債務整理

2026/08/14

民事再生法とは?手続きや流れ・メリットやデメリットを解説

民事再生法とは?手続きや流れ・メリットやデメリットを解説

借金の返済に追われ、生活や事業の継続が難しくなっている方もいるでしょう。資金繰りが厳しくなると、このまま続けられるのかと不安を感じる場面も増えます。

しかし、借金問題の解決策は自己破産だけではありません。民事再生法という制度を利用すれば、借金を整理しながら事業や生活を維持できる可能性があります。

本記事では、民事再生法の基本的な仕組みや、破産との違い、利用条件などを分かりやすく解説します。制度の特徴を理解することで、自分に合った解決方法を選びやすくなるでしょう。将来に向けた再出発の選択肢を知るためにも、ぜひ最後までご覧ください。

【この記事で分かること】

  • 民事再生法の仕組みや、借金を減額しながら再建を目指す方法
  • 自己破産や会社更生との違いや手続きのメリット・デメリット
  • 民事再生を利用できる条件や種類、自分が対象になるかの判断方法

民事再生法とは?

民事再生法とは、法人や個人が借金の返済に困窮した場合に、清算ではなく再建を目的として行う手続きについて定めた法律です。裁判所の関与のもとで再生計画を立て、借金の減額や返済条件の見直しを行いながら、事業や生活の立て直しを図ります。

この制度の特徴は、経済活動を止めずに再出発を目指せる点にあります。自己破産のように財産を処分することが前提ではなく、事業や生活の継続を重視した仕組みといえるでしょう。

主に中小企業や個人事業主、一定の条件を満たす個人が利用する制度であり、返済の見込みがある場合に選択されるケースが多く見られます。

※参考:e-Gov法令検索.「民事再生法」.https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 ,(参照2025-10-01).

民事再生手続きと破産手続きの違い

民事再生手続きと破産手続きの大きな違いは、制度の目的にあります。民事再生は再建を前提とするのに対し、破産は清算を目的とした手続きです。

民事再生では、借金を減額しながら返済を続け、事業や生活の維持を目指します。一方、破産では原則として財産を処分し、債務の免除を受けることになります。

また利用されるケースにも違いがあります。一定の収入や事業収益が見込める場合は民事再生が検討されやすく、返済の見込みが立たない場合には破産が選択される傾向があります。

どちらが適しているかは、収入状況や資産の有無、今後の見通しによって判断されるため、状況に応じた検討が重要です。

民事再生手続きと会社更生手続きとの違い

民事再生手続きと会社更生手続きは、いずれも再建型の倒産手続きですが、対象や運用の特徴に違いがあります。

民事再生は中小企業を含む幅広い法人が利用できる制度であり、原則として経営者が引き続き事業運営を行います。これにより、迅速かつ柔軟に再建を進めやすい点が特徴です。

一方、会社更生は主に大企業を対象とした制度で、裁判所が選任した管財人に経営権が移るなど、手続きが厳格に行われます。その分、債権者保護の側面が強く、手続きの負担も大きくなります。

実務上は、スピードや柔軟性を重視して民事再生が選択されるケースが多いといえるでしょう。

民事再生手続きの対象

民事再生手続きの対象となるのは、将来的に支払不能となるおそれがある法人や個人です。すでに返済が困難な状況にある場合だけでなく、近い将来に資金繰りが行き詰まる可能性がある場合にも利用が検討されます。

法人の場合は中小企業から一定規模の企業まで幅広く利用可能です。個人については、個人再生という形で制度が整備されています。

ただし、いずれの場合も再生計画に基づいて返済を継続できる見込みがあることが前提です。完全に返済能力が失われている場合には、民事再生ではなく破産が検討されることになります。

そのため、自身の収入や事業の見通しを踏まえて、適切な手続きを選択することが重要です。

民事再生手続きの種類

民事再生手続きは、利用主体や収入形態に応じていくつかの種類に分かれています。大きくは、法人を対象とする民事再生と、個人を対象とする個人再生に分類されます。

それぞれ仕組みや適用条件が異なるため、自分の状況に合った制度を選ぶことが重要です。

民事再生

一般に民事再生という場合は、法人を対象とした手続きを指します。裁判所の管理のもとで再生計画を策定し、債権者の議決を経て計画を成立させる点が特徴です。

この手続きでは、経営者が原則としてそのまま事業運営を続けます。事業の継続性を保ちながら、借金の減額や返済条件の見直しを行うことで、再建を目指します。

中小企業の事業再生において広く活用されており、取引先や従業員への影響を抑えながら再出発を図れる点が評価されています。

個人民事再生

個人民事再生は、個人を対象とした民事再生手続きです。一般には個人再生と呼ばれることが多く、借金を大幅に減額した上で、原則3~5年で分割返済を行います。

自己破産と異なり、財産を維持しながら債務整理できる点が特徴です。特に住宅ローン特則を利用することで、自宅を手放さずに済む場合もあります。

個人再生の流れや手続き

小規模個人再生

小規模個人再生は、自営業者やフリーランスなどを含む幅広い個人が利用できる手続きです。収入に一定の変動があっても利用しやすい点が特徴といえます。

この手続きでは、再生計画案について債権者による書面決議が行われます。一定数の反対がある場合には計画が成立しない可能性があるため、債権者の理解を得ることが重要です。

柔軟性がある一方で、成立の可否が債権者の意向に左右される点には注意が必要です。

給与所得者等再生

給与所得者等再生は、安定した給与収入がある個人を対象とした手続きです。主に会社員や公務員などが利用します。

この手続きの特徴は、債権者の議決を必要とせず、裁判所の判断のみで再生計画が認可される点にあります。そのため、手続きの安定性が高いといえます。

ただし、返済額は可処分所得を基準に算定されるため、小規模個人再生よりも返済負担が大きくなる場合があります。安定性と負担のバランスを踏まえて選択することが重要です。

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民事再生手続きの流れ

民事再生手続きは、申立てから弁済開始まで複数の段階を経て進む再建手続きです。手続きは裁判所の関与のもとで進行し、それぞれの段階で異なる書類や判断が求められます。

特に重要なのは、再生計画の実行可能性です。計画の現実性が全体を通じて厳しく確認されるため、各ステップを理解しておくことが大切といえるでしょう。

ここでは、一般的な流れを順を追って解説します。

1.申立ての準備

民事再生の成否は、申立て前の準備段階に大きく左右されます。まずは自社や自身の財務状況を正確に把握し、手続きが適しているかを検討する必要があります。

具体的には、負債額や債権者の整理、資金繰りの確認、今後の事業継続性などを見極めます。この段階での分析が不十分だと、その後の計画策定や審査に影響する可能性があります。

主な準備内容は次の通りです。

  • 債権者一覧の作成
  • 財産目録の整理
  • 決算書や資金繰り表の確認
  • 事業計画の検討

また弁護士などの専門家に相談し、破産や他の手続きとの比較を行うことも重要です。準備段階で方向性を誤らないことが、スムーズな手続きにつながります。

2.裁判所への申立て

準備が整ったら、管轄の地方裁判所に対して民事再生手続きの申立てを行います。申立ては正式な法的手続きであり、必要書類をそろえて提出する必要があります。

提出する主な資料は次の通りです。

  • 申立書
  • 債権者一覧表
  • 財産目録
  • 資金繰り表
  • 事業継続の見込みを示す資料

また申立てと同時に弁済禁止の保全処分を求めることもあります。これは、手続き開始前に債権者からの取り立てや差し押さえが進むことを防ぐための措置です。

裁判所は提出書類をもとに、形式面と内容面の双方を確認します。この段階で手続きの方向性が大きく左右されるため、正確な資料提出が求められます。

3.再生手続きの開始決定

裁判所が要件を満たしていると判断すると、再生手続きの開始決定が出されます。この決定により、民事再生が正式にスタートします。

開始決定の主な効果は次の通りです。

  • 強制執行や差し押さえが原則として制限される
  • 債務者が事業を継続しながら再建を進められる

この時点で、債務者は一定の保護を受けながら再建手続きを進めることになります。ただし、ここがゴールではなく、本格的な計画作成はこれから始まる点に注意が必要です。

4.債権の調査・確定

開始決定後は、債権の調査と確定が行われます。債権者は裁判所に対して自らの債権を届け出る必要があります。

その後、届け出られた債権について内容や金額の確認が行われ、争いがある場合は調整されます。この工程によって、再生計画の前提となる債権額が確定します。

この段階のポイントは次の通りです。

  • 債権者が債権を届け出る
  • 内容や金額の確認・調整が行われる
  • 計画作成の基礎となる債権額が確定する

公平な計画を作成するためには、正確な債権額の確定が欠かせません。後の議決にも影響する重要な工程です。

5.再生計画案の作成

債権額が確定した後は、再生計画案を作成します。この計画は民事再生の中心となるものであり、内容の妥当性が厳しく確認されます。

再生計画案には、次のような内容を盛り込みます。

  • 借金の減額割合
  • 返済期間と返済方法
  • 事業再建の方針
  • 将来の収益見込み

重要なのは、実現可能性です。単に返済額を減らすだけではなく、継続して返済できる現実的な計画であることが求められます。

債権者の理解を得るためにも、収益見込みやコスト削減など、具体的な裏付けを示すことが重要といえるでしょう。

6.債権者集会での審議・議決

作成した再生計画案は、債権者集会で説明され、審議と議決が行われます。民事再生は債務者だけで完結する制度ではなく、債権者の同意が重要な要素となります。

審議のポイントは次の通りです。

  • 計画が実現可能かどうか
  • 債権者にとって不利益が過度でないか

一定の要件を満たす賛成が得られれば、計画案は可決されます。一方、否決された場合は、計画の修正や手続きの見直しが必要になります。

債権者の理解を得るためには、合理性と公平性を備えた計画が欠かせません。

7.再生計画の認可

債権者の議決を経た後、裁判所が最終的な審査を行います。ここで法令違反や著しい不公平がないと判断されれば、再生計画は認可されます。

認可によって、次のような効果が生じます。

  • 再生計画が法的拘束力を持つ
  • 減額後の返済内容が確定する

この段階は大きな節目ですが、まだ手続きは終わりではありません。実際の再建は、その後の履行によって実現されます。

8.再生計画に基づき弁済開始

再生計画が認可されると、計画に沿った弁済が開始されます。定められた期間にわたり、分割で返済を継続していくことになります。

この段階で重要となるポイントは次の通りです。

  • 計画通りに返済を継続すること
  • 資金管理や事業運営を安定させること

もし計画通りに履行できない場合、手続きが失敗に終わる可能性もあります。そのため、無理のない計画を立てることが重要です。

一方で、計画を完了すれば残りの債務が整理され、再建が現実のものとなります。ここまで到達することが、民事再生の最終的な目標といえるでしょう。

民事再生手続きのメリット

民事再生手続きは、借金の整理と再建を同時に目指せる制度です。自己破産とは異なり、事業や生活を維持しながら再出発できる点に特徴があります。

ただし、全てのケースに適しているわけではありません。制度の特徴と前提条件を理解した上で、自分に合った選択かどうかを判断することが重要です。

ここでは、代表的なメリットを整理します。

借金を大幅に減額できる

民事再生の大きなメリットは、借金を大幅に減額できる可能性がある点です。利息や遅延損害金だけではなく、元本を含めた返済総額が見直されます。

これにより、現実的な返済額に調整されるため、無理のない返済計画を立てやすくなります。返済能力に応じて金額が設定される点が特徴です。

主なポイントは次の通りです。

  • 利息や遅延損害金の負担が軽減される
  • 元本を含めた返済額が圧縮される可能性がある
  • 現実的な返済計画を立てやすくなる

ただし、減額割合はケースによって異なります。必ず大幅に減額されるわけではないため、個別の状況に応じた判断が必要です。

事業・生活を維持できる

民事再生は、経済活動を止めずに再建を目指せる制度です。手続き中も事業や生活を継続できる点が大きな特徴といえます。

法人の場合は営業活動を続けながら再建を進めることができ、個人の場合も仕事や住居を維持しやすくなります。生活基盤を守りながら借金問題に対応できる点は重要です。

具体的なメリットは次の通りです。

  • 事業活動を継続できる
  • 雇用や取引関係を維持しやすい
  • 生活基盤を大きく崩さずに済む

ただし、影響が全くないわけではありません。取引条件の変更などが生じる場合もあるため、その点も踏まえて検討する必要があります。

財産を手放さずに済む可能性が高い

民事再生では、原則として財産の処分が前提とされていません。事業用資産や生活に必要な財産を維持しながら手続きを進められる可能性があります。

これは、再建後の生活や事業にとって大きなメリットです。資産を残せることで、再スタートの負担を抑えることができます。

主なポイントは次の通りです。

  • 事業用設備や資産を維持できる可能性がある
  • 生活に必要な財産を残せる場合がある
  • 個人再生では住宅を維持できるケースもある

ただし、全ての財産が守られるわけではありません。清算価値との関係など一定の制約があるため、条件を確認することが重要です。

民事再生手続きのデメリット

民事再生は再建に有効な制度ですが、一定の制約や負担も伴います。メリットだけでなく、デメリットも理解した上で判断することが大切です。

特に、収入や事業の継続性が前提となる点や、手続きの複雑さなどは事前に把握しておく必要があります。

ここでは、主なデメリットを整理します。

安定した収入・事業継続性が求められる

民事再生では、再生計画に基づいて返済を継続できる見込みが必要です。そのため、安定した収入や事業収益が前提となります。

法人の場合は事業の継続性が重視され、個人の場合は継続的な収入があるかどうかが判断材料となります。

主なポイントは次の通りです。

  • 返済継続の見込みが必要
  • 将来の収入見通しが重要
  • 見込みが不十分な場合は認可されない可能性がある

返済能力が前提となる点は、自己破産との大きな違いです。収入の安定性が制度利用の鍵となります。

手続が煩雑で時間と手間がかかる

民事再生手続きは、複雑で専門性の高いプロセスです。提出書類が多く、裁判所や債権者とのやり取りも必要になります。

申立てから認可までには一定の期間を要し、その間も対応が求められます。

主な負担は次の通りです。

  • 多数の書類作成と提出
  • 裁判所や債権者との対応
  • 手続きに要する時間

また専門的な判断が必要となるため、弁護士への依頼が一般的です。費用や精神的な負担も考慮する必要があります。

信用情報に影響がある

民事再生を行うと、信用情報機関に事故情報として登録されます。その結果、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。

法人の場合も、金融機関との取引条件に影響が出ることがあります。

主な影響は次の通りです。

  • クレジットカードの利用が制限される
  • 新規借入が難しくなる
  • 金融機関との取引条件が変わる可能性

ただし、影響は一定期間に限られます。長期的な再建を見据えた上で判断することが重要です。

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まとめ

民事再生法は、借金を整理しながら事業や生活の立て直しを目指せる制度です。借金の減額や返済条件の見直しが可能であり、破産とは異なり経済活動を継続できる点が特徴です。

一方で、安定した収入が求められることや、手続きの負担、信用情報への影響などのデメリットもあります。自分の状況に合った手続きかどうかを慎重に判断することが大切です。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。