
- 運転免許証などの本人確認書類
- 筆記用具
- 印鑑
- 申立書や陳述書などの控え
- 弁護士や破産管財人から指定された追加資料
印鑑や書類が不要な場合もあるため、この一覧だけで判断せず、呼出状や弁護士からの案内を優先してください。出頭カードなどを事前に記入して持参するよう求められるケースもあります。
提出書類の控えがあれば、質問された際に申告内容を確認できます。前日までに必要な物を一つのカバンへまとめ、日時や場所も再確認しておくと安心でしょう。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
- 相談料は何度でも0円
- 分割払い対応
- 最短で即日取り立てストップ
まとめ
自己破産で裁判所へ出頭する場面や回数は、事件の種類や裁判所の運用によって異なります。管財事件では、破産管財人との面談や債権者集会への出席を求められるのが一般的です。免責審尋が実施される場合もあります。
裁判所や破産管財人から主に確認されるのは、借金をした理由、返済できなくなった経緯、財産や家計の状況などです。質問にうまく答えられないだけで、直ちに免責が認められなくなるわけではありません。事実を隠さず、調査へ誠実に協力することが大切です。
裁判所での対応に不安がある方は、自己破産を申し立てる前に弁護士へ相談するとよいでしょう。必要書類の準備だけではなく、質問される可能性がある内容や当日の流れについても助言を受けられます。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。