慰謝料請求
2026/10/23
浮気・不倫の慰謝料請求はどこから不貞行為になる?条件や相場を解説

配偶者が異性と親密なやり取りをしているのを見つけても、どこから慰謝料を請求できる浮気に当たるのか判断に迷う方は多いでしょう。食事やデートだけなのか、すでに肉体関係があるのかによって扱いは異なります。
本記事では、慰謝料請求の対象となる浮気の基準や必要な条件、請求時の注意点について解説します。
【この記事で分かること】
- 浮気の慰謝料を請求できる条件と、不貞行為に当たる行為の範囲
- 不貞行為に該当しやすいケース・該当しにくいケース
- 慰謝料請求に必要な証拠や請求時に注意するべきポイント
浮気を理由に慰謝料を請求できる条件は?
浮気を理由に慰謝料を請求するには、原則として配偶者と浮気相手の間に不貞行為があったことが必要です。不貞行為とは、既婚者が自由な意思に基づき、配偶者以外の相手と性的関係を持つことを指します。
代表的な行為は、性交渉や性交類似行為です。恋愛感情の有無や交際期間の長さは決定的な基準ではなく、1回限りの関係でも不貞行為となる可能性があります。
一方、食事やデート、キス、親密なメッセージの交換だけでは、通常は不貞行為に当たりません。一般的な意味で浮気と感じる行為と、法律上の不貞行為には違いがあります。
ただし、肉体関係がなければ慰謝料を一切請求できないとは限りません。交際の期間や頻度、当事者の言動などから、婚姻共同生活の平穏を著しく侵害したと判断されれば、例外的に慰謝料請求が認められる場合があります。
単に不快感や嫉妬を抱いたというだけでは、慰謝料請求は難しいでしょう。肉体関係を伴わない浮気については、婚姻生活へ与えた深刻な影響を具体的に示す必要があります。
不貞行為に該当するのはどこから?
不貞行為には、性交渉だけではなく、一定の性交類似行為も含まれる可能性があります。また行為を直接確認できなくても、周囲の状況から肉体関係を推認できるケースもあるでしょう。ここでは、該当しやすい行為と該当しにくい行為を解説します。
不貞行為に該当する可能性が高いケース
性交渉を行った場合
配偶者以外の相手と性交渉を行った場合は、原則として不貞行為に該当します。1回限りであっても、法律上の責任を免れるわけではありません。
また相手に恋愛感情があったかどうかは、基本的に関係しないでしょう。好意を伴わない関係や、その場の流れで性交渉に至った場合でも、自由な意思に基づいていれば不貞行為となり得ます。
一方、暴力や脅迫などによって、意思に反して性的関係を強いられた場合は別です。被害を受けた側は、自由な意思に基づいて関係を持ったとはいえないため、不貞行為の責任を負うものではありません。
性交類似行為を行った場合
性交渉に至っていなくても、口淫や手淫などの性的行為は、内容によって不貞行為と評価される可能性があります。また不貞行為に当たらないと判断された場合でも、婚姻共同生活の平穏を侵害した行為として慰謝料請求の対象になることがあります。
そのため「性交まではしていない」という理由だけで、慰謝料請求を避けられるとは限りません。具体的な行為の内容や場所、二人の関係性などを踏まえて判断されるでしょう。
ただし、裸で抱き合った、体を触ったという事情だけで、必ず不貞行為になるわけではありません。一連の証拠から性的関係があったと評価できるかが重要です。
ラブホテルに長時間滞在した場合
配偶者と浮気相手が二人でラブホテルに入り、一定時間滞在していた場合は、肉体関係があったと推認されやすくなります。
ラブホテルへの滞在自体が不貞行為なのではありません。ただし、一般に性的行為を目的として利用される施設であるため、二人の入退室を撮影した写真や動画は、不貞行為を裏付ける有力な資料となります。
当事者が「休憩していただけ」「相談していた」と説明しても、滞在時間や利用した時間帯によっては、その主張が受け入れられにくいでしょう。同じ相手と複数回利用している記録があれば、証拠としての重要性はさらに高まります。
ホテルへの出入りが1回だけで、滞在時間も短い場合は、評価が分かれる可能性があります。利用明細や二人のメッセージなど、他の証拠もあわせて確認することが大切です。
宿泊を伴う旅行をした場合
配偶者以外の相手と二人きりで宿泊旅行をした場合も、肉体関係を推認される可能性があります。特に、同じ客室で一晩を過ごしたことが分かれば、有力な判断材料になるでしょう。
証拠として考えられるのは、旅行の予約記録や宿泊施設の領収書、写真、二人のメッセージなどです。ただし、複数人で参加した旅行や、別々の客室を利用していた場合は、不貞行為を否定する事情となります。
宿泊したという事実だけで、必ず肉体関係が認定されるわけではありません。同行者の人数や部屋の利用状況、旅行前後のやり取りなどを総合して判断されます。
同棲生活を送っている場合
配偶者と浮気相手が同棲している場合は、一般に肉体関係を伴う関係と考えられるため、不貞行為が推認されやすくなります。
完全に生活拠点を移していなくても、相手の自宅へ頻繁に泊まっているケースも同様です。衣類や日用品を置いている、合鍵を持っている、連日のように出入りしているといった事情も判断材料になります。
同棲期間が長ければ、継続的な不貞関係を裏付ける事情となるでしょう。ただし、親族関係や仕事上の事情など、同居に合理的な理由がある場合も考えられます。滞在頻度や生活実態を踏まえた判断が必要です。
不貞行為とみなされにくいケース
肉体関係を示さない行為だけでは、通常、不貞行為とは認定されにくい傾向があります。以下では、行為ごとの考え方を確認します。
食事やデートをした場合
配偶者以外の相手と二人きりで食事やデートをしただけでは、原則として不貞行為に該当しません。親密な関係であることはうかがえても、肉体関係があったとは限らないためです。
映画鑑賞や買い物、日中のドライブといった行為だけで、慰謝料請求が認められる可能性は高くないでしょう。会社の同僚や友人として会っていた場合も同様です。
ただし、深夜から翌朝まで二人きりで過ごした場合や、相手の自宅へ繰り返し出入りしている場合は、単なる食事やデートとは評価されない可能性があります。滞在時間や場所などの周辺事情も確認する必要があります。
キスやハグなどのスキンシップに留まる場合
キスやハグ、手をつなぐといった行為は、それだけでは通常、不貞行為に該当しません。一般的には浮気と受け止められる行為でも、法律上の不貞行為には性的関係が必要だからです。
ただし、スキンシップの程度や場所によっては、肉体関係を推認させる事情となることがあります。下着姿や裸で抱き合っている写真がある場合は、単なるキスやハグとは異なる評価を受けるでしょう。
写真だけで判断せず、二人が会っていた頻度や滞在場所、メッセージの内容などもあわせて確認することが重要です。
LINEや電話でのやり取りに留まる場合
LINEや電話で親密な連絡を取り合っていたという事実だけでは、原則として不貞行為に該当しません。「好き」「会いたい」といったメッセージだけで、肉体関係があったことまでは証明できないためです。
一方、次のような内容が含まれていれば、不貞行為を裏付ける証拠となる可能性があります。
- 性交渉の感想や具体的な行為について書かれている
- ラブホテルでの待ち合わせを相談している
- 宿泊旅行や同棲の事実が読み取れる
- 肉体関係があったことを認めている
- 性的な写真や動画を送り合っている
メッセージの一部だけでは、冗談や創作だと反論されることもあります。前後の文脈や送信日時、実際の行動と一致しているかを確認するとよいでしょう。
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浮気の慰謝料請求をするためのその他の条件
不貞行為があっても、常に配偶者と浮気相手の両方へ慰謝料を請求できるわけではありません。請求先や夫婦関係の状況、時効なども確認が必要です。ここでは、不貞行為以外の主な条件を解説します。
浮気相手に故意や過失があったこと
浮気相手へ慰謝料を請求するには、その相手に故意または過失があったことが必要です。
故意とは、交際相手が既婚者だと知りながら不貞行為に及んだことを指します。一方、過失とは、注意すれば既婚者だと気づけたにもかかわらず、十分に確認しなかった場合などです。
例えば、職場の同僚で家族がいることを知っていた場合や、結婚指輪を着けている姿を見ていたケースでは、故意が認められる可能性があります。また次のような事情が複数重なっていた場合は、過失の判断材料になるでしょう。
- 休日や夜間に連絡が取れない
- 自宅へ招かれることがない
- 生活状況についての説明が不自然である
- 共通の知人から既婚者だと聞いていた
反対に、配偶者が独身だと偽り、浮気相手が信じても無理のない状況だった場合、その相手への慰謝料請求は認められない可能性があります。
なお、故意や過失が問題になるのは、主に浮気相手へ請求する場合です。浮気をした配偶者自身は、自分が既婚者であることを認識しています。
夫婦関係が破綻していなかったこと
不貞行為が始まった時点で夫婦関係がすでに破綻していた場合、浮気相手に対する不貞慰謝料請求は原則として認められません。保護されるべき平穏な婚姻共同生活が、すでに失われていたと考えられるためです。
婚姻関係が破綻していたかどうかは、主に次の事情を踏まえて判断されます。
- 別居の有無や期間
- 別居に至った経緯
- 夫婦間の連絡や交流の状況
- 生活費の分担状況
- 離婚協議や離婚調停の進行状況
- 夫婦関係を修復する意思の有無
長期間別居し、離婚条件について具体的な話し合いを進めていた場合は、破綻していたと判断される可能性があります。
一方、夫婦仲が悪かった、性交渉がなかった、家庭内別居をしていたという事情だけで、当然に破綻が認められるわけではありません。同居を続け、家計や育児を共同で担っていたなら、婚姻関係が維持されていたと評価される余地があります。
慰謝料請求の消滅時効が成立していないこと
浮気の慰謝料請求権には消滅時効があります。長期間請求せずにいると、相手が時効を主張した場合に、慰謝料を回収できなくなる恐れがあります。
不法行為に基づく損害賠償請求権は、原則として次のいずれかの期間が経過すると時効にかかります。
- 損害と加害者を知った時から3年
- 不法行為があった時から20年
浮気相手へ請求する場合の「加害者を知った時」とは、一般に、不貞行為の事実と請求先となる浮気相手を特定できる程度に知った時です。浮気の疑いを持っただけで、必ず3年間の計算が始まるわけではありません。
また配偶者への離婚慰謝料と、個々の不貞行為について請求する慰謝料では、時効の起算点が異なる場合があります。夫婦間の権利に関する時効の特則が関係することもあるため、請求先や請求内容ごとの確認が必要です。
内容証明郵便による請求は、原則として催告に当たり、時効の完成が6カ月間猶予されます。その期間内に裁判上の請求などを行わなければ、時効の完成を確定的に防ぐことはできません。
浮気により精神的苦痛を受けたこと
慰謝料は、不法行為によって受けた精神的苦痛を金銭で補うものです。そのため、浮気によって平穏な婚姻生活を侵害され、精神的な損害を受けたことが請求の前提となります。
慰謝料を請求するために、うつ病などを発症している必要はありません。不貞行為によって夫婦関係が悪化し、強い不安や悲しみを抱いた場合も、精神的苦痛として考慮されるでしょう。
心身に不調が生じて医療機関を受診した場合は、診断書や診療記録、領収書などが苦痛の程度を示す資料になります。ただし、症状と浮気との因果関係を説明できることも必要です。
浮気による慰謝料の相場
浮気の慰謝料額は、法律で一律に定められていません。不貞行為の期間や婚姻関係への影響などによって異なります。ここでは、一般的に示される金額の目安を紹介します。
離婚や別居をする場合
不貞行為が原因で離婚した場合の慰謝料は、一般に100万〜300万円程度が一つの目安です。離婚には至らなくても、長期の別居によって夫婦関係が深刻な状態になった場合は、比較的高額になる可能性があります。
具体的な金額を左右する主な事情は、次の通りです。
- 婚姻期間が長い
- 不貞関係が長期間続いていた
- 不貞行為の回数が多い
- 未成年の子どもがいる
- 不貞行為が原因で離婚や別居に至った
- 浮気発覚後も関係を続けた
- 精神面や日常生活への影響が大きい
浮気相手が妊娠・出産し、それによって婚姻関係への影響や精神的苦痛が大きくなった場合も、増額の判断材料になることがあります。
一方、不貞行為が短期間かつ1回限りで、婚姻期間も短いケースでは、目安より低くなることもあるでしょう。100万〜300万円という金額は公的に定められた基準ではなく、個別の事情によって大きく変わります。
離婚や別居をしない場合
浮気が発覚しても離婚や別居をせず、夫婦関係を継続する場合の慰謝料は、一般に数十万〜100万円程度が一つの目安です。離婚した場合に比べて婚姻関係への影響が小さいと評価されやすいためです。
ただし、夫婦関係を継続するという事実だけで、精神的苦痛が軽いと決まるわけではありません。不貞関係が長期間続いていた場合や、発覚後も関係を解消しなかった場合は、目安を上回る可能性があります。
一方、1回限りの関係であり、発覚後すぐに関係を解消して謝罪したケースでは、慰謝料が低額になることもあるでしょう。証拠が不十分であれば、請求自体が認められない可能性もあります。
浮気を理由に慰謝料請求をする際のポイントや注意点
浮気が発覚すると、感情的になって相手を強く責めたくなることもあるでしょう。しかし、請求方法や証拠の集め方を誤ると、自分が責任を問われる恐れがあります。ここでは、請求時の注意点を解説します。
過度に高額な慰謝料を強要しない
慰謝料として請求する金額は、請求する側が自由に提示できます。一般的な相場より高い金額を示すこと自体が、すぐに違法になるわけではありません。
ただし、過度に高額な金額を支払うよう迫ると、話し合いがまとまりにくくなるでしょう。特に、次のような言動は避ける必要があります。
- 支払わなければ勤務先へ浮気を知らせると告げる
- 相手の家族や知人に言いふらすと脅す
- 暴力を振るったり、土下座を強要したりする
- 自宅や勤務先へ繰り返し押しかける
- SNSで氏名や浮気の事実を公開する
内容によっては、脅迫や恐喝、名誉毀損などの責任を問われる可能性があります。浮気をされた側であっても、相手に何をしても許されるわけではありません。
不貞行為の期間や回数、婚姻関係への影響などを整理し、根拠のある金額を提示することが大切です。
違法な方法で証拠を集めない
慰謝料請求では証拠が重要ですが、証拠を得るために違法な手段を使ってはいけません。
次のような行為は、住居侵入や不正アクセス、プライバシー侵害などに当たる恐れがあります。
- 浮気相手の自宅や敷地へ無断で立ち入る
- IDやパスワードを無断で使い、SNSやメールへログインする
- 相手の住居へ盗聴器や隠しカメラを設置する
- 相手の車や持ち物へ無断でGPS機器を取り付ける
- 相手を長時間追い回し、生活の平穏を害する
配偶者のスマートフォンを無断で操作する行為も、方法によってプライバシー侵害などの問題が生じます。端末のロック解除と、外部サービスへの不正ログインは法的な評価が異なるため、区別して考える必要があります。
自分で調査するのが難しい場合は、弁護士に必要な証拠を確認した上で、探偵業の届出をしている調査会社への依頼を検討するとよいでしょう。ただし、探偵であっても違法な調査が許されるわけではありません。
求償権を行使される場合がある
不貞行為は、配偶者と浮気相手による共同不法行為として扱われることがあります。その場合、両者が同じ精神的損害について賠償責任を負いますが、慰謝料を二重に受け取ることはできません。
例えば、適正な慰謝料額が200万円で、浮気相手から全額を受け取った場合、配偶者へ同じ200万円を重ねて請求することは難しいでしょう。
また浮気相手が自分の負担分を超えて慰謝料を支払った場合、浮気をした配偶者へ一部の返還を求めることがあります。これが求償権です。
配偶者と浮気相手の内部的な負担割合は、常に2分の1ずつになるわけではありません。不貞関係を主導した程度など、双方の責任の大きさを踏まえて判断されます。
離婚せず夫婦の家計を共にする場合は、配偶者による求償金の支払いが家計から出ることもあるでしょう。その結果、浮気相手から慰謝料を受け取っても、実質的な利益が減る可能性があります。
求償を避けたい場合は、示談書に、浮気相手が配偶者へ求償権を行使しない旨を記載する方法があります。ただし、求償権の放棄には相手の同意が必要です。
判断が難しい場合は弁護士に相談する
不貞行為に該当するか、どの証拠が有効かといった判断は、個別の事情によって異なります。食事やLINEのやり取りしか確認できていない場合でも、他の事情と組み合わせれば請求できる可能性があります。
一方、証拠が不十分なまま相手へ請求すると、事実を否定されるかもしれません。相手が警戒し、不貞関係を隠す恐れもあるでしょう。
弁護士へ相談することで、次のような対応を依頼できます。
- 不貞行為に該当する可能性の判断
- 不足している証拠や適法な収集方法の助言
- 慰謝料額の検討
- 配偶者や浮気相手との交渉
- 示談書や合意書の作成
- 調停や裁判の手続き
弁護士が代理人になれば、相手との連絡や交渉を任せられます。証拠が十分か分からない場合や、相手が請求を拒否しているときは、早めに相談するとよいでしょう。
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まとめ
浮気を理由に慰謝料を請求するには、原則として性交渉や性交類似行為などの不貞行為が必要です。食事やデート、キス、親密なメッセージのやり取りだけでは通常は不貞行為に当たりませんが、婚姻生活の平穏を著しく侵害した場合には、慰謝料請求が認められる可能性もあります。
慰謝料請求では、不貞行為の証拠に加え、浮気相手の故意・過失、夫婦関係が破綻していなかったこと、消滅時効が成立していないことなどの確認も必要です。判断に迷う場合は早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。
ライズ綜合法律事務所では、不貞行為に当たるか判断できないケースや、証拠が十分か分からない場合の相談にも対応しています。電話やメールによる相談が可能で、相談料は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
【ご相談専用フリーダイヤル】
0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)
このページの監修弁護士
弁護士
三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。
都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。


