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立ち退き

2026/03/30

立ち退き料100万は妥当?交渉のコツは?

立ち退き料100万は妥当?交渉のコツは?

退去時に受け取る立ち退き料は、一般的な目安があるものの定価はありません。そのため「立ち退き料100万円で退去してほしい」といった通告に対して、その金額が妥当なのか、引っ越し費用は足りるのかといった不安を感じている方もいるでしょう。

本記事では、立ち退き料100万円の妥当性や具体的な費用を算出するための計算方法、交渉のコツ、過去の判例を解説します。ご自身の状況に適した補償額を把握し、貸主と対等に交渉するための準備を整えましょう。

【この記事で分かること】

  • 立ち退き料の相場と100万円の妥当性
  • 立ち退き料の計算方法と増額交渉のポイント
  • 立ち退き料が100万円以上・以下だった実際の判例

立ち退き料100万円は妥当な金額なのか?

貸主から「立ち退き料は100万円が相場だから」といわれても、その金額が本当に妥当なのかは貸主・借主の事情や契約・物件の状況によって大きく異なります。そのため、立ち退き料100万円が妥当かどうかはケースバイケースです。家族向けの広いマンションに住んでいる場合や営業を行っている店舗・オフィスの場合は、100万円では足りない可能性もあります。

そもそも立ち退き料とは何なのか、その法的な役割から見ていきましょう。

そもそも立ち退き料とは?

立ち退き料とは、貸主の都合で退去を求める場合に、借主へ支払われる金銭のことです。その法的根拠は借地借家法第28条にあります。同法では、貸主からの解約には正当の事由が必要と定められています。その事由が不十分な場合に財産上の給付(立ち退き料)を申し出ることで、正当の事由を補完することができるのです。

つまり、立ち退き料は退去理由の妥当性の不足を埋めるものです。そのため貸主が主張する理由を考慮し、退去の必要性が高いと認められる場合、立ち退き料による補完が少なくなる可能性があります。一方、収益目的の建て替えのように退去の必要性が低い場合は、立ち退き料による補完が多く必要となり、結果として高額な立ち退き料になる可能性が高いです。

ただし金額の計算式は法律で決まっているわけではないため、個別の交渉が不可欠です。

※参考:e-Gov 法令検索.「借地借家法」第二十八条.

https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090#Mp-Ch_3-Se_1-At_28 ,(参照2025-11-27).

立ち退き料の相場はいくら?

借主自身が交渉を行った場合、一般的な立ち退き料の相場は、以下の通りです。

  • 居住用:家賃の6〜12カ月分
  • 事業用:家賃の数年分(営業補償などを含む)

上記に基づいて100万円が立ち退き料として妥当なのかを検証します。例えば家賃6万円の居住用物件に住んでいるなら、相場は36〜72万円のため、提示された100万円は妥当な範囲です。一方、家賃15万円なら相場は90〜180万円で、100万円では不十分な可能性が高いです。

特に店舗やオフィスの場合は、家賃の数年分が相場となり、100万円では適正額とはいえない場合があります。次章で立ち退き料の算出方法を解説するので、ご自身のケースの適正額を算出してみましょう。

立ち退き料の算出方法

提示された100万円が妥当かを正確に判断するには、ご自身が立ち退きに際して被る実費や損失を具体的に計算してみる必要があります。立ち退き料は、主に以下の要素を積み上げて見積もります。

引っ越し費用

まずは荷物を新居や新店舗に移動させるための費用です。これには以下のようなものが含まれます。

  • 引っ越し業者への支払い費用(見積書が根拠になる)
  • 荷造り・荷解きサービスの費用(高齢などで自力での作業が困難な場合)
  • 不用品回収・処分費用
  • エアコンの移設工事費用
  • インターネットや電話の移転工事費用

例えば家族4人での引っ越しで荷物が多い場合、繁忙期であれば業者費用だけで数十万円かかることも珍しくありません。

移転先確保のための費用

次に、新住居や店舗を契約するためにかかる初期費用です。

  • 礼金・不動産仲介手数料(家賃の1カ月分 + 税が一般的)
  • 保証会社の保証料
  • 火災保険料
  • 鍵交換費用 など

特にオフィスや店舗では、内装工事費や特別な設備の設置費用が必要になることもあるため、居住用物件に比べてこの費用が高額になる傾向があります。

家賃差額補填

現在の物件と同等の条件の物件が見つかったものの、今よりも家賃が高くなってしまう場合は、その差額を一定期間補償してもらうことができます。計算式は以下の通りです。

  • (新しい入居先の家賃 – 現在の家賃)× 補償期間(1〜3年程度)

例えば、現在家賃12万円の物件に住んでおり、近隣で同程度の物件を探すと相場が15万円だったとしましょう。この場合、月々3万円の負担増となります。これを2年間(24カ月)補填する場合は「3万円 × 24カ月 = 72万円」です。

長年住んでいて現在の家賃が相場より著しく安い場合は、この差額補填が重要な交渉材料になります。

営業補償

オフィスや店舗、自宅兼教室などの移転をする場合、立ち退きにより発生する営業上の損失も補償対象です。具体的には以下の項目が挙げられます。

項目

内容

休業補償

移転準備や工事期間中の休業で失われる利益(粗利益)

固定費

休業中も支払いが必要な従業員の給与やリース料など

営業権

場所が変わることで常連客を失うなど、将来的な減収に対する補償

広告宣伝費

移転案内のはがき作成やWebサイト修正、集客のための費用

これらは確定申告書や決算書を基に算出しますが、計算が複雑なため、弁護士など専門家への相談が望ましいです。

具体例を基に立ち退き料を試算してみよう

ここまでご紹介した項目を基に、具体的な立ち退き料をシミュレーションをしてみましょう。家賃8万円のマンションに住んでいる4人家族が、立ち退き料100万円を提示されたケースを想定します。

【試算条件】

  • 現在の家賃:8万円
  • 新居の家賃:10万円(近隣の家賃相場の上昇によりアップ)
  • 移転先契約条件:礼金1カ月・仲介手数料1カ月

【計算の内訳】

  • 引っ越し費用:15万円(業者費用、不用品処分など)
  • 移転先確保費用:20万円(礼金10万 + 仲介手数料10万)
  • 家賃差額補填:48万円(差額2万円 × 24カ月分と仮定)
  • 営業補償:なし(居住用のため)

実費と補填の合計が83万円で、提示された100万円の中に収まっています。この場合は、立ち退き料100万円はおおむね妥当といえるでしょう。

ただし、これはあくまで実費のみを想定した計算です。貸主が主張する正当の事由が弱い場合やご自身が住み続ける必要性が高い特別な事情がある場合、この試算をベースに増額交渉を行う余地があります。

ご自身のケースでは立ち退き料がいくらだと妥当なのか、増額の余地があるのかを正確に知りたい方は、ぜひ一度専門家へご相談ください。ライズ綜合法律事務所では不動産鑑定士と連携し、適正額を試算いたします。

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迷惑料・慰謝料を別項目で請求することは難しい

「長年住んでいたのに追い出されるのだから、迷惑料や慰謝料も欲しい」という声も聞かれます。しかし実務上、迷惑料や慰謝料を別項目として請求することは、基本的には認められにくいと考えておいた方が無難です。

立ち退き料は、あくまでも正当の事由の補完という性質が強く、精神的な苦痛に対する賠償とは区別される傾向にあります。ただし区別されるだけであって、全く考慮されないわけではありません。例えば「高齢で新しい環境に馴染むことが著しく困難」「子供の学区が変わってしまう」「通院している病院の近くに住めなくなってしまう」などの事情がある場合は、交渉を重ねる中で考慮される可能性はあります。

慰謝料が欲しいと請求するのではなく、このような特別な事情から転居の負担が通常よりも大きいと具体的に主張することで、増額を目指すのが賢明です。

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交渉によって立ち退き料が100万円以上になる可能性があるケース

ここからは、交渉次第で立ち退き料が100万円以上、あるいはさらに高額になる可能性がある具体的なケースをご紹介します。

入居や更新をしてから日が経っていないケース

つい最近入居した、あるいは更新料を払って契約更新した直後に立ち退きを要請された場合です。入居時には仲介手数料や礼金、引っ越し費用などを支払っています。これから少なくとも2年は住めるという期待を持って費用を投じたにもかかわらず、すぐに退去を求められてしまうと、経済的・精神的な負担が大きくなってしまいます。

このような場合、直近で支払った初期費用や更新料が無駄になってしまうため、その損失分を上乗せするよう交渉できる可能性が高いです。

貸主の許可を得てリフォームを行っていたケース

貸主の承諾を得て自費でリフォームを行っていた場合です。例えば、長く住むつもりで内装をバリアフリー化した・階段に昇降機を付けたといったケースでは、その投下資本を回収できないまま退去することになります。

この場合、リフォーム費用の残存価値(まだ使えるはずだった期間分の価値)や、原状回復義務の免除などを強く主張できます。特に事業用物件で高額な内装工事を行っていた場合は立ち退き料が数百万〜数千万円規模になることも珍しくありません。

立ち退き料100万円以上になった判例

実際に裁判で争われ、100万円以上の立ち退き料が認められた判例を見てみましょう。

老朽化と貸主の資金不足により100万円で決着したケース(東京地判平28・3・8)

この事案は、建物の老朽化と貸主側の経済的な事情が大きく考慮されたケースです。

項目

内容

物件種別

住居(木造アパート)

最終的な立ち退き料

100万円

昭和37年築の木造アパートで、耐震診断の結果、倒壊の危険性が高いとされた物件です。通常、老朽化だけでは正当の事由として弱い場合もありますが、このケースでは約1,194万円の改修費用がかかることと、貸主の資金力がない(預貯金が30万円程度のみ)という経済的事情を重視。

一方借主は単身者であり、近隣で同等の物件を探すことが難しくない状況でした。結果として、貸主が提示した立ち退き料100万円は、借主の引っ越し費用や新しい契約にかかる初期費用を賄うのに十分かつ妥当であるとして、裁判所は100万円の支払いと引き換えに明け渡しを認めました。

具体的な実費が考慮され提示額から増額したケース(東京判平19・3・28)

こちらは、貸主の提示額(80万円)では不十分とされ、裁判によって100万円に増額された事例です。

項目

内容

物件種別

住居

最終的な立ち退き料

100万円(80万円から増額)

築29年が経過し、耐震基準を満たしていない建物の建て替えを理由とした立ち退き請求。貸主側は当初、立ち退き料として80万円を提示していました。

しかし裁判所は、移転に伴う経済的損失について適切に補完されれば、正当の事由として十分に認められると判断。申し出額から20万円上乗せした100万円が認定額となりました。このとき算出時に考慮されたのは、本記事でご紹介した項目と同じく、近隣の賃料相場との差額、移転に必要とされる費用です。

提示額をうのみにせず、実費をしっかりと計算して主張することの重要性が分かる事例です。

立ち退き料が100万円以下にとどまる可能性があるケース

一方、立ち退き料が100万円に届かない、あるいは低額に抑えられてしまうケースも存在します。

貸主の物件を使用する必要性が高いケース

貸主側の事情が切迫している場合です。例えば「貸主が高齢で介護が必要となり、親族を住まわせるためにその部屋が必要になった」あるいは「貸主自身が経済的困窮により、今の住まいを出てその物件に戻らなければならなくなった」などのケースです。

このような生活の根拠に関わる事情が貸主側にある場合は、正当の事由が強いと判断され、借主への補償は実費程度に留まる可能性があります。

建物の老朽化が著しく倒壊の危険性が高いケース

ここ数年、特に東京都内などで増えているのがこのケースです。建物の老朽化が激しく、地震などにより倒壊する恐れがあるといった場合です。このまま居住を続けること自体が借主の命の危険につながるため、貸主には建物を解体して安全を確保する義務が生じます。

この場合も、立ち退き料は少額になることがあります。

立ち退き料の支払い以外の支援が見込めるケース

現金で100万円を支払うのではなく、貸主が別の形で支援を提案してくる場合です。例えば「貸主が所有する近隣の別のマンションを、今の家賃と同額で提供する」「新居の初期費用は貸主が直接不動産会社に支払う」「原状回復費用を全額免除する」といった代替案です。

これらにより、借主の実質的な負担が少なくなるのであれば、現金の給付自体は低く算定される可能性があります。貸主が高額な立ち退き料を支払えず交渉が長期化するのを避けるのであれば、現金の額にこだわらずこうした提案を受け入れるのも一つの選択肢です。

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立ち退き料が100万円以下になった判例

次に、100万円を下回る金額で決着した判例も確認しておきましょう。

著しい老朽化と低廉な家賃により50万円で決着したケース(東京地判平19・8・29)

この事案は立ち退き料なしから増額したものの、建物の危険性と家賃が相場よりも安かったことが影響し、100万円に至らなかったケースです。

項目

内容

物件種別

住居(木造アパート)

立ち退き料

50万円(0円からの増額)

築約80年の木造建物で、傾きやカビ、ガラスの破損などがあり、震災時には倒壊や火災の危険性が高いと認定された物件です。貸主に修繕する資金力がなく、建物を取り壊して土地を売る必要性がありました。

本来、借主は転居費用を賄えない経済状況でしたが、あまりに家賃が安かったことや建物の危険度から、立ち退き料は転居費用の補助として50万円が妥当とされました。

貸主の帰国に伴う自己使用が優先され45万円となったケース(東京地判平23・9・13)

こちらは、貸主が自分で住むためという理由で更新を拒絶し、それが認められた事例です。

項目

内容

物件種別

住居(マンション)

立ち退き料

45万円

貸主が海外勤務から帰国することになり、住む家が必要になったという事案。貸主は、家を貸したまま住宅ローンと自身の住居の賃料を支払うと毎月赤字になってしまうこともあり、帰国できず海外勤務を延長していました。

一方、借主は子供の通院事情などを理由に居住継続を希望していましたが、裁判所は借主が他の物件を探す資力を有すると判断。結果として、貸主の住む場所がないという切実な事情が優先され、立ち退き料は家賃3カ月分である45万円があれば、正当の事由は補完されると結論付けられました。

立ち退き料を増額させるコツ

立ち退き料が100万円では足りないと感じる場合、ただ闇雲に上げてくれというだけでは交渉は進みません。戦略的に交渉し、増額を実現するためのポイントを解説します。

入居してすぐの立ち退き要請は補償を求めやすい

先述の通り、入居や更新から日が浅いことは交渉カードになります。「契約時に支払った礼金〇〇万円と仲介手数料〇〇万円を返してください」「更新料として支払った〇〇万円を考慮してください」のように、具体的な数字を出して主張しましょう。

貸主としても、契約させた直後に退去を迫るのは信義則に反するという負い目があるため、実費の返還的な意味合いでの上乗せには応じやすい傾向があります。

貸主の要望や予算感を把握する

交渉を有利に進めるためには、貸主の優先事項を見抜くことが不可欠です。相手がとにかく急ぎいで立ち退きをさせたいのなら、早期退去を条件に協力金の上乗せを狙います。

逆に予算がない大家の場合は、むやみに増額を狙うよりも退去期限の延長など条件面での譲歩を引き出すのが賢明です。他にも不動産を所有しているなど、一定の予算があると想定される場合には、見積書などの客観的な根拠を示して正当な額を請求しましょう。

まとめ

立ち退き料の100万円という数字は一つの目安に過ぎず、全ての方にとって妥当な額とは限りません。特に移転に伴う経済的負担が大きい方や事業を営んでる方の場合、本記事でご紹介したような要素を考慮すると不十分なケースもあります。

納得のいく立ち退き料を得るには、補償の内訳を正確に試算し、ご自身の個別事情を整理した上で、貸主と対等に交渉する必要があります。しかし一人で貸主と交渉するのは、大きな精神的負担とリスクを伴うものです。

「提示額が適正か知りたい」「増額交渉を任せたい」という方は、弁護士法人ライズ綜合法律事務所へご相談ください。弊所では不動産鑑定士と連携し、状況に合わせた本来もらえるべき立ち退き料をシミュレーションいたします。

立ち退き交渉に強く、16,000件以上の相談実績と3,000件以上の解決実績を持つ私たちが全力でサポートします。相談は何度でも無料なので、まずはお気軽にご連絡ください。

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このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。