債務整理
2026/08/20
個人再生すると車は引き上げられる?自動車のローンはどうなる?

個人再生を検討しているものの、車を手放さなければならないのか分からず不安を感じていませんか。通勤や家族の送迎など、車が生活に欠かせない場合、その影響は大きいといえるでしょう。
自己破産と比べて柔軟な対応ができるといわれる個人再生ですが、車を残せるかどうかは条件によって異なります。そのため、正確な知識を持たずに手続きを進めると、想定外の結果につながる可能性があります。
本記事では、個人再生で車がどうなるのかという基本から、車を残せるケースや具体的な対処法までを分かりやすく解説します。読後には、ご自身の状況に応じて適切な判断ができるようになるでしょう。不安がある場合は、早めに専門家へ相談することも重要です。
【この記事で分かること】
- 個人再生における車の扱いの基本ルール
- 車を残せる具体的なケース
- 車を残したい場合に取るべき対応
個人再生をすると車はどうなる?
個人再生を行うと、車がどのように扱われるのかは多くの方が気になるポイントです。結論として、車の扱いは一律ではなく、いくつかの条件によって異なります。
主な判断軸となるのは、ローンの有無や所有権の所在、そして車の時価です。これらの要素によって、車をそのまま保有できる場合もあれば、引き上げられる可能性がある場合もあります。
車は必ず処分されるというわけではありませんが、条件によって結果が大きく変わるため、正確に理解しておくことが重要です。以下では、具体的なケースごとに詳しく解説します。
ローンが残っている場合
ローンが残っている車については、個人再生の中でも特に注意が必要です。多くのケースでは、ローン契約に所有権留保が付いており、車の名義がローン会社になっています。
所有権留保とは、ローンを完済するまで車の所有権がローン会社に留保される仕組みです。この場合、個人再生を申し立てると、ローン会社が担保権を行使し、車を引き上げる可能性があります。
ただし、全てのケースで直ちに引き上げられるわけではありません。例えば、ローン会社が担保権の実行を見送る場合や、別除権協定などの交渉が成立する場合もあります。
重要なのは、申立て前後の対応です。手続きの進め方や交渉のタイミングによって結果が変わることもあるため、早い段階で状況を整理し、適切な対応を検討することが求められます。
ローンを完済している場合
ローンをすでに完済している車は、原則として本人の財産として扱われます。そのため、直ちに引き上げられることはありません。
ただし、安心してよいとは限らない点に注意が必要です。車の時価が高い場合、その価値が「清算価値」として評価され、再生計画における返済額に影響することがあります。
個人再生では、清算価値以上の金額を返済する必要があります。そのため、車の評価額が高いほど、返済総額が増える可能性があります。
一方で、実務上は一定の範囲内であれば生活に必要な財産として扱われるケースもあります。いずれにしても、事前に車の査定額を把握しておくことが重要です。正確な評価をもとに判断することで、手続き後の負担を見通しやすくなるでしょう。
個人再生をしても車を残せるケース
個人再生を行っても、条件を満たせば車を手元に残せる場合があります。判断のポイントとなるのは、車の所有権の所在や時価、そしてローンの扱いです。
ただし、全てのケースで車を残せるわけではありません。状況によっては引き上げの対象となるため、例外的に認められる条件を正しく理解しておくことが重要です。以下では、代表的なケースを整理します。
ローン会社に所有権留保がない場合
ローン契約に所有権留保が付いていない場合、車は債務者本人の財産として扱われます。この場合、ローン会社は担保権を根拠に車を引き上げることができません。
そのため、個人再生を行っても車を保有し続けられる可能性が高いといえます。ただし、この判断は契約内容や名義によって左右されるため、事前の確認が欠かせません。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- 車検証上の所有者名義
- ローン契約書の内容
- 担保設定の有無
これらを確認することで、車を残せるかどうかの見通しが立てやすくなります。不明な点がある場合は、専門家に相談することが重要です。
別除権協定を締結する場合
別除権協定とは、ローン会社と合意し、個人再生後も車のローンを従来通り支払うことで、担保権を実行しないようにする取り決めです。
この協定が成立すれば、ローン会社は再生手続の外で返済を受けることになり、車の引き上げを行わない扱いとなります。結果として、車を手元に残すことが可能となります。
ただし、全てのローン会社がこの協定に応じるわけではありません。交渉の成否は個別の事情に左右されるため、難易度が高い場合もあります。
そのため、実務では弁護士を通じて交渉を行うことが一般的です。早い段階で専門家に相談することで、選択肢を広げやすくなるでしょう。
担保消滅許可が得られる場合
担保消滅許可とは、裁判所に申し立てを行い、車に設定された担保権を金銭評価によって消滅させる制度です。
この許可が認められると、ローン会社は車そのものではなく、評価額に相当する金銭請求権を持つ形に変わります。その結果、車の引き上げを防ぐことができます。
ただし、この制度を利用するには一定の要件を満たす必要があります。また、評価額を再生計画に反映させる必要があるため、返済額が増える可能性もあります。
さらに、運用は裁判所ごとに異なる場合があり、慎重な判断が求められます。利用を検討する際は、事前に専門家へ相談することが重要です。
第三者弁済を行う場合
第三者弁済とは、親族などの第三者がローン残債を一括で支払う方法です。この方法を利用すれば、車を残せる可能性があります。
第三者弁済は、本人による偏った返済とは異なり、原則として偏頗弁済に該当しにくいとされています。そのため、個人再生手続き上も問題になりにくい点が特徴です。
ただし、注意点もあります。実質的に本人が資金を負担していると判断される場合には、適切な手続きと認められない可能性があります。
資金の出どころや支払い方法については、慎重に検討する必要があります。トラブルを避けるためにも、事前に専門家へ相談しながら進めることが重要です。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
- 相談料は何度でも0円
- 分割払い対応
- 最短で即日取り立てストップ
個人再生後に車が必要な場合の対処法
個人再生後は信用情報に影響が残るため、すぐに自分名義でローンを組むことが難しい場合が多いといえます。そのため、車が必要な場合は複数の選択肢を検討することが現実的です。
重要なのは、生活や仕事における必要性と家計への負担のバランスです。無理に車を所有しようとすると、再び資金繰りに影響が出る可能性があります。信用情報は一般的に手続き後一定期間で回復するとされますが、その間は慎重な判断が求められます。以下では、代表的な対処法を具体的に解説します。
親族などの車を借りる
親族や同居家族が所有している車を借りる方法は、現実的な選択肢の一つです。名義変更やローン契約を伴わないため、信用情報の影響を受けずに利用できます。通勤や送迎など日常的な用途にも対応しやすい点がメリットです。
また、初期費用がかからないため、家計への負担を抑えやすい特徴があります。特に一時的に車が必要な場合には、有効な手段といえるでしょう。
ただし、利用に当たっては注意点もあります。事前に確認すべき主なポイントは以下の通りです。
- 任意保険の適用範囲(運転者の年齢条件や範囲)
- 事故時の責任の所在
- 利用頻度や費用負担の取り決め
これらを確認せずに利用すると、トラブルにつながる可能性があります。安心して利用するためにも、事前にルールを決めておくことが重要です。
信用情報の回復を待ってローンを組む
個人再生後は、一定期間ローン審査が通りにくい状態が続きます。一般的には、手続き後5〜7年程度で信用情報が回復するケースが多いとされています。
そのため、将来的に車を購入する場合は、無理に借入を試みるのではなく、回復を待つことが現実的です。審査に通らない状態で申し込みを繰り返すと、かえって信用評価に影響を与える可能性があります。
信用回復に向けて意識したいポイントは以下の通りです。
- 延滞や滞納をしない
- 安定した収入を維持する
- 家計管理を徹底する
信用情報が回復した後も、借入額は慎重に検討する必要があります。返済可能な範囲で計画を立てることが、再発防止につながります。
中古車などを現金一括で購入する
現金一括であれば、信用情報に関係なく車を購入できます。そのため、個人再生後でも比較的早い段階で車を持つことが可能です。
特に中古車を選べば、購入費用を抑えやすく、家計への負担も軽減できます。ローンを利用しないため、再生計画に影響しない点もメリットといえるでしょう。
ただし、車の購入費用だけでなく、維持費も考慮する必要があります。主な維持費は以下の通りです。
- 車検費用
- 自動車保険料
- 税金やメンテナンス費用
また、安価な車は故障リスクが高い場合もあります。結果として修理費がかさむ可能性もあるため、購入時には状態をよく確認することが重要です。無理に資金を用意するのではなく、家計とのバランスを優先してください。
レンタカーやカーシェアを利用する
日常的に車を使う必要がない場合は、レンタカーやカーシェアの利用も有効です。必要なときだけ利用できるため、購入費用や維持費がかからない点が大きな特徴です。
特に週末の外出や一時的な利用であれば、効率的な選択肢といえるでしょう。都市部ではカーシェアの拠点も多く、利便性が高い傾向があります。
一方で、利用頻度が高い場合には費用がかさむ可能性があります。検討する際は、以下の点を確認しておくとよいでしょう。
- 利用頻度と月額コストの比較
- 近隣の利用可能な拠点
- 予約の取りやすさ
通勤など日常的に利用する場合は、コスト面で不利になることもあります。自身の利用状況に応じて、最適な方法を選ぶことが重要です。
車を残しつつ借金を整理したい場合はどうする?
車を手放さずに借金を整理したい場合、任意整理を検討することも一つの選択肢です。任意整理は、対象とする債権者を選べる手続きであり、車のローンを除外すれば引き上げを回避できる可能性があります。
個人再生と異なり、財産を手放す必要がないため、車を維持しやすい点が特徴です。そのため、生活や仕事で車が不可欠な場合には有効な方法といえるでしょう。
ただし、任意整理は元本の減額が原則として行われないため、返済総額の軽減幅は個人再生より小さくなります。また、継続的な返済能力が求められるため、収入が安定していることが前提となります。
任意整理が向いているケースとしては、以下のような状況が挙げられます。
- 毎月の返済は可能だが利息負担を減らしたい場合
- 車を含めた生活基盤を維持したい場合
- 安定した収入がある場合
一方で、返済負担が大きい場合は他の手続きの方が適している可能性もあります。車を残せるメリットだけで判断するのではなく、全体のバランスを踏まえて検討することが重要です。
個人再生の流れと車が引き上げられるタイミング
個人再生は複数の段階を経て進む手続きであり、車の扱いもその進行状況によって変わります。特に重要なのは、再生手続開始決定が出る前の段階です。この時期は担保権の影響を強く受けるため、車が引き上げられるかどうかの分岐点となります。
手続きを時系列で理解することで、どのタイミングでどのような対応が必要かが見えてきます。以下では、具体的な流れと注意点を順に解説します。
1.弁護士への依頼・受任通知
個人再生を弁護士に依頼すると、まず債権者に対して受任通知が送付されます。これにより、債権者からの督促や返済請求は原則として止まります。精神的な負担が軽減される点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、受任通知の効力には限界があります。担保権の実行、つまり車の引き上げを直接禁止する効力まではありません。そのため、ローン会社が所有権留保を根拠に車を回収する可能性は残ります。
この段階で重要なのは、車の扱いについて別途検討することです。単に督促が止まったからといって安心せず、早めに対応方針を決める必要があります。
2.個人再生の申し立て
次に、裁判所へ個人再生の申し立てを行います。ただし、この時点ではまだ再生手続開始決定は出ていません。そのため、法的な保護は十分とはいえない状況です。
ローン会社の担保権や所有権留保は引き続き有効とされるため、車が引き上げられるリスクが高まるタイミングでもあります。特に、支払いが滞っている場合には、対応が進められる可能性があります。
この段階では、ローン会社との交渉や対応の準備が重要です。申立てをしただけで安全になるわけではないため、状況に応じた対策を講じる必要があります。
3.ローン会社が対応を判断
ローン会社は、車検証上の名義や契約内容をもとに、対応を判断します。所有権留保が設定されている場合には、担保権を行使して車を引き上げるかどうかが検討されます。
ただし、この判断は特定の時点だけで行われるものではありません。受任通知後から再生手続開始決定前までの間に、状況に応じて継続的に判断が行われます。
そのため、早い段階での対応が結果を左右しやすいといえます。対応が遅れると選択肢が限られる可能性があるため、専門家と連携しながら進めることが重要です。
4.再生手続き開始決定
再生手続開始決定が出ると、個人再生の手続きは次の段階に進みます。この決定により、一定の場合には担保権の実行が制限されることがあります。
ただし、開始決定前にすでに車が引き上げられている場合、その車を取り戻すことは原則として困難です。この点からも、タイミングの重要性が分かります。
開始決定が出れば必ず車が守られるというわけではありませんが、前段階と比べて状況が変わる可能性があります。いずれにしても、事前の対応が大きく影響します。
5.再生計画案の提出・認可
再生計画案の提出・認可の段階では、車を保有できるかどうかはほぼ確定しています。この時点で新たに車を残すための対応を取ることは難しいといえます。
車を残したい場合は、これより前の段階で対応を済ませておく必要があります。例えば、別除権協定の締結や第三者弁済の実施などは、早い段階で検討しておくべきです。
事前準備の有無が結果に直結するため、手続きの初期段階から計画的に進めることが重要です。後からの対応では間に合わない可能性がある点に注意してください。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
- 相談料は何度でも0円
- 分割払い対応
- 最短で即日取り立てストップ
個人再生で車を残すためにやってはいけない行動
個人再生で車を残したい場合、不適切な行動を取るとかえって不利な判断を受けることがあります。特に手続きの直前や進行中の行為は厳しく確認されやすい傾向があります。
一見問題がないように見える行動でも、不当な処分と評価される可能性があります。そのため、慎重に行動することが重要です。以下では、代表的な注意点を解説します。
申し立て直前・直後に名義変更する
申立ての直前や直後に車の名義を親族などへ変更すると、財産を隠そうとしたと疑われる可能性があります。このような行為は、不当な財産処分として否認の対象になることがあります。
否認が認められると、名義変更がなかったものとして扱われるだけでなく、手続き全体に悪影響が及ぶ可能性があります。結果として、車を残せなくなるだけではなく、再生計画にも支障が出るおそれがあります。
名義変更は一見すると簡単な対応に見えますが、リスクが高い行為です。車を残したい場合でも、自己判断で行動するのではなく、専門家に相談した上で進めることが重要です。
車やローンの存在を隠そうとする
車やローンの存在を申告しないことは、虚偽申告と判断される可能性があります。個人再生では、財産や債務の状況を正確に申告することが前提となります。
もし発覚した場合、裁判所や再生委員からの信用を失い、手続きが不利に進む可能性があります。場合によっては、再生計画が認可されないリスクも否定できません。
正確な情報開示は、手続きを円滑に進めるために欠かせません。些細な内容であっても隠さずに申告し、適切な判断を受けることが重要です。
車の査定額を意図的に低く見せようとする
車の査定額を意図的に低く申告すると、清算価値を不当に下げようとしたと疑われる可能性があります。個人再生では、財産の評価は重要な判断材料となります。
裁判所は複数の資料をもとに評価を行うため、不自然な金額は見抜かれることが多いといえます。その結果、追加資料の提出を求められたり、不利な評価を受けたりすることがあります。
査定額は客観的な資料に基づいて示すことが基本です。適正な評価を前提に手続きを進めることで、余計なトラブルを防ぐことにつながります。
まとめ
個人再生における車の扱いは、ローンの有無や所有権、時価などの条件によって大きく異なります。必ずしも車を手放す必要があるわけではありませんが、状況によっては引き上げの対象となる可能性もあります。
重要なのは、手続きの流れを理解し、早い段階で適切な対応を行うことです。特に開始決定前の対応が結果を左右しやすいため、事前準備が大きな意味を持ちます。
また、不適切な行動は手続き全体に悪影響を及ぼす可能性があります。正確な情報開示と慎重な対応を心がけることが大切です。
車を残せるかどうかは個別の事情によって異なるため、判断に迷う場合は専門家に相談することをおすすめします。ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があり、電話・メール・LINEでの相談に対応しています。相談料は無料のため、まずはお気軽にお問い合わせください。
【ご相談専用フリーダイヤル】
0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)
このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。