債務整理
2026/08/14
個人再生の期間はどのくらいかかる?手続きの流れやスケジュールを解説

「借金の返済が苦しく、個人再生にどのくらい時間がかかるのか分からない」「手続き中の生活や返済はどうなるのか不安」と悩んでいる方もいるでしょう。個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額できる可能性がある手続きですが、申し立てから認可決定までにはある程度の期間がかかります。そのため、事前に全体の流れやスケジュール感を把握しておくことが大切です。
本記事では、個人再生にかかる期間の目安や手続きの流れ、長期化しやすいケース、スムーズに進めるためのポイントについて解説します。今後の見通しを立て、安心して再スタートを切るためにも、ぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 個人再生の申し立てから認可決定までにかかる期間の目安
- 個人再生の流れと各手続きで必要となる準備やスケジュール
- 手続きが長引くケースや、スムーズに進めるためのポイント
個人再生の手続きにかかる期間は?
個人再生の手続きにかかる期間は、およそ6カ月~1年が目安です。個人再生は裁判所を通じて行う手続きであり、多くの書類の準備や審査が必要となるため、かなりの時間を要します。
ただし、必要書類の不足や提出の遅れ、家計状況の確認に時間がかかった場合などは、さらに長期化することもあります。スムーズに進めるためには、弁護士と連携しながら早めに準備を進めることが大切です。
ここでは、個人再生の流れごとに、どのくらいの期間がかかるのかを解説します。
【1~3カ月】弁護士への相談~申し立て準備
弁護士へ相談・依頼すると、まず債権者へ受任通知が送られ、督促や取り立てが停止します。その後、裁判所へ申し立てを行うために、借金額の調査や必要書類の準備を進めていきます。
この段階では、以下のような書類を収集・作成する必要があります。
- 通帳のコピー
- 給与明細や源泉徴収票
- 家計収支表
- 財産目録
- 借入先一覧
この期間の目安は1~3カ月程度ですが、書類の取得に時間がかかるとさらに長引くこともあります。例えば、銀行から取引履歴を取り寄せる場合、数週間かかるケースも珍しくありません。
また弁護士費用を分割で積み立てる場合は、その支払い状況によって申し立て時期が変わることもあります。できるだけ早く手続きを進めるためには、必要書類を速やかに準備し、弁護士からの連絡に迅速に対応することが重要です。
【約1カ月】申し立て~手続き開始決定
必要書類がそろったら、地方裁判所へ個人再生を申し立てます。申し立て後、問題がなければおおむね1カ月程度で再生手続開始決定が出されます。
その際、裁判所の判断によって個人再生委員が選任される場合があります。個人再生委員とは、申立人の財産状況や返済能力を確認し、裁判所を補助する役割を担う弁護士です。一例として、東京地方裁判所では、原則として個人再生委員が選任される運用が取られています。
また裁判所によっては履行テストを求められることがあります。これは、再生計画通りに返済できるかを確認するため、一定期間、指定の口座へ毎月積み立てを行うものです。履行テストで支払いが遅れると、返済能力に不安があると判断される可能性もあるため注意が必要です。この期間は、裁判所に対して「継続して返済できる状態であること」を示す重要な段階といえます。
【3~6カ月】手続き開始~認可決定
手続きの開始決定後は、再生計画案の作成や債権額の確定などを進め、最終的に裁判所が認可・不認可を判断します。この期間は、一般的に3~6カ月程度が目安です。
主な流れは以下の通りです。
- 債権者による債権届出
- 債権額の確認・確定
- 再生計画案の作成・提出
- 債権者による書面決議や意見聴取
- 裁判所による認可決定
裁判所が定める各種書類の提出期限は厳格であり、書類提出が遅れると手続きが廃止される可能性もあります。家計状況に変化があった場合も、速やかに報告しなければなりません。この期間は、再生計画を確実に進めるために、継続的な家計管理と正確な対応が求められます。
【原則3年】再生計画に基づく借金の返済
再生計画が認可・確定すると、計画内容に沿って返済を開始します。返済期間は原則3年です。
ただし、病気や収入減少などの事情がある場合は、最長5年まで返済期間を延長できるケースもあります。例えば、教育費の増加や家族構成の変化によって、毎月の返済負担を抑える必要が生じることもあるでしょう。
個人再生は、認可決定で終わりではありません。無理のない返済を継続し、生活を立て直していくことが最終的な目的となります。
個人再生の手続き期間が長引きやすいケース
個人再生は、裁判所を通じて行う複雑な手続きです。そのため、書類の不備や対応の遅れなどがあると、予定よりも長期間かかってしまうことがあります。
特に、必要書類の準備不足や返済能力に関する確認が長引いた場合は、申し立てや認可決定までのスケジュールに大きく影響する可能性があります。
ここでは、個人再生の手続きが長引きやすい代表的なケースについて解説します。
必要書類の収集・提出が遅れた場合
個人再生では、裁判所へ多くの書類を提出する必要があります。弁護士に依頼した場合でも、通帳や収入証明書などの資料は、依頼者自身で準備しなければなりません。
書類の提出が遅れると、申し立て準備が滞ってしまいます。特に、役所や金融機関から取り寄せる書類は取得に時間がかかる場合もあるため、早めに準備することが重要です。
弁護士費用の支払いが滞った場合
弁護士費用の支払いが完了してから手続きを進める方針の事務所もあります。そのため、費用の支払いが遅れることで、スケジュール全体が後ろ倒しになってしまうかもしれません。
また支払い遅延が続くと「再生計画認可後の返済継続も難しいのではないか」と判断される可能性もあります。場合によっては、弁護士に辞任されてしまうケースもあるため注意が必要です。
申し立て書類に不備があった場合
裁判所へ提出した書類に誤りや不足があると、補正指示が出されます。補正とは、不備のある書類を修正・追加提出することです。
例えば、以下のようなケースでは追加説明を求められることがあります。
- 通帳の履歴に不明な出金がある
- 財産の記載漏れがある
- 家計収支表の内容に不自然な点がある
この対応には時間がかかることも多く、その分、手続き開始決定や認可決定が遅れる原因になります。
また裁判所からの質問に対して十分な説明ができない場合は、さらに追加資料を求められることもあります。こうした手間を減らすためにも、最初の段階で正確な情報を整理し、弁護士と確認しながら書類を作成することが大切です。
履行テストで返済能力に疑問を持たれた場合
先述のように、裁判所によっては返済能力を確認するために履行テストが行われることがあります。
履行テストは個人再生の手続きと並行して行われることが多いため、実施されるだけで手続きが長引くとは限りません。ただし、振込の遅れや金額不足があると、継続して返済できるか疑問を持たれる可能性があります。
家計収支について追加の説明を求められたり、再生計画案の見直しが必要になったりすれば、その分だけ手続きが長引くこともあるでしょう。
債権者の数が多い場合
借入先が多い場合は、債権額の確認や書類のやり取りに時間がかかりやすくなります。
個人再生では、各債権者の協力を得て借金額を確定していきます。しかし、債権者が多いほど確認作業や調整が増えるため、全体の進行も遅れやすくなります。
また小規模個人再生では債権者による書面決議も必要となるため、債権者数が多いケースほど手続きが複雑になりやすい点にも注意が必要です。
手続きが失敗しやり直すことになった場合
個人再生では、期限までに必要書類を提出できなかった場合や、再生計画が認可されなかった場合などに、手続きが廃止されることがあります。
例えば、以下のようなケースでは手続き継続が難しくなる可能性があります。
- 再生計画案の提出期限を過ぎた
- 小規模個人再生で債権者の不同意が多数となった
- 財産や収入を隠すなど、不誠実な対応があった
このような場合は、再度申し立てをしたり、自己破産など別の債務整理を検討したりする必要があります。結果として、問題解決までさらに長期間を要する可能性があります。
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個人再生にかかる期間を短縮するためのポイント
個人再生をできるだけスムーズに進めるためには、手続きが停滞する原因を事前に防ぐことが重要です。ここでは、個人再生にかかる期間を短縮するために意識したいポイントを解説します。
手続き中に新たな借り入れをしない
個人再生の手続き中に新たな借り入れをすると、再生計画の修正が必要になる可能性があります。借金総額や債権者の状況が変わることで、書類の作り直しや追加説明が必要となり、手続きが長引く原因になります。
また「返済が難しい状況にもかかわらず新たな借り入れをした」と判断されると、裁判所から返済能力や手続きへの姿勢を厳しく見られる可能性もあります。
例えば、以下のような行為も新たな債務と判断される場合があります。
- クレジットカードの利用
- スマートフォン端末の分割購入
- カードローンの追加借り入れ
そのため、個人再生を進める期間中は、できる限り現金中心で生活し、新たな借金を増やさないことが大切です。
債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼する
個人再生は、裁判所を通じて行う複雑な手続きです。提出書類も多く、裁判所ごとの運用ルールに対応しなければならないため、専門的な知見や経験が求められます。
債務整理の経験が豊富な弁護士に依頼すると、必要書類の準備や再生計画案の作成をスムーズに進めやすくなります。また裁判所や個人再生委員とのやり取りも適切にサポートしてもらえるため、手続き上のミスや差し戻しを防ぎやすくなります。裁判所が重視するポイントを把握している弁護士であれば、事前に不足しやすい資料や説明を補強した上で申し立てを行える可能性もあるでしょう。
結果として、補正対応や追加説明の回数を減らし、全体のスケジュール短縮につながることがあります。
不認可につながるような行動を避ける
個人再生では、裁判所や債権者に対して誠実に対応することが重要です。不適切な行動があると、手続きが長引くだけではなく、不認可や廃止となる可能性もあります。
特に注意したい行動として、以下のようなものがあります。
- 特定の債権者だけへ優先的に返済する
- 財産や収入を隠す
- 裁判所へ虚偽の説明をする
- 裁判所や弁護士との面談を無断欠席する
例えば、家族や知人からの借り入れだけを優先的に返済すると「偏頗弁済」と判断され、問題視される可能性があります。また財産の申告漏れが発覚した場合には、追加調査が行われ、手続き全体が大幅に遅れることもあります。
個人再生をスムーズに進めるためには、弁護士の指示に従い、ルールを守って誠実に対応することが大切です。
個人再生後の返済期間中に支払いが苦しくなった場合の対処法
個人再生では、認可決定後に原則3年間かけて借金を返済していきます。しかし、返済期間中に病気や失業、収入減少などが起こり、当初の計画通りに支払いを続けることが難しくなるケースも考えられるでしょう。
そのような場合でも、状況に応じて利用できる制度が用意されています。返済が厳しくなったからといって、すぐに支払いを放置してしまうのではなく、早めに弁護士へ相談することが重要です。
ここでは、個人再生後に返済が苦しくなった場合の主な対処法を解説します。
再生計画の変更を申し立てる
病気やリストラなど、やむを得ない事情によって返済が難しくなった場合は、裁判所へ「再生計画変更」の申し立てを検討しましょう。この手続きが認められると、返済期間を最長2年間延長できるため、毎月の返済額を減らせる場合があります。
例えば、当初3年間で返済する予定だったものを5年間に延長することで、月々の負担を軽減できるケースがあります。収入が一時的に減少している場合でも、返済期間を延ばすことで完済を目指しやすくなるでしょう。
ただし、再生計画変更が認められるためには、収入減少などの事情を客観的に示す必要があります。
例えば、以下のような資料を求められることがあります。
- 診断書
- 離職票
- 給与明細
- 収入状況が分かる資料
返済が苦しくなった場合は、滞納する前に弁護士へ相談し、早めに対応を検討することが大切です。
ハードシップ免責を申し立てる
返済期間を延長しても支払い継続が難しい場合には「ハードシップ免責」を利用できる可能性があります。ハードシップ免責とは、一定の条件を満たした場合に、残りの返済義務を免除してもらえる制度です。
ただし、利用するためには厳しい要件があります。例えば、以下のような条件を満たす必要があります。
- 再生計画に基づく返済額の4分の3以上を支払っていること
- 病気や障害など、本人の責任ではない事情で返済継続が困難になったこと
- 今後も返済の見込みが立たないこと
例えば、重い病気や障害によって働けなくなったケースなどでは、ハードシップ免責が検討されることがあります。
自己破産へ切り替える
再生計画変更による返済期間の延長が難しく、ハードシップ免責の条件も満たせない場合には、自己破産への切り替えを検討することになります。自己破産が認められると、原則として借金の返済義務は免除されます。
ただし、その代わりに一定以上の価値がある財産は換価処分し、債権者へ分配しなければなりません。例えば、個人再生では住宅ローン特則を利用して自宅を維持できていた場合でも、自己破産へ移行すると、自宅を手放さなければならないでしょう。
また自己破産には資格制限や信用情報への影響などもあるため、慎重な判断が必要です。そのため、自己破産へ切り替える前には、現在の収入や財産状況、今後の生活への影響を踏まえた上で、弁護士と十分に相談することが重要です。
個人再生後に事故情報が登録される期間
個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。
事故情報は永久に残るわけではありませんが、一定期間はクレジットカードやローンの審査に影響が出る可能性があります。登録期間の目安は、手続き完了または完済から約5~7年です。
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信用情報機関 |
事故情報が残る期間の目安 |
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CIC |
約5年 |
|
JICC |
約5年 |
|
KSC |
約7年 |
例えば、個人再生の手続きを行い3年間かけて返済を完了した場合、そこから5~7年程度は、ローンやクレジットカードの審査に通りにくい状態が続く可能性があります。
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不安になってきた方へ
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- 分割払い対応
- 最短で即日取り立てストップ
まとめ
個人再生は、借金を大幅に減額できる可能性がある債務整理の手続きです。裁判所を通じて進めるため、申し立てから認可決定までには一般的に約6カ月~1年ほどかかります。
手続きをスムーズに進めるためには、必要書類を早めに準備し、裁判所や弁護士からの指示に適切に対応することが重要です。書類の不備や返済遅延、新たな借り入れなどがあると、手続きが長引いたり、不認可となったりする可能性もあります。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。