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立ち退き

2026/03/30

再開発で持ち家(一軒家)の立ち退き要請は拒否できる?

再開発で持ち家(一軒家)の立ち退き要請は拒否できる?

再開発によって持ち家(一軒家)の立ち退きが必要になると、住み替えから資金計画、今後の生活設計まで大きな判断をいくつも迫られます。特に愛着のある持ち家を手放すとなると「家を手放したくないが拒否できるのか」「補償金で本当に生活を立て直せるのか」「有利な選択肢はどれなのか」といった点が分からず、対応に迷うことも多いでしょう。

本記事では、再開発の種類といった基本的な知識や立ち退きの拒否の可能性、立ち退き時の選択肢、再開発の流れなど、持ち家(一軒家)の所有者に必要な情報を分かりやすく解説します。再開発の仕組みを正しく理解することで、生活再建に向けた条件交渉や選択肢を、冷静に検討できるようになるでしょう。

【この記事で分かること】

  • 再開発の種類と適用される法律
  • 再開発に伴い立ち退きを要請された場合の2つの選択肢
  • 提示された補償額を増額するための3つのポイント

再開発とは?

再開発とは、土地の有効活用や都市機能の更新を目的として、ある程度の広さを持った複数の土地をまとめて一体的に建て替える事業です。これにより、老朽化した木造住宅が密集している地域の防災性を高めたり、道路や公園などの公共施設を整備して居住性を向上させたりできます。

有名な例としては、東京都港区の六本木ヒルズが挙げられます。かつては木造住宅やアパートが密集し、消防車も入れないような細い道が多い地域でしたが、再開発によってオフィスや住宅、商業施設が一体となった街へと生まれ変わりました。

このように、再開発は公益性が高い事業として位置づけられています。そのため、持ち家のある地域が再開発の対象区域となった場合は、再開発を行う行政やデベロッパー、再開発組合から、立ち退きを要請されることがあります。これは法律に基づいた手続きとして進行するため、民間の立ち退き要請とは異なるものと理解しておきましょう。

再開発の種類と適用される法律

再開発には複数の種類があり、適用される法律や提示される選択肢が異なります。ご自身のケースがどの事業に該当するか確認してみましょう。

種類

根拠法

特徴

市街地再開発事業

都市再開発法

土地を統合してビルなどを建築する。権利変換と用地買収(立ち退き)を選択できる

土地区画整理事業

土地区画整理法

土地の形状を整え、公共施設を整備する。原則土地の換地が行われるが、地区外転出(立ち退き)も可能

道路拡張

道路法・都市計画法など

道路拡幅のため沿道の土地を取得する。原則用地買収が行われる

本記事で詳しく解説するのは、都市部で多く見られる市街地再開発事業です。これには、現在の権利を新しいビルの床などに置き換える権利変換方式を用いる第一種と、緊急性が高く施行者が土地建物を買い取る用地買収方式を用いる第二種があります。

市街地開発事業が集めた土地を高層化するのに対して、土地区画整理事業は道路や区画を整備して街を平面的に作り直します。また道路拡張は、渋滞解消や防災のために道路を広げることを目的とし、道路予定地の建物が立ち退き対象です。このように公共事業といっても、種類によって目的や選択肢が異なることが分かります。

再開発地域に持ち家(一軒家)がある場合、立ち退き要請は拒否できる?

結論からいうと、再開発を理由とした立ち退き要請は、拒否することができません。一般的な賃貸借契約であれば、貸主に正当の事由がなければ拒否できますが、再開発は法律により施行者が土地を収用できる仕組みになっているため、最終的には明け渡す必要があります。

もし最後まで拒否し続けると、収用裁決に基づく明け渡しが行われます(行政代執行)。家屋は解体され、住民は強制退去させられてしまうのです。したがって「絶対に立ち退かない」と居座り続けることは現実的ではありません。行政代執行という結末を迎える前に、少しでも有利な条件で解決できるよう、早期に選択肢の検討や交渉を始めることが、ご自身の資産と生活を守るために不可欠です。

強制執行にかかる費用を負担しなければならない

立ち退きを最後まで拒否し、行政代執行となった場合のデメリットは、多額の費用負担が発生することです。行政代執行法第6条には「代執行に要した費用を義務者から徴収できる」と明記されており、義務者である持ち家の所有者が全額を負担する場合があります。

通常の立ち退きなら解体費や引っ越し費用は補償金で賄えますが、強制執行では行政が手配した業者にかかる費用(建物の解体費、荷物の運搬・保管費、執行業者の人件費など)が、後から全て請求されます。補償金をもらうはずが逆に支払いを求められるという事態を避けるためにも、法的な強制力を理解した上で、感情的に拒否し続けるのではなく慎重に対応することが重要です。

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持ち家(一軒家)からの立ち退きを要請された際の2つの選択肢

再開発による立ち退き要請は拒否できないとお伝えしましたが、それは何もかも失って追い出されるという意味ではありません。持ち家の所有者には、大きく分けて2つの選択肢が用意されています。

どちらを選ぶかによってその後の生活スタイルや資産の形が大きく変わります。それぞれの内容を正しく理解し、ご自身のライフプランに合う方法を選ぶことが大切です。

権利変換を行う

権利変換とは、現在所有している土地や建物の権利を再開発によって新しく建設されるビルやマンションの権利(床や土地の共有持分)と交換する方法です。主に第一種市街地再開発事業で採用される手法で、再開発工事中は仮住まいへの転居が必要ですが、建物完成後には住み慣れた土地に戻ることができます。「今のエリアから離れたくない」「近隣住民とのコミュニティを維持したい」という方におすすめです。

権利変換は、均衡の原則に基づいて行われます。これは、従前の資産価値と新しく取得する資産価値との間に著しい不均衡が生じないように等価交換を行うという原則です。ただし、再開発後の新しい建物は資産価値が高くなる傾向にあるため、以前と同じ評価額分の権利を受け取る場合、床面積が今よりも狭くなる可能性がある点には注意が必要です。

権利の資産価値は、事業計画認可の公告があった日から31日目を基準日として評価・決定されます(6カ月間手続きが行われない場合は、6カ月経過後の31日目が基準日。ただし、この基準日は告示等に基づき事業ごとに決定)。なお、工事期間中に発生する仮住まいへの引っ越し費用や家賃などは、都市再開発法第97条に基づき、補償の対象となります。経済的な持ち出しを抑えて、新しい生活環境へ移行できるのがメリットです。

権利変換の対象となる権利の種類

権利変換によって、現在保有している権利がどのように変わるのか、その仕組みを解説します。自治体や計画により詳細は異なりますが、一般的な例として横浜市の再開発事業における対応関係を解説します。

現在の権利(従前権利)

再開発後の権利(権利変換後の権利)

土地・建物の所有権

敷地(土地)の共有持分 + 施設建築物(建物)の一部(区分所有権)

借地権

敷地(土地)の共有持分 + 施設建築物(建物)の一部(区分所有権)

※事業計画・権利内容により異なる

借家権(賃借権)

施設建築物(建物)の一部を借りる権利

土地・建物所有者の場合、再開発ビルの区分所有権(マンションの一室など)と土地の共有持分を取得します。また借地権者であっても、権利変換を通じて新しい建物の所有権を得られるのが一般的です。

※参考:横浜市.「権利変換の仕組み【地上権非設置型】」.

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/shuho/saikaihatsu/kenrihenkan.html ,(参照2025-12-17).

権利変換の3つの方式

権利変換には、地権者の意向や事業の特性に合わせて、3つの方式が存在します。再開発がどの方式を採用しているかによって、選択肢の幅や権利の形が異なるため、あらかじめ把握しておきましょう。

方式

概要

特徴

原則型

現在の土地・建物の権利を、新しい再開発ビルの区分所有権(床)と敷地の共有持分(土地)に変換する方式

最も一般的な方式。多くのマンション建て替えや再開発事業はこの形を採用する

地上権非設定型

土地の権利は従前どおり地権者に残し、新しい建物は施行者(デベロッパーなど)が所有する方式

一般的な住宅再開発ではあまり採用されず、事業性を重視する際に採用される(商業施設主体など)。地権者は土地を貸すため、地代収入を得られる

全員同意型

権利者全員の同意に基づき、原則型とは異なる柔軟な処理を行う方式

権利変換で残る人と補償金をもらって転出する人を柔軟に振り分けられるため、多くの地権者が関わる事業で採用される

概要を頭に入れた上で再開発実施の説明会に参加すると、計画全体の理解が深まります。

立ち退き料(補償金)をもらい持ち家を明け渡す

権利変換を行わず、行政や組合から立ち退き料(補償金)を受け取って、その地域から転出する選択肢です。地区外転出とも呼ばれます。再開発後の建物に入居する権利はなくなりますが、まとまった現金を受け取れるため「郊外へ移住したい」「別の地域で戸建てを買い直したい」という方におすすめです。

補償額は、国土交通省が定める「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」などに基づき算出され、土地建物の対価や引っ越し費用、移転雑費が対象となります。しかし、最初に提示される金額は行政側の画一的な基準で算出されたものであり、必ずしも個別の事情を反映した適正額とは限りません。提示額が低く見積もられているケースもあり得ます。

そのため納得のいく金額を受け取るには、施行者との交渉が不可欠です。「提示額に不満がある」「交渉が不安だ」という方は、立ち退き問題に強い弁護士へ依頼し、代理交渉を行ってもらうのも方法の一つです。ライズ綜合法律事務所では無料相談を承っておりますので、補償額の計算などにお困りの方はお気軽にご連絡ください。

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また、再開発に伴う立ち退き料の相場や内訳について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

再開発による立ち退き料の相場は?店舗や持ち家・賃貸ごとの違いは?

再開発による立ち退き要請から強制執行までの流れ

再開発事業は、法律で定められた流れに沿って進められます。どのタイミングで何を決めなければならないのか、全体の流れを把握しておきましょう。

事業者が再開発の事業認定を取得

まず、自治体などが街づくりのための調査や勉強会での検討などを経て、事業計画案を策定します。その後、知事などの認可を受けて正式に再開発組合を設立。その後、事業認定庁(国や都道府県)が事業の公益性を審査し、事業者に土地収用法の適用を認める事業認定を行います。

この認定の告示がなされると、事業者は土地を強制的に取得できる強力な法的地位を得ます。

住民説明会の実施、立ち退き交渉が開始される

組合設立の前後で住民説明会が行われ、権利変換(新しい建物に住む)か地区外転出(立ち退き)かの選択を迫られます。ここで注意すべき点は回答期限です。都市再開発法第118条に基づき、公告日から30日以内に権利変換を申し出ないと、自動的に転出希望として扱われるリスクがあります。意思表示は期限内に必ず行いましょう。

その後、再開発組合から具体的な補償額が提示されます。先述した通り、金額は画一的な基準で算出されるため、不満がある場合は収用委員会へ裁決を申し立てる必要があります。これは都道府県に設置された中立公正な行政委員会で、当事者間の争いを審理する機関です。裁決が下ると事業者は補償金を支払い、住民は期限までに明け渡す義務が確定します。不服があっても期限は動かせないため、この段階までの交渉が重要です。

双方の合意に至ったら補償契約書を締結する

交渉がまとまれば補償契約書を締結します。口約束はトラブルの元となるため、必ず書面で詳細を確認しましょう。特に立ち退きの期限、補償金の総額と内訳、支払い時期(先払いか完了後か)などが正確に記載されているかをチェックしましょう。

不明点を残したまま署名・捺印すると、後で取り返しがつかないため、細心の注意を払ってください。

明け渡しの期限を過ぎても立ち退かない場合は強制執行となる

権利変換計画の認可が下り、正式な明け渡し期日が確定した場合、その日までの退去が法的義務となります。交渉がまとまらない場合でも、期日を過ぎれば行政代執行(強制執行)の手続きが進められる可能性があります。

強制執行に至る流れは以下の通りです。

手順

内容

1.義務の不履行

明け渡し期限を過ぎても退去しない状態

2.代執行の請求

事業者が行政(知事等)に代執行を請求

3.戒告(かいこく)

執行前の警告。〇日までに退去しなければ執行するという警告書が届く

4.代執行令書の発行

具体的な執行日時が記された命令書が出される

5.執行の断行

執行官や業者が入り、強制的に荷物の搬出・建物の解体を行う

先述した通り、行政代執行にかかる費用は全て住民(義務者)に請求されます。執行の断行に至る前に交渉によって解決を図りましょう。

再開発による立ち退き要請を有利に進めるポイント

行政や組合から立ち退きを要請された場合、経済的な不安も大きいでしょう。

都市再開発法により損失は補償されるとはいえ、提示されるがままの条件で合意してしまうと本来もらえるはずの額よりも低くなってしまう可能性があります。ここでは、ご自身にとって少しでも有利な条件で立ち退きを進めるための3つのポイントを解説します。

手続きの期限を把握する

再開発の手続きは厳格なスケジュールで進行するため、期限までに対応を進める必要があります。特に重要なのが、先述した事業計画決定の公告日から30日以内の申し出です(都市再開発法第118条)。この期間内に権利変換か地区外転出かを決めて意思表示をしないと、希望しない条件で処理されてしまうリスクがあります。

しかし誤解してはいけないのが、この30日という期限はあくまで選択肢を決めるものであり、提示された補償額への合意期限ではないという点です。金額に納得がいかないまま、焦ってハンコを押す必要はありません。

根拠を提示して補償額の増額を交渉する

補償金は国の公共補償基準要綱に基づいて算出されます。この基準自体は厳格に定められているため変えられないものの、計算の前提となる調査内容が適正に行われているかは細かくチェックする必要があります。例えば、建物のグレード評価が低すぎる、庭木や門扉などの工作物が計上されていないなどの調査漏れがあれば、当然提示額は本来より低くなるでしょう。増額交渉には、これらを指摘する客観的な根拠が必要です。

「もっと欲しい」と感情的に主張するのではなく、以下のような項目について正しく反映されていないことを示すのが重要です。

  • 建物の評価額:構造や材質に見合った適正な評価か
  • 土地の価格:近隣の取引事例と比較して安すぎないか
  • 移転雑費:高齢者の引っ越しなど、特殊な事情が考慮されているか

ライズ綜合法律事務所では、立ち退き料の適正額を算出するために土地・建物評価のプロである不動産鑑定士と連携しています。弊所では専門家の知見を入れた精度の高いシミュレーション(試算)が可能なので、根拠に基づいた説得力のある交渉を行えます。

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弁護士に相談する

再開発による立ち退きは、多くの方にとって一生に一度あるかないかの出来事です。対して、相手となる施行者(行政やデベロッパー)は再開発のプロであり、圧倒的な知識と経験を持っています。この情報と経験の格差がある状態で、個人が対等に交渉するのは容易ではなく、思うような結果につながらない恐れがあります。

その点弁護士に相談して交渉を代行してもらえば、この格差を埋めることが可能です。弁護士なら法的な知識を基に施行者側に適正な対応を求められ、精神的なストレスを軽減できます。

「交渉をしても施行者の理解をなかなか得られない」「施行者の提示額が妥当か分からない」と立ち退きに不安を感じている場合は、合意書にサインする前に、立ち退き問題に強い弁護士へ相談することがおすすめです。

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まとめ

再開発に伴い、長年住み続けた愛着ある持ち家からの立ち退きを要請された場合、原則拒否をすることはできません。再開発などの公共事業は、地域の利便性や防災性の向上といった社会的意義のある目的を達成するために実施され、その強制力には法的な根拠が伴うからです。立ち退きを拒否し続けると、行政代執行に至るリスクもあるため、ご自身に有利な条件で権利変換もしくは立ち退きを選択するのが望ましいです。

ただし30日という短い期限があるため、ご自身のその後の生活にとってどちらがよいのか決めかねる場合は、早めに弁護士に相談し法的なアドバイスをもらいましょう。弁護士に相談すれば、法的な知識やこれまでの交渉実績に裏付けされたノウハウにより、適切な立ち退き料(補償額)を得ることができます。受け取れる費用が増えれば、その後の生活再建にも生かせるでしょう。

「提示額が適正かが分からない」「行政相手の交渉が不安」という方は、弁護士法人ライズ綜合法律事務所へご相談ください。弊所は16,000件以上の相談実績と3,000件以上の解決実績を持つ、立ち退き問題の専門家です。不動産鑑定士と連携した緻密なシミュレーションにより、本来受け取るべき正当な補償金の獲得に向けて全力でサポートいたします。ご相談は何度でも無料です。お一人で悩まずお気軽にご相談ください。

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このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。