債務整理
2026/09/18
自己破産ができないと言われた!理由やできない場合の対処法を解説

借金の返済が苦しくなり自己破産を検討しているものの、「自己破産はできない」と言われて不安を感じている方もいるのではないでしょうか。自己破産には法律上の要件があり、申し立てれば必ず借金の支払い義務が免除されるわけではありません。
また、弁護士に依頼を断られても、裁判所で自己破産が認められないと決まったとは限らない点に注意が必要です。費用や受任方針など、手続きの可否とは別の理由で断られることもあります。
自己破産が難しい場合でも、個人再生や任意整理など別の解決方法を選べる可能性があります。まずはできないと言われた理由を確認し、自分の収入や財産、借金の内容に合う方法を検討することが大切です。
【この記事で分かること】
- 自己破産が認められない主な理由と「支払不能」の考え方
- ギャンブルや財産隠し、偏頗弁済などの免責不許可事由
- 自己破産を断られた場合に検討できる債務整理や支援制度
自己破産をできない主な理由
自己破産を利用するには、支払不能であることなどの条件を満たす必要があります。また、免責されない債務が中心である場合や、手続きに必要な費用を用意できない場合も、自己破産による解決が難しくなるでしょう。
ここでは、自己破産ができないと判断される主な理由について詳しく解説します。
借金の返済が可能だと判断されたから
自己破産の前提となるのは、債務者が「支払不能」の状態にあることです。支払不能とは、一時的に返済が苦しいだけではなく、収入や財産を考慮しても継続的に借金を返済できない状態を指します。
該当するかどうかは、本人の感覚だけで決まるものではありません。裁判所が借金総額、毎月の収入と支出、保有財産、年齢や職業などを踏まえて判断します。
例えば、借金額が比較的少なく、安定した収入から分割返済できる場合は、支払不能とは認められない可能性があります。借金を上回る預貯金や不動産などを保有している場合も、まずは財産を返済に充てる余地があると考えられるでしょう。
ただし、借金額だけを基準に判断するわけではありません。同じ金額の借金でも、収入や家族構成、必要な生活費によって返済可能性は異なります。自己判断で諦めず、家計や財産の状況を整理した上で専門家に確認することが重要です。
手続きにかかる費用を準備できないから
自己破産の申し立てには、申立手数料や郵便切手代、官報公告費などがかかります。管財事件となる場合は、破産管財人の業務に充てる引継予納金も必要です。
弁護士へ依頼する場合は、裁判所に納める費用とは別に弁護士費用が発生します。費用を全く準備できなければ、必要書類をそろえても申し立てまで進められないことがあるでしょう。
もっとも、一括払いが難しいだけで、直ちに自己破産ができなくなるわけではありません。分割払いに対応する法律事務所もあり、一定の基準を満たせば法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合もあります。費用面の対処法は、後の見出しで詳しく紹介します。
借金の大半が非免責債権だから
自己破産で免責許可を受けても、全ての支払い義務がなくなるわけではありません。法律上、免責の対象にならない「非免責債権」があります。
主な非免責債権は、税金や国民年金保険料、健康保険料などの公租公課、養育費、婚姻費用などです。悪意による不法行為に基づく損害賠償請求権なども、免責されない場合があります。
債務の大半が非免責債権であれば、自己破産をしても負担がほとんど減らないかもしれません。その場合は、役所と分納について相談するなど、債務の性質に応じた対応が必要です。
一方、消費者金融やカード会社への借金など、免責対象となる債務も抱えているなら、自己破産に一定の効果を期待できます。非免責債権があるというだけで手続き自体が禁止されるわけではないため、債務の内訳を確認して判断することが大切でしょう。
手続きに非協力的な態度を取っているから
自己破産では、裁判所や破産管財人による調査に協力しなければなりません。借金や財産の状況を正確に申告し、求められた資料や説明を提出する必要があります。
正当な理由なく説明を拒んだり、必要な資料を故意に提出しなかったりすると、手続きが進まなくなる可能性があります。財産や借り入れについて虚偽の説明をした場合は、免責不許可事由に該当するおそれもあるでしょう。
通帳の履歴や財産の処分などに不安な点があっても、隠すことは避けるべきです。問題がある場合は、経緯を弁護士へ説明し、裁判所や破産管財人にどのように報告するか検討する必要があります。
申し立ての目的が不当だと判断されたから
自己破産は、経済的に行き詰まった人の生活再建を図るための制度です。債権者を害する目的など、制度の趣旨に反する申し立ては認められない可能性があります。
例えば、財産を隠したまま借金だけを免れようとする場合や、手続きを進める意思がなく、強制執行を妨げる目的だけで申し立てる場合などです。申立てが不誠実であると判断されれば、却下や棄却につながることがあります。
財産隠しや虚偽申告の程度が悪質であれば、免責が認められないだけでは済まないケースもあります。詐欺破産罪などの刑事責任を問われるおそれがあるため、正確な情報を申告する姿勢が欠かせません。
自己破産が認められなくなる「免責不許可事由」とは?
免責不許可事由とは、免責を認めることが適切でないとされる一定の行為です。ただし、該当しても必ず免責不許可になるとは限らず、事情によっては裁量免責が認められます。
ここでは、代表的な免責不許可事由について解説します。
ギャンブルや過度な浪費で借金を作った
収入や財産に見合わない浪費やギャンブルによって財産を著しく減らしたり、過大な借金を負ったりした場合は、免責不許可事由に該当する可能性があります。
対象となり得るのは、パチンコや競馬などのギャンブルだけではありません。高額なブランド品の購入、頻繁な旅行や外食、FXや株式の信用取引といった投機的取引も含まれます。ただし、少額の娯楽費を使っただけで直ちに問題になるわけではなく、借金の額や期間、家計への影響などを踏まえて判断されるでしょう。
ギャンブルや浪費が原因でも、裁量免責を受けられるケースがあります。支出をやめて家計を改善しているか、依存症の治療を受けているか、手続きに誠実に協力しているかなどが考慮されます。原因を隠さず、再発防止に取り組むことが重要です。
財産を隠す、あるいは不当に安く処分した
自己破産では、一定の財産を換価し、債権者へ公平に配当することがあります。そのため、配当を免れる目的で財産を隠したり、価値を不当に減少させたりする行為は問題になります。
例えば、預貯金を引き出して隠す、自動車や不動産を親族名義へ変更する、時価より著しく安い金額で知人へ譲る行為などです。破産前に財産を移しても、通帳や登記、取引履歴などから発覚する可能性があります。
不当な処分が判明すれば、破産管財人が財産を取り戻す手続きを行う場合があります。免責判断でも不利になり、悪質なケースでは刑事責任が生じるおそれもあるでしょう。財産を処分する必要がある場合は、実行前に弁護士へ相談することが安全です。
クレジットカードを現金化した
クレジットカードのショッピング枠で商品を購入し、すぐに売却して現金を得る行為は、免責不許可事由に該当する可能性があります。
典型例は、換金性の高い商品をカードで購入し、買取業者へ安く売却するケースです。債務を増やしながら、購入価格より少ない現金しか得られないため、財産を不利益な条件で処分したと評価されることがあります。
多くのカード会社は会員規約でも現金化を禁止しています。自己破産を検討するほど返済が難しい状態で利用を続ければ、手続きへの影響が大きくなるでしょう。
すでに現金化をしていても、事実を隠すべきではありません。利用時期や金額、得た現金の使途を整理し、弁護士へ正確に伝える必要があります。
一部の債権者だけに優先して返済をした
支払不能の状態で、特定の債権者だけへ優先的に返済する行為は「偏頗弁済」と呼ばれます。債権者を平等に扱うという破産手続きの原則に反するため、免責不許可事由となる可能性があります。
例えば、親族や知人からの借金だけを返す、保証人に請求が及ばないよう特定のローンだけ完済する行為などです。車を残すために自動車ローンだけを支払い続けた場合も、状況によっては問題となるでしょう。
日常生活に必要な支払いまで全て禁止されるわけではありませんが、どの支払いが問題になるかを本人が判断するのは困難です。自己破産を検討し始めた後は、特定の相手へ独断で返済せず、弁護士の助言を受けることが望まれます。
収入を偽るなど相手をだまして借金をした
返済能力がないことを隠し、相手をだまして借り入れや信用取引をした場合は、免責不許可事由に該当し得ます。
例えば、ローンの審査で実際より収入を多く記載する、他社からの借入額を少なく申告する、勤務先を偽るといった行為です。すでに返済できないと分かっているのに、返す意思があるように装って新たな借金をした場合も問題になります。
自己破産の直前に行った借り入れは、使途や申込時の状況を詳しく確認されることがあります。ただし、申立て前の借り入れが全て詐術に当たるわけではありません。生活費の不足を補うために借りた事情なども含め、個別に判断されます。
過去7年以内に免責許可を受けた
過去に自己破産で免責許可を受け、その決定が確定した日から7年以内に再び免責を申し立てた場合は、免責不許可事由に該当します。
この制限は、短期間に免責を繰り返すことを防ぐためのものです。給与所得者等再生で再生計画認可決定を受けた場合や、個人再生でハードシップ免責を受けた場合なども、一定の要件に該当すると7年間の制限が関係します。
ただし、7年以内であっても自己破産の申し立て自体が一律に禁止されるわけではありません。また、免責不許可事由があっても裁量免責の余地は残されています。前回の手続き後に再び借金を抱えた経緯や、現在の生活状況を踏まえた慎重な判断が必要です。
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弁護士に自己破産の依頼を断られるケース
弁護士に断られたことと、裁判所で自己破産が認められないことは同じではありません。免責の見込みのほか、費用や信頼関係、事務所側の事情も受任判断に影響します。
ここでは、弁護士に自己破産の依頼を断られる主なケースについて解説します。
免責の見込みが極めて低いと判断された場合
財産隠しなどの免責不許可事由があり、事情を踏まえても免責される見込みが極めて低いと判断された場合、弁護士が受任を見送ることがあります。依頼を受けても借金問題を解決できず、費用や時間だけがかかる可能性があるためです。
ただし、裁量免責の見通しは、行為の内容や反省状況、家計改善への取り組みなどによって変わります。弁護士ごとに経験や判断が異なる場合もあるため、一度断られただけで免責の可能性がないと決めつける必要はありません。
弁護士費用を支払える見込みがない場合
弁護士費用や裁判所へ納める費用を確保できる見通しが立たない場合、受任後に手続きが止まるおそれがあります。そのため、事務所によっては依頼を断ることがあるでしょう。
一方、費用の支払方法は法律事務所ごとに異なります。分割払いに対応している事務所もあり、受任通知の送付後に債権者への返済を止め、その間に費用を積み立てる方法が採られる場合もあります。
法テラスを利用できる可能性もあるため、費用がないことを隠す必要はありません。毎月いくらなら準備できるかを含め、相談時に率直に伝えることが大切です。
信頼関係を築けないと判断された場合
自己破産では、弁護士が依頼者から正確な情報を受け取り、裁判所へ提出する書類を作成します。連絡が取れない、資料が提出されない、説明内容が何度も変わるといった状況では、適切な代理業務を続けることが難しくなります。
特に、財産や借り入れを意図的に隠したり、弁護士の助言に反して新たな借り入れや偏頗弁済を行ったりすれば、信頼関係が損なわれるでしょう。受任前に断られるだけでなく、契約後に辞任される可能性もあります。
分からないことや言いにくい事情がある場合も、黙ったままにせず説明する必要があります。問題を早い段階で共有した方が、手続きへの影響を抑える方法を検討しやすくなります。
他の手段の方が適していると判断された場合
返済能力や残したい財産の状況によっては、自己破産より個人再生や任意整理の方が適していることがあります。この場合、弁護士が自己破産を受任せず、別の方法を提案することもあるでしょう。
例えば、一定の収入があり、減額後の借金を返済できるなら個人再生を検討できます。元金を返済できる見込みがあり、利息負担を軽くすれば完済できる場合は任意整理が候補です。
これは単なる受任拒否ではなく、依頼者に適した解決策を選ぶための判断です。自己破産にこだわらず、各手続きの効果や条件を比較する必要があります。
自己破産を専門としていない弁護士の場合
弁護士にはそれぞれ注力分野があります。企業法務、離婚、相続などを中心に扱い、自己破産や債務整理をほとんど受任していない事務所もあるでしょう。
また、案件数が多く新規依頼を受けられない場合や、借入先の金融機関と利益相反がある場合も受任できません。これらは、依頼者が自己破産の要件を満たすかどうかとは別の問題です。
相談先の取扱分野や実績を確認し、債務整理に対応している事務所を選ぶことが重要です。
自己破産をできないと言われた場合の対処法
自己破産が難しくても、借金問題の解決方法がなくなるとは限りません。断られた理由に応じて、別の債務整理や費用支援、他の法律事務所への相談を検討します。
ここでは、自己破産が難しいと判断された場合に検討したい主な対処法について解説します。
個人再生を検討する
個人再生は、裁判所に再生計画を認めてもらい、減額された借金を原則3年、最長5年で返済する手続きです。借金額や保有財産などによって最低弁済額が決まり、自己破産のように全額免除を目指す制度ではありません。
個人再生には、自己破産のような免責不許可事由がありません。そのため、ギャンブルや浪費が借金の原因でも、法律上の要件を満たせば利用できる可能性があります。ただし、不正な目的で申し立てる場合などは認められません。
住宅資金特別条項を利用できれば、住宅ローンを支払いながら、その他の借金を整理できる場合があります。持ち家を残したい方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
一方、減額後の借金は継続して返済する必要があります。安定した収入があり、再生計画どおりに返済できる見込みが求められます。
任意整理を検討する
任意整理は、弁護士などが債権者と交渉し、将来利息のカットや返済期間の見直しを目指す手続きです。裁判所を利用せず、対象とする債権者を選べる点に特徴があります。
例えば、保証人付きの借金を対象から外し、保証人への一括請求を避ける方法を検討できます。自動車ローンを除外して支払いを続け、車を残せる可能性もあるでしょう。
ただし、任意整理では元金が大幅に減るとは限りません。和解後の借金を一般に3~5年程度で返済できる収入が必要です。借金額が大きく、利息をなくしても返済できない場合は、個人再生などを検討することになります。
民事法律扶助制度の利用を検討する
費用が原因で自己破産を進められない場合は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。収入や資産などが一定基準以下で、勝訴の見込みがないとはいえないことなどが主な条件です。
制度を利用すると、弁護士費用や司法書士費用を法テラスが立て替え、利用者は原則として分割で返済します。生活保護受給者などは、状況に応じて返済の猶予や免除を受けられる場合もあります。
ただし、自己破産に必要な全ての費用が立替対象になるとは限りません。管財事件の引継予納金などは、原則として別途準備が必要です。対象となる費用や審査基準は、法テラスや相談先の弁護士に確認するとよいでしょう。
債務整理の実績が豊富な事務所へ相談する
一つの事務所に断られても、別の弁護士なら受任できる場合があります。免責不許可事由がある案件では、裁量免責を得るための説明や資料の準備について、経験の差が対応方針に表れることもあるでしょう。
ただし、複数の弁護士へ相談する際は、都合の悪い事情も含めて同じ情報を伝えることが大切です。説明内容が異なれば、適切な見通しを示してもらえません。
自己破産の可否だけでなく、個人再生や任意整理を含めて相談できる事務所を選ぶと、状況に合う解決策を比較しやすくなります。最初に断られた理由を確認した上で、必要に応じてセカンドオピニオンを求めるとよいでしょう。
まとめ
自己破産ができないと言われる主な理由は、支払不能と認められないこと、必要な費用を用意できないこと、債務の大半が非免責債権であることなどです。ギャンブルや浪費、財産隠し、偏頗弁済などがある場合は、免責不許可事由に該当する可能性もあります。
ただし、免責不許可事由があっても、事情によっては裁量免責が認められます。また、弁護士に依頼を断られたからといって、裁判所で自己破産が認められないと決まったわけではありません。
自己破産が難しい場合は、個人再生や任意整理を利用できる可能性があります。費用を準備できないときは、分割払いに対応する法律事務所や法テラスの民事法律扶助制度も選択肢です。
ライズ綜合法律事務所では、借金問題に関する相談を受け付けています。自己破産が可能か分からない方や、他の事務所で断られた方も、まずはお気軽にお問い合わせください。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。