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立ち退き

2026/03/30

立ち退き交渉は非弁行為?不動産会社や管理会社とのトラブルを避けるには?

立ち退き交渉は非弁行為?不動産会社や管理会社とのトラブルを避けるには?

「老朽化が激しいマンションやアパートを建て替えたいけれど、借主への立ち退き交渉を不動産会社や管理会社に任せて大丈夫か」と悩んでいる貸主もいるかもしれません。普段から付き合いのある不動産会社や管理会社に交渉を任せたいものの法に触れるトラブルは避けたいところです。

本記事では、非弁行為の定義や不動産会社や管理会社へ交渉を依頼するリスクを解説し、法的に正当な手順を提示します。最後まで読めば、リスクを低減し適正な立ち退き料で双方が納得して解決できる可能性が高まるでしょう。

【この記事で分かること】

  • 非弁行為の定義と立ち退き交渉が該当するケース
  • 不動産会社や管理会社へ交渉を依頼する際のリスク
  • 弁護士へ依頼することで得られる法的なメリット

そもそも非弁行為とは?

非弁行為とは、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、他人の法律事件に関する法律事務を行うことをいいます。これは日本の弁護士法第72条で禁止されており、違反すれば罰則の対象となるため注意が必要です。

※参考:e-Gov 法令検索.「弁護士法」第七十二条.

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205#Mp-Ch_9-At_72 ,(参照2026-02-24).

非弁行為が禁止されている理由

非弁行為が法律で禁止されているのは、資格のない者による法律事務が依頼者に不利益を与えたり、トラブルを深刻化させたりすることを防ぐためです。司法試験に合格し所定の研修を積んだ弁護士だけが行えるようにすることで依頼者の利益を守る意図があります。

例えば、法律の知識がない無資格者が、強引な交渉をするといった誤った進め方をした結果、借主から不法行為や脅迫で訴えられ、貸主自身が法的な責任を追及される事態も起こり得ます。こうした事態を未然に防ぎ、依頼者の正当な利益を守るために、弁護士法によって権限が制限されているのです。専門家に限定することで、解決までのプロセスにおいて法的安全性が担保され、社会全体の秩序が守られています。

非弁行為に該当する条件

次の条件の全てに当てはまる場合、非弁行為と判断される可能性があります。

  • 弁護士または弁護士法人ではないこと
  • 報酬を得る目的で行われること
  • 法律事件に関する法律事務に該当すること
  • 業として行うこと

法律事件とは、法律上の権利や義務に関する争いや疑義を意味し、法律事務とは法律事件に関わる業務を指します。また業として行うとは、反復継続して行うこと、またはそうする意思がある場合です。

例えば、○○円で管理会社が貸主に代わり立ち退き交渉を代行するといったことを繰り返す場合、非弁行為と判断される可能性があります。単に書面を届けるだけといった事務連絡の範囲を超えた際、法的リスクが発生することを認識しておかなければなりません。

非弁行為に対する罰則

非弁行為を行った場合は、弁護士法第77条に基づき、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。これは刑事罰であり、一度処罰を受ければ社会的な信用を失うだけではなく、今後の事業継続にも致命的な影響を及ぼします。

さらに、無資格者が従業員として所属する法人の業務として非弁行為を行った場合は、法人自体も300万円以下の罰金の対象になる可能性があるのです。例えば、不動産会社の社員が会社の指示で継続的に立ち退き交渉を代行していた場合、その社員個人に刑事罰が科されるだけではなく、会社自体も罰金刑を受け、行政処分を受けるリスクも伴います。貸主(大家)としては、このような重大な違法行為を平然と行う業者に依頼すること自体が自身の資産や社会的信用を危険にさらす行為であることを重く受け止めるべきです。

立ち退き交渉は非弁行為に該当するのか

賃貸物件の建物明渡請求を第三者が代理で受任して行う場合、非弁行為に該当する可能性があります。本来、借主に退去を求めたり、立ち退き料などの具体的な条件交渉をしたりできるのは、物件の所有者である貸主本人、または法律の専門家である弁護士に限られます。

例えば、管理会社の担当者が良かれと思って「私が間に入って話をまとめてあげますよ」と安易に代行することは、たとえ長年の付き合いがあったとしても、弁護士法に抵触するリスクがあるのです。不動産会社や管理会社はあくまでも建物の維持・管理を行う立場であり、法的な争いを含む交渉を受任して行う権限は持っていないことを、貸主は正しく認識しなければなりません。

「法律事件」「法律事務」に該当する場合がある

立ち退き交渉は、賃貸借契約の更新拒絶や解約など、法律関係の調整に関わるものであり、非弁行為の条件として挙げた法律事件や法律事務に該当する可能性があります。権利義務の発生・変更を伴う話し合いは法律上の争い(事件)として扱われるためです。

ただし、不動産会社や管理会社などの第三者でも、貸主に更新拒絶の意思がある旨を伝えるだけなど、事務的な連絡の範囲であれば問題ありません。例えば、貸主が作成した通知書を借主のポストへ投函したり「貸主さまが建て替えを検討されています」と事実を伝えたりするだけであれば許容されます。しかし、そこから一歩踏み込んで、具体的な立ち退き料の金額を提示したり、法的な手続きを代行したりすると弁護士法に抵触する可能性が高まります。

金銭を受け取らなければ問題ない?

非弁行為に該当する条件として報酬を得る目的で行われていることを挙げましたが、金銭を受け取らなければ問題ないというわけではありません。ここで注意したいのは報酬には金銭以外も含まれるということです。

例えば、直接的な相談料が発生していなくても、立ち退き後の土地売却の仲介権を約束したり、高級な物品や接待を受けたりすることも報酬と見なされます。また毎月支払っている管理費の中に立ち退き交渉の対価が含まれていると判断される場合も、報酬目的と見なされるリスクがあります。つまり、その場の交渉自体は無償で行っていたとしても、総合的な利害関係やバックマージンなどを踏まえた判断として、非弁行為と認定される可能性があるのです。ボランティアだから大丈夫という理屈は、法的には通用しないケースが多いことを肝に銘じておきましょう。

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立ち退き交渉が非弁行為だと見なされた事例・判例

不動産会社による立ち退き交渉を非弁行為であると判断した代表的な事例が、スルガコーポレーション事件(最高裁平成22年7月20日判決)です。この事案は、弁護士資格のない不動産会社がビルの所有者から委託を受け、賃借人と交渉して合意解約や明け渡しの合意を取り付けたものでした。

最高裁は、立ち退き交渉において「合意の成否、時期、立ち退き料の額を巡って解決すべき法的紛争が生じるのはほぼ不可避」と判示しました。つまり、立ち退き交渉そのものが弁護士法72条にいうその他一般の法律事件に該当し得る旨を示したのです。被告人らは報酬目的で不安や不快感を与える振る舞いをしながらこれを取り扱ったため、非弁行為の罪が成立すると認められました。例えば、専門家を装って執拗に退去を迫る行為は、不動産取引の円滑化という名目があっても許されません。この判決は、立ち退き交渉が法的な争いを含む事務であり、無資格者が立ち入るべきではないという明確な線引きを示したといえます。

立ち退き交渉を不動産会社や管理会社へ依頼するリスク

信頼している不動産会社や管理会社に立ち退き交渉を任せることは一見すると近道のように思えますが、実は貸主にとって大きな法的リスクを伴います。非弁行為に抵触することで生じる不利益を正しく把握しておきましょう。

合意内容が無効とされるリスク

非弁行為によって締結された立ち退きの合意は、違法な行為が介在した場合、公序良俗違反などが問題となり無効と判断される恐れがあります。せっかく時間と手間をかけて退去の合意に至っても、合意書自体が法的効力を持たなくなる可能性があるのです。

例えば、管理会社が交渉をまとめ、借主が一度は退去合意書にサインをしたとしましょう。しかし、後になって借主が知人や別の専門家からあの交渉は非弁行為で違法だったと指摘を受けた場合には「違法な交渉による合意なので無効だ」と主張され、居座られるリスクがあります。その結果、立ち退き交渉が振り出しに戻ったり、最悪の場合、すでに支払った立ち退き料の回収もできず、最初からやり直しになるという重大な損失を被ることになります。

物件の信用が損なわれるリスク

違法とされる恐れのある方法で立ち退き交渉を進めた場合、不適切な対応をする物件という極めて悪い印象を借主に与えてしまいかねません。借主がSNSや口コミサイトなどで不満を表明した場合、物件全体の評判に深刻な影響を及ぼし、将来的な入居者募集の際に不利に働くことも十分に考えられます。

例えば、管理会社が強引に何度も電話をかけたり、夜間に訪問したりといった執拗な交渉を行えば、借主はいわゆる「地上げ」のような行為をされていると被害感情を募らせます。さらには、交渉の過程で不動産会社や管理会社が強引な姿勢を取ってしまうと「貸主も同じような攻撃的な方針なのではないか」と疑われ、長年築いてきた近隣住民や他の借主からの信頼も一気に失う結果につながり、物件価値そのものを下げる恐れがあるでしょう。

不動産会社や管理会社との関係が悪化するリスク

不動産会社や管理会社に、法律上は本来できないはずの交渉業務を依頼した場合は、後からトラブルが起きた際に責任問題が浮上し、双方の関係に修復不可能な亀裂が入る恐れがあります。非弁行為の疑いを外部から指摘された場合は、不動産会社や管理会社側も行政処分や営業停止といった巨大なリスクを避けるため、急に対応を拒否したり、契約自体の見直しを求めてきたりする可能性があるからです。

例えば、これまで良好なパートナーとして物件管理を任せていたにもかかわらず、立ち退き交渉の失敗や警察への通報をきっかけに貸主から無理に頼まれたと責任を転嫁され、最悪の場合は絶縁状態になってしまうかもしれません。その結果、日常の管理業務の質も低下し、貸主にとって最も重要な事業パートナーとの関係が崩壊してしまうという経営上の致命的なダメージを負うことになります。

立ち退き交渉を貸主自身で行うリスク

貸主本人が自ら入居者と立ち退きの交渉を行うことは、弁護士法上の問題はありませんが、実務ではいくつかの重大なリスクが伴います。専門知識なしに挑むことで生じる、代表的な3つの懸念点を詳しく解説します。

不利な条件で合意してしまうリスク

法律や交渉の専門知識がないまま交渉に臨んだ場合、貸主は不利な条件を飲まされてしまう可能性が高いです。立ち退き料の算定根拠や裁判上の相場について十分な知識がない場合、借主側の過大な要求を退けることができず、結果として多額の損失を被る恐れがあります。

例えば、借主が「20年以上住み続けたので近隣の同条件の物件への引っ越し費用だけでなく、今後10年分の家賃差額を補填してほしい」と要求してきたとします。この主張の妥当性を判断できない貸主は、話し合いを早く終わらせたい一心で本来支払う必要のない数百万円単位の上乗せに応じてしまうといったケースが考えられるのです。一度合意してしまえば後から不当な条件だったと気づいても撤回することは困難です。

書面や合意内容の不備が残るリスク

当事者同士だけで交渉を行うと合意内容の取り決めや文書化に不備が残る危険があります。口頭の約束だけで済ませてしまったり合意書を作成しても内容があいまいだったりすると、後々「言った・言わない」のトラブルになりかねません。

例えば「来春までに退去する」と口約束した場合でも、合意書を取り交わしていなければ、万が一期限が来た場合に借主が「やはり引っ越し先が見つからないから出られない」と居直ってきた際に困るかもしれません。このようなリスクを回避するためにも、弁護士などの支援を受けて不備のない書面を作成しておいた方が賢明といえます。

借主との関係が悪化するリスク

貸主自身が直接立ち退き交渉をすると、感情的なもつれから借主との関係がこじれるリスクもあります。立ち退きの要求は借主の生活基盤に関わるデリケートな問題であり、伝え方を一歩間違えると、長年の信頼関係すら一瞬で破壊し、入居者の感情を激しく害してしまいやすいのです。

例えば、建て替えの必要性を説明する際に、貸主が「老朽化しているのだから出ていくのは当然だ」といった強い口調で迫ると、借主は「自分をないがしろにしている」と反発して、一切の交渉を拒絶するようになるかもしれません。反対に、対応を誤って優柔不断な印象を与えてしまい「ごねれば住み続けられる」と思われてしまうこともあります。一度対立が深まった場合、裁判にまで発展し、解決まで数年の歳月と多大な労力を費やす事態にもなりかねません。

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立ち退き交渉を弁護士へ依頼するメリット

弁護士に依頼すれば、非弁行為のリスクを排除し、貸主自身の精神的・時間的負担を抑えられます。ここでは、弁護士へ依頼するその他のメリットについても掘り下げます。

法律知識に基づき適切な判断をしてもらえる

弁護士に依頼すれば、膨大な判例や法律知識に裏打ちされた適切な判断・助言をしてもらえるようになります。立ち退きには正当の事由が必要ですが、見誤りやすいこの要件についても、専門家ならではの視点で状況を正確に評価し、解決に向けた適切な戦略を立ててくれます。

例えば、建物の老朽化が進んでいる場合、単に古いからと主張するだけでなく、耐震診断の結果や具体的な建て替え計画、周辺環境の変化などを総合的に考慮し、裁判でも通用するレベルの正当の事由を裏付ける事情・資料を整理します。また借主から相場外の立ち退き料を吹っ掛けられた際も、適正な算定根拠を提示して反論できるため、法的に不備のない交渉準備が可能となり、交渉成立の確度を高めることができます。

交渉が円滑に進みやすい

弁護士が代理人として間に入ることで、感情的な対立を極限まで排除し、法律的根拠に基づいた冷静な交渉を進められるようになります。貸主自身の代理人として弁護士が直接借主と対峙するため、貸主は日々の督促や、借主からの不満を直接聞き続けるストレスから完全に解放されます。

例えば、長年住んでいる高齢の借主が情に訴えて退去を拒む場合でも、弁護士が第三者の立場で法的な権利関係や今後のリスクを淡々と、かつ丁寧に進めることで、借主側も「これは法的な手続きなのだ」と冷静に受け止め、話し合いのテーブルにつきやすくなるでしょう。その結果、自分の手間や時間が大幅に減り、本業や私生活に専念できるようになる上、解決までの道筋が明確になることで、出口の見えない不安からも解消されます。

トラブルに発展するリスクを軽減できる

弁護士に依頼すれば、立ち退き交渉が深刻なトラブルに発展するリスクを大きく抑えられます。弁護士は法律や職務規範に基づいて適切に交渉を進めるため「合意が無効だ」と後から争われたり、交渉の進め方が強引だと問題視されたりする可能性を減らせます。

例えば、交渉がまとまった場合も、弁護士は後日の紛争を完全に封じ込める精緻な建物明渡合意書を作成します。立ち退き料の支払いや明け渡しの期限、残置物の処理ルールなどを明確に文書化するため、手続き面でも抜かりなく対応でき、内容の不備による再燃トラブルを防げます。

まとめ

本記事では、立ち退き交渉を不動産会社や管理会社に任せる非弁行為のリスクや、弁護士へ依頼する重要性について解説しました。法的な権限のない第三者による交渉は、合意の無効や刑事罰を招く恐れがあり、貸主にとって大きな損失となりかねません。安全かつ円滑に問題を解決するには、弁護士のサポートを受けた方が良いでしょう。

また立ち退き交渉を成功させるためには、まず提示すべき立ち退き料がどれくらいになるのかを正確に把握することが大切です。ライズ綜合法律事務所では、不動産鑑定士とも連携し、独自のシステムを用いてこの立ち退き料の試算を極めて精密に行っております。ここまで細かく金額を算出している事務所は他に多くありません。

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このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。第一東京弁護士会所属。