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立ち退き

2026/08/11

借地からの立ち退きを拒否した際の末路は?居座る権利はある?

借地からの立ち退きを拒否した際の末路は?居座る権利はある?

立ち退きを要請されたからといって、必ず応じなければならないわけではありません。借地や賃貸物件では借地借家法によって借主の権利が保護されており、地主や貸主の一方的な都合だけで退去を強制することは原則として困難です。

一方、貸主側に正当の事由がある場合や、借主に家賃滞納などの契約違反がある場合は、拒否を続けることが難しくなります。公共事業に伴う一軒家の立ち退きでは、通常の賃貸借とは異なる判断も必要になるでしょう。

立ち退きの可否を見極めないまま居座り続けると、訴訟や強制執行に発展する恐れがあります。本記事では、立ち退きを拒否できる条件や拒否を続けた場合のリスク、借主が取るべき対応を解説します。

【この記事で分かること】

  • 借地や賃貸物件では、貸主側に正当の事由がなければ、立ち退き要請を拒否できる可能性がある
  • 貸主に正当の事由がある場合や、借主に契約違反がある場合、有効な定期契約が満了した場合は、立ち退き拒否が難しい
  • 立ち退きを拒否し続けると、明け渡し訴訟や強制執行に発展し、退去費用などを請求される可能性がある

【借地】地主からの立ち退き要請は拒否できる?

土地を借り、その上に自宅や店舗などの建物を所有している場合、地主から立ち退きを求められることがあります。ただし、要請を受けたからといって、直ちに土地を明け渡す必要があるとは限りません。

建物の所有を目的として土地を借りている場合、借主の借地権は借地借家法によって保護されます。地主が土地を自分で使いたい、売却したいと考えているだけでは、借主に立ち退きを強制することはできません。

地主が契約の更新を拒否したり、契約終了を求めたりするには、原則として正当の事由が必要です。正当の事由は、地主と借主が土地を必要とする事情や契約の経緯、土地の利用状況、立ち退き料の有無などを踏まえて判断されます。地主側に正当の事由がなければ、借主は立ち退き要請を拒否できる可能性があります。

ただし、借地借家法が適用されるのは、原則として建物所有を目的とする土地の賃貸借です。月極駐車場や資材置き場など、建物の所有を目的としない契約には主に民法が適用されます。立ち退きを求められた際は、まず自身の契約が借地借家法で保護される借地権に当たるか確認するとよいでしょう。

旧借地法と新借地借家法の違い

借地権には、旧借地法が適用される契約と、現在の借地借家法が適用される契約があります。原則として、1992年7月31日以前に成立した契約には旧借地法、同年8月1日以降に成立した契約には借地借家法が適用されます。

主な違いは以下の通りです。

項目

旧借地法

借地借家法

対象

堅固建物と非堅固建物に分けて扱われる

建物の構造による区別はない

建物の分類

堅固建物は石造・土造・レンガ造・コンクリート造・ブロック造など、非堅固建物は木造など

一律で扱われる

当初の契約期間

堅固建物は30年以上、非堅固建物は20年以上

一律30年以上

期間の定めがない場合

堅固建物は60年、非堅固建物は30年

30年

更新後の期間

堅固建物は30年、非堅固建物は20年

最初の更新は20年、2回目以降は10年

旧借地法では、コンクリート造などの堅固建物と木造などの非堅固建物で契約期間が異なります。これに対し、借地借家法では建物構造による区別がなく、普通借地権の存続期間は原則30年です。

もっとも、旧借地法が適用される場合でも、契約期間の満了だけで地主が当然に立ち退きを求められるわけではありません。契約書で契約時期や期間を確認し、どちらの法律が適用されるか整理する必要があります。

【賃貸】貸主からの立ち退き要請は拒否できる?

アパートやマンション、戸建ての賃貸物件でも、建て替えや自己使用、売却などを理由に立ち退きを求められることがあります。しかし、貸主の都合だけで借主を退去させることはできません。

貸主が賃貸借契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れたりするには、原則として正当の事由が必要です。貸主側に正当の事由がなければ、契約期間が満了しても借主は住み続けられる可能性があります。

例えば、単に家賃を上げたい、より高い価格で売却したいという理由だけでは、正当の事由が認められにくいでしょう。一方、建物に倒壊の危険がある場合や、貸主自身が使用する必要性が高い場合は、立ち退きが認められることもあります。

立ち退き料の提示も判断材料の一つです。貸主側の事情だけでは正当の事由が十分ではなくても、借主の移転費用などを補う相応の立ち退き料によって補完される場合があります。

賃貸の立ち退き要請で居座ることはできる?拒否する権利は?

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【一軒家】立ち退き要請は拒否できる?

土地や建物を自己所有している一軒家でも、区画整理や道路拡張、再開発などの公共事業に伴い立ち退きを求められる場合があります。これは地主や貸主との契約関係に基づく立ち退きとは性質が異なります。

主な公共事業の概要は以下の通りです。

種類

概要

区画整理

正式には土地区画整理事業といい、道路・水路・公園などの公共施設を整備し、土地の区画や形、質を整えて街の利便性や安全性を高める事業

道路拡張

交通の円滑化や安全確保を目的として、都市計画道路などの整備に伴い道路の幅を広げる事業

再開発

複数の土地をまとめて一体的に建て替え、都市機能や居住環境の向上を図る事業

区画整理では土地の位置や形を変更する換地、道路拡張では必要な土地部分の買い取りが行われることがあります。再開発では、従前の権利を新しい建物や敷地に置き換える権利変換が採用される場合もあるでしょう。

必要な法的手続きが取られた場合、土地収用法などに基づいて土地の収用や明け渡しが進められる可能性があります。そのため、一軒家を所有していても、公共事業による立ち退きを拒否し続けることは困難です。

立ち退きに伴う損失については補償を受けられる可能性があります。土地や建物の価値だけではなく、移転費用や営業上の損失なども補償対象になり得ます。

公共事業による立ち退きを求められた場合は、拒否できるかどうかだけではなく、提示された補償額や移転条件が妥当かを確認することが重要です。内容に納得できないときは、根拠資料を確認した上で交渉する余地があります。

立ち退き拒否が難しいケース

借地や賃貸物件では借主の権利が保護されていますが、全てのケースで立ち退きを拒否できるわけではありません。主に、貸主側に正当の事由が認められる場合、借主に契約違反がある場合、定期契約の期間が満了した場合は、退去を求められる可能性が高まります。

貸主の正当の事由が認められるケース

正当の事由は、貸主側の事情だけで決まるものではありません。主に以下の要素を総合的に考慮して判断されます。

  • 貸主と借主が土地または建物を使用する必要性
  • 契約締結から現在までの経緯
  • 土地または建物の利用状況
  • 建物の老朽化や安全性
  • 立ち退き料などの財産上の給付

貸主が土地や建物を必要とする事情が強く、借主側の使用継続の必要性が相対的に低い場合は、正当の事由が認められやすくなるでしょう。

建物の老朽化も判断材料ですが、築年数が古いだけで立ち退きが認められるとは限りません。耐震性に問題があり、倒壊の危険が高い、修繕では対応できないといった事情が必要です。

貸主自身や家族が住む必要があるなど、自己使用の事情が考慮されることもあります。ただし、貸主が他に利用できる不動産を所有している場合は、必要性が低いと評価される可能性があります。

また立ち退き料は正当の事由を補完する要素です。引っ越し費用や新居の初期費用、店舗の営業補償など、借主が受ける不利益を補う金額が提示されているかが考慮されます。

借主の契約違反があったケース

地代や家賃の滞納、無断転貸、契約で禁止された用途での使用などがある場合、立ち退き拒否は難しくなります。ただし、一度の軽微な違反だけで直ちに契約解除が認められるとは限りません。

契約解除の可否では、違反によって貸主と借主の信頼関係が破壊されたかどうかが重視されます。例えば、家賃を1カ月滞納しても、それまで遅れがなく、連絡や支払いに誠実に対応していれば、直ちに解除されない可能性があります。

一方、滞納が長期間続いている、督促を無視している、無断転貸を行っているといった場合は、信頼関係が破壊されたと判断されやすいでしょう。契約が解除されれば、借主は土地や建物を使用し続ける根拠を失います。

契約違反を理由とする退去では、貸主都合の立ち退きと異なり、立ち退き料を受け取ることも困難です。滞納や無断使用などがある場合は、放置せず早期に解消する必要があります。

契約形態が定期借地・定期借家契約だったケース

定期借地契約や定期借家契約は、あらかじめ定めた期間の満了によって終了する契約です。普通借地権や普通借家権とは異なり、原則として更新はありません。

そのため、有効な定期契約であれば、貸主側に正当の事由がなくても期間満了後に退去を求められる可能性があります。

ただし、定期借家契約として成立するには、契約の更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面を交付して説明するなど、法律上の要件を満たさなければなりません。定期借地契約も、種類によって公正証書などの方式が求められます。

契約書に「定期」と記載されているだけで、有効な定期契約とは限りません。契約書や説明書面を確認し、必要な手続きが取られているかを確かめることが大切です。

立ち退き拒否をし続けた場合の末路

正当の事由がない場合、借主は納得できない条件で無理に退去する必要はありません。しかし、立ち退きが認められる可能性が高い状況で居座り続けると、訴訟や強制執行に発展する恐れがあります。

訴訟に至り多くの時間と費用がかかる

当事者同士の話し合いで解決できない場合、貸主は裁判所に明け渡しを求めることがあります。借地では建物収去土地明渡請求、賃貸物件では建物明渡請求などの訴訟が考えられます。

訴訟では、主張書面や証拠の準備、期日への対応が必要です。弁護士へ依頼すれば費用もかかり、貸主との対立が長期化することで精神的な負担も増えるでしょう。

裁判はすぐに終わるとは限らず、事案によっては解決まで長期間を要します。交渉段階で提示されていた立ち退き料より、最終的な条件が不利になる可能性も否定できません。

また訴訟中も賃料や地代の支払いが不要になるわけではありません。滞納を続けると、貸主側に新たな契約解除の理由を与える恐れがあります。立ち退きを争う場合でも、契約上の義務は適切に履行する必要があるでしょう。

最終的に強制執行に至る可能性がある

裁判で土地や建物の明け渡しを命じられた後も退去しない場合、貸主は強制執行を申し立てることができます。強制執行では、裁判所の執行官が現地を訪れ、荷物の搬出や建物の引き渡しを進めます。

賃貸物件では、家具や家電などが搬出され、倉庫に保管される場合があります。借地では土地上の建物を取り壊す必要が生じることもあるでしょう。

強制執行にかかる費用は貸主が一時的に立て替えることが一般的ですが、最終的に借主へ請求される可能性があります。契約違反による解除の場合は、未払い賃料や原状回復費用も請求されるかもしれません。

強制執行に至れば、住まいや事業の拠点を失うだけではなく、金銭的負担も大きくなります。拒否が認められる見込みが低い場合は、立ち退き料や退去時期の交渉へ切り替えることも現実的な選択肢です。

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立ち退き拒否に関する過去の判例

立ち退きの可否は、貸主と借主双方の事情、建物の状態、契約の経緯、立ち退き料の有無などから判断されます。ここでは、判断の参考になる過去の判例を紹介します。

立ち退きが否定され、居住継続が認められた判例

大阪地方裁判所昭和59年5月30日判決では、貸主からの建物明け渡し請求が否定されました。

この事案では、一部の借主らが建物と敷地を買い取り、建物を取り壊して新築するため、別の借主に立ち退きを求めました。貸主側は100万円の立ち退き料を提示していました。

しかし、貸主側は借主の存在を認識した上で物件を購入しており、建物の狭さや不便さも購入前から分かっていました。一方、借主側には子ども3人を住まわせる必要があり、居住継続の必要性が高い状況でした。

裁判所は、100万円の立ち退き料を考慮しても正当の事由は認められないと判断しました。貸主に建て替えの希望があっても、借主の居住の必要性が高い場合は、立ち退きが否定される可能性があります。

※参考:判例タイムズ社.「大阪地方裁判所 昭和59年5月30日判決」判例タイムズ532号196頁.

当初の提示額より高額な立ち退き料が認められた判例

東京地方裁判所平成2年1月19日判決では、建物の老朽化などを理由に立ち退きが認められましたが、当初の提示額を上回る700万円の立ち退き料が相当とされました。

建物は築後約37年が経過し、老朽化が進んでいました。家賃収入に対して固定資産税などの維持負担も大きく、貸主側には建て替えの必要性がありました。

一方、借主は他に居住可能な物件や収益物件を所有しており、居住継続の必要性は相対的に低いと判断されました。こうした事情から、十分な立ち退き料を支払うことで正当の事由が補完されると評価されています。

この判例から、立ち退き自体が認められる場合でも、貸主の提示額がそのまま妥当とされるとは限らないことが分かります。

※参考:判例時報社.「東京地方裁判所 平成2年1月19日判決」判例時報1371号119頁.

建物の安全性を理由に立ち退きが認められた判例

東京地方裁判所立川支部平成25年3月28日判決では、耐震性能を満たさない大規模集合住宅について、解体を目的とする更新拒絶に正当の事由が認められました。

耐震改修には総家賃収入の5年分に相当する約7億5,000万円が必要と見積もられ、改修中は建物の使用も大幅に制限される状況でした。貸主は移転先のあっせんや移転費用の補填、移転先家賃の補助なども提示していました。

裁判所は、解体を選択した貸主の判断に著しい誤りはなく、代償措置も手厚いと評価しました。建物の安全性に重大な問題があり、改修の経済的合理性が乏しい場合は、立ち退きが認められる可能性があります。

※参考:判例時報社.「東京地方裁判所立川支部 平成25年3月28日判決」判例時報2201号80頁.

借主が立ち退き拒否をしたい場合の対処法

立ち退きを拒否したい場合は、単に退去したくないと主張するだけでは不十分です。貸主の理由や提示条件を確認し、正当の事由が認められない事情を整理する必要があります。

貸主の正当の事由を否定する

まず、貸主が立ち退きを求める具体的な理由を確認します。自己使用が理由であれば、貸主が本当にその土地や建物を必要としているか、他に利用できる不動産がないかを確かめるとよいでしょう。

老朽化が理由の場合は、築年数だけではなく、倒壊の危険性や耐震性の問題が客観的な資料で示されているかが重要です。修繕で対応できるのか、解体や建て替えが必要な状態なのかも確認します。

立ち退き料が提示されている場合は、金額の根拠を精査する必要があります。引っ越し費用、新居の初期費用、店舗の営業補償、借家権価格などが十分に考慮されていなければ、増額交渉の余地があるでしょう。

上記を含め、確認しておくべき主な項目は次の通りです。

  • 貸主が立ち退きを求める具体的な理由
  • 貸主側と借主側の使用の必要性
  • 建物の危険性を示す資料の有無
  • 修繕によって対応できる可能性
  • 立ち退き料の金額と算定根拠
  • 退去時期や移転先に関する条件

貸主の主張に納得できなくても、話し合い自体を拒否すると交渉が難航します。正当の事由を否定できる事情や、立ち退き料の増額を求める根拠を整理した上で交渉することが重要です。

貸主から届いた通知書や契約書、賃料の支払記録、建物の状態が分かる写真なども保管しておく必要があります。後に交渉や訴訟へ発展した場合、貸主の主張に反論するための資料として役立つ可能性があるためです。

弁護士に相談する

立ち退きの可否は、借地借家法や民法、契約書、過去の判例などを踏まえて判断する必要があります。貸主の正当の事由が認められるかを、自分だけで見極めるのは容易ではありません。

弁護士に相談すれば、立ち退きを拒否できる可能性や、提示された条件の妥当性について助言を受けられます。必要に応じて、貸主との交渉を任せることも可能です。

貸主側が弁護士を立てている場合、借主だけで対応すると不利な条件で合意してしまう恐れがあります。早い段階から弁護士に依頼しておけば、立ち退き料の増額や退去時期の調整も進めやすくなるでしょう。

訴訟へ発展した場合も、事前に相談していれば証拠や主張を整理しやすくなります。立ち退き要請に納得できない場合や、提示額が妥当か分からないときは、対立が深刻になる前に相談することが大切です。

まとめ

立ち退きを求められても、必ず応じなければならないわけではありません。借地や賃貸物件では借主の権利が保護されており、貸主側に正当の事由がなければ拒否できる可能性があります。

一方、建物の安全性や貸主の自己使用などから正当の事由が認められる場合、借主に契約違反がある場合、有効な定期契約が満了した場合は、立ち退き拒否が難しくなります。

拒否を続けると、訴訟や強制執行に発展する恐れもあります。立ち退き料や退去時期を交渉できる段階で、貸主の主張と提示条件を冷静に確認する必要があるでしょう。

立ち退き拒否を有利に進めたい方や、貸主との交渉に不安がある方は、立ち退き問題の解決実績が豊富なライズ綜合法律事務所へご相談ください。相談は無料で受け付けているため、立ち退き要請を受けてお困りの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

突然の立ち退き通知で驚いた方へ

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このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。