債務整理

2026/09/13

個人再生で奨学金の返済義務はどうなる?保証人への影響は?

個人再生で奨学金の返済義務はどうなる?保証人への影響は?

奨学金の返済に加えて、カードローンやクレジットカードの支払いも重なり、毎月の返済に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。個人再生は、条件を満たすことで奨学金を含む借金の返済額を減額できる可能性がある手続きです。

本記事では、個人再生で奨学金がどのように扱われるのか、保証人への影響、メリット・デメリット、他の解決方法などについて解説します。奨学金の返済にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 奨学金も個人再生の対象となるのか、その条件やメリット・デメリット
  • 個人再生で減額後の借金を返済していく仕組み
  • 保証人への影響や信用情報機関への登録といった個人再生の注意点

個人再生で奨学金は減額される?

ここでは、個人再生で奨学金がどのように扱われるのかについて説明します。奨学金は教育目的で借りるものですが、法律上は借金の一種として扱われるため、個人再生の対象になる可能性があります。

個人再生では、借金総額に応じて返済額が決まります。例えば、住宅ローンを除いた借金総額が500万円超1,500万円以下の場合、返済額は元の借金総額の5分の1程度となるケースがあります。借入状況によっては、元本を含めた大幅な圧縮が期待できるでしょう。

減額後の借金は、原則として3年で分割返済していきます。そのため、返済を継続できる見込みがあることが重要です。個人再生を利用するには、継続的かつ安定した収入が必要になります。

また住宅ローンを除いた借金総額が5,000万円以下でなければ利用できません。無職で収入見込みがない場合などは、手続きが認められない可能性があります。

ただし、奨学金付きの個人再生では注意点もあります。人的保証を利用している場合、減額された分について保証人や連帯保証人へ請求が移る可能性があるためです。特に親族が保証人になっているケースでは、事前に十分な説明や相談を行う必要があります。

このように、個人再生は奨学金返済の負担軽減につながる可能性があります。しかし、利用条件や保証人への影響もあるため、制度内容を正しく理解した上で検討することが大切です。

奨学金の負担軽減のために個人再生を選ぶメリット

続いて、個人再生を選ぶ主なメリットについて説明します。

原則として財産処分を前提としない

個人再生の大きな特徴の一つが、原則として財産処分を前提としていない点です。自己破産では、一定以上の価値がある財産を処分して債権者へ配当する必要があります。

しかし、個人再生では、減額後の借金を継続返済していく制度であるため、自動車や生命保険などを維持できる可能性があります。仕事で車が必要な方にとっては、大きな安心材料になるでしょう。

また家族のために加入している生命保険を継続できる場合もあります。教育費や生活費への影響を抑えながら生活再建を目指せる点は、個人再生のメリットといえます。

ただし、全ての財産を無条件で残せるわけではありません。個人再生には「清算価値保障原則」があり、保有財産の価値以上は返済しなければならないとされています。

例えば、高額な預貯金や解約返戻金のある保険を持っている場合、その価値分だけ返済額が増える可能性があります。ローンが残る車両についても、契約内容によっては引き揚げの対象になる場合があるため注意が必要です。

元本を含めた大幅な圧縮が期待できる

個人再生では、利息だけではなく元本を含めた減額が期待できます。ここでは、任意整理との違いを踏まえながら説明します。

任意整理は、主に将来利息をカットして返済負担を軽減する手続きです。しかし、奨学金は元々の金利が低いケースが多く、任意整理だけでは十分な減額効果を得られない場合があります。

一方、個人再生では、借金総額に応じて元本そのものを圧縮できる可能性があります。個人再生の最低弁済額の目安は、以下の通りです。

借金総額

最低弁済額の目安

100万円未満

全額

100万円以上500万円以下

100万円

500万円超1,500万円以下

借金総額の5分の1

1,500万円超3,000万円以下

300万円

減額後の借金は、原則として3年で返済していきます。毎月の返済額を現実的な水準へ調整しやすくなるため、家計改善にもつながるでしょう。

また奨学金だけではなく、カードローンや消費者金融などの借入もまとめて整理できる場合があります。他の高金利借入の負担が減ることで、生活再建を進めやすくなる点もメリットです。

ただし、減額幅は借入状況や財産内容によって異なります。全てのケースで大幅減額になるわけではないため、事前に専門家へ相談して試算してもらうことが大切です。

持ち家を残せる場合がある

個人再生には「住宅ローン特則」と呼ばれる制度があります。この制度を利用することで、住宅ローンを継続返済しながら、他の借金だけを減額対象にできる場合があります。

自己破産では、自宅を処分しなければならないケースが一般的です。しかし、個人再生では条件を満たせば持ち家を維持できる可能性があります。

例えば、奨学金やカードローンの返済負担が重く「家は守りたいが返済が苦しい」というケースでは、有効な選択肢となるでしょう。子どもの学区を変えずに済むなど、家族の生活環境を維持しやすい点も大きなメリットです。

住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローン自体は従来通り返済を続ける必要があります。その上で、住宅ローン以外の借金のみを個人再生の対象にする仕組みです。また住宅ローン特則には利用条件があります。住宅に抵当権が設定されていることや、住宅ローン以外の担保権がないことなど、細かな要件を満たさなければなりません。

さらに、住宅ローンの滞納状況によっては利用が難しくなる場合もあります。そのため「自宅を残したい」と考えている場合は、できるだけ早い段階で専門家へ相談することが重要です。

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奨学金の負担軽減のために個人再生を選ぶデメリット

個人再生は、奨学金を含む借金の返済負担を軽減できる可能性がある手続きです。一方で、保証人への影響や信用情報への登録など、事前に理解しておくべき注意点も存在します。

ここでは、個人再生を利用する前に把握しておきたい主なデメリットについて説明します。

連帯保証人に請求が及ぶ

個人再生を利用する際に特に注意したいのが、保証人への影響です。奨学金に人的保証が付いている場合、個人再生をすると保証人へ請求が移る可能性があります。

保証人の種類ごとの扱いの違いは、以下の通りです。

区分

主な負担内容

連帯保証人

残債務全額について返済義務を負う

保証人

分別の利益により、一般的には負担割合が限定される

連帯保証人は、本人とほぼ同等の責任を負います。そのため、本人が返済できなくなった場合、残債務の一括返済を求められるケースもあります。一方、機関保証を利用している場合は、保証会社が代位弁済を行うため、家族へ直接請求がいく可能性は低くなります。

なお、個人再生では全ての債権者を平等に扱う必要があります。原則として、奨学金のみを除外して手続きを進めることはできません。

このような事情から、個人再生を検討する際は、保証人へ事前説明を行うことが重要です。必要に応じて、保証人側の分割交渉や債務整理も検討する必要があります。

信用情報機関に事故情報が登録される

個人再生を行うと、信用情報機関へ事故情報が登録されます。一般的に「ブラックリストに載る」といわれる状態です。

信用情報とは、クレジットカードやローンの契約・返済状況などを記録した情報を指します。金融機関は審査時にこの情報を確認しているため、事故情報が登録されると、新たな借入やカード作成が難しくなる可能性があります。

個人再生後に影響が出やすいものとして、以下が挙げられます。

  • クレジットカードの新規作成・更新
  • カードローンや住宅ローンの利用
  • 自動車ローンの審査
  • スマートフォン端末の分割購入
  • 一部家賃保証会社の審査

登録期間は信用情報機関によって異なりますが、一般的には5~7年程度が目安です。その間は、現金中心の生活へ切り替える必要があるでしょう。

ただし、事故情報が永久に残るわけではありません。一定期間が経過すれば、信用情報は回復していきます。

官報に掲載される

個人再生を申し立てると、手続きの過程で官報へ氏名や住所が掲載されます。これは法律で定められた手続きであり、避けることはできません。

しかし、一般の人が日常的に官報を閲覧する機会は多くありません。実際には、金融機関や一部業種の関係者が確認しているケースが中心です。そのため、官報掲載だけを理由に、知人や勤務先へ個人再生が知られる可能性は高くないといえます。

官報掲載は個人再生のデメリットの一つですが、過度に心配する必要はないでしょう。

手続きに費用と手間がかかる

個人再生は、裁判所を通じて行う法的手続きです。そのため、一定の費用や準備期間が必要になります。

まず弁護士へ依頼する場合は、依頼費用が発生します。事務所によって差はありますが、一般的には30万~60万円程度が目安です。

また裁判所へ納める費用も必要になります。地域や手続き内容によって異なりますが、個人再生委員が選任されるケースでは、15万~25万円程度の予納金が必要になる場合があります。

さらに、手続きには時間もかかります。申し立て準備から再生計画認可まで、半年~1年半程度かかるケースもあります。

このように、個人再生には一定の負担があります。しかし、返済不能状態を放置すると状況が悪化する可能性もあるため、早めに相談することが重要です。

個人再生の手続きが失敗する主なケース

個人再生は、条件を満たせば借金の返済負担を軽減できる可能性がある制度です。しかし、全てのケースで利用できるわけではありません。

裁判所を通じた法的手続きであるため、利用条件を満たし、誠実に対応する必要があります。収入状況や借金額によっては利用できない場合もあり、虚偽申告や偏頗弁済などが問題視されるケースもあります。

ここでは、個人再生が認められない主なケースについて説明します。

借金総額が5,000万円を超えている場合

個人再生には、利用できる借金総額の上限があります。住宅ローンを除いた借金総額が5,000万円以下でなければなりません。

ここでいう借金には、奨学金だけではなく、カードローンや消費者金融、クレジットカード残高なども含まれます。これらを合算して判断する仕組みです。

例えば、事業資金の借入が多い個人事業主などでは、無担保債務が高額になり、上限を超えるケースがあります。

また借金総額を確認する際は、元本だけではなく、利息や遅延損害金も含めて確認する必要があります。

一方、住宅ローンはこの5,000万円の計算対象外です。そのため、住宅ローン残高が大きくても、その他借金の総額が条件内であれば、個人再生を利用できる可能性があります。

給与など安定した収入が見込めない場合

個人再生では、減額後の借金を継続返済していく必要があります。そのため、継続的かつ安定した収入があることが重要な条件です。一般的には、正社員として毎月一定の給与を得ている場合、返済継続可能と判断されやすくなります。

一方で、無職の状態や、単発の日雇い収入のみで生活している場合は、返済能力に不安があると判断される可能性があります。

ただし、正社員でなければ利用できないわけではありません。アルバイトやパート、自営業でも、継続収入が確認できれば認められるケースがあります。重要なのは、雇用形態そのものではなく、将来的に返済を継続できるかどうかです。

個人再生では、以下のような資料提出が求められます。

  • 給与明細
  • 源泉徴収票
  • 確定申告書
  • 家計収支表

裁判所は、これらをもとに家計バランスを確認します。収入に対して支出が過大である場合は、返済継続が難しいと判断される可能性もあります。また転職直後などで収入状況が不安定な場合は、一定期間の勤務実績が重視されるケースもあります。

家計や収入の申告に虚偽がある場合

個人再生では、裁判所へ正確な情報を提出する必要があります。借金を減額してもらう法的手続きであるため、収入や支出、財産状況について誠実に申告しなければなりません。

手続き中は、家計収支表や通帳、給与明細など、多くの資料提出が求められます。裁判所はこれらを確認しながら、本当に返済継続できる状況なのかを判断しています。

そのため、収入を少なく見せたり、一部財産を隠したりすると、裁判所からの信頼を失う可能性があります。特に問題になりやすいものとして、以下が挙げられます。

  • 預貯金を隠す
  • 一部借金を申告しない
  • 家族名義へ財産を移す
  • 実際より収入を少なく申告する
  • 特定口座や保険を隠す

また「少しくらいなら問題ないだろう」と考えるのも危険です。個人再生では、通帳履歴や給与記録など複数資料をもとに確認が行われます。

もちろん、単純な記載ミスと悪質な虚偽申告は異なります。多少の記載ミスだけで即座に不認可になることはありませんが、誤記に気付いた場合は早めに修正・説明を行いましょう。

一方、意図的な財産隠しや虚偽報告は、再生計画が不認可になる原因になり得ます。場合によっては、手続きそのものが進められなくなる可能性もあります。

特定の債権者だけに返済をした場合

個人再生では債権者平等の原則が重視されます。これは、全ての債権者を公平に扱うべきという考え方です。

そのため、特定の債権者だけへ優先的に返済する行為は問題視される可能性があります。こうした返済は「偏頗弁済」と呼ばれます。

例えば、以下のようなケースは注意が必要です。

  • 奨学金だけを手続きから外す
  • 親族からの借金だけ優先返済する
  • 保証人へ迷惑をかけたくないため奨学金のみ返済する
  • 一部カード会社だけ返済を続ける

「親へ迷惑をかけたくない」と考えるかもしれませんが、原則として奨学金だけを除外して進めることはできません。

もちろん、全ての支払いが禁止されるわけではありません。家賃や水道光熱費など、日常生活に必要な支払いとは区別されます。ただし、偏頗弁済と判断されると、裁判所から問題視される可能性があります。その結果、再生計画が不認可となるケースもあるため注意が必要です。

どこまでが問題になるのか分からない場合は、自己判断せず専門家へ相談してください。事前確認を行うことで、手続き上のリスクを減らしやすくなります。

奨学金の滞納を放置したままにするリスク

奨学金の返済が厳しくなっても「一時的に払えないだけだから」と考え、放置してしまう方は少なくありません。しかし、滞納状態を長期間続けると、延滞金や督促、保証人への請求など、状況が段階的に悪化していく可能性があります。

奨学金は公的制度であるため、返済管理や回収も継続的に行われます。放置するほど精神的負担や家族への影響も大きくなりやすいため、早めの対応が重要です。

ここでは、奨学金滞納を放置した場合に起こり得る主なリスクについて説明します。

延滞金が発生する

奨学金の返済期日を過ぎると、延滞金が発生します。延滞金は、返済予定日の翌日から日数に応じて加算される仕組みです。

特に注意したいのが、延滞金利率は通常の奨学金利率より高く設定されているケースが多い点です。そのため「少しだけ遅れているだけ」と考えて放置すると、返済総額が増えてしまう可能性があります。

また滞納期間が長引くほど、家計再建は難しくなります。元々返済に困っている状況で延滞金が増えるため、負担がさらに重くなるためです。

主な影響として、以下が挙げられます。

  • 毎月の返済負担が増える
  • 元金が減りにくくなる
  • 家計改善が難しくなる
  • 他の借金返済へ影響する

一方、返済が厳しい場合は、滞納前に減額返還制度や返還期限猶予制度を利用できる可能性があります。

このように、奨学金の滞納は放置するほど不利になりやすい傾向があります。返済が難しいと感じた段階で、早めに相談することが大切です。

督促や回収が始まる

奨学金の滞納が続くと、電話や文書による督促が始まります。最初は本人への連絡が中心ですが、状況によっては保証人へ連絡がいく場合もあります。

督促を無視しても、問題が自然に解決することはありません。滞納期間が長引くほど、回収手続きは段階的に進んでいきます。例えば、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金では、長期間の延滞が続くと、債権回収会社へ回収業務が委託されるケースがあります。

督促を放置するのではなく、早期対応を意識することが重要です。

連帯保証人に請求が及ぶ

人的保証制度を利用して奨学金を借りている場合、本人が滞納すると保証人にも請求が及びます。

特に連帯保証人は、本人とほぼ同じ返済義務を負っています。そのため、本人が返済できなくなった場合、残債務全額の返済を求められる可能性があります。

奨学金では、親や親族が保証人になっているケースも少なくありません。そのため、滞納によって家族へ大きな負担をかけてしまう場合があります。

保証人ごとの主な違いは、以下の通りです。

区分

主な責任

連帯保証人

本人と同等の返済義務を負う

保証人

分別の利益が認められる場合がある

機関保証

保証会社が代位弁済する

また保証人側も返済困難になれば、信用問題へ発展する可能性があります。

一方、機関保証を利用している場合は、保証会社が代位弁済を行うため、家族へ直接請求がいく可能性は低くなります。

ただし、人的保証の場合は、滞納放置によって保証人との関係悪化につながるケースもあります。そのため、返済が難しいと感じた時点で、早めに相談することが重要です。

給与や財産が差し押さえられる

奨学金の滞納を長期間放置すると、最終的には法的措置へ進む可能性があります。

再三の督促に応じない場合、一括返還請求を受けるケースがあります。それでも支払いが行われなければ、裁判所を通じた強制執行へ発展する可能性があります。

強制執行では、以下のような財産が差し押さえ対象になる場合があります。

  • 給与
  • 預貯金
  • 自動車
  • 不動産
  • その他財産

特に給与差し押さえでは、勤務先へ通知が届きます。そのため、職場へ滞納状況を知られるきっかけになる場合があります。

また差し押さえには法律上の上限があります。しかし、一度判決が出ると、差し押さえを止めることは容易ではありません。

もちろん、滞納直後にいきなり差し押さえになるわけではありません。実際には、督促や通知などの段階を経て進みます。

しかし、長期間放置すると、現実的なリスクへ発展する可能性があります。そのため、返済が難しい段階で、債務整理や猶予制度の利用を検討することが重要です。

毎月の返済が
不安になってきた方へ

いまは「どう対処すればよいか分からない」
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個人再生以外で奨学金の負担を減らす方法

奨学金の返済が厳しくなった場合でも、すぐに個人再生を選ばなければならないわけではありません。状況によっては、公的支援制度や他の債務整理手続きを利用することで、返済負担を軽減できる可能性があります。

特に、一時的な収入減少が原因の場合は、返済猶予制度などを利用できるケースがあります。また奨学金以外に高金利借入がある場合は、任意整理が有効になる場合もあります。

重要なのは、ご自身の収入状況や借金内容、保証人への影響などを踏まえながら方法を選ぶことです。ここでは、個人再生以外の主な選択肢について説明します。

減額返還制度を利用する

奨学金の返済が厳しい場合、日本学生支援機構(JASSO)の「減額返還制度」を利用できる可能性があります。

これは、災害や傷病、収入減少などの経済的理由によって返済が難しくなった際に、毎月の返済額を減額できる制度です。

月々の返済額を3分の2・2分の1・3分の1・4分の1のいずれかへ減額できる制度です。減額した分は返済期間を延長して支払う仕組みです。

制度概要は、以下の通りです。

項目

内容

制度名

減額返還制度

主な対象

収入減少・傷病・災害などで返済困難な人

減額割合

3分の2・2分の1・3分の1・4分の1から選択

利用期間

通算15年(180カ月)まで

特徴

月々の返済負担を軽減できる

特に、転職や一時的な収入減少など「今だけ返済が厳しい」というケースで利用されやすい制度です。

ただし、元本そのものが減額される制度ではありません。返済額を減らした分、返済期間は長くなります。

また利用に当たっては審査があります。収入証明書などの提出も必要になるため、誰でも自動的に利用できるわけではありません。

さらに、延滞後ではなく、返済困難になる前に申請することが重要です。滞納が長引く前に相談することで、利用できる制度の幅が広がる可能性があります。

返還期限猶予を利用する

一時的に返済そのものが難しい場合は「返還期限猶予制度」を利用できる可能性があります。

これは、日本学生支援機構(JASSO)が用意している制度で、一定期間返済を停止できる仕組みです。失業や収入減少など、一時的な経済困難時に活用されるケースが多くあります。

例えば、転職活動中や病気療養中など「今は返済が難しいが、将来的には返済再開できる見込みがある」という場合に有効です。

制度概要は、以下の通りです。

項目

内容

制度名

返還期限猶予制度

主な対象

失業・収入減少・病気などで返済困難な人

内容

一定期間返済を猶予

利用期間

一般猶予では最長10年程度

特徴

猶予期間中は延滞金が発生しない

また病気や出産、育児なども猶予理由として認められる場合があります。一時的に生活を立て直す期間として利用しやすい制度といえるでしょう。

ただし、この制度も返済義務自体がなくなるわけではありません。猶予終了後は、返済再開が必要になります。さらに、元本や利息そのものが免除される制度ではないため、返済総額が減るわけではありません。

重要なのは、延滞してからではなく、返済困難になりそうな段階で早めに申請することです。放置すると延滞金や督促へ進む可能性があるため、早期相談を意識してください。

任意整理を利用する

奨学金自体は比較的低金利であるため、奨学金単独で任意整理を行っても、大きな減額効果を得られないケースがあります。

しかし、他の借金を抱えている場合は、任意整理が有効な選択肢になる可能性があります。

任意整理は、裁判所を通さず、債権者と個別交渉を行う手続きです。主に将来利息をカットし、返済負担を軽減することを目的としています。

個人再生と異なり、整理対象の債権者を選べる点が特徴です。そのため、奨学金を対象外にしながら、他の高金利借入のみ整理する方法を選べる場合があります。

例えば、以下のようなケースです。

  • 奨学金は返済継続する
  • 消費者金融のみ任意整理する
  • クレジットカード残高を整理する
  • 将来利息をカットして返済額を下げる

特に、カードローンやリボ払いなど高金利借入が多い場合は、任意整理による効果が大きくなる傾向があります。

また奨学金を対象外にすることで、保証人への請求リスクを抑えやすくなる場合があります。親族へ影響を与えたくない方にとっては、検討価値がある方法です。

ただし、任意整理なら必ず保証人へ影響しないわけではありません。対象債務や契約内容によって扱いは異なります。

さらに、返済能力そのものが不足している場合は、任意整理だけでは根本解決にならないケースもあります。

このように、任意整理は他の借金状況によって有効性が変わります。個人再生との違いも踏まえながら、自分に合った方法を検討することが重要です。

まとめ

奨学金は教育のための借入ですが、法律上は借金として扱われます。そのため、条件を満たせば個人再生による減額対象になる可能性があります。

個人再生では、元本を含めた返済負担を軽減できる場合があります。一方で、保証人への請求や信用情報への登録など、注意すべき点もあります。

また返済困難な状況を放置すると、延滞金や督促、差し押さえなどへ発展する可能性があります。特に人的保証を利用している場合は、家族へ影響が及ぶケースもあるため注意が必要です。

一方、全てのケースで個人再生が必要になるわけではありません。減額返還制度や返還期限猶予制度、任意整理など、状況に応じた選択肢があります。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。