債務整理

2026/08/27

個人再生の最低弁済額とは?月々の支払いの計算方法や基準を解説

個人再生の最低弁済額とは?月々の支払いの計算方法や基準を解説

「借金が膨らみ返済が追いつかない」「個人再生を利用して借金を減額したいものの、手続き後の支払額が不明で不安」と悩んでいる方もいるでしょう。確実に返済を終えられるのかを判断できなければ、一歩を踏み出すのはなかなか勇気がいります。

本記事では最低弁済額の概要や決定基準、状況別の計算例を解説します。個人再生後の返済額の目安を把握したい方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 個人再生における最低弁済額の概要と3つの基準
  • 借金総額や財産状況ごとの最低弁済額の計算例
  • 最低弁済額分の返済も難しくなってしまった場合の対処法

個人再生の最低弁済額とは?

個人再生の最低弁済額とは、個人再生の手続きにおいて借金の減額を受けた後、法律上必ず支払わなければならない最低限の金額のことです。この金額は、再生計画に基づき原則3年の分割払いで債権者に返済していくことになります。

最低弁済額は借金総額や財産状況などの複数の条件から決定されます。例えば、消費者金融やカードローンなどで総額500万円の借金がある場合には、基準に基づき最低弁済額が100万円になる可能性があります。この場合、100万円を36回(3年)に分けて毎月約2万7,800円ずつ返済していくことになるのです。

個人再生の最低弁済額が決まる基準

最低弁済額は主に借金総額、所有財産の価値、可処分所得の3つの基準から算出されます。個人再生の中でも「小規模個人再生」の場合は借金総額と財産価値を比較して高い方が、「給与所得者等再生」の場合は可処分所得も含めた3つの中で最も高い金額が最低弁済額となります。

以下ではそれぞれの基準について説明していきます。

借入総額に基づく基準

一つ目は、借入総額に基づく基準です。以下のように、借金総額に応じて段階的に最低弁済額が設定されています。

借入総額

最低弁済基準

100万円未満

全額

100万円以上500万円以下

100万円

500万円超1,500万円以下

総額の5分の1

1,500万円超3,000万円以下

300万円

3,000万円超5,000万円以下

総額の10分の1

例えば、銀行や消費者金融などから合計400万円の借入がある方は100万円、1,000万円ある方は200万円が返済の基準です。この基準は最低弁済基準と呼ばれ、この金額を下回る再生計画は認可されません。

清算価値に基づく基準

個人再生では、自己破産時に債権者へ配当される財産の価値以上の金額を支払う清算価値保障原則があります。対象となるのは現金、預金、保険、車、退職金、住宅の価値です。例えば、借金が400万円で、査定150万円の車を所有する場合には、最低弁済基準の100万円ではなく高い方の150万円を支払います。

財産を維持したまま借金を整理するには、その財産額と同等以上の支払いが求められます。借金総額に基づく基準額より所有財産の総額が高い場合、この清算価値が最低弁済額として採用されます。

可処分所得に基づく基準

可処分所得に基づく基準は、給与所得者等再生を選択した場合に適用されるものです。収入から税金や社会保険料、生活費を差し引いた「可処分所得」の2年分以上を支払う必要があります。

可処分所得は単純な手取り額ではなく、生活費などを差し引いて算出されるため、扶養家族の人数や居住地域によって金額が変動する点が特徴です。

この基準は他の2つと比較して高額になりやすく、結果として最低弁済額が大きくなるケースもあります。そのため、一般的には小規模個人再生が優先的に検討されます。

ただし、給与所得者等再生には債権者の同意が不要といったメリットもあります。どちらの手続きを選ぶべきかは、収入状況や生活環境を踏まえて慎重に判断する必要があるでしょう。

毎月の返済が
不安になってきた方へ

いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です

  • 相談料は何度でも0円
  • 分割払い対応
  • 最短で即日取り立てストップ

個人再生の最低弁済額の計算例

ここでは、具体的なケースをもとに最低弁済額の考え方を見ていきましょう。実際の金額を用いたシミュレーションを確認することで、自分の状況に当てはめたイメージがつかみやすくなるはずです。

以下では代表的なパターンを紹介しますので、あくまで目安として参考にしてください。

【ケース1】借金250万円・財産ほぼなし

借金が500万円未満であり、かつ目立った財産を所有していないケースです。

計算の条件

このケースでは、一般的な会社員が消費者金融などから借り入れをしている状況を想定します。借金総額は250万円であり、住宅ローンは含まれていません。

財産については預貯金が10万円のみとし、大きな資産は保有していない前提です。手続きは小規模個人再生を選択しており、収入は安定しているものの、借金の負担を軽減したい状況と想定されます。

計算の内訳

まず、借入総額に基づく最低弁済基準を確認します。借金が250万円の場合は、100万円が最低ラインとなります。

一方で、清算価値は預貯金10万円です。この場合、最低弁済基準の100万円と清算価値10万円を比較し、高い方が採用されます。

返済額

このケースでは100万円が最低弁済額となります。これを原則3年(36回)で分割して返済することになります。月々の返済は3年36回払いで約27,800円です。

この程度の金額であれば、家計の見直しによって対応できる可能性もあります。ただし、収入や支出の状況によって負担感は異なるため、無理のない返済計画を立てることが重要です。

【ケース2】借金480万円・退職金見込みあり

借金額は500万円未満でも、財産が多い場合は清算価値が優先されることがあります。例えば、長年勤務している会社員が手続きを行うときは、退職金見込額が財産として評価されることで、最低弁済額が大きくなる可能性があります。

計算の条件

このケースでは、会社員が消費者金融やカードローンなどで合計480万円の借入をしている状況を想定します。

財産としては、預貯金70万円に加えて、将来受け取る予定の退職金見込額130万円が評価対象となります。手続きは小規模個人再生を選択している前提です。

退職金は将来受け取る資産であっても一定割合が評価されるため、最低弁済額に影響する可能性がある点に注意が必要です。

計算の内訳

最低弁済基準は、借金480万円に対して100万円です。一方、清算価値は、預貯金70万円と退職金評価額130万円を合計した200万円です。

この場合、100万円と200万円を比較し、高い方である200万円が最低弁済額として採用されます。財産があることで返済額が増える典型的なケースといえるでしょう。

返済額

このケースの返済額は200万円です。3年で分割した場合の月々の支払いは約55,600円となります。ケース1と比較すると、月々の負担が大きく増加しています。財産の有無が返済額に大きく影響することが分かるでしょう。

家計への影響も大きくなるため、事前にシミュレーションを行い、無理のない返済計画を検討することが重要です。

【ケース3】借金1,200万円・財産ほぼなし

借金の総額が500万円を超え、最低弁済基準の計算式が総額の5分の1に変わるケースです。例えば、個人事業の失敗または住宅売却後の残債などのように負債が1,000万円を超えて膨らんだ状況がこれに該当します。

計算の条件

このケースでは、個人事業主などが事業資金などで1,200万円の借入をしている状況を想定します。住宅ローンは含まれていません。

財産は預貯金20万円のみとし、大きな資産は保有していない前提です。手続きは小規模個人再生を選択します。

借入額が大きいケースでは、返済額の算出方法が変わるため注意が必要です。

計算の内訳

借入総額が1,200万円の場合、最低弁済基準は5分の1となるため、最低弁済額は240万円となります。

一方で、清算価値は預貯金20万円です。

この場合、240万円と20万円を比較し、高い方である240万円が最低弁済額として採用されます。

返済額

このケースの返済額は240万円です。3年間で分割した場合の月々の支払いは、約66,700円となります。1,000万円を超える多額の負債を抱えている場合でも、条件によっては個人再生によって借金を5分の1程度まで大幅に圧縮できることが分かります。

高額負債者にとって非常に有効な手段であり、任意整理では解決困難なケースであっても、この手続きなら生活を立て直せる可能性があります。

【ケース4】借金650万円+住宅ローンあり

住宅ローンがある場合でも、一定の条件を満たせば「住宅ローン特則」を利用することで、自宅を手放さずに個人再生を行うことができます。この特則を利用すると、住宅ローンは通常の借金とは別枠で扱われる点が大きな特徴です。

特に子育て世帯などでは、住まいを維持したまま生活を立て直したい場合におすすめの方法です。このケースでは、住宅を守りながら他の借金のみを整理するため、通常の個人再生とは異なる考え方が必要になります。

計算の条件

このケースでは、30代の会社員で子育て中の世帯を想定します。住宅ローンの残高は3,200万円あり、毎月の返済を継続している状況です。

それとは別に、教育ローンやカードローンなどの借入が合計650万円あります。財産は預貯金40万円のみとし、大きな資産は保有していません。手続きは小規模個人再生に加えて住宅ローン特則を利用します。

計算の内訳

住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローンは最低弁済額の計算対象には含まれません。そのため、650万円の借金のみをもとに算出し、最低弁済基準は5分の1の130万円となります。

一方、清算価値は預貯金40万円です。この場合、130万円と40万円を比較し、高い方である130万円が最低弁済額として採用されます。住宅ローンを除外できる点は大きなメリットですが、住宅ローン自体の支払いは継続する必要があります。

返済額

このケースの弁済額は130万円です。これを3年間で分割した場合の月々の支払いは約36,100円になります。例えば、住宅を手放さずに教育ローンなどの負担を減らせるため、生活環境を変えずに再生を図れます。

ただし、この金額に加えて住宅ローンの返済も並行して行う必要があります。つまり、実際の家計では二重の支払いが発生する点に注意が必要です。

収入とのバランスを確認しながら、無理のない返済計画を立てることが重要といえるでしょう。

【ケース5】借金700万円・給与所得者等再生

給与所得者等再生を選択した場合は、借入総額や財産だけではなく「可処分所得」の基準も加わります。このため、他の手続きよりも最低弁済額が大きくなる可能性があります。

主に公務員や長く勤めている会社員など安定した収入がある方が利用する手続きですが、小規模個人再生とは異なる計算方法となるため慎重な判断が必要です。

計算の条件

このケースでは、公務員として安定した収入を得ている方を想定します。借金は消費者金融やカードローンなどで合計700万円です。

財産は預貯金60万円とし、可処分所得は月18万円と設定します。手続きは給与所得者等再生を選択します。

可処分所得とは、収入から税金や社会保険料、生活費を差し引いた金額を指します。この数値が最低弁済額に大きく影響する点が特徴です。

計算の内訳

このケースでは、3つの基準を比較して最も高い金額を採用します。

  • 最低弁済基準:700万円 × 20% = 140万円
  • 清算価値:60万円
  • 可処分所得基準:18万円 × 24カ月 = 432万円

可処分所得基準は2年分で計算されるため、収入が一定以上ある場合は大きな金額になる傾向があります。他のケースと比較して負担が増える点に注意が必要です。

返済額

上述した3つの基準のうち、もっとも高いのは432万円となるため、これが最低弁済額として採用されます。3年間で分割した場合の月々の支払いは約120,000円です。

他のケースと比較すると、月々の負担は大きくなります。収入が安定している場合でも、生活費とのバランスを慎重に見極める必要があります。

給与所得者等再生は一定のメリットもありますが、返済額が大きくなりやすいため、自身の状況に合った手続きを選択することが重要です。

最低弁済額の返済が厳しそうな場合は?

個人再生では、原則として3年(36回払い)で最低弁済額を返済する必要があります。しかし、収入や家計の状況によっては、この期間内での完済が難しいと感じる方もいるでしょう。

このような場合でも、一定の条件を満たせば返済期間を延長できる可能性があります。具体的には、裁判所が「特別な事情がある」と認めた場合に限り、最長5年(60回払い)まで延ばすことが可能です。延長が認められた場合でも、返済総額自体は変わりませんが、月々の返済額を抑えることで負担を軽減できます。

特別な事情としては、例えば以下のようなケースが考慮されます。

  • 扶養家族が多く生活費の負担が大きい
  • 子どもの教育費がかかる時期である
  • 家族の医療費が継続的に発生している

このように、やむを得ない事情がある場合には柔軟な対応が取られることがあります。ただし、延長はあくまで裁判所の判断によるものであり、自動的に認められるわけではありません。

そのため、繰り返しにはなりますが、あらかじめ無理のない返済計画を立てることが重要です。収入と支出を見直しながら、現実的に継続できる計画を検討していきましょう。

再生計画の途中で返済が苦しくなった場合の対処法

再生計画の認可後に支払いが困難になった場合も、法的な救済措置があります。失業や病気等の予期せぬトラブルで家計が急変したときは、手遅れになる前に弁護士へ相談し適切な制度を利用することが大切です。

再生計画の変更を申し立てる

再生計画の遂行中に、やむを得ない事情によって返済が著しく困難になった場合、裁判所に申し立てれば、返済期間を最長2年間延長できる可能性があります。変更が認められれば、返済期間が延びることで月々の返済額を減らし、支払いを継続できる可能性があります。

ただし、この制度を利用するためには正当な理由が必要です。例えば以下のような事情が該当します。

  • 勤務先の倒産や収入の大幅な減少
  • 病気やけがによる就労制限
  • 家族の介護や看病が必要になった場合

一方で、単なる浪費や計画性のない支出では認められない可能性があります。裁判所に対して、やむを得ず返済が困難になった理由を説明することが求められます。

ハードシップ免責を利用する

再生計画の変更を行っても返済が難しい場合には「ハードシップ免責」という制度を利用できる可能性があります。この制度は、一定の条件を満たした場合に限り、残っている借金の支払い義務を免除してもらえる仕組みです。

ただし、利用には厳格な要件が設けられています。主な条件は以下の通りです。

  • 債務者の責任ではない理由で返済不能になったこと
  • すでに再生計画の弁済額の4分の3以上を支払っていること
  • 清算価値以上の弁済が行われていること
  • 計画変更では対応できない状況であること

このように、一定程度の返済を終えていることが前提となるため、誰でも利用できる制度ではありません。

またハードシップ免責が認められると、住宅ローン特則の効果が失われる点にも注意が必要です。その結果、抵当権が実行され、自宅を手放さなければならない可能性があります。

利用できればメリットの多い手続きですが、その代償も大きいため、利用するかは慎重に判断すべきでしょう。

自己破産に切り替える

再生計画の変更やハードシップ免責の要件を満たせず、返済の継続が困難となった場合には、自己破産への切り替えを検討することになります。

自己破産では、裁判所から免責が許可されれば、残っている借金の支払い義務が原則として免除されます。個人再生と異なり返済を前提としないため、経済的な再スタートを切りやすい点が特徴です。

一方で、自己破産にはデメリットもあります。代表的なものは以下の通りです。

  • 自宅や車などの財産が原則として処分される
  • 一定期間は信用情報に影響が残る
  • 職業制限が発生する場合がある

このように、個人再生で守ろうとしていた資産を失う可能性があるため、慎重な判断が求められます。状況に応じて、どの手続きが適しているのかを見極めることが重要です。

毎月の返済が
不安になってきた方へ

いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です

  • 相談料は何度でも0円
  • 分割払い対応
  • 最短で即日取り立てストップ

まとめ

個人再生の最低弁済額は、借金総額・財産・可処分所得といった複数の基準をもとに決まります。その中で最も高い金額が採用されるため、同じ借金額でも状況によって返済額は大きく変わります。

また返済期間は原則3年ですが、事情によっては5年まで延長できる場合があります。さらに、返済が困難になった場合でも、計画変更やハードシップ免責などの制度が用意されています。ただし、それぞれに条件があるため、早めに対応することが重要です。

こうした制度は複雑であり、自分だけで正確に判断するのは難しい場合も少なくありません。少しでも不安を感じている場合は、専門家に相談することで適切な選択がしやすくなります。

ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があります。電話やメール、LINEでの相談にも対応しており、相談料は無料です。借金問題にお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【ご相談専用フリーダイヤル】

0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)

お問い合わせ | ライズ綜合法律事務所

このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。