債務整理
2026/08/17
債務整理で不動産(持ち家)は残せる?手続きの種類毎に比較

債務整理をすると、持ち家や土地などの不動産を必ずしも失うわけではありません。手続きの種類や選び方次第では自宅を残せる可能性があります。
本記事では、任意整理・個人再生・自己破産による不動産への影響を比較します。不動産を手放す場合の選択肢や、債務整理後の住宅ローン・賃貸契約への影響も解説するため、借金や住まいの問題を考える際の参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 任意整理・個人再生・自己破産をした場合の不動産への影響
- 不動産を手放す際に選べる任意売却と競売の違い
- 債務整理後の不動産購入や賃貸契約への影響、手続き前の注意点
債務整理をしても不動産は残せる?
債務整理をしても、必ず持ち家や土地を手放すわけではありません。不動産を残せるかどうかは、選択する手続きや住宅ローンの返済状況によって異なります。
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債務整理の種類 |
不動産への主な影響 |
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任意整理 |
住宅ローンを整理の対象から外せば、不動産を残せる可能性がある |
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個人再生 |
住宅ローン特則の要件を満たせば、自宅を残しながらその他の借金を減額できる |
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自己破産 |
不動産は原則として換価・処分される |
任意整理と個人再生では、自宅を残せる余地があります。ただし、どちらも住宅ローンそのものを免除する制度ではありません。手続き後も支払いを続ける必要があるため、借金を減らした後の家計で返済できるかを確認しておかなければなりません。
一方、自己破産では、一定の自由財産を除く財産が債権者への配当に充てられます。不動産は一般に価値が高く、原則として処分の対象です。
任意整理をした場合の不動産への影響
任意整理は、裁判所を利用せず債権者と返済条件を交渉する手続きです。将来利息のカットや返済期間の見直しにより、毎月の負担を軽減できる可能性があります。
任意整理では、整理する借金を選べます。住宅ローンの借入先を交渉の対象から外し、契約通り返済を続ければ、持ち家への直接的な影響を避けやすいでしょう。
例えば、消費者金融やカードローン、クレジットカードの利用残高だけを整理する方法があります。これらの返済負担が減れば、住宅ローンの支払いを続けやすくなる場合もあります。
ただし、不動産担保ローンを任意整理の対象に含める場合は注意が必要です。返済が滞れば抵当権を実行され、不動産が競売にかけられる恐れがあります。
また住宅ローンを対象から外しても、任意整理後の返済額との合計を支払えなければ、自宅の維持は困難です。固定資産税や管理費、修繕費など、ローン以外の住居費も見落とせません。担保の設定状況と家計全体を確認し、無理のない返済計画を立てる必要があるでしょう。
毎月の返済が
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個人再生をした場合の不動産への影響
個人再生は、裁判所の認可を受けて借金を減額し、原則3年、事情がある場合は最長5年で返済する手続きです。一定の条件を満たせば、自宅を残しながら住宅ローン以外の借金を整理できます。
自宅を維持するために利用されるのが、住宅資金特別条項、いわゆる住宅ローン特則です。住宅ローンを他の借金と分けて扱い、再生計画に沿って返済を続けます。
主な要件は次の通りです。
- 本人が所有し、実際に居住している住宅である
- 住宅の購入や建築、リフォームなどに使ったローンである
- 住宅ローンのための抵当権が設定されている
- 対象となる住宅や敷地に、住宅ローン以外の債権を担保する抵当権などが設定されていない
店舗兼住宅でも、床面積の2分の1以上を居住用として使っていれば、対象になる場合があります。一方、投資用物件や別荘、他人に貸している住宅には原則として利用できません。
保証会社が住宅ローンを代位弁済した後でも、代位弁済から6カ月以内に個人再生を申し立てれば、住宅ローン特則を利用できる可能性があります。ただし、他の要件も満たさなければなりません。
競売手続きが始まっている場合も、裁判所へ中止命令を申し立てられることがあります。個人再生を申し立てれば自動的に競売が止まるわけではないため、早めの対応が必要です。
なお、個人再生では清算価値保障原則が適用されます。不動産の評価額が住宅ローン残高を上回ると、その差額に相当する価値が返済額へ影響し、再生計画の負担が重くなる場合があります。
共有不動産では、原則として本人の持分に相当する価値が検討対象です。住宅ローン特則を利用できても、算定された返済額を継続して支払えなければ再生計画は成り立ちません。
自己破産をした場合の不動産への影響
自己破産は、裁判所に支払不能であることを認めてもらい、免責許可を得ることで、原則として借金の返済義務を免除してもらう手続きです。その代わり、一定の価値がある財産は換価され、債権者への配当に充てられます。
持ち家や土地などの不動産は、原則として処分の対象です。住宅ローンが残っている場合は、破産管財人が抵当権者と調整して任意売却を進めたり、抵当権者が競売を申し立てたりします。
ローンがない場合や、不動産の価値がローン残高を上回る場合は、破産管財人が売却を進めるのが一般的です。不動産に換価価値があれば、通常は管財事件となります。
ただし、住宅ローン残高が不動産の価値を大きく上回り、他に換価すべき財産もない場合は、裁判所の運用によって同時廃止となる可能性があります。自己破産をすれば必ず管財事件になるわけではありません。
同じ家に住み続けたい場合は、親族や第三者に適正価格で買い取ってもらい、その購入者から借りる方法も考えられます。しかし、購入資金の確保や破産管財人・抵当権者との調整が必要であり、必ず実現できるものではありません。
売却後の家賃が高ければ生活再建を妨げるため、住み続けられるかだけではなく、その後の住居費も検討する必要があります。
債務整理に際して不動産を手放す場合の主な選択肢
住宅ローンの返済を続けられず、不動産を手放す場合には、主に任意売却と競売があります。いずれの方法でも、売却代金で住宅ローンを完済できなければ残債は残ります。
任意売却
任意売却とは、主に住宅ローンの残高が売却価格を上回る場合に、金融機関などの抵当権者から同意を得て、市場で不動産を売却する方法です。
通常、不動産を売る際は住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。任意売却では、売却代金だけで完済できない場合でも、抵当権者との交渉によって抵当権を外してもらえる可能性があります。
売却後に残った債務については、収入や生活状況を踏まえて分割返済を交渉するか、別途債務整理を検討します。
市場価格に近い金額で売却できる
任意売却では、一般の不動産売買と同様に、広告や内覧を通じて購入希望者を募ります。競売と比べると、市場価格に近い金額で売却できる可能性があるでしょう。
高く売れれば、その分だけ住宅ローンの残債を減らせます。ただし、売却期限や物件の状態、立地によっては、希望する価格で成約できない場合もあります。
退去時期を調整しやすい
任意売却では、買主との売買契約によって引渡日を決めます。競売よりも、転居先の確保や引っ越し準備に合わせて退去時期を調整しやすい方法です。
抵当権者の了承があれば、売却代金から引っ越し費用を確保できる場合もあります。ただし、費用を受け取る権利があるわけではなく、必ず認められるものではありません。
抵当権者の同意が必要となる
任意売却を成立させるには、全ての抵当権者から同意を得る必要があります。複数の抵当権が設定されている場合は、売却代金の配分について各債権者と調整しなければなりません。
売却価格も債務者だけでは決められません。抵当権者が価格を低過ぎると判断すれば、値下げや売却そのものに同意しない可能性があります。
競売
競売とは、住宅ローンなどの返済が滞った場合に、抵当権者が裁判所へ申し立て、不動産を強制的に売却する手続きです。所有者の意思にかかわらず、裁判所主導で進められます。
売却価格が低くなる場合がある
競売では、購入希望者が通常の売買と同じように建物内部を確認できるとは限りません。物件の状態や引渡し時期に不確定な面があるため、一般市場より落札価格が低くなる場合があります。
ただし、必ず市場価格を大幅に下回るわけではありません。物件の条件や入札状況によっては、高い金額で落札されるケースもあります。
売却条件を決められない
競売では、現況調査や評価、入札などが裁判所のスケジュールに沿って行われます。所有者が売却価格や買主、売却時期を選ぶことはできません。
売却代金の配当も、所有者が配分を指定することは困難です。落札者が代金を納付すると、原則として所有権は落札者へ移ります。
所有者が退去しない場合は、不動産引渡命令や強制執行によって明け渡しを求められる可能性があります。
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不動産を持ちながら債務整理をする場合の注意点
不動産を失いたくないからといって、名義変更や安価な売却を独断で行うと、債務整理に支障が出る恐れがあります。ここでは、手続き前に注意すべき点を解説します。
直前に不動産の名義を変更しない
不動産の処分を免れる目的で、債務整理の直前に家族などへ名義を変更してはいけません。実質的に財産を無償で譲渡したと判断されれば、破産管財人による否認の対象になる可能性があります。
財産を隠したり、債権者に不利益を与える目的で処分したりした行為は、免責の判断にも影響します。悪質なケースでは刑事責任を問われる恐れもあるため、名義変更は事前に弁護士へ相談する必要があるでしょう。
家族や知人に低い価格で売却しない
家族や知人へ著しく低い価格で売却すると、本来は債権者への配当に充てられた財産を不当に減少させたと判断される可能性があります。親族による買い取り自体は禁止されていませんが、適正価格で実際に代金を支払うことが必要です。
売却前には不動産会社などの査定を受け、価格の根拠を残しておくとよいでしょう。売買契約書や入出金記録、売却代金の使途を説明できる資料も重要です。
連帯保証人や共有者への影響を確認する
主債務者が個人再生や自己破産をしても、連帯保証人の支払義務まで免除・減額されるわけではありません。返済が止まれば、契約内容に基づいて連帯保証人へ一括請求される可能性があります。
共有名義の不動産では、破産者が持つ共有持分が換価の対象です。破産管財人が他の共有者へ買い取りを打診する他、第三者へ持分を売却することもあります。
新たな共有者から共有物分割を求められ、不動産全体の売却に発展する可能性も否定できません。共有関係や抵当権の設定状況は、登記事項証明書で確認できます。
ただし、住宅ローンの現在残高は記載されないため、金融機関の残高証明書なども用意する必要があります。
競売が始まる前に早めに対応する
住宅ローンの滞納を放置すると、金融機関から一括返済を求められ、最終的には競売へ進む可能性があります。手続きが進むほど、任意売却や個人再生を選べる時間は短くなるでしょう。
早い段階なら、金融機関へ返済条件の変更を相談したり、任意売却の準備を進めたりできます。住宅ローン特則を利用した個人再生によって、自宅を残せる可能性も検討できます。
競売開始決定後でも選択肢がなくなるわけではありませんが、中止命令や任意売却が必ず認められるとは限りません。返済が難しいと感じた時点で、早めに専門家へ相談することが重要です。
債務整理後の不動産購入への影響
債務整理後でも、現金で不動産を購入することに法的な制限はありません。ただし、住宅ローンを利用する場合は、信用情報の影響によって審査に通りにくくなります。
債務整理に伴う返済状況や契約終了などの情報は、信用情報機関に一定期間登録されます。登録期間は情報の種類や信用情報機関によって異なりますが、契約終了後5年以内などが一つの目安です。
全国銀行個人信用情報センターでは、破産・民事再生の官報情報を決定日から7年を超えない期間登録します。登録期間が過ぎても、住宅ローンを必ず利用できるわけではありません。
※参考:全国銀行協会.「一部情報の登録終了および登録期間の短縮について」.
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/info/18379/ ,(参照2026-08-15).
審査では、年収や勤続年数、年齢、既存の借り入れ、物件の担保価値なども確認されます。債務整理の対象にした金融機関や同じグループの会社では、信用情報機関の登録がなくなった後も、取引履歴などを踏まえて審査される可能性があります。
申し込み前には、信用情報機関へ本人開示を請求し、登録内容を確認するとよいでしょう。短期間に複数の金融機関へ申し込むことは避け、収入や頭金などの条件を整えることも大切です。
債務整理後の賃貸契約への影響
債務整理をしたという理由だけで、現在住んでいる賃貸住宅から直ちに退去させられるわけではありません。家賃を契約通り支払い、他の契約違反もなければ、基本的には住み続けられます。
家賃をクレジットカードで支払っている場合は、口座振替や銀行振込などへ変更する必要があります。債務整理によってカードが利用停止となり、意図せず家賃を滞納する恐れがあるためです。
新たに賃貸契約を結ぶ場合は、家賃保証会社の審査に影響することがあります。特に、信用情報機関へ加盟し、審査で信用情報を照会する保証会社では、契約が難しくなる可能性があるでしょう。
一方、全ての保証会社が信用情報を確認するわけではありません。審査に不安がある場合は、信用情報を照会しない保証会社を利用する物件や、保証会社を複数から選べる物件を探す方法があります。
安定収入を示す給与明細や預貯金の資料を準備し、家賃を収入に見合う範囲へ抑えることも有効でしょう。UR賃貸住宅など、独自の収入基準や貯蓄基準を設ける物件も選択肢です。
ただし、いずれも審査があるため、必ず契約できるわけではありません。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
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ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
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不動産がある場合の債務整理は弁護士に相談を
不動産を所有している場合は、手続きの選び方によって住まいや家族への影響が大きく変わります。ここでは、弁護士へ相談する主なメリットを解説します。
不動産を残せる方法を判断してもらえる
不動産を残せるかどうかは、債務整理の種類だけでは判断できません。借金と住宅ローンの残高、毎月の収入、不動産の評価額、抵当権の内容などを総合的に確認する必要があります。
弁護士に相談すれば、任意整理で返済を続けられるか、住宅ローン特則を利用できるかなどを検討してもらえます。自宅を残す場合と手放す場合を比較し、将来の返済まで見通した方法を選びやすくなるでしょう。
交渉や手続きをサポートしてもらえる
任意整理では、弁護士が債権者と返済条件を交渉します。個人再生や自己破産では、申立書や財産目録、収入に関する資料など、多くの書類を裁判所へ提出しなければなりません。
不動産がある場合は、登記事項証明書や査定書、住宅ローンの残高証明書なども必要です。任意売却を進めるときも、抵当権者との調整や売却代金の配分を支援してもらえます。
財産隠しなどの問題を避けやすくなる
弁護士へ相談すれば、不動産の名義変更や売却が手続き上問題にならないか、事前に確認してもらえます。過去に財産を処分している場合も、必要な説明や資料を整理しやすくなるでしょう。
正確な財産状況を申告し、適正な手続きに沿って対応することが重要です。不動産に関する判断は独断で進めず、契約や登記を変更する前に相談するとよいでしょう。
まとめ
債務整理をしても、任意整理や個人再生を選ぶことで、自宅を残せる可能性があります。一方、自己破産では不動産が原則として処分されるため、借金額や収入、住宅ローンの状況に応じた手続き選びが重要です。
不動産を手放す場合は、任意売却と競売で売却価格や退去時期が異なります。名義変更や親族への安価な売却を独断で行うと、手続きに支障が生じる恐れがあるため注意が必要でしょう。
ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があり、電話・メール・LINEからお問い合わせを受け付けています。相談料は無料のため、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご相談専用フリーダイヤル
0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)
このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。