債務整理

2026/08/14

自己破産後の生活はどうなる?その後の人生への影響はある?

自己破産後の生活はどうなる?その後の人生への影響はある?

借金の返済が限界に達して、自己破産を考え始めているものの「その後の生活はどうなるのか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。住む場所がなくなるのではないか、この先ずっとカードを使えないのではないかと悩み、踏み出せない方も少なくありません。

自己破産は生活を悪化させるものではなく、法的に借金を清算し生活を立て直すための制度です。本記事で自己破産に対し正しく理解を深めましょう。

【この記事で分かること】

  • 自己破産後の生活で制限されること・変わらないことの明確な違い
  • 家や車など、手元に残せる財産と処分される資産の具体的な基準
  • 家族や仕事への影響範囲と、周囲に知られず手続きをするポイント

自己破産後の生活はどうなる?

自己破産をすると借金の支払い義務が原則として免除され、経済的な再スタートを切れます。一方、信用情報への事故情報の登録や財産処分などのように一定の不利益も生じます。ただし、生活が極端に制限されることはありません。

自分自身への影響

自己破産は申し立てた本人の経済状況を立て直すための制度であり、直接的な影響は破産者本人にのみ及びます。借金問題から解放される反面、信用面や職業面で一時的な制約が生じる一方で、生活必需品は残されるため、日常生活が成り立たなくなることはありません。本質的には、生活の立て直しを支援する制度だといえます。

以下では、自己破産により自分自身へ及ぶ影響をいくつか取り上げます。

一部の資格や職業が制限される

自己破産の申し立てから免責確定までの数カ月間、一部の資格や職業に就くことができなくなります。具体的には、弁護士や司法書士、警備員、保険募集人など、法律で定められた特定の職種が対象です。この制限は永久ではなく、免責確定後は原則として復権し、元の職業に戻ることが可能です。

事務職や営業職、公務員などの多くの職業には影響しません。なお、破産のみを理由とした従業員の解雇は法律上認められていません。

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借金の支払義務が原則なくなる

免責が認められると、税金や養育費などの非免責債権を除き、借金の支払義務は原則として消滅します。これによって、貸金業者からの督促や取り立てが止まります。

例えば、消費者金融からの借入や銀行カードローンの返済、クレジットカードのショッピング利用分などは全て免除の対象となります。これにより、毎月の手取り給与の多くを返済に回していた苦しい生活から解放され、多くを当面の生活費や将来のための蓄えに充てられるようになります。督促の電話に怯える必要もなくなり、心穏やかな日常を取り戻せるでしょう。

ローンやクレジットカードが利用できなくなる

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。登録期間中はローンの契約やクレジットカードの作成が難しくなります。期間は5〜7年程度で、永久に続くわけではありません。

日常生活での決済は現金やデビットカードが中心となります。例えば、これまで日常の支払いを全てクレジットカードで行っていた場合、破産後はデビットカードや、PayPayなどのスマートフォン決済を事前に銀行口座からチャージして利用することになります。

住宅ローンや車のローンも数年間は組めなくなりますが、その期間は借金をせずに収入の範囲内で生活するという、リスクの少ない家計管理に切り替える期間ともとらえられるでしょう。

大部分の財産が処分される

破産手続きでは一定の価値がある財産は換価され、債権者への配当に充てられます。不動産や高額な預貯金、解約返戻金のある保険などが対象です。例えば、時価が20万円を超える自動車、購入したばかりの高価なブランド品などは処分の対象となる可能性が高いです。

一方で、生活に必要な家具や家電、一定額以下の現金などは自由財産として残されるため、全てを失うわけではありません。冷蔵庫、洗濯機、テレビといった日常生活に欠かせない家電製品や、99万円以下の現金などは手元に残すことが認められています。このように生活再建に必要な最低限の基盤は法的に保護されているため、家の中が空っぽになるようなことはありません。

周囲の人への影響

自己破産の効力は原則として本人にのみ及びます。家族や友人・知人などの信用情報に直接影響することはありません。ただし、保証関係や共有財産がある場合は影響が及ぶことがあります。そのため、事前に関係者への影響を整理しておく必要があるでしょう。

例えば、配偶者が家族カードを使っている場合は、破産申し立てをした本人の契約終了とともに使えなくなります。しかし、配偶者自身の名義で作成したカードが解約されたり、ローン審査に不利になったりすることはありません。子どもの進学や就職において、親の破産が不利に働くこともありませんので、その点はご安心ください。

保証人に請求がいく

借金に保証人が付いている場合は、破産者が免責されることで保証人に請求が及びます。これは、自己破産で債務が消えるのは本人のみだからです。保証人は支払義務を免れないため、大きな負担をかけてしまうことがあります。保証関係の有無は必ず事前に確認すべきです。

例えば、奨学金の返済で親が保証人になっていたり、事業用融資で知人が連帯保証人を引き受けていたりする場合は、破産と同時にその保証人に残債全額の請求が届きます。保証人に支払能力がない場合は、保証人も併せて債務整理を検討しなければならないケースもあるため、手続き前に必ず保証人へ事情を説明しましょう。必要に応じて、弁護士などの専門家を交えて対策を練るのもおすすめです。

共有名義の財産が一部処分される

不動産などが共有名義の場合は、破産者の持分は処分対象となります。共有者全体の財産が直ちに失われるわけではありませんが、持分売却や換価が問題になることがあります。結果として、共有者に不安や調整負担が生じる場合もあるため、家族名義との違いを正確に把握することが重要です。

例えば、夫婦で半分ずつ所有権を持っている持ち家の場合、夫が破産すると夫の持分50%が処分の対象となり、破産管財人によって換価されます。持ち家を残したい場合は共有者である妻に買い取りを打診されることが一般的ですが、資金を用意できない場合は家全体を売却して清算せざるを得ないこともあります。このように、自分一人の名義でない資産がある場合は特に慎重な確認が求められるでしょう。

自己破産により処分対象となるもの

自己破産では、一定の価値がある財産は破産財団に組み入れられ処分の対象となります。購入価格ではなく、手続き時点での時価が評価基準です。債権者への公平な配当が目的で、全ての財産を失うというわけではありません。

ここでは、自己破産により処分対象となるものの具体例を挙げます。

持ち家や土地

持ち家や土地などの不動産は、住宅ローンの有無にかかわらず、資産価値があれば原則処分対象となります。売却代金は破産財団に組み入れられ、債権者への配当に充てられるため、持ち家に住み続けることは基本的に困難です。

例えば、長年住み慣れた家や先祖代々受け継いできた大切な土地であっても破産者本人の名義であれば処分の対象から外すことはできません。どうしても自宅を残したい場合、自己破産以外の債務整理を検討する必要があります。

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自動車やバイク

自動車やバイクも、時価が一定額(一般的には20万円)以上であれば処分対象です。またローン返済中の場合は所有権留保によって、ローン会社に引き上げられます。

例えば、購入して間もない新車や、中古市場で高く売れる人気車種は換価の対象です。一方、初年度登録から長期間経過し、査定額が数万円程度にしかならない車やバイクは、例外的に手元に残せる場合もあります。地方に住んでおり車やバイクがないと不便な方は、事前の査定が重要です。

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銀行・信用金庫などの預金

銀行や信用金庫の普通預金、定期預金は一定額を超える場合に処分対象です。判断基準は口座単体ではなく、複数口座を合算した額であることが多いです。合計が一定額(原則20万円)を超える場合は、原則としてその預金全体が破産財団に組み入れられ、換価・配当の対象となる可能性があります。

例えば、A銀行に10万円、B銀行に15万円の預金がある場合、合計25万円で20万円を超えるため、原則として預金全体が処分の対象となります。ただし、管財人との話し合いで一部を手元に残せる場合もあります。なお、これとは別に99万円以下の現金は自由財産として保護されます。

保険の解約返戻金

生命保険や学資保険などを解約した際に解約返戻金が発生する積立型保険は財産と見なされます。返戻金の合計見込額が20万円を超える場合、原則として換価の対象となり、解約返戻金が配当に充てられる可能性があります。

例えば、子どもの将来のために加入している学資保険であっても、解約返戻金が高額であれば処分の対象です。一方で、いわゆる掛け捨て型で返戻金が極めて少額な保険は、そのまま契約を継続することが可能です。自身の保険がどちらのタイプか、証券で確認しておきましょう。

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株式や国債などの金融資産

株式、投資信託、国債などの金融資産は、原則として処分対象となります。これらは市場価格に基づき評価され、売却によって現金化されるのが一般的です。少額でも資産価値があると判断されれば、換価が検討されます。

例えば、資産形成のために利用しているNISAの積み立て、インターネット証券で保有している少額の特定銘柄なども、全て裁判所に申告した上で処分対象となります。近年では、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)も、同様に財産として扱われるため、漏れなく報告する必要があります。

貴金属や宝石、ブランド品

貴金属、宝石、ブランドバッグなどの高価な動産は処分対象です。日常的に身に着けているものであっても、高い換価価値があれば手元に残すことはできません。査定によって時価が判断され、配当に充てられます。

例えば、1点で数十万円するようなブランドバッグや高級腕時計、資産価値のある金のインゴットなどは換価処分の対象です。一方で、一般的な結婚指輪など、中古市場での価値がそれほど高くなく、生活に密着した範囲のものであれば、そのまま所有が認められることもあります。

骨董品や美術品

絵画、陶磁器、骨董品などの美術品も換価価値があれば処分対象です。市場性が低いように見えても、専門家による鑑定で価値が認められた場合は売却されます。家庭内に保管されている品は、全て正確に申告しなくてはなりません。

例えば、趣味で収集していた掛け軸や、遺品として受け継いだ骨董品などが対象です。これらの品は破産管財人が専門業者を通じて売却を行い、現金化します。思い入れが強い品であっても、法的な清算手続きにおいては資産として評価されるため、隠さずに報告することが重要です。

退職金見込額

将来受け取る予定の退職金も、その一部が財産と見なされます。換価される割合は裁判所の運用により異なりますが、一例として退職金見込額の8分の1相当額が20万円を超える場合、その金額が処分の対象となることがあります。

例えば、退職金の見込額が400万円ある場合は、その8分の1の50万円が財産としてカウントされます。裁判所から退職金見込額証明書の提出を求められる場合があるため、弁護士と相談しながら準備するとよいでしょう。

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自己破産をしても残せる自由財産

自己破産では、生活再建のために残すことが認められた自由財産があります。これらは破産手続き後も手元に残すことが可能です。法律や裁判所の運用に基づき、最低限の生活を維持するための財産が保護される仕組みです。

99万円以下の現金

自己破産では、現金は99万円まで自由財産として保護されます。これは生活費や当面の緊急資金を確保するためです。99万円を超える部分は原則として処分対象となりますが、預金とは別枠で判断される点が特徴です。

例えば、手元に50万円の現金がある場合は、自由財産として生活費に充当できます。ただし、銀行口座にあるお金は預金として扱われ、原則20万円を超えると処分の対象となるため注意が必要です。現金と預金では保護される枠組みが異なるため、手続き前の適切な管理が重要となります。

財産の種類ごとに20万円以下の財産

預貯金や保険の解約返戻金などの財産は、財産の種類ごとに合計して20万円以下だと自由財産として認められることがあります。これは財産の種類ごとに評価される基準であり、裁判所の自由財産の拡張という運用によって判断されます。

例えば、時価15万円の中古車と、解約返戻金が18万円の生命保険を所有している場合は、それぞれが20万円以下であるため、両方を手元に残せる可能性があるのです。種類の異なる財産を全て合算して20万円以内にするルールではなく、預貯金は預貯金、保険は保険というように種類ごとに合計して判断する場合が多いです。ただし、裁判所によって基準や運用が異なる場合もあるため、事前にお住まいの地域の運用を確認することが欠かせません。

家具や家電、衣類

日常生活に必要な家具や家電、衣類などは自由財産としてそのまま使い続けることができます。冷蔵庫や洗濯機、寝具などが代表例です。これらは「差押禁止動産」に該当し、よほど高価な贅沢品ではない限り、換価処分される心配はありません。

例えば、一般的な家庭にあるテレビやパソコン、調理器具などは、破産後も換価処分されることなく生活に使用できます。ただし、骨董的価値があるアンティーク家具や、1点で数十万円を超えるような高級ブランドの衣類などは、生活必需品とは見なされず、処分の対象となることがあります。

仕事道具

就労や事業の継続に必要な仕事道具などは、自由財産として保護されます。これは破産者が手続き後に自らの力で収入を得て、生活を再建することを奨励するためです。パソコン、工具、専門機材などが該当します。

例えば、大工さんの電動工具や調理師さんの包丁、美容師さんのシザーなどは、業務上の必要性が認められれば手元に残せます。ただし、投資目的で所有している機械や、業務に直接関係のない代替可能な備品などは、判断が分かれます。仕事に必要な資産がある場合、その必要性を裁判所に正しく申し立てることが重要です。

公的給付や社会保障

生活保護費や年金、児童手当などの公的給付は差押禁止財産として自由財産に扱われます。これらは最低限の生活保障を目的としており、破産手続きによって処分の対象になることはありません。

例えば、毎月受給している国民年金や厚生年金、お子様のための児童手当などの受給権が保護されます。受給権自体が守られているだけでなく、すでに口座に振り込まれた分についても、公的給付であることを証明すれば差し押さえを免れる場合があります。このように、国からの社会保障によって成り立っている生活基盤は、自己破産をしても維持される仕組みになっています。

差押禁止財産

法律で差押が禁止されている財産は、自己破産でも処分されません。仏壇や位牌、墓石などの祭祀財産が代表例です。これらは日本人の生活慣習や精神的な人格利益を守るための規定であり、破産手続きでも尊重されます。

例えば、先祖代々のお仏壇や祭祀に関わる遺品、技術習得に必要な書類、学校の教科書などは、いかなる多額の借金があっても処分対象とはなりません。最低限の生活や個人の尊厳を守るために定められた差押禁止財産の考え方は、自己破産という清算手続きの中でも最優先されるルールの一つです。安心して供養や学習を続けることが可能です。

自己破産後も支払いが続く非免責債権とは?

非免責債権とは、自己破産をして免責許可が確定しても、法律上の支払義務が消えずに残る特定の債権を指します。自己破産をすれば全ての支払いが免除されると思われがちですが、公的負担や生活保障、制裁などの性質を持つ債務については、破産による免除が認められていません。

代表的なものには、所得税や住民税などの税金・社会保険料、刑事罰による罰金、子どもの生存権に関わる養育費・婚姻費用、そして故意や重過失によって他人にけがをさせた場合の損害賠償金などが挙げられます。

例えば、借金の返済に追われて住民税や国民健康保険料を滞納していた場合は、自己破産の手続きをしてもその滞納分が消えることはありません。免責後も役所からの請求や給与の差し押さえを受ける可能性があるため、事前に金額を正確に把握し、役所の窓口で分割納付の相談をするなどの支払計画を立てておく必要があります。また債権者名簿にわざと記載しなかった借金も免責されないため、全ての負債を正直に申告することが不可欠です。

まとめ

自己破産後の生活は決して絶望的なものではありません。支払義務が原則免除されることで督促から解放され、家財道具などの最低限の生活基盤を守りながら再出発が可能です。制限は一時的であり、正しい知識を持てば自身や家族への悪影響を過度に心配する必要はありません。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。