債務整理
2026/09/28
親が自己破産したら子供はどうなる?家族への影響や対処法を解説

親が自己破産をすると、子どもの進学や就職、信用情報にまで悪影響が及ぶのではないかと不安になるものです。持ち家や車、家族カード、学資保険の契約などがある場合、生活がどのように変わるのか心配な方も多いでしょう。
親が自己破産しても、原則として子どもが借金を引き継いだり、子ども自身の信用情報に事故情報が登録されたりすることはありません。ただし、親名義の財産を家族で使っている場合や、子どもが保証人になっている場合には、間接的な影響が生じる可能性があります。
本記事では、親の自己破産によって子どもに影響が及ぶケースと影響しないこと、手続き前に準備したい対策を解説します。家族への影響を抑えながら借金問題を解決するための参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 親の自己破産が子どもの進学・就職・信用情報へ及ぼす影響
- 持ち家・車・家族カード・奨学金・学資保険への影響
- 子どもが親の借金の保証人になっている場合の注意点と対処法
親が自己破産した際の子供への影響は?
親が自己破産しても、原則として子どもに法的な責任は及びません。親子であっても法律上は別の人格であり、保証人になっているなどの事情がなければ、子どもが親の借金を代わりに返済する義務はないためです。
信用情報への影響も、手続きをした親本人に限られます。親の自己破産を理由に、子どもの進学や就職、結婚が制限されることもありません。
一方、親名義の自宅や車が処分されれば、同居する子どもの生活環境にも変化が生じます。家族カードが使えなくなったり、学資保険を教育資金に充てられなくなったりする場合もあるでしょう。
つまり、自己破産の制限が子どもへ直接引き継がれるわけではないものの、財産の所有関係や保証契約によって間接的な影響が及ぶ可能性はあります。
親の自己破産により子供に影響が及ぶケース
子どもへの影響は、親名義の財産を家族で利用している場合や、親子間に保証関係がある場合に生じやすくなります。ここでは、主なケースを確認します。
持ち家に同居している場合
親名義の持ち家に子どもも同居している場合、自宅の処分に伴って転居が必要になる可能性があります。自己破産では、一定の価値がある破産者本人の財産を換価し、債権者への配当に充てるのが原則です。
住宅ローンが残っている家には、通常、金融機関の抵当権が設定されています。返済が止まれば、任意売却や競売などによって自宅を手放すことになるでしょう。
住宅ローンがない家や、売却後にローンを返しても余剰が出る家も、原則として換価の対象です。家族が同居しているという事情だけで、処分を免れるとは限りません。
自宅が子どもとの共有名義であれば、原則として親の持分が処分の対象です。ただし、持分だけを売却することが難しいときは、共有者へ買い取りを打診されたり、共有関係の解消を求められたりする場合があります。
親名義の車を子供が使っている場合
子どもが日常的に使っている車でも、所有者が親であれば財産調査の対象です。車検証上の名義だけではなく、購入代金を負担した人やローン契約の内容なども確認されます。
自動車ローンの返済中で、販売会社や信販会社に所有権が留保されている場合、契約に基づいて車を引き揚げられる可能性が高いでしょう。完済後であっても、中古車として一定の価値があれば換価されることがあります。
一方、年式が古く査定額が低い車まで必ず処分されるわけではありません。車を残せる基準や取扱いは、申立先の裁判所や他の財産の状況によって異なります。
通院や障害のある家族の送迎などに欠かせない場合は、自由財産の拡張が認められる余地もあります。ただし、生活に必要というだけで必ず残せるわけではないため、個別の確認が必要です。
家族カードを使っている場合
親がクレジットカードの本会員で、子どもが家族カードを使っている場合、親のカードとともに家族カードも利用できなくなるのが通常です。家族カードは子ども自身の契約ではなく、親の契約に付随して発行されているためです。
弁護士から受任通知が届いた後や、延滞によってカード会社が状況を把握した時点で、利用停止となる可能性があります。家族カードだけを残して使い続けることは基本的にできません。
奨学金の保証人になっている場合
親が自己破産すると、子どもが貸与型奨学金を利用する際、親を連帯保証人にできない場合があります。自己破産の手続きがすでに終わっている場合の取扱いは、奨学金の運営団体や審査時の状況によって異なるでしょう。
親を保証人にできないときは、条件を満たす親族へ依頼するか、保証料を支払って保証機関を利用する方法があります。親が自己破産しただけで子どもが奨学金を申し込めなくなるわけではないため、学校の窓口や運営団体へ早めに確認するとよいでしょう。
学資保険を契約している場合
親が契約者となっている学資保険は、子どもが被保険者や受取人であっても、原則として親の財産として扱われます。契約者には保険を解約し、解約返戻金を受け取る権利があるためです。
解約返戻金に一定以上の価値があれば、保険を解約して債権者への配当に充てるよう求められる可能性があります。ただし、返戻金が少額である場合や、他の財産を含めても裁判所の基準を超えない場合は、契約を維持できることもあるでしょう。
自由財産の範囲や評価方法は、申立先の裁判所と個別事情によって変わります。「20万円以下なら必ず残せる」「20万円を超えれば必ず解約される」と一律には判断できません。
自己破産の直前に契約者を子どもや配偶者へ変更すると、財産隠しを疑われる恐れがあります。学資保険を教育資金に充てる予定だった場合は、不足額を確認し、別の資金確保の方法を検討する必要があります。
子供に保証人を頼んでいる場合
成人した子どもが親の借金の保証人や連帯保証人になっている場合、親の自己破産後に子どもへ返済請求が及ぶ可能性があります。免責の効果は、原則として手続きをした親本人にしか及ばないためです。
保証人の支払義務や具体的な対応策については後述します。
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親の自己破産で子供へ影響が及ばないこと
親が自己破産しても、子ども自身の財産や将来まで一律に制限されるわけではありません。ここでは、影響が及ばない主な項目を解説します。
預貯金や収入
自己破産で処分の対象となるのは、原則として親本人の財産です。そのため、子どもが働いて得た給与や、子ども自身のお金として管理している預貯金まで処分されることはありません。
例えば、子どもがアルバイト代を自分名義の口座へ貯めている場合、その預金は基本的に子どもの財産です。親と同居しているという理由だけで、家族の財産がまとめて処分されるわけではないでしょう。
ただし、口座名義だけで所有者が決まるとは限りません。子ども名義でも、実際には親が自分の収入を積み立て、入出金を管理していた場合は、親の財産と判断される可能性があります。
親子のお金を同じ口座で管理しているときは、資金の出所を説明できる資料を残しておくことが大切です。子どもの給与明細や振込履歴があれば、固有の財産であることを示しやすくなります。
進学や就職
親の自己破産を理由に、子どもの進学が制限されることはありません。高校や大学、専門学校などの入学資格にも影響せず、通常通り受験できます。
就職についても同様で、親の自己破産を理由に子どもの職業選択が制限されることはないでしょう。自己破産の手続き中に一部の資格や職業へ制限を受ける場合がありますが、対象は破産者本人です。
また一般の企業が採用選考のために応募者やその親の信用情報を自由に確認することはできません。親の自己破産が官報へ掲載される場合はあるものの、学校や企業が通常の選考で応募者の親について調査することは一般的ではないでしょう。
ただし、学資保険の解約や家計の変化により、進学費用を用意しにくくなることはあります。これは進学資格への影響ではなく、家庭の経済状況が変わることで生じる間接的な問題です。
信用情報
親が自己破産しても、子どもの信用情報に直接の悪影響が及ぶことはありません。信用情報は契約者本人ごとに管理されており、親子で共有されるものではないためです。
子どもが自分名義のクレジットカードやローンへ申し込む場合は、本人の収入や勤務状況、過去の利用履歴などをもとに審査されます。親が自己破産したという事情だけで、審査に落ちるわけではありません。
ただし、親と収入を合算してローンを申し込む場合や、親を保証人にする場合は別です。親が審査に通らなければ、契約条件を満たせない可能性があります。
子供が保証人になっている場合の注意点と対応策
子どもが親の借金の保証人になっている場合は、親の自己破産によって返済請求を受ける可能性があります。ここでは、保証人の責任と対応策を確認します。
親が免責されても保証人の支払義務は残る
親が自己破産して免責許可を受けても、保証人である子どもの支払義務はなくなりません。免責許可は、保証人などに対する債権者の権利には影響しないからです。
親が返済できなくなれば、債権者は保証人である子どもへ残額を請求できます。契約内容によっては、一括返済を求められることもあるでしょう。
通常の保証人には、まず主債務者へ請求するよう求める権利などがあります。一方、連帯保証人には原則としてそのような権利がなく、親と同等の立場で返済を求められます。
保証人付きの借金は手続き前に必ず確認する
自己破産を検討する際は、借入先と残高だけではなく、各契約に保証人が付いているか確認することが重要です。保証人を把握しないまま手続きを進めると、子どもが突然請求を受ける恐れがあります。
契約書などを確認し、書類が見つからないときは借入先や弁護士へ相談するとよいでしょう。保証人へ請求が及ぶ見込みがある場合は、子どもにも早めに事情を伝える必要があります。
なお、保証人付きの借金だけを優先して返済すると、偏頗弁済と判断される可能性があります。家族への請求を避けるためであっても、特定の債権者だけを自己破産の対象から外すことは基本的にできません。
返済を継続できる見込みがある場合は、保証人付きの借金を対象から外せる任意整理が選択肢になることもあります。自己判断で返済を進める前に、適した手続きを専門家へ確認することが大切です。
子供自身の債務整理も検討する
保証人である子どもが請求を受け、返済できる見込みがない場合は、子ども自身の債務整理を検討する必要があります。無理に返済を続けると、新たな借り入れで支払いを補う状況に陥るかもしれません。
主な選択肢は、任意整理・個人再生・自己破産です。
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手続き |
主な特徴 |
適している可能性があるケース |
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任意整理 |
債権者と交渉し、将来利息のカットや分割返済を目指す |
元金を分割で返済できる収入がある |
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個人再生 |
裁判所を通して借金を減額し、原則3年で返済する |
安定収入があり、財産を残したい |
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自己破産 |
免責により、原則として借金の支払義務を免除してもらう |
収入や財産では返済できない |
選ぶべき方法は、保証債務の額や子どもの収入、保有財産によって異なります。親子が同じ時期に債務整理を行う場合でも、それぞれ別の手続きとして扱われる点に注意が必要です。
親の自己破産後に子供が困らないための対策
自己破産によって生活環境が急に変わると、同居する子どもにも負担がかかります。ここでは、手続き前に進めたい準備を紹介します。
生活費の支払い方法を切り替える
親名義のクレジットカードで公共料金や携帯電話料金などを支払っている場合は、利用停止に備えて支払い方法を変更します。主に確認したいのは、次の費用です。
- 電気・ガス・水道料金
- 携帯電話・インターネット料金
- 家賃や駐車場代
- 保険料
- 学校や習い事の費用
- 月額制サービス
口座振替や銀行振込、コンビニ払いなどへ切り替えておけば、未払いによるサービス停止を防ぎやすくなります。
また引き落とし口座の銀行から借り入れがある場合、その口座が一時的に凍結される可能性にも注意が必要です。給与の受取口座や公共料金の引き落とし先として使っているときは、弁護士へ相談した上で変更を検討するとよいでしょう。
家族カード以外の支払い方法を用意する
子どもが親名義の家族カードを使っている場合は、現金やデビットカード、プリペイドカードなどの代替手段を用意します。デビットカードは利用額が原則として口座から即時に引き落とされ、プリペイドカードは入金額の範囲内で使える仕組みです。
子どもが年齢や収入などの申込条件を満たしていれば、自分名義のクレジットカードへ申し込む方法もあります。ただし、発行には審査があり、必ず利用できるとは限りません。
日常の買い物と継続的な支払いで必要な手段は異なります。利用する店舗やサービスを確認し、複数の方法を使い分けるとよいでしょう。
教育費の支援制度や奨学金を確認する
学資保険が処分されたり、家計の収支が変化したりすると、予定していた教育費を用意できない場合があります。進学を断念せずに済むよう、利用可能な制度を早めに調べることが重要です。
大学・短期大学・高等専門学校・専門学校への進学では、一定の要件を満たすと、高等教育の修学支援新制度を利用できる可能性があります。授業料・入学金の減免と、返還不要の給付型奨学金を組み合わせた制度です。
その他、自治体や学校独自の給付金、授業料減免、家計急変時の支援などを利用できる場合もあります。申請期限や所得要件が異なるため、学校の窓口や自治体へ余裕を持って確認するとよいでしょう。
貸与型奨学金の保証方法については、先述のように機関保証制度なども選択肢となります。
住まいを失う可能性がある場合は転居先を検討する
親名義の持ち家が処分される見込みであれば、退去時期を見据えて転居先を探します。売却や競売が始まっても直ちに退去となるとは限りませんが、いつまでも住み続けられるわけではありません。
物件を選ぶ際は、家賃だけではなく、子どもの通学や親の通勤への影響も確認しておきましょう。転校を避けたい場合は、現在の学区内や公共交通機関で通える範囲から探さなければなりません。
賃貸契約では家賃保証会社の審査を受けることが多く、審査基準は会社によって異なります。親族を連帯保証人にできる物件や、公営住宅、UR賃貸住宅なども候補になるでしょう。
引っ越しには敷金・礼金や仲介手数料、運搬費もかかります。申し立て前に高額な支出を予定している場合は、見積書や領収書を保管し、事前に弁護士へ相談することが大切です。
車が使えなくなる場合は代わりの移動手段を考える
親名義の車が処分される見込みなら、子どもの送迎などに支障が出ないよう代替手段を確保します。候補としては、公共交通機関や自転車、カーシェアなどがあります。利用頻度が低ければ、車を所有するよりカーシェアなどの方が費用を抑えやすいでしょう。
なお、配偶者や成人した子どもが自分の収入で車を購入すること自体は可能です。ただし、親が代金を負担しているのに家族名義にするなど、財産の名義だけを移す行為は避けなければなりません。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
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自己破産以外に検討したい債務整理の方法
家を残したい場合や、保証人への請求を避けたい場合は、自己破産以外の手続きが適している可能性があります。ここでは、個人再生と任意整理の特徴を解説します。
個人再生
個人再生とは、裁判所へ申し立てて借金を減額し、再生計画に従って残額を分割返済する手続きです。主に住宅ローンを除く借金などが5,000万円以下で、将来にわたって継続的または反復的な収入を得る見込みがある人が利用できます。
返済期間は原則3年ですが、特別な事情がある場合は最長5年です。自己破産とは異なり返済を継続するため、安定した収入が欠かせません。
要件を満たして住宅ローン特則を利用できれば、住宅ローンの支払いを続けながら、その他の借金を減額できる可能性があります。ただし、住宅ローン自体の元金が減る制度ではありません。
ローンを完済した車も、再生計画に基づく返済額を確保できれば残せる場合があります。一方、所有権留保付きの自動車ローンが残っていると、原則として車を引き揚げられるかもしれません。
なお、個人再生では全ての債権者を手続きの対象とするため、保証人付きの借金だけを除外するといった対応はできません。
任意整理
任意整理とは、弁護士などが債権者と個別に交渉し、将来利息のカットや返済期間の見直しを目指す方法です。裁判所を利用せず、交渉の対象にする借金を選べます。
子どもが保証人になっている借金を対象から外し、従来通り返済を続ければ、保証人への請求を避けられる可能性があります。自動車ローンや住宅ローンを除外することで、車や自宅への影響を抑えられる場合もあるでしょう。
ただし、除外した借金はこれまで通り返済しなければなりません。また任意整理で主に減額を目指すのは将来利息などであり、元金が大幅に減るとは限らない点にも注意が必要です。
また債権者には交渉へ応じる法的義務がなく、希望する条件で和解できるとは限りません。利息をカットしても返済できない場合は、個人再生や自己破産の方が適している可能性があります。
まとめ
親が自己破産しても、子どもが親の借金を引き継いだり、子ども自身の信用情報に事故情報が登録されたりすることは原則としてありません。進学や就職、結婚などが制限されることもないでしょう。
一方、親名義の持ち家や車、家族カード、学資保険などを家族で利用している場合は、子どもの生活にも影響が及ぶ可能性があります。子どもが親の借金の保証人であれば、親が免責されても支払義務は残ります。
家族への負担を抑えるには、財産や保証契約、生活費の支払い方法を申し立て前に整理することが大切です。財産の名義変更や一部の債権者だけへの返済は手続きに影響する恐れがあるため、自己判断で進めるべきではありません。
ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があり、借金に関する相談に無料で対応しています。電話の他、メールやLINEからお問い合わせを受け付けているため、まずはお気軽にご相談ください。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。