債務整理

2026/09/18

自己破産してもパスポートは取得できる?制限なしで海外旅行へ行ける?

自己破産してもパスポートは取得できる?制限なしで海外旅行へ行ける?

自己破産を検討している方の中には、パスポートが使えなくなったり、海外旅行や海外出張に行けなくなったりするのではないかと不安を感じる方もいるでしょう。

自己破産をしても、パスポートが失効したり、新たに取得できなくなったりするわけではありません。ただし、破産手続き中の海外渡航は、同時廃止事件と管財事件で扱いが異なります。

特に管財事件では、裁判所の許可を得ずに居住地を離れることができません。渡航の目的や費用、手続きへの影響によっては許可されない可能性もあります。

本記事では、自己破産とパスポートの関係、手続き前後の海外渡航、許可申請時の注意点を解説します。

【この記事で分かること】

  • 自己破産をしてもパスポートの取得や更新が可能なのか
  • 自己破産の手続き前後や手続き中に海外旅行・海外出張ができる条件
  • 同時廃止事件と管財事件の違いや、免責不許可リスクを避けるための注意点

自己破産をしてもパスポートの取得や更新はできる?

自己破産をしても、パスポートの取得や更新は原則として可能です。現在持っているパスポートが、自己破産を理由に失効したり没収されたりすることもありません。

旅券法には、パスポートの発給を制限できる事由が定められています。しかし、自己破産は発給制限事由に含まれていません。破産手続き中でも免責許可決定の確定後でも、通常の要件を満たせば申請できます。

パスポートに自己破産の事実が記載されることもなく、破産したこと自体が出入国を妨げる原因にはならないでしょう。

ただし、パスポートを取得できることと、破産手続き中に自由に海外へ行けることは別の問題です。管財事件では居住地を離れる際に裁判所の許可が必要になるため、渡航前の確認が欠かせません。

自己破産後のパスポートの手続き方法

自己破産後も、一般の申請者と同じ方法でパスポートを申請できます。自己破産に関する申告や、破産手続きの書類を提出する必要はありません。

新規取得の手続き

初めてパスポートを取得する場合や、有効期限切れ後に改めて申請する場合も、自己破産による特別な手続きはありません。申請窓口では、旅券法に基づく発給要件や本人確認などが行われます。

一般的な必要書類は次の通りです。

  • 一般旅券発給申請書
  • 戸籍謄本
  • パスポート用写真
  • 本人確認書類

必要書類や受取方法は申請先によって異なることがあるため、都道府県の旅券窓口などで事前に確認するとよいでしょう。

なお、管財事件の手続き中にパスポートを取得できたとしても、それだけで海外へ渡航できるわけではありません。実際に出国する際は、裁判所の許可が必要になる場合があります。

更新の手続き

現在持っているパスポートの有効期間が短くなった場合も、通常の切替申請が可能です。自己破産をしたことによって、更新時の必要書類が増えたり、特別な審査を受けたりすることは基本的にありません。

有効期限が切れた後は、新規発給として申請します。

海外旅行や海外出張を予定している方は、渡航先が求める残存有効期間にも注意が必要です。国や地域によっては、入国時に一定期間以上の有効期間が残っていることを条件としている場合があります。

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自己破産の手続き前に海外旅行をするリスク

破産手続きの開始前には、海外渡航そのものを禁止する法律上の制限はありません。ただし、返済が困難な時期に高額な旅行費用を支出すると、後の破産手続きに影響する可能性があります。

自己破産では、借金が増えた経緯や申立て前の財産処分、収支の状況などが確認されます。返済できないことを認識しながらぜいたくな旅行をした場合は、浪費として扱われることがあるでしょう。

浪費は免責不許可事由の一つです。該当しただけで直ちに免責されなくなるとは限りませんが、裁判所や破産管財人から詳しい説明を求められ、管財事件として調査される可能性があります。

特に、旅行代金をクレジットカードで決済したり、旅行のために新たな借り入れをしたりする行為には注意が必要です。返済する意思や能力がない状態で信用取引を利用したと評価される恐れもあります。

破産申立てを考えている時期は、次のような行為を避けた方がよいでしょう。

  • 収入や家計に見合わない高額な旅行をする
  • 旅行費用のために借り入れやカード決済を増やす
  • 財産や支出の内容を弁護士へ申告しない
  • 旅行費用の出所を説明できない状態にする

仕事上の出張や親族の事情など、渡航の必要性が高い場合もあります。予定があるときは予約や支払いを進める前に、依頼予定の弁護士へ事情を伝えることが大切です。

自己破産の手続き中における海外旅行の制限

手続き中の渡航可否は、同時廃止事件か管財事件かによって異なります。主な違いは以下の通りです。

項目

同時廃止事件

管財事件

海外渡航

原則可能

裁判所の許可が必要

破産管財人

選任されない

選任される

主な注意点

裁判所の期日への出頭

無断で居住地を離れない

同時廃止事件では制限がない

同時廃止事件は、換価して債権者への配当に充てる財産がほとんどなく、破産管財人による調査も必要ないと判断された場合に行われる手続きです。

同時廃止事件では、破産法上の居住制限は課されません。裁判所の許可を得なくても、原則として海外旅行や海外出張へ行けます。

ただし、手続き中であることに変わりはありません。裁判所から免責審尋などの期日を指定された場合は、出頭できるよう日程を調整する必要があります。

また、高額な旅行によって家計が悪化したり、新たな借金をしたりすれば、免責判断に影響する可能性もあるでしょう。同時廃止事件だから何をしても問題にならないわけではありません。

管財事件では裁判所の許可が必要

一定以上の財産がある場合や、免責不許可事由について調査が必要な場合は、管財事件として進められます。

管財事件の破産者は、裁判所の許可を得ずに居住地を離れることができません。海外渡航だけでなく、長期の国内出張や引っ越しなども制限の対象になり得ます。

この制限は、裁判所や破産管財人が破産者と連絡を取り、財産調査や面談を滞りなく進めるためのものです。そのため、海外へ行く必要がある場合は、弁護士や破産管財人へ事前に相談し、裁判所の許可を得なければなりません。

仕事上不可欠な出張、近親者の冠婚葬祭、治療など、やむを得ない事情があれば許可される可能性があります。一方、観光だけを目的とする旅行や、費用の出所が不明な渡航は認められにくいでしょう。

無断で海外へ行くと、手続きへの協力義務を果たしていないと評価される恐れがあります。免責判断への影響や手続きの長期化を避けるためにも、許可を得る前に航空券などを予約しない方が安全です。

自己破産の手続き中に海外旅行が認められやすいケース

管財事件でも、必要性や緊急性が高く、破産手続きへの影響が小さいと判断されれば、海外渡航を許可される可能性があります。

業務上必要な海外出張

本人が渡航しなければ勤務先の業務に重大な支障が出る場合は、許可を得られる可能性があります。例えば、本人しか対応できない技術業務や、海外での重要な商談などです。

単に仕事の予定があるだけでは、渡航の必要性を十分に示せないことがあります。出張命令書、会議の日程表、勤務先の説明書などを用意し、本人が出向く必要があることを明らかにする必要があるでしょう。

出張費を勤務先が負担する場合は、その事実も説明します。破産者本人の財産から多額の費用を支出しないことが分かれば、費用面の懸念を抑えやすくなります。

親族の葬儀や危篤

海外にいる近親者の危篤や葬儀は、緊急性や人道上の必要性が考慮されやすい事情です。親、配偶者、子どもなどとの関係が近いほど、渡航の必要性が高いと評価される可能性があります。

申請時には、診断書、死亡証明書、葬儀の日程が分かる案内などが必要になることがあります。急な連絡を受けた場合でも、無断で出国せず、すぐに弁護士や破産管財人へ連絡することが重要です。

出発まで時間がないときは、どの資料を先に提出できるかも含めて相談します。事情を隠さず、帰国予定や連絡方法まで伝えると手続きを進めやすいでしょう。

親族の結婚式

親族の結婚式への出席も、関係性や日程、渡航期間などによっては許可される可能性があります。ただし、危篤や葬儀ほど緊急性が高いとは限らず、観光を兼ねた旅行と見られないようにする必要があります。

招待状や式場の案内、親族関係を確認できる資料などを提出し、渡航目的を明確にすることが大切です。滞在期間も、結婚式への出席に必要な範囲で設定した方が説明しやすいでしょう。

旅行費用の出所も確認されます。親族が費用を負担する場合や、破産手続開始後に得た収入から支出する場合は、送金記録や口座履歴などで説明できるようにしておく必要があります。

海外で行う必要がある治療

国内では受けられない治療を海外で受ける必要がある場合は、生命や健康に関わる事情として考慮されるでしょう。

医療目的であっても、希望する治療であれば無条件に許可されるわけではありません。診断書や紹介状、治療計画書、海外医療機関の予約票などを用いて、治療の必要性と渡航先を選ぶ理由を示す必要があります。

高額な治療費や渡航費がかかる場合は、その負担者と資金の出所も重要です。親族から援助を受けるときは、援助の内容や返済義務の有無についても説明を求められる可能性があります。

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自己破産中に海外旅行の許可を得るためのポイント

許可の可否は、渡航理由だけで決まるわけではありません。費用の妥当性や日程、証明資料、破産手続きへの影響も含めて判断されます。

渡航の目的や費用が妥当であることを説明する

まず、海外へ行かなければならない理由を具体的に説明する必要があります。仕事、冠婚葬祭、治療などの事情があっても、国内やオンラインで代替できると判断されれば、必要性が低いと見られるかもしれません。

渡航先、滞在期間、現地での予定も明確にします。目的に対して滞在期間が長すぎたり、観光の日程が多かったりすると、許可を得にくくなる可能性があります。

費用については、金額と支払者を説明できる状態にしておきます。会社負担、親族からの援助、手続開始後の収入など、破産財団に属する財産を使わないことが分かる資料を用意するとよいでしょう。

出張命令書や診断書、案内状などを用意する

裁判所へ申し立てる際は、渡航理由を裏付ける資料が必要です。口頭での説明だけでなく、第三者が作成した書類を示すことで、必要性や日程の信頼性が高まります。

主な資料は次の通りです。

  • 海外出張の出張命令書や会議日程
  • 危篤を示す診断書や葬儀の案内
  • 結婚式の招待状や式場の案内
  • 治療の診断書、紹介状、予約票
  • 航空便や宿泊先を確認できる予定表
  • 費用負担者や資金の流れが分かる資料

必要な資料は、渡航理由や裁判所の運用によって異なります。申請直前に不足が判明しないよう、弁護士へ早めに確認することが重要です。

面談や債権者集会の期日と重ならないようにする

管財事件では、破産管財人との面談や債権者集会などが予定されます。本人の出席が必要な期日と渡航日程が重なる場合は、手続きへの支障が大きいと判断されるでしょう。

海外滞在中に追加資料の提出や事実確認を求められることもあります。電話やメールなどの連絡手段を確保し、必要な連絡へ速やかに対応できる状態にしておく必要があります。

日程を調整する際は、出発日と帰国日だけでなく、移動時間や時差も考慮します。帰国の遅延が起きても期日に間に合うよう、余裕を持たせた計画が望ましいでしょう。

海外旅行の許可を得る際に必要な対応

管財事件で海外渡航を希望する場合は、予約を進める前に弁護士や破産管財人へ相談し、裁判所への申立てを行います。

弁護士や破産管財人に相談する

まず申立代理人である弁護士に、渡航の目的、行き先、期間、費用、現地での連絡先を伝えます。弁護士は必要に応じて破産管財人へ事情を説明し、裁判所へ提出する書類を準備します。

一般的には、破産管財人の意見を確認した上で、裁判所へ海外渡航の許可を申し立てる流れです。ただし、具体的な手続きや提出書類は裁判所によって異なる場合があります。

許可が出る前にキャンセルできない航空券や宿泊施設を予約すると、渡航できなかった際に費用を失うかもしれません。予約が必要な場合は、取消条件も確認しておくと安心です。

現地での連絡手段を準備する

海外滞在中も、弁護士や破産管財人からの連絡に応じられる状態を整えます。利用できる電話番号やメールアドレス、滞在先などを事前に伝えておく必要があるでしょう。

通信環境によっては、日本国内で使っている電話番号をそのまま利用できない場合があります。海外ローミングや現地の通信手段を確認し、連絡が途切れないよう準備することが大切です。

また、必要書類をすぐ確認できるよう、重要な資料を安全な方法で保存しておくと対応しやすくなります。

余裕をもって申請する

海外渡航の許可は、申し立てれば直ちに得られるとは限りません。資料の追加提出や説明の補足を求められれば、判断までに時間がかかる可能性があります。

特に結婚式や出張など、予定を早く把握できる渡航は、日程が分かった段階で相談した方がよいでしょう。危篤など緊急の場合も、分かった時点ですぐに連絡する必要があります。

出発直前の申請では、裁判所の判断が間に合わないことも考えられます。許可を前提に支払いを確定させず、手続きに要する期間を見込んで準備を進めることが重要です。

自己破産後の海外旅行での決済手段

自己破産後は、クレジットカードが解約されたり、新規発行の審査に通りにくくなったりします。海外で利用できる代替手段を複数準備しておくと安心です。

決済手段

審査

特徴

デビットカード

原則として与信審査なし

口座残高の範囲で利用

プリペイドカード

原則不要

チャージ残高の範囲で利用

家族カード

本会員が審査対象

利用代金は本会員へ請求

デビットカード

デビットカードは、決済と同時に銀行口座から代金が引き落とされるカードです。後払いではないため、一般的にはクレジットカードのような与信審査を受けずに発行できます。

国際ブランドが付いたカードであれば、海外の対応店舗やATMで利用できる場合があります。口座残高を超えて使うことができないため、旅行中の支出を管理しやすい点もメリットです。

ただし、ホテルやレンタカー会社、機内販売などでは利用できないことがあります。デポジットを求められる施設では、残高が一時的に確保される場合もあるため、利用条件を確認しておきましょう。

プリペイドカード

プリペイドカードは、事前に入金した残高の範囲で使う前払い式のカードです。与信審査が原則としてなく、自己破産後も利用しやすいでしょう。

国際ブランド付きで海外利用に対応していれば、現地の加盟店で決済できます。使える金額が決まっているため、予算を超えにくい点も特徴です。

一方、残高不足になると決済できません。海外から追加チャージできるか、利用できない国や店舗がないか、為替手数料がいくらかを出発前に確認する必要があります。

家族カード

家族カードは、クレジットカードの本会員が家族向けに追加発行するカードです。通常は本会員の信用を基に発行されるため、自己破産した本人でも家族カードを持てる場合があります。

クレジットカードの提示が必要なホテルやレンタカーで利用できる可能性がある点はメリットです。ただし、カード会社の発行条件や加盟店の取扱いによっては利用できない場合もあります。

利用代金は本会員へ請求されるため、事前に利用上限や精算方法を話し合うことが欠かせません。家族に無断で利用したり、返済できないほど使ったりすることは避けるべきです。

毎月の返済が
不安になってきた方へ

いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です

  • 相談料は何度でも0円
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自己破産によるビザ・在留資格への影響

自己破産は犯罪ではないため、破産した事実だけを理由に、日本のパスポートや在留資格が当然に失われるわけではありません。

ただし、外国のビザは渡航先の国が独自の基準で審査します。申請書で資産、収入、雇用状況などを尋ねられる場合は、自己破産後の経済状況が間接的に影響する可能性もあるでしょう。必要な申告は正確に行い、渡航先の大使館や領事館などで最新の要件を確認することが大切です。

日本の在留資格についても、自己破産だけで直ちに取消しや更新拒否となるわけではありません。一方、これから永住許可を申請する場合は、独立した生計を営めるかなどが審査されます。

自己破産直後で収入や生活基盤が不安定な場合は、永住許可の審査に影響する可能性があります。申請を予定している方は、安定した収入や納税状況などを整えた上で、行政書士や入管業務を扱う専門家へ確認するとよいでしょう。

まとめ

自己破産をしても、パスポートの取得や更新は可能です。現在のパスポートが自己破産を理由に失効することもなく、パスポートへ破産の事実が記載されるわけでもありません。

同時廃止事件では、原則として裁判所の許可なく海外へ渡航できます。ただし、裁判所の期日への出頭や、家計に見合わない高額な支出には注意が必要です。

管財事件では、海外旅行や海外出張の前に裁判所の許可を得なければなりません。仕事、近親者の冠婚葬祭、海外での治療など必要性の高い事情があり、費用や日程にも問題がなければ、許可される可能性があります。

無断で渡航すると、手続きへの協力姿勢や免責判断に悪影響を及ぼす恐れがあります。海外へ行く予定がある場合は、予約や支払いの前に弁護士へ相談し、必要な手続きを確認することが大切です。

ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があります。電話・メール・LINEによるお問い合わせに対応しており、相談料は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。