債務整理

2026/09/30

自己破産の同時廃止手続きの期間はどのくらい?免責許可決定はいつ?

自己破産の同時廃止手続きの期間はどのくらい?免責許可決定はいつ?

自己破産を検討している方の中には、手続きが終わるまでの期間が分からず、不安を感じている方もいるでしょう。借金の返済や督促に悩んでいる状況では、いつから生活を立て直せるのか気になるものです。

自己破産には、主に同時廃止事件と管財事件があります。どちらで進むかによって、必要な費用や手続きの期間が異なります。

本記事では、自己破産が同時廃止で進んだ場合の期間や手続きの流れ、同時廃止になりやすい条件について解説します。今後の見通しを立てたい方はぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 自己破産の同時廃止の仕組みや、管財事件との主な違い
  • 同時廃止の申立てから免責許可決定が確定するまでの期間と手続きの流れ
  • 同時廃止で進みやすい条件や、自己破産をする際に避けるべき行為

自己破産の同時廃止とは?

同時廃止とは、裁判所が破産手続開始決定を出すのと同時に、破産手続廃止決定を出して手続きを終了させる方法です。

債権者への配当に充てられる財産がほとんどなく、破産管財人による詳しい調査も必要ない場合に、同時廃止で処理される可能性があります。

ただし、同時廃止決定が出ただけでは、借金の返済義務はなくなりません。その後に免責の審理が行われ、免責許可決定が確定することで、原則として借金の支払義務が免除されます。

同時廃止と管財事件のどちらで進むかは、申立人が自由に選べるものではありません。財産や借金の状況、免責不許可事由の疑いなどを踏まえ、裁判所が判断します。

費用を抑えやすい

同時廃止は、管財事件と比べて裁判所へ納める費用を抑えやすい手続きです。

管財事件では、申立手数料や官報公告費用などに加え、破産管財人の業務に充てる予納金を用意しなければなりません。少額管財事件でも、20万円程度の予納金が必要になる場合があります。

一方、同時廃止では破産管財人が選任されないため、管財人に引き継ぐ予納金は不要です。裁判所へ納める費用は地域によって異なりますが、申立手数料や官報公告費用、予納郵券代などを合わせて1万~3万円程度が目安となるでしょう。

なお、弁護士へ依頼する場合は、裁判所へ納める費用とは別に弁護士費用が発生します。相談時に総額や分割払いの可否を確認しておくと、資金計画を立てやすくなります。

破産管財人が選任されない

同時廃止では、破産者の財産を管理・換価する破産管財人が選任されません。

管財事件になると、破産管財人との面談や財産調査への対応が必要です。破産手続き中は、郵便物が破産管財人へ転送されたり、裁判所の許可を得ずに居住地を離れることが制限されたりする場合もあります。

同時廃止では、こうした破産管財人による調査や管理が行われません。債権者集会も開かれないため、手続きに伴う負担は管財事件より軽い傾向にあります。

ただし、破産管財人が選任されなくても、申立書類の提出や裁判所への説明は必要です。同時廃止だからといって、財産や借入状況の確認が省略されるわけではありません。

自己破産が同時廃止で進んだ場合の期間の目安

同時廃止で自己破産を進めた場合、裁判所への申立てから免責許可決定が確定するまで、おおむね3~6カ月が目安です。

ただし、実際の期間は管轄裁判所や申立内容によって異なります。書類に不備がある場合や、財産・借金の経緯について追加の説明が必要な場合は、目安より長引くこともあるでしょう。

また3~6カ月という期間には、弁護士への依頼から申立てまでの準備期間が含まれていません。依頼後は、債権者から取引履歴を取り寄せる他、収入や財産に関する資料を集める必要があります。

弁護士費用を分割で積み立ててから申し立てるケースもあるため、依頼から免責確定までの全体では6~8カ月程度が目安です。資料の収集や費用の準備に時間がかかれば、1年近く要する可能性もあります。

各段階にかかる期間の目安は、次の通りです。

段階

期間の目安

弁護士への依頼から申立てまで

2~4カ月程度

申立てから破産手続開始・同時廃止決定まで

数日~1カ月程度

同時廃止決定から免責審尋まで

1~2カ月程度

免責審尋から免責許可決定まで

数日~数週間程度

依頼から免責確定までの全体

6~8カ月程度

上記は一般的な目安であり、全国共通の期間ではありません。免責審尋を実施するかどうかも裁判所によって異なるため、依頼した弁護士に管轄裁判所の運用を確認するとよいでしょう。

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同時廃止で進んだ場合の手続きの流れ

同時廃止の手続きは、弁護士への相談から始まり、裁判所への申立てや免責の審理を経て終了します。ここでは、一般的な流れを確認しましょう。

1.弁護士への相談・依頼

借金の返済が難しくなった場合は、自己破産を含む債務整理に対応している弁護士へ相談します。借入先や残高、収入、財産、借金をした経緯などを伝え、自己破産が適しているか判断してもらいます。

正式に依頼すると、弁護士から貸金業者やクレジットカード会社などへ受任通知が送付されるのが一般的です。貸金業者や債権回収会社は、受任通知を受け取った後、正当な理由なく本人へ直接取り立てることができなくなります。

その後は、弁護士の指示に従って支払いへの対応を整理し、申立てに必要な書類や費用を準備します。ただし、税金や社会保険料などは受任通知の対象外であるため、自治体などに支払い方法を相談する必要があるでしょう。

2.必要書類の準備

自己破産を申し立てるには、財産や収入、借金の状況を裁判所へ説明する書類が必要です。主な書類には、次のようなものがあります。

  • 破産手続開始・免責許可申立書
  • 債権者一覧表
  • 財産目録
  • 陳述書
  • 住民票
  • 給与明細書や源泉徴収票
  • 預金通帳の写し
  • 保険の解約返戻金証明書
  • 家計収支表
  • 自動車や不動産に関する資料

必要な資料は、職業や保有財産、裁判所の運用によって変わります。記載漏れや不足があると申立てが遅れるため、弁護士から案内された資料を早めに集めることが大切です。

裁判所は申立書類をもとに、破産手続開始や同時廃止、免責許可の可否を判断します。虚偽の記載をすると手続きに重大な影響が生じるため、正確に申告しなければなりません。

3.裁判所への申し立て

書類がそろったら、住所地を管轄する地方裁判所へ、破産手続開始と免責許可を申し立てます。弁護士へ依頼している場合は、通常、代理人である弁護士が書類を提出します。

申立て後、裁判所は提出書類を確認し、支払不能の状態にあるか、同時廃止として処理できるかなどを審査します。

裁判所によっては、裁判官が申立人や代理人弁護士から事情を聴く破産審尋が行われます。書面だけで審査が進み、本人の出頭を求められない場合もあるでしょう。

4.破産手続開始決定および同時廃止の決定

裁判所が支払不能の状態にあると認めると、破産手続開始決定が出されます。その上で、破産手続きの費用を賄える財産がなく、破産管財人による調査も不要と判断された場合は、同時に破産手続廃止決定が下されます。

同時廃止決定後は、残った借金の責任を免除するかどうかを判断する手続きへ移ります。

5.免責審尋

免責審尋とは、裁判官が申立人から事情を聴き、免責を許可してよいか確認する手続きです。実施される場合は、破産手続開始決定から1~2カ月程度後に期日が設けられることがあります。

免責審尋で確認される主な内容は、次の通りです。

  • 申立書の内容に変更がないか
  • 新たな借り入れや財産の取得がないか
  • 借金の原因をどのように受け止めているか
  • 裁判所や弁護士の指示を守っているか
  • 今後の家計を改善する見込みがあるか

申立内容に問題がなければ、短時間の確認で終わるケースが多いでしょう。複数の申立人を同じ時間に集める集団審尋が行われる場合もあります。

一方、書面審理のみで免責が判断され、本人の出頭が省略される裁判所もあります。

6.免責許可決定

裁判所は、提出書類や免責審尋の内容、債権者から寄せられた意見などを踏まえ、免責を許可するかを判断します。問題がなければ、免責審尋後、数週間程度で免責許可決定が出されることがあります。

ただし、決定が出た時点ですぐに免責が確定するわけではありません。免責許可決定が官報に公告され、債権者などが即時抗告できる期間を経過した後に確定します。

免責が確定すると、消費者金融や銀行、クレジットカード会社などに対する借金は、原則として支払義務が免除されます。裁判所も、破産手続開始だけでは返済義務を免れず、免責許可を受ける必要があると案内しています。

一方、次のような債権は免責の対象になりません。

  • 税金や社会保険料
  • 養育費や婚姻費用
  • 罰金
  • 悪意による不法行為に基づく損害賠償金
  • 故意または重大な過失で人の生命や身体を害した場合の損害賠償金

免責確定後も支払いが残るものについては、収入や生活状況に合わせた対応が必要です。

自己破産が同時廃止になる主な条件

同時廃止で進むには、破産管財人による財産の換価や詳しい調査が不要と判断される必要があります。ここでは、主な判断要素を解説します。

換価・配当できる財産がほとんどない

同時廃止となるための中心的な条件は、債権者への配当に充てられる財産がほとんどないことです。

預貯金や自動車、保険の解約返戻金、不動産などに一定以上の価値があれば、破産管財人が財産を調査・換価する管財事件になる可能性があります。一方、財産を売却しても手続費用を賄えないと判断されれば、同時廃止で処理されることがあるでしょう。

財産額の基準は裁判所によって異なります。現金や個々の財産の金額だけではなく、財産の種類、取得経緯、処分の必要性なども含めて判断されます。

不動産を所有している場合は、売却価値を調べる必要があるため、管財事件になりやすい傾向です。ただし、住宅ローン残高が評価額を大幅に上回り、売却しても利益が見込めない場合は、同時廃止になる可能性もあります。

免責不許可事由の疑いがない

借金の原因や申立て前の行動に、免責不許可事由の疑いがないことも判断要素の一つです。

免責不許可事由とは、借金の支払義務を免除しない理由として、破産法で定められた事情を指します。代表例は、ギャンブルや過度な浪費による借金、財産隠し、虚偽の申告などです。

こうした事情があると、免責を認めてよいか詳しく調査する必要があります。そのため、配当できる財産が少なくても管財事件へ振り分けられる可能性があるでしょう。

ただし、免責不許可事由があれば必ず免責を受けられないわけではありません。事情や反省の程度、手続きへの協力状況などを考慮し、裁判所の裁量で免責が許可される場合もあります。

申し立て時点で借入状況が明確になっている

財産や借入状況が申立ての段階で明確になっていることも重要です。裁判所が追加の調査を必要としないと判断できれば、同時廃止で進みやすくなります。

債権者一覧表には、消費者金融や銀行だけではなく、親族や知人、勤務先などからの借り入れも記載しなければなりません。借り入れの時期や金額、使途についても、陳述書などで説明します。

申立内容と預金通帳や取引履歴に食い違いがあると、詳しい確認が必要になるでしょう。借入先を正確に把握できていない場合は、信用情報を開示するなどして、申立て前に整理しておく必要があります。

個人事業主や法人の代表者ではない

個人事業主や法人代表者は、給与所得者と比べて管財事件として扱われやすい傾向があります。事業用財産や取引内容を詳しく調べる必要があるためです。

個人事業主の場合、主に次のような項目が確認されます。

  • 売掛金や未回収の報酬
  • 商品や在庫
  • 事業用の機械や設備
  • リース契約中の物品
  • 取引先との入出金
  • 廃業前後の資金移動

法人代表者についても、会社と個人の財産が分けられているか、会社への貸付金や未払いの役員報酬がないかなどを確認されます。

もっとも、個人事業主や法人代表者であるだけで、必ず管財事件になるわけではありません。事業の規模や資産の有無、過去の取引状況、裁判所の運用を踏まえて判断されます。

自己破産をする際にやってはいけないこと

申立て前後に不適切な行為をすると、管財事件に移行したり、免責の判断に悪影響が生じたりする可能性があります。特に、次の行為は避けなければなりません。

新たに借り入れやカード利用をする

返済できないことを認識しながら、新たな借り入れやクレジットカードの利用を続けるのは避ける必要があります。自己破産を予定している段階で借金を増やすと、返済する意思や能力がないまま借り入れたと判断される恐れがあるためです。

消費者金融や銀行からの借り入れだけではなく、カードのキャッシング、後払い決済、携帯電話のキャリア決済なども利用しない方がよいでしょう。クレジットカードで購入した商品を換金する行為も問題になります。

生活費が不足した場合は、新たな借金で補うのではなく、弁護士へ相談した上で公的支援などを検討することが大切です。

一部の借金だけを優先して返済する

特定の債権者だけに返済する行為は、偏頗弁済として問題になる可能性があります。破産手続きでは、債権者を平等に扱うことが原則だからです。

例えば、親族や友人からの借金だけを返したり、連帯保証人に迷惑をかけたくないローンだけを支払ったりする行為が該当します。

偏頗弁済があると、返済の時期や金額、相手との関係について調査が必要です。管財事件になった場合には、破産管財人が返済を受けた相手に金銭の返還を求めることもあります。

ただし、家賃や水道光熱費など、現在の生活に必要な費用まで一律に支払えないわけではありません。どの支払いを続けるべきか分からない場合は、自己判断せず弁護士へ確認するとよいでしょう。

財産を隠したり勝手に処分したりする

預貯金や不動産、自動車などを隠したり、不当に安い価格で処分したりしてはいけません。自己破産では、保有する財産を裁判所へ正確に申告する必要があります。

財産隠しに該当する可能性がある行為には、次のようなものがあります。

  • 一部の預金口座を申告しない
  • 現金を家族に預ける
  • 預金を家族名義の口座へ移す
  • 自動車や不動産の名義を変更する
  • 保険の解約返戻金を申告しない
  • 財産を著しく安い価格で親族へ売却する

これらの行為は免責不許可事由となる恐れがあります。悪質な場合には、免責を受けられないだけではなく、刑事責任を問われる可能性も否定できません。

財産を処分する必要があるときは、事前に弁護士へ相談してください。価値が低いと思う財産についても、自分で申告の要否を判断せず、全て伝えることが重要です。

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まとめ

自己破産が同時廃止で進んだ場合、裁判所への申立てから免責許可決定の確定までは、一般的に3~6カ月程度が目安です。弁護士への依頼後に行う資料収集や費用の準備を含めると、全体で6~8カ月程度かかる場合があります。

同時廃止は、債権者へ配当できる財産がほとんどなく、破産管財人による調査も不要と判断された場合に選択される手続きです。管財事件より費用や負担を抑えやすい一方、同時廃止で進むかどうかは裁判所が判断します。

また新たな借り入れや偏頗弁済、財産隠しなどを行うと、手続きが長引いたり、免責の判断に影響したりする恐れがあります。自己破産を検討し始めた段階で弁護士に相談し、適切な対応を確認することが大切です。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。