債務整理

2026/08/14

自己破産したら車はどうなる?いつ持っていかれる?保有方法を解説

自己破産したら車はどうなる?いつ持っていかれる?保有方法を解説

車を所有している状態で自己破産を検討していると「車は必ず手放さなければならないのか」「いつ持っていかれるのか」といった不安を感じる方は多いでしょう。特に、通勤や生活に車が欠かせない場合、手放すことへの影響は小さくありません。

自己破産では一定の財産が処分対象になる可能性がありますが、車についても一律で扱いが決まるわけではなく、状況に応じて判断が分かれます。ローンの有無や車の価値、生活上の必要性などによって結果は変わるため、正確な理解が重要です。

本記事では、自己破産と車の関係や、車を残せる可能性があるケース、具体的な判断基準や対処法を解説します。読み進めることで、ご自身の状況に照らした判断ができるようになり、必要に応じて専門家へ相談するタイミングも見えてくるでしょう。

【この記事で分かること】

  • 自己破産をした場合に車が処分されるかどうかの基本的な考え方と判断基準
  • 査定額やローンの有無など、車を残せる可能性を判断するための具体的なポイント
  • 自己破産前後で取れる現実的な対処法や注意点、専門家へ相談すべきタイミング

自己破産をすると車は処分される?

自己破産では、債権者への配当のために、一定の価値がある財産は処分の対象となります。車も同様に、換価価値があると判断されれば売却されるのが通例です。

ただし、全てのケースで車が処分されるわけではありません。ここでは、自己破産で車が処分されるか、残せるかを判断するための考え方を説明します。

マイカーローンが残っているか

まず確認したいのが、マイカーローンの残債の有無です。ローンが残っている場合、車の扱いは大きく変わる可能性があります。

多くのマイカーローンでは、販売会社やローン会社に「所有権留保」が付いています。これは、ローンを完済するまで車の所有権が貸主側にあるという仕組みです。この場合、自己破産や支払い遅延により期限の利益を失うと、車は引き揚げられる可能性が高くなります。

一方で、一部のマイカーローンでは、所有権留保が付いていないケースもあります。この場合、車の名義は本人となっており、単純にローンが残っているだけで直ちに引き揚げられるとは限りません。ただし、返済が困難な場合は別途対応が必要になります。

車の時価・査定額がいくらか

車の価値も、処分されるかどうかを判断する重要な要素です。一般的に、年式の古い車など査定額が低い場合は換価の実益が乏しいと判断され、手元に残せる可能性があります。

実務上は、20万円程度が一つの目安とされることがあります。ただし、この金額はあくまで目安に過ぎず、全国で統一された基準ではありません。裁判所ごとに運用が異なるため、個別に確認する必要があります。

なお、車の価値は年式だけで決まるものではありません。以下のような要素によって査定額は変わります。

  • 走行距離
  • 車種や需要の程度
  • 修復歴や状態

古い車であっても、需要が高い車種であれば高い価値が付く場合があります。そのため、実際の査定を取ることが重要です。

生活や仕事に不可欠かどうか

車が生活や仕事に必要かどうかも、判断における重要な考慮要素の一つです。例えば、以下のようなケースでは必要性が認められる可能性があります。

  • 公共交通機関が不便な地域での通勤に使う場合
  • 通院や介護のための移動に使う場合
  • 業務で日常的に車を使う場合

ただし、必要性があるという理由だけで車を残せるとは限りません。査定額や資産状況などと併せて総合的に判断されます。

また代替手段があるかどうかも検討されます。公共交通機関やカーシェアなどで代替できると判断されると、必要性の評価に影響する可能性があります。

自己破産後も車を残したい場合の対処法

車を残したい場合は、自己破産の申し立て後ではなく、その前段階から対応を検討することが重要です。手続きが進んでからでは選択肢が限られるため、早めの判断が求められます。

ただし、どの方法にもリスクや注意点があります。自己判断で進めると、かえって手続きに不利な影響を与える恐れもあるため、慎重に進める必要があります。

裁判所の運用や自由財産の扱いを確認する

車を残せるかどうかは、裁判所の運用や自由財産の扱いの違いにより左右されます。自由財産とは、自己破産後も生活のために手元に残せる財産のことです。

先述のように車の価値が低く、生活上の必要性が高い場合には換価対象とならない可能性があります。一方で、同じような状況でも自由財産拡張を認めない運用の裁判所もあります。このため、地域ごとの運用の傾向を把握することが重要です。

判断を誤らないためにも、事前に弁護士へ相談し、地域の運用を踏まえた対応を検討することが求められます。

親族などに適正価格で買い取ってもらう

車を残す方法の一つとして、親族など第三者に適正価格で買い取ってもらう方法が検討されることがあります。その後、使用貸借という形で引き続き車を利用するケースもあります。

ただし、破産申し立ての直前に行われた取引は厳しく確認されます。特に親族間の取引は不自然と判断されやすいため注意が必要です。そのため、取引を進める際には査定書や売買代金の振込履歴などを必ず残すようにしましょう。

客観的に適正な取引だと分かる状況でなければ、形式的な取引と見られる恐れがあります。このような判断は難しいため、取引を行う前に必ず弁護士へ相談し、その上で進めるようにしましょう。

第三者弁済を利用する

第三者弁済とは、本人ではなく第三者が資金を出して債務を返済する方法です。車のローンについても、この方法が検討される場合があります。

ただし、自己破産前に特定の債権者だけに返済を行うと、不公平な返済と評価される恐れがあります。そのため、本人資金による返済は特に注意が必要です。

第三者弁済であっても、資金の出所や実態が問題となる場合があります。特に、生計を同じくする親族からの資金は、本人の資金と区別がつきにくい点に注意が必要です。

実際に行う場合は、以下の点を確認しておく必要があります。

  • 資金の出所が明確であること
  • 返済の経緯を説明できること
  • 手続き全体との整合性が取れていること

適切に進めるためには、事前に弁護士などの専門家へ相談し、問題が生じない形で対応することが重要です。

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自己破産前にやってはいけないこと

自己破産を検討する段階では、直前の行動が手続きや免責判断に影響する可能性があります。特に車に関する対応は、財産の扱いとして厳しく確認されやすいため注意が必要です。

破産申し立て前の行動が財産隠しや不公平な返済と評価されると、説明負担が増えるだけではなく、手続きの進行や免責判断に影響する恐れがあります。車についても、申告漏れや不自然な処分は問題視されやすい傾向があります。

裁判所は、申し立て前の財産処分歴や現在の保有財産を重視して確認します。車の名義やローン契約、売却の経緯なども対象となるため、安易な判断は避けるべきです。車を残したい場合であっても、独断で動くのではなく、事前に弁護士へ相談することが重要です。

以下では、具体的に避けるべき行動を順に解説します。

車やローンの存在を隠そうとする

車や自動車ローンの存在を申告しない行為は、避けるべき対応の一つです。自己破産では、申し立て書や添付資料を通じて財産状況を正確に申告する必要があります。

車については、単に保有しているかどうかだけではなく、名義や査定額、ローン残債、所有権留保の有無なども確認対象となります。これらの情報に漏れがあると、裁判所や管財人から追加の説明や資料提出を求められる可能性があります。

また「古い車だから問題にならないだろう」と考えて申告しないのは適切ではありません。処分の対象となるかは、車の年式や価値だけではなく必要性や他の財産との兼ね合いにより判断されるからです。

申告に当たっては、以下の資料を事前にそろえておくとよいでしょう。

  • 車検証
  • ローン契約書
  • 査定資料

使用者と所有者が異なる場合も含め、正確に申告することが重要です。

直前に車の名義を変更する

破産申し立ての直前に車の名義を変更したり売却したりすると、その取引について詳しい説明を求められる可能性があります。特に親族への移転は、実質的な財産隠しと疑われる余地があるため注意が必要です。

取引が適正かを判断するために、以下のような点が裁判所により確認されることがあります。

  • 売却価格が適正であるか
  • 実際に代金の授受が行われているか
  • 代金の使途が明確であるか

これらを裏付ける資料が不足している場合、不自然な取引と評価される恐れがあります。また「名義だけ変更して実際は自分が使い続ける」といった対応も、不自然と見られやすいです。

直前の財産処分は、査定書や振込記録など客観的な資料の有無が重要になります。状況によっては追加調査の対象となることもあるため、自己判断で進めるのではなく、事前に弁護士へ相談することが望ましいでしょう。

マイカーローンだけを優先して返済する

車を残したいという理由で、申し立て直前にマイカーローンだけを優先して返済することは避けるべきです。特定の債権者に対する返済が偏ると、不公平な返済と評価される恐れがあります。

自己破産では、債権者間の公平性が重視されます。そのため、一部の債権者だけに返済を行うと、手続き上問題になる可能性があります。特に本人の資金による返済は、その影響を受けやすい点に注意が必要です。

なお、少額なら問題ないわけではありません。金額にかかわらず、返済のタイミングや経緯によっては説明が求められることがあります。ローン完済後に名義変更や所有権解除が関係する場合は、さらに複雑になることもあります。

第三者資金を利用する場合でも、その資金の出所や実態が問われることがあります。対応を誤ると、かえって不利になる可能性があるため、事前に弁護士などの専門家へ相談することが重要です。

自己破産後に車が必要になったらどうする?

自己破産後に車が必要になった場合でも、直ちに取得が不可能になるわけではありません。法律上、車の購入やローン契約が禁止されるわけではないためです。

ただし、信用情報機関に事故情報が登録される影響で、一定期間はローンやクレジットの審査に通りにくくなる傾向があります。そのため、現金購入や購入以外の手段も含めて検討する必要があります。

生活再建の段階では、無理のない方法を選ぶことが重要です。高額な車を無理に取得するのではなく、用途や必要性に応じた選択を検討することが求められます。

以下では、具体的な選択肢を紹介します。

現金一括で購入する

自己破産後でも、現金一括であれば車を購入することは可能です。ローン審査を前提としないため、信用情報の影響を受けにくい方法といえます。

特に大衆的な中古車を選べば、初期費用を抑えやすくなります。ただし、購入費用だけで判断するのではなく、維持費も含めて検討することが重要です。

主な維持費としては、以下のようなものがあります。

  • 自動車税
  • 任意保険料
  • 車検費用
  • 修理費

安さを優先し過ぎると、故障リスクが高まり結果的に負担が増える可能性があります。生活費を圧迫しない範囲で、用途に合った車を選ぶことが重要です。

カーリースを利用する

カーリースも車を利用する手段の一つです。初期費用を抑えやすい場合があるため、検討されることがあります。ただし、カーリースでは契約時に審査が行われることがあり、必ず利用できるとは限りません。審査基準や必要書類は会社ごとに異なるため、事前に確認が必要です。

また契約内容にも注意が必要です。代表的な条件としては、以下が挙げられます。

  • 月額料金の設定
  • 走行距離の制限
  • 中途解約の可否

契約によっては最終的に車の所有権が自分に移らないケースもあります。総額で見ると購入より高くなる場合もあるため、条件を比較した上で判断することが重要です。

レンタカーやカーシェアを利用する

日常的に車を使わない場合は、レンタカーやカーシェアの活用も現実的な選択肢です。必要なときだけ利用できるため、維持費がかからない点が強みです。

ただし、利用頻度によってはコストが割高になる場合があります。特に通勤や送迎などで日常的に使用する場合は、購入したほうが負担が軽くなるケースもあります。

また地域によっては利用できるサービスが限られることもあります。まずは一時的な代替手段として活用し、生活状況に応じて見直すとよいでしょう。

親族の車を借りる

中古車の購入やカーリースなどの契約が難しい場合は、親族の車を借りるという方法も考えられます。本人所有ではないため、自己破産そのものとの関係で直ちに問題になるわけではありません。

ただし、利用に当たっては以下のような点に注意が必要です。

  • 任意保険の適用範囲(運転者、年齢など)
  • 管理責任や事故時の対応
  • ガソリン代や維持費の負担

長期間利用する場合は、家族間でも条件を明確にしておくことが望ましいでしょう。

自己破産以外の債務整理も検討する

自己破産は借金の負担を大きく軽減できる一方で、一定の財産を処分する必要があります。そのため、車を維持したいという希望がある場合は、別の債務整理の手続きのほうが適していることもあります。

以下では、個人再生と任意整理について解説します。

個人再生

個人再生は、裁判所へ申し立てを行い、借金を減額してもらうことを目指す手続きです。裁判所へ再生計画案を提出し、認可されれば計画に従って分割返済をしていくことになります。

個人再生は、自己破産のように一定以上の価値がある財産を換価することを前提としておらず、車を残せる余地があります。ただし、ローンが残っている場合は自己破産と同様にローン会社へ引き揚げられてしまう可能性があります。

また車の価値分は弁済額に上乗せされる可能性があり、高額な車を所有している場合は返済の負担が増えてしまう点に注意が必要です。

また個人再生では安定した収入が求められます。再生計画に基づいて返済を続ける必要があるため、収入の見込みが立たない場合は利用が難しいのです。

任意整理

任意整理は、債権者と個別に交渉を行い、返済条件の見直しを図る手続きです。利息の減免や返済期間の調整を目指して交渉が行われることが一般的です。

大きな特徴は、対象とする債権者を選べる点にあります。例えば、マイカーローンを対象から外し、他の借入のみを整理することで、車を維持できる可能性があります。

ただし、任意整理は個人再生と同様に返済を続けることが前提となるため、継続的な収入が必要です。また交渉は債権者の合意が前提となるため、必ずしも希望通りの条件で成立するとは限りません。

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自己破産の手続きを弁護士に依頼するメリット

自己破産は専門的な知識と判断が求められる手続きです。車の扱いについても、査定額や契約内容、裁判所の運用などによって結論が変わるため、個別事情に応じた対応が必要になります。

自己判断で進めると、不利な行動を取ってしまう恐れがあります。一方で、弁護士に依頼すれば、状況に応じた適切な選択をしやすくなります。

ここでは、弁護士に依頼する主なメリットを紹介します。

車を残す手段を漏れなく検討できる

弁護士に依頼することで、車を残すための方法を多角的に検討しやすくなります。自己破産における車の扱いは、単一の要素ではなく複数の事情を踏まえて判断されます。

例えば、以下のような点を総合的に検討します。

  • 裁判所の運用や地域差
  • 車の査定額
  • 自由財産として扱えるかどうか
  • 第三者弁済の可否

これらを個別に判断するのは難しく、見落としが生じる可能性があります。弁護士に相談すれば、こうした要素を踏まえて現実的な選択肢を整理しやすくなります。

問題のある処分や返済を避けやすくなる

車に関する処分や返済の方法を誤ると、手続きに不利な影響が出る可能性があります。特に、名義変更や売却、特定の債権者への優先返済などは注意が必要です。

弁護士に事前に相談することで、どのような行動が問題になり得るのかを把握できます。これにより、不適切な対応を避けやすくなります。

また手続き全体の流れを見据えた助言を受けられるため、個別の判断に迷った場合でも適切に対応しやすくなります。

自己破産以外の選択肢も提案してもらえる

車を残したいという希望がある場合、自己破産以外の手続きが適していることもあります。弁護士に相談すれば、個人再生や任意整理などを含めた選択肢を比較しながら検討できます。

収入や負債の状況、車のローンの有無などを踏まえた上で、どの手続きが現実的かを判断できる点は大きなメリットです。自分だけでは判断が難しい場合でも、状況に応じた提案を受けられます。

このように、複数の選択肢を踏まえて検討できることは、納得のいく解決につながりやすいポイントです。

まとめ

自己破産をすると車は処分される可能性がありますが、その扱いは一律ではありません。査定額やローンの有無、生活上の必要性など、複数の事情を踏まえて判断されます。

また自己破産前の行動によっては、手続きに不利な影響が出ることもあります。車を残したい場合は、早い段階で適切な対応を検討することが重要です。

状況によっては、個人再生や任意整理といった他の手続きが適していることもあります。自分に合った方法を選ぶためには、専門的な判断が欠かせません。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。