債務整理

2026/08/17

債務整理すると生命保険は解約になる?新規契約はできる?

債務整理すると生命保険は解約になる?新規契約はできる?

債務整理を検討しているものの、加入中の生命保険まで解約しなければならないのか、不安に感じる方もいるでしょう。家族の生活を支える保障や、将来に備えて積み立てた保険を失うことへの心配は大きいものです。

本記事では、債務整理による生命保険への影響や、自己破産でも契約を維持できる可能性がある方法を解説します。保険を残しながら借金問題を解決したい方は、参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 任意整理・個人再生・自己破産による生命保険への影響の違い
  • 掛け捨て型・貯蓄型や契約者によって異なる解約返戻金の扱い
  • 自己破産でも生命保険を維持する方法や債務整理後の新規加入の可否

債務整理をすると生命保険は解約になる?

債務整理をしても、全ての生命保険が一律に解約されるわけではありません。ここでは、手続きの種類や保険契約の内容による違いを解説します。

債務整理の種類による違い

生命保険への影響は、選択する手続きによって異なります。主な違いは次の通りです。

債務整理の種類

生命保険の扱い

任意整理

原則として解約する必要はない

個人再生

解約は不要だが、解約返戻金が返済額に影響することがある

自己破産

解約返戻金が一定額を超えると処分される可能性がある

任意整理の場合

任意整理をしても、加入中の生命保険を強制的に解約されることはありません。任意整理は、債権者との交渉によって将来利息や返済期間を見直す手続きであり、財産の処分を前提としていないためです。

解約返戻金がある貯蓄型保険も、基本的には契約を継続できます。ただし、毎月の保険料が家計を圧迫している場合は注意が必要でしょう。

任意整理後は、和解内容に従って継続的に返済しなければなりません。返済原資を確保するため、保障額の減額や特約の解約などを検討するケースもあります。

個人再生の場合

個人再生でも、生命保険を強制的に解約する必要はありません。財産を保有したまま、裁判所の認可を受けて借金を減額し、原則3年で返済する手続きだからです。

一方、解約返戻金がある保険は、清算価値に含まれます。個人再生では、保有財産の価値以上の金額を返済しなければならない清算価値保障原則があるためです。

例えば、借金額をもとに算出した最低弁済額が100万円でも、預貯金や解約返戻金などの清算価値が150万円であれば、原則として150万円以上を返済する必要があります。

なお、個人再生の返済額は、法律上の最低弁済額や清算価値などをもとに決まります。給与所得者等再生では、可処分所得を基準とした金額も考慮される点に注意が必要です。

自己破産の場合

自己破産では、解約返戻金がある生命保険が処分の対象になる可能性があります。一定の財産を換価して債権者への配当に充てた上で、残った借金の免除を目指す手続きだからです。

保険の財産価値は、申し立て時点で解約した場合に受け取れる返戻金の見込額によって判断されます。裁判所の基準を超える場合は、破産管財人が保険を解約することもあるでしょう。

ただし、少額の解約返戻金まで必ず処分されるわけではありません。例えば、東京地方裁判所では、解約返戻金の合計額が20万円以下であれば、原則として換価しない運用があります。

20万円という金額は全国共通の基準ではなく、申立先の裁判所によって扱いが異なります。管財事件への振り分け基準と、実際の換価基準が必ずしも同じとは限らない点にも注意が必要です。

債務整理の種類は4つ!方法ややり方の比較を特徴とともに解説

生命保険の種類による違い

自己破産や個人再生で問題になりやすいのは、解約返戻金が発生する保険です。掛け捨て型か貯蓄型かによって、財産としての評価が異なります。

掛け捨て型の場合

掛け捨て型の生命保険は、解約返戻金がなければ処分の対象になりません。解約しても債権者への配当に充てられる財産が生じないためです。

定期保険や医療保険には、途中で解約しても返戻金が発生しない商品が多くあります。その場合は、自己破産をしても契約を継続できるのが一般的です。

ただし、掛け捨て型と呼ばれる保険でも、契約期間や特約によって少額の解約返戻金が生じることがあります。商品名だけで判断せず、保険会社へ確認する必要があるでしょう。

貯蓄型の場合

終身保険や養老保険、学資保険などの貯蓄型保険は、解約返戻金が財産として評価されます。加入期間が長い場合、数十万円から数百万円に達することもあります。

任意整理では、返戻金の額にかかわらず、原則として保険を処分する必要はありません。個人再生では契約を維持できますが、その金額が清算価値に加わることで返済総額が増える場合があります。

自己破産では、解約返戻金が裁判所の基準を超えると、換価の対象となる可能性があります。

契約者による違い

保険の財産価値は、原則として契約者に帰属します。被保険者や保険金受取人が誰かではなく、解約返戻金を受け取る権利を持つ人が重要です。

本人が契約者の場合

債務整理をする本人が契約者であれば、解約返戻金は本人の財産として扱われます。自己破産では換価の対象となる可能性があり、個人再生では清算価値に計上されるでしょう。

被保険者や受取人が家族であっても、原則として扱いは変わりません。例えば、本人が契約者となっている学資保険は、子どもが受取人でも本人の財産です。

形式上は家族名義でも、実際には本人が契約を管理しているなど、名義が形式的なものに過ぎない場合は、権利関係を調査されることがあります。

家族が契約者の場合

配偶者や親などの家族が契約者である生命保険は、原則としてその家族の財産です。本人が被保険者や受取人であっても、それだけを理由に自己破産で処分されることはありません。

また本人が保険料を負担していたという事情だけで、直ちに本人の財産になるとは限りません。ただし、破産直前に本人から家族へ名義を移した場合や、財産隠しを目的とした名義借りが疑われる場合は別です。

契約者や保険料の支払状況、名義変更の経緯については、正確に申告する必要があります。

生命保険を維持しながら自己破産をする方法

解約返戻金が裁判所の基準を超えていても、生命保険を必ず解約しなければならないとは限りません。ここでは、契約を残せる可能性がある主な方法を紹介します。

自由財産の拡張を申し立てる

自由財産の拡張とは、本来は換価される財産について、裁判所の判断により手元に残すことを認めてもらう制度です。生命保険について認められれば、解約返戻金が基準を超えていても契約を継続できます。

判断では、解約返戻金の額や保障内容、本人の年齢、健康状態、他の財産などが考慮されます。特に、持病や高齢によって再加入が難しい場合は、保険を残す必要性を説明する事情になるでしょう。

ただし、本人が希望するだけで認められる制度ではありません。扶養家族の有無や保険料の負担、生活状況なども含め、個別に判断されます。

自由財産の拡張には法律上の申立期間があるため、破産申し立て前から弁護士と準備を進めることが大切です。具体的な期限や運用は、申立先の裁判所へ確認する必要があります。

解約返戻金相当額を支払う

解約返戻金に相当する現金を破産財団へ組み入れることで、保険の解約を避けられる場合があります。保険を解約した場合と同程度の財産を配当に充てられるため、契約自体を処分する必要がなくなるからです。

例えば、解約返戻金が30万円なら、同程度の現金を用意する方法が考えられます。親族から援助を受けるケースもあるでしょう。

ただし、本人が別の財産を無断で処分して資金を準備することはできません。親族から資金を受け取る場合も、返済義務のある借り入れにすると、新たな債務が生じます。

利用できるかどうかや必要な金額は、裁判所や破産管財人の判断によって異なります。自己判断で資金を動かさず、事前に弁護士へ相談することが重要です。

受取人に介入権を行使してもらう

破産管財人が保険を解約しようとする場合、保険金受取人などが介入権を行使できることがあります。

介入権とは、一定の要件を満たす保険金受取人が、解約返戻金相当額を保険会社へ支払うことで、保険契約の解除を防ぐものです。解除の通知後、所定の期間内に手続きを行うことで、契約を存続させられる可能性があります。

介入権を行使できるのは、保険契約者ではない保険金受取人のうち、契約者や被保険者の親族、被保険者本人などです。契約者の同意を得た上で、保険会社への通知と返戻金相当額の支払いを行います。

ただし、全ての生命保険が対象ではありません。保険料積立金がある死亡保険契約など、法律上の要件を満たす必要があります。

毎月の返済が
不安になってきた方へ

いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です

  • 相談料は何度でも0円
  • 分割払い対応
  • 最短で即日取り立てストップ

債務整理で生命保険への影響を抑えるためのポイント

生命保険への影響を抑えるには、債務整理を始める前の確認が重要です。ここでは、事前に押さえておきたいポイントを解説します。

保険契約の内容を早めに確認する

加入している保険について、次の内容を整理しておくとよいでしょう。

  • 保険会社と商品名
  • 契約者、被保険者、保険金受取人
  • 掛け捨て型か貯蓄型か
  • 毎月の保険料
  • 解約返戻金の有無
  • 契約者貸付の利用状況

契約内容は、保険証券や契約内容のお知らせ、保険会社の会員ページなどで確認できます。生命保険だけではなく、医療保険や学資保険、個人年金保険、共済なども対象です。

複数の契約がある場合は、一覧にまとめておくと弁護士への相談がスムーズに進みます。

解約返戻金証明書を準備する

個人再生や自己破産では、保険の財産価値を確認するため、解約返戻金証明書などの提出を求められるのが一般的です。保険会社へ依頼し、現時点で解約した場合の返戻金額が分かる書面を取得します。

証明書の名称は、保険会社によって解約返戻金計算書や解約返戻金額証明書などと異なります。発行までに時間がかかることもあるため、早めに依頼するとよいでしょう。

以前に取得した書面では、現在の評価額と異なる可能性があります。申し立てに近い時点の金額が記載された証明書を用意することが大切です。

勝手に解約や名義変更をしない

債務整理の前に、生命保険を自己判断で解約したり、家族へ名義変更したりすることは避けるべきです。財産隠しや不当な処分を疑われる恐れがあります。

特に、次のような行為には注意が必要です。

  • 解約返戻金を受け取り、使途を説明できないまま費消する
  • 保険契約を無償で家族へ譲る
  • 返戻金を家族名義の口座へ移す
  • 手続き直前に契約者貸付を利用する
  • 保険の存在や過去の解約を申告しない

財産を隠したり、その価値を不当に減少させたりすると、免責不許可事由に該当する可能性があります。自己破産をしても、借金の支払義務が免除されない恐れがあるでしょう。

すでに保険を解約している場合は、返戻金の額や使途について報告を求められることがあります。領収書や通帳の記録は保管しておくことが大切です。

解約返戻金がある生命保険の確認ポイント

解約返戻金の評価額は、自己破産での換価や個人再生の返済額に影響します。ここでは、契約者貸付や複数契約がある場合の確認方法を解説します。

解約返戻金証明書の取得

先述の通り、評価には保険会社が発行する解約返戻金証明書を用います。確認すべきなのは、記載された金額が契約者貸付を差し引く前か、差し引いた後かという点です。

また解約返戻金がない契約についても、0円であることを示す資料を求められる場合があります。必要書類は裁判所によって異なるため、弁護士の指示に従って準備するとよいでしょう。

契約者貸付の有無

契約者貸付とは、解約返戻金を担保として、保険会社から貸付けを受ける制度です。利用している場合、保険の財産価値を把握するには貸付元利金の残高も確認しなければなりません。

貸付残高は、保険会社の会員ページや契約内容のお知らせなどで確認できます。分からない場合は、証明書の発行を依頼する際に問い合わせるとよいでしょう。

契約者貸付の債権者一覧表への記載方法は、裁判所や申し立ての方針によって異なる可能性があります。弁護士へ正確に申告し、対応を確認することが必要です。

契約者貸付を差し引いた評価額

契約者貸付を利用している場合は、一般に解約返戻金から貸付元利金を差し引いた額が財産価値の目安となります。

例えば、解約返戻金が120万円、貸付元利金が90万円なら、評価額の目安は30万円です。

120万円-90万円=30万円

ただし、証明書に記載された返戻金が、すでに貸付額を控除した金額である場合もあります。二重に差し引かないよう、書面の記載内容を確認する必要があるでしょう。

また貸付金には利息が加算されるため、残高は変動します。古い通知書ではなく、申し立てに近い時点の資料を用意することが大切です。

複数の保険契約がある場合の合計額

複数の保険に加入している場合は、それぞれの解約返戻金を合算して判断されることがあります。1件ごとの返戻金が少額でも、合計すると裁判所の基準を超える可能性があるでしょう。

保険の種類

解約返戻金の評価額

終身保険

12万円

学資保険

8万円

個人年金保険

6万円

合計

26万円

上記の場合、個別の評価額は20万円以下ですが、合計額は26万円です。申立先の裁判所の運用によっては、換価や破産管財人との協議が必要になります。

保険の評価方法や換価基準は、裁判所によって異なります。特定の金額だけで、保険を残せるかどうかを判断することはできません。

保険会社への申告内容

債務整理を始めたという理由だけで、保険会社へ自己破産や個人再生の予定を申告する必要は通常ありません。解約返戻金証明書を取得する際も、現在の返戻金額を確認したい旨を伝えれば足ります。

一方、弁護士や裁判所に対しては、保険契約の内容を正確に申告しなければなりません。過去に解約した保険がある場合は、解約時期や返戻金額、その使途についても報告を求められることがあります。

必要となる申告期間や資料は、申立先の裁判所によって異なります。解約返戻金を生活費などに使った場合は、領収書や預金通帳を残しておくとよいでしょう。

債務整理後に新たに生命保険へ加入できる?

債務整理をした後でも、原則として新たな生命保険へ加入できます。任意整理や個人再生、自己破産をした事実だけで、生命保険へ加入できなくなるのが一般的ではないためです。

債務整理をすると、クレジットやローンに関する信用情報へ返済状況などが登録されます。しかし、生命保険は借り入れとは性質が異なり、通常は信用情報機関の情報を利用した与信審査を行う契約ではありません。

加入できるかどうかは、主に次のような事項をもとに保険会社が判断します。

  • 現在の健康状態
  • 過去の病歴や治療歴
  • 年齢
  • 職業や業務内容
  • 希望する保障内容や保険金額

ただし、加入できる場合でも、保険料を継続して負担できるか確認する必要があります。高額な貯蓄型保険へ加入すると、生活費や債務整理後の返済を圧迫しかねません。

必要な保障額を整理し、掛け捨て型の定期保険や医療保険も含めて検討するとよいでしょう。健康上の理由で一般的な保険への加入が難しい場合は、引受基準緩和型保険が選択肢となります。ただし、通常の保険より保険料が高くなる傾向があります。

また債務整理後はクレジットカードを利用できない可能性があります。保険料をカード払いにしている場合は、口座振替などへ変更できるか確認が必要です。

毎月の返済が
不安になってきた方へ

いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です

  • 相談料は何度でも0円
  • 分割払い対応
  • 最短で即日取り立てストップ

まとめ

債務整理をしても、生命保険が必ず解約されるわけではありません。任意整理では原則として契約を維持でき、個人再生でも解約は不要です。ただし、解約返戻金が清算価値に含まれ、返済額が増える場合があります。

自己破産では、解約返戻金の額によっては換価の対象になります。一方、自由財産の拡張や返戻金相当額の支払い、受取人等による介入権の行使によって、契約を残せる可能性もあるでしょう。

保険を残したい場合でも、自己判断で解約や名義変更をするのは危険です。契約内容や返戻金額を確認した上で、債務整理を依頼する弁護士へ相談しておくとよいでしょう。

ライズ綜合法律事務所は、月間4,000件、年間5万件の相談実績があり、借金の状況に応じた債務整理の方法を提案しています。電話の他、メールやLINEからのお問い合わせにも対応しており、相談料は無料です。生命保険を残せるか不安な方や、解約返戻金による影響を知りたい方はお気軽にご相談ください。

ご相談専用フリーダイヤル

0120-657-001

(9:00-21:00土日祝も受付中)

このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。