債務整理
2026/09/29
自己破産をしたらパソコン等の財産は没収される?ゲーミングPCやゲーム機は?

借金の返済が難しくなり自己破産を検討している中で、仕事や副業、家計管理に使っているパソコンまで処分されるのか不安に感じる方もいるかもしれません。特に、ローンや分割払いが残っている場合は、手続き後も使い続けられるのか気になるところではないでしょうか。
結論からいえば、自己破産をしてもパソコンが必ず処分されるわけではありません。本記事では、パソコンを手元に残せる理由や処分される可能性があるケース、ローンが残っている場合の注意点などを解説します。自己判断で売却や返済を進める前に、財産の扱いを正しく理解しておきましょう。
【この記事で分かること】
- 自己破産をしてもパソコンやゲーム機を手元に残せる条件
- 高額なパソコンやローンが残っている端末が処分・回収されるケース
- パソコンを残すために検討できる方法と避けるべき行動
自己破産をしてもパソコンを手元に残せる主な理由
自己破産では、一定の価値がある財産を換価し、債権者への配当に充てるのが原則です。ただし、生活に必要な財産まで一律に処分されるわけではありません。
一般的なパソコンは、年数の経過や新機種の登場によって中古価格が下がりやすい製品です。購入時に高額でも、手続き時点の売却価値が低ければ、換価されずに使い続けられる可能性があります。
また仕事に欠かせない道具は処分の対象にならない場合があります。在宅勤務や個人事業にパソコンが不可欠で、代替手段がないケースなどです。
ただし、仕事に使用しているだけで必ず残せるとは限りません。中古価格や台数、業務上の必要性などを踏まえ、裁判所や破産管財人が個別に判断します。
換価の目安として20万円が用いられることがありますが、法律で全国一律に定められた基準ではありません。財産の分類や合算方法は裁判所によって異なるため、申立先の運用を確認する必要があります。
ゲーミングPCやゲーム機はどうなる?
ゲーミングPCも、名称ではなく中古市場での売却価値を基準に扱いが決まります。そのため、ゲーミングPCだからという理由だけで処分されるわけではありません。
一方、高性能なCPUやグラフィックボードを搭載した新しい機種は、中古品でも高値が付くことがあります。基準を上回ると判断されれば、破産管財人によって売却される可能性があるでしょう。
仕事にも使用している場合は、その必要性も判断材料になります。ただし、安価な機種で業務を続けられるなら、高額なゲーミングPCを残す必要性は認められにくいと考えられます。
家庭用ゲーム機やゲームソフトも同様です。一般的な機種やソフトは換価価値が低く、そのまま所有できる場合が多いものの、限定モデルやプレミア価格が付いたソフトは処分の対象になり得ます。
自己破産でパソコンが処分される可能性があるケース
一般的なパソコンは手元に残せることが多い一方、価値や契約状況によっては売却または回収の対象になります。主なケースは以下の通りです。
- 中古市場での評価額が申立先の換価基準を上回る
- 分割払いやローンの返済が残っている
破産管財人による換価と、販売会社や信販会社による回収は別の仕組みです。本人所有のパソコンは換価価値を基準に判断されますが、所有権が販売会社などに残っている場合は、契約に基づいて返却を求められることがあります。
評価額が20万円を超える場合
判断材料となるのは購入価格ではなく、自己破産の手続き時点で売却した場合の価格です。例えば、50万円で購入したパソコンでも、使用年数や状態によって中古価格が下がっていれば、換価されないことがあります。
反対に、購入したばかりの高性能モデルや人気機種は、中古市場でも高値が付くでしょう。申立先の換価基準を上回れば、破産財団に組み入れられ、売却される可能性があります。
評価額は、中古販売店の査定額や買取価格、機種、購入時期、使用状態などを基に算定されます。先述のように、20万円は全国一律の基準ではないため、財産1点ごとに判断するのか、同じ種類の財産を合算するのかも裁判所によって異なります。
分割払いやローンが残っている場合
分割払いやローンで購入したパソコンには、完済するまで所有権を販売会社や信販会社に残す「所有権留保」が設定されている場合があります。
自己破産によって支払いを停止すると、所有者からパソコンの返却を求められる可能性があるでしょう。これは、本人の財産を破産管財人が換価するのではなく、所有者が自らの物を回収する手続きです。
ただし、残債があれば必ず回収されるわけではありません。パソコンの価値が低く、回収や売却にかかる費用に見合わない場合は、引き揚げが行われないこともあります。
クレジットカードで購入したケースを含め、回収の可否は契約内容によって異なります。購入先や支払方法、残額が分かる資料を用意し、弁護士へ伝えることが大切です。
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パソコンのローンが残っている場合のNG行動
ローンが残るパソコンを手元に置きたい場合でも、特定の債権者だけに返済したり、財産を隠したりしてはいけません。不適切な行動は手続きを複雑にし、免責の判断に影響する恐れがあります。
避けるべき主な行動は、以下の3つです。
- パソコンのローンだけを優先して返済する
- パソコンの存在や購入状況を隠す
- 弁護士や所有者に相談せず売却・換金する
ローン会社への返済を優先して行う
パソコンを回収されたくないからといって、その購入代金だけを優先して返済するのは避ける必要があります。一部の債権者を特別に扱う返済は「偏頗弁済」と判断される可能性があるためです。
例えば、消費者金融やカード会社への返済を止める一方、パソコンのローンだけを完済するケースが該当します。偏頗弁済に当たると、破産管財人が返済の効果を否定し、ローン会社から支払額を取り戻す場合があります。
ただし、特定の債権者へ返済しただけで、直ちに免責が認められなくなるわけではありません。返済額や時期、目的などを踏まえて判断されます。パソコンを残したい事情がある場合は、自分の判断で完済せず、事前に弁護士へ相談するとよいでしょう。
パソコンを意図的に隠そうとする
処分や回収を避ける目的で、パソコンを申告しない行為は認められません。家族や知人の自宅へ移したり、名義だけを変更したりした場合も、財産隠しを疑われる可能性があります。
財産を隠したり虚偽の説明をしたりすると、免責不許可事由に該当する恐れがあります。悪質なケースでは、詐欺破産罪が問題になることもあるでしょう。
ただし、単なる記載漏れが直ちに財産隠しと扱われるわけではありません。申告漏れに気付いたときは放置せず、速やかに弁護士へ伝えて訂正する必要があります。
自分の判断で勝手に売却・換金する
ローンの支払いが残るパソコンを、自分の判断で売却したり質店へ持ち込んだりする行為も避けるべきです。所有権留保が設定されていれば、本人に処分する権限がない可能性があります。
無断で売却すると、契約違反として返還や損害賠償を求められることがあるでしょう。完済済みのパソコンでも、相場より著しく安く譲渡した場合は、財産を不当に減少させたと判断される恐れがあります。
すでに売却しているなら、売却日や金額、相手方、代金の使い道が分かる資料を用意し、正確に説明できるようにしておきましょう。
自己破産でパソコンを手元に残すための方法
換価価値のあるパソコンでも、仕事や生活に欠かせない事情があれば、手元に残せる場合があります。主な方法は、次の3つです。
- 自由財産の範囲の拡張を申し立てる
- 査定額に相当する金額を破産財団へ納める
- 仕事や生活に不可欠な事情を具体的に説明する
実際の判断は裁判所の運用によって異なります。申立人が自由に判断できるものではないため、弁護士や破産管財人との調整が必要でしょう。
自由財産の拡張を申し立てる
自由財産の拡張とは、本来は破産財団に属する財産について、裁判所の決定により例外的に手元へ残せる範囲を広げる制度です。
評価額が換価基準を上回るパソコンでも、生活再建に欠かせない事情があれば、自由財産の拡張を検討できる場合があります。例えば、在宅勤務に使っており、処分されると収入を得られなくなるケースです。
認められるかどうかは、パソコンの価格や必要性、代替品の有無、他の財産の状況などによって決まります。安価な端末でも仕事を続けられる場合は、高額な機種を残す必要性が認められにくいでしょう。
処分予定のパソコン相当額を納める
パソコンが換価対象になっても、査定額に相当する金額を破産財団へ納めることで、現物を残せる場合があります。破産管財人が売却する代わりに、同程度の配当原資を確保する方法です。
例えば、親族などが適正な査定額でパソコンを買い取り、本人に使用させる形が考えられます。ただし、査定額を納めれば当然に残せるというわけではありません。金額や支払方法は、破産管財人や裁判所との調整が必要です。
申し立て直前に親族へ安く譲渡し、そのまま使い続ける方法は認められません。名義だけを変更したと疑われる恐れがあるため、必ず依頼した弁護士へ事前に相談しましょう。
仕事で必要である事情を説明する
仕事にパソコンが欠かせない場合は、必要性を具体的な資料とともに説明することが重要です。「仕事に使っている」と伝えるだけでは、残す必要性が十分に伝わらない可能性があります。
例えば、以下のような事情を整理しておくとよいでしょう。
- 在宅勤務で会社の業務に使用している
- 個人事業の受注や納品、会計処理に欠かせない
- 専用ソフトを使うため、一定以上の性能が必要である
- 勤務先から端末を貸与されず、代替機もない
- 処分されると収入が途絶える
雇用契約書や業務委託契約書、確定申告書、使用するソフトの資料などは、業務上の必要性を示す材料になります。就職活動やオンライン授業など、生活再建に必要な事情がある場合も併せて伝えるとよいでしょう。
自己破産時に残せるパソコン以外の財産
自己破産をしても、全ての財産を失うわけではありません。法律上の自由財産や、換価しても十分な利益が見込めない財産は、手元に残せる可能性があります。
99万円以下の現金
破産手続開始時に所有している99万円以下の現金は、原則として自由財産に当たり、手元へ残せます。破産後の当面の生活費を確保するためです。
ここでいう現金は、手元にある紙幣や硬貨を指します。銀行口座の預貯金は含まれず、別の財産として扱われます。
現金が99万円を超えている場合は、超過分が原則として破産財団に組み入れられます。
評価額の合計が20万円以下の預貯金
預貯金については、口座残高の合計が20万円以下であれば換価しない運用を採用する裁判所が多くあります。普通預金だけではなく、定期預金やネット銀行なども合算して判断されるのが一般的です。
ただし、20万円まで残せることが法律で一律に決められているわけではありません。基準を超えた場合に、超過分だけが処分されるのか、預貯金全体が対象になるのかも裁判所によって異なります。
自己破産では、使用していない口座や残高が少ない口座も含めて申告しなければなりません。複数の口座へ預金を分散させても、合計額で確認されます。
評価額が20万円以下の自動車やバイク
自動車やバイクも、中古市場での査定額が低ければ、処分されずに残せることがあります。年式や走行距離、車種、状態などを基に売却価値が判断されます。
通勤や家族の通院などに車が欠かせない場合は、その必要性も考慮されるでしょう。査定額が基準を超えていても、事情によっては自由財産の拡張を検討できることがあります。
一方、ローン会社などに所有権が残っている車両は、査定額にかかわらず引き揚げられる可能性があります。
生活に必要な家具・家電
冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、寝具、食卓など、日常生活に欠かせない家具・家電は原則として処分されません。これらは差押禁止動産に当たるか、換価価値が低いことが多いためです。
ただし、高額なアンティーク家具や大型の高級家電などは、生活用品という名称だけで処分を免れられるとは限りません。同じ種類の家電を複数所有し、その一部に高い価値がある場合も、換価対象になる可能性があります。
スマートフォン、タブレットなどの通信機器
一般的なスマートフォンやタブレットは、連絡や情報収集に必要で、中古価格も低いことが多いため、通常は手元に残せます。
一方、最新の高額機種や希少モデル、複数の高性能端末などは、換価対象になる場合があります。端末代金の分割払いが残っていれば、契約内容によって返却を求められることもあるでしょう。
また端末を残せても、利用料金を滞納している通信会社との契約は解除される可能性があります。端末の所有関係と回線契約は分けて考える必要があります。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
- 相談料は何度でも0円
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自己破産時に処分される可能性が高いもの
生活に欠かせない財産を除き、一定の換価価値があるものは、原則として破産財団に組み入れられます。ここでは、自己破産時に処分される可能性が高い主な財産について説明します。
持ち家、土地などの不動産
本人名義の持ち家や土地は価値の高い財産であるため、原則として処分の対象です。住宅ローンを完済している不動産は、破産管財人が売却し、売却代金を債権者への配当に充てます。
住宅ローンが残っている場合は、抵当権者が競売を申し立てるか、関係者の同意を得て任意売却するのが一般的です。売却代金で完済できない残額は、破産債権として扱われます。
共有名義の不動産は、原則として本人の持分が財産調査の対象です。他の共有者の持分まで当然に処分されるわけではありません。
高額な自動車やバイク
年式の新しい車や高級車、人気車種など、中古市場で一定以上の価値がある車両は、換価対象になる可能性があります。
通勤や通院に必要でも、価値が高ければ当然に残せるわけではありません。安価な代替車を用意できるか、公共交通機関を使えるかなども確認されます。
残す必要性が高い場合は、自由財産の拡張や第三者による買い取りを検討できることがあります。ただし、裁判所や破産管財人の了承を得ずに名義変更してはいけません。
解約返戻金のある生命保険や学資保険
生命保険や学資保険、個人年金保険などに解約返戻金がある場合、その返戻金請求権は財産として扱われます。基準になるのは、支払った保険料の総額ではなく、手続き時点の解約返戻金見込額です。
返戻金が裁判所の換価基準を超えると、原則として保険を解約し、返戻金を破産財団へ組み入れる必要があります。一方、掛け捨て型や返戻金が少ない契約は、継続できる可能性があるでしょう。
病気などで新たな保険への加入が難しい場合は、その事情も考慮されることがあります。契約を維持する必要性が高いときは、返戻金相当額を納める方法を検討できる場合もあります。
ブランド品や高級時計、貴金属
ブランドバッグや高級時計、金・プラチナ製品などは、生活に不可欠な財産とはみなされにくく、中古市場で高値が付けば換価対象になります。
判断基準は手続き時点での買取価格です。購入時に高額でも価値が下がっていれば換価されないことがある一方、希少性や相場の上昇によって購入時より高く評価される場合もあります。
申し立て前に家族へ贈与したり、相場より安く譲渡したりすると、財産を減らす目的の処分と判断される恐れがあります。
株式、暗号資産などの金融資産
株式や投資信託、FX口座の資金、暗号資産などは、換金できる財産として申告する必要があります。NISA口座の資産や勤務先の持株会で保有する株式も対象です。
評価額は、破産手続開始時などの時価を基に算定されます。価格が変動するため、保有数量や取引口座、基準日時点の価格が分かる資料を用意しなければなりません。
少額であれば換価されない場合もありますが、金額が小さいことを理由に申告を省くことはできません。すでに売却している場合は、売却代金の保管場所や使い道も確認されます。
退職金の一部
まだ受け取っていない退職金も、将来受け取れる見込みが具体的にある場合は、退職金請求権として財産評価の対象になります。ただし、自己破産のために勤務先を退職する必要はありません。
退職がまだ先である場合は、現時点で自己都合退職したと仮定した退職金見込額の8分の1を評価する運用が一般的です。退職が近い場合や支給待ちの状態では、より高い割合が対象になることもあるでしょう。
評価額が換価基準を超えると、その相当額を破産財団へ納める場合があります。退職金制度がないときは、その旨を示す資料が必要です。
まとめ
自己破産をしても、一般的なパソコンが必ず処分されるわけではありません。中古市場での価値が低く、代金を完済している機種であれば、手元に残せる可能性が高いでしょう。
一方、高額なゲーミングPCや複数の高性能端末は、破産管財人による換価の対象になる場合があります。ローンが残り、販売会社などに所有権があるときは、契約に基づいて回収される可能性もあります。
パソコンを残したいからといって、ローンだけを優先して返済したり、端末を隠したり、無断で売却したりしてはいけません。仕事に欠かせない事情がある場合は、自由財産の拡張や査定額相当額の納付などを検討できることがあります。
パソコンを含む財産の扱いは、評価額や所有関係、申立先の裁判所の運用によって異なります。自己判断で処分や返済を進める前に、弁護士へ相談するとよいでしょう。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。