債務整理

2026/09/12

自己破産すると銀行口座は凍結される?預金通帳への影響はどうなる?

自己破産すると銀行口座は凍結される?預金通帳への影響はどうなる?

借金の返済に悩み、自己破産を検討している方の中には「銀行口座が凍結されるのではないか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。給与の振り込みや生活費の管理ができなくなる可能性を考えると、日常生活への影響が心配になるものです。

しかし、自己破産をしたからといって全ての銀行口座が使えなくなるわけではありません。凍結される条件や期間には一定のルールがあり、事前に対策を行うことで生活への影響を抑えられる可能性があります。

本記事では、自己破産時の銀行口座の扱いについて、凍結の有無や理由、期間、具体的な影響や対策まで分かりやすく解説します。

【この記事で分かること】

  • 自己破産による銀行口座の扱いと、凍結されるケースや利用できる口座の違い
  • 銀行口座が凍結される理由や仕組み、凍結期間の目安である約1〜3カ月の考え方
  • 口座凍結による生活への影響と、事前に行うべき具体的な対策や注意点

自己破産をすると銀行口座はどうなる?

自己破産をすると銀行口座が使えなくなると考えている方は少なくありません。しかし、実際には全ての口座が一律に凍結されるわけではありません。口座の扱いは、借入の有無によって異なります。

まず、借入をしている金融機関の口座は凍結される可能性があります。銀行カードローンなどを利用している場合、その銀行は債権者に当たるため、口座が一時的に利用停止となることがあります。

一方で、借入がない銀行の口座については、原則としてそのまま利用できるケースが多いです。給与の受け取りや日常の支払いに利用している口座が借入と無関係であれば、大きな影響を受けない場合もあります。

ただし、銀行ごとの判断や状況によって取り扱いが異なることもあるため、絶対に凍結されないとは言い切れません。特に給与振込口座については、借入の有無を確認したうえで、必要に応じて別の口座に変更しておくと安心でしょう。

自己破産で銀行口座が凍結される理由

自己破産で銀行口座が凍結されるのは、銀行側が自らの損失を抑えるための措置です。主な理由は「相殺」と呼ばれる仕組みにあります。

相殺とは、預金と借入金を同時に精算することです。例えば、同じ銀行に預金と借金がある場合、その預金を借金の返済に充てることができます。この処理を確実に行うため、銀行は一時的に口座を凍結します。

また、弁護士に依頼すると受任通知が銀行に送られます。この通知を受け取った銀行は、債権回収の準備に入るため、預金が引き出されないよう口座の利用を制限することがあります。これは、預金を引き出されてしまうと相殺ができなくなるためです。銀行としては、回収可能な資金を確保する必要があります。

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自己破産で銀行口座が凍結される期間

銀行口座の凍結期間は、一般的に1~3カ月程度といわれています。この期間は、銀行が債権回収に必要な手続きを進めるために設けられています。

具体的には、預金と借入金の相殺処理や、保証会社による代位弁済の手続きが行われます。代位弁済とは、保証会社が債務者に代わって銀行へ返済を行う仕組みです。

これらの処理が完了すると、銀行としての債権回収が一区切りつきます。その後、口座の凍結が解除され、再び利用できるようになるケースが多いです。

ただし、金融機関や個別の状況によって期間は前後する可能性があります。必ずしも一定期間で解除されるとは限らないため、生活への影響を見越して事前準備を行うことが重要です。

自己破産で銀行口座が凍結されることによる影響

銀行口座が凍結されると、その口座を通じた資金の移動ができなくなります。日常生活に直結する影響が生じるため、事前に内容を把握しておくことが大切です。

具体的な影響については、以下で詳しく見ていきましょう。

引き出しや振り込みができなくなる

口座が凍結されると、ATMや窓口での現金の引き出しができなくなります。また、他の口座への振り込みも利用できません。

実際には、ATMを操作しても取引ができず、コールセンターへの連絡を促す画面が表示されることがあります。つまり、口座内に残高があっても自由に使えない状態になります。

この状態が続くと、急な出費に対応できないなど、生活に支障が出る可能性があります。事前に現金を確保する、別口座を用意するなどの対策を検討しておくとよいでしょう。

各種料金の支払いが停止する

口座凍結中は、自動引き落としによる支払いも停止します。水道光熱費や家賃、スマートフォン代などが引き落とされず、滞納状態になるおそれがあります。

支払いが滞ると、ライフラインの停止や契約解除につながる可能性もあります。生活への影響を防ぐためには、別の口座への変更や、コンビニ払いへの切り替えなどの対応が必要です。

早めに支払い方法を見直しておくことで、トラブルを回避しやすくなります。

預金残高が返済に充てられる

凍結された口座の預金は、借入金との相殺によって返済に充てられることがあります。これは銀行が持つ権利に基づく処理です。

例えば、借金が30万円あり、同じ銀行に10万円の預金がある場合、その10万円は返済に充当されます。その結果、口座の残高はゼロになることが一般的です。

このように、預金がそのまま残るとは限らないため、必要な生活費は事前に確保しておくことが重要になります。

強制解約になることがある

相殺処理が終わると、口座の凍結は解除されることが多いです。ただし、金融機関の判断によっては、そのまま口座が解約される場合もあります。

これは、返済不能となった事実を踏まえ、取引継続が難しいと判断されるためです。強制解約となった場合は、別の銀行で新たに口座を開設する必要があります。

金融機関によって対応が異なるため、事前に状況を確認しておくことが大切です。

同居家族の口座への影響はない

自己破産は個人単位で行う手続きであり、原則として家族名義の口座に直接影響はありません。配偶者や同居家族の口座が凍結されることは基本的にないとされています。

ただし、家計状況の確認のために通帳の提出を求められる場合があります。また、名義は家族でも実質的に本人の財産と判断される「名義預金」の場合は注意が必要です。

このようなケースでは、破産者の財産として扱われる可能性があります。誤解を防ぐためにも、財産の管理状況は整理しておくとよいでしょう。

自己破産の口座凍結に備えた対策

自己破産の手続きを進める際は、銀行口座の凍結による影響を見越した準備が重要です。特に弁護士へ依頼する前の段階で対策を行うかどうかで、その後の生活への影響が大きく変わる可能性があります。

口座が凍結されると、給与の受け取りや各種支払いに支障が出るおそれがあります。そのため、早めに準備を進めておくことで、手続き中の混乱を抑えやすくなります。

ここでは、口座凍結に備えて具体的に行っておきたい対策について、順に説明していきます。

給与や年金などの振込口座を変更する

口座凍結に備えるうえで、まず検討したいのが収入の受取先の見直しです。凍結される口座に給与が振り込まれると、そのまま引き出せなくなる可能性があります。

そのため、借入のある銀行口座を給与振込に利用している場合は、別の金融機関の口座へ変更することを検討しましょう。また、勤務先によっては現金支給へ切り替えてもらえる場合もあります。

対応の例としては、次のような方法が考えられます。

  • 借入のない銀行口座へ振込先を変更する
  • 一時的に現金での支給に切り替えてもらう
  • 振込変更の手続きが間に合うよう早めに相談する

年金についても同様です。振込口座が凍結されると受け取りが難しくなるため、年金事務所での変更手続きを行っておくと安心でしょう。

各種料金の引き落とし口座を変更する

銀行口座が凍結されると、自動引き落としによる支払いも停止します。家賃や水道光熱費、スマートフォン代などが支払えなくなると、生活に支障が出るおそれがあります。

こうしたトラブルを防ぐためには、引き落とし口座を借入のない別口座へ変更しておくことが重要です。変更手続きには時間がかかる場合もあるため、余裕をもって進めるとよいでしょう。

もし口座変更が間に合わない場合は、以下のような対応も検討できます。

  • 払込用紙によるコンビニ払いへ切り替える
  • クレジットカード以外の支払い方法へ変更する
  • 支払期限を事前に確認し遅延を防ぐ

このように、支払い手段を複数確保しておくことで、生活への影響を抑えやすくなります。

クレジットカードの引き落とし口座残高をゼロにする

自己破産の準備段階では、クレジットカードの引き落としにも注意が必要です。特定の債権者にだけ返済を行うと「偏頗弁済」とみなされる可能性があります。

偏頗弁済とは、一部の債権者だけを優先して返済する行為です。このような行為が問題と判断されると、免責に影響するおそれがあります。

そのため、引き落とし日前に口座の残高を確認し、必要に応じて引き出しておくことが重要です。具体的には次のような対応が考えられます。

  • 引き落とし前に残高を引き出す
  • 引き落としが実行されないよう調整する
  • 弁護士に相談したうえで対応を決める

自己判断で進めるのではなく、状況に応じて専門家の指示を仰ぐことが大切です。

必要に応じて新たな銀行口座を開設する

口座凍結に備えて、新たな銀行口座を用意しておくことも有効な対策です。借入のない金融機関であれば、自己破産の手続き中でも口座を開設できる場合があります。

新しい口座は、給与の受け取りや各種料金の支払いに利用できます。事前に用意しておくことで、凍結後も生活資金の管理を続けやすくなります。

口座開設に当たっては、次の点を意識するとよいでしょう。

  • 借入のない金融機関を選ぶ
  • 給与振込や生活費管理など利用目的を明確にする
  • 開設した口座は漏れなく申告する

なお、開設の可否は金融機関の判断によるため、必ずしも全てのケースで利用できるとは限りません。状況に応じて柔軟に対応することが求められます。

当面の生活費を引き出しておく

口座が凍結される前に、当面の生活費を確保しておくことも重要です。凍結後は預金を自由に使えなくなるため、日常生活に必要な資金を手元に準備しておく必要があります。

具体的には、必要な金額を現金で引き出す、または借入のない口座へ移しておく方法があります。ただし、多額の現金を一度に引き出すと、財産隠しと疑われる可能性があります。

そのため、以下の点に注意してください。

  • 必要な生活費の範囲で引き出す
  • 使途を説明できるようにしておく
  • 事前に弁護士へ相談する

適切な範囲で準備を進めることで、手続きへの影響を抑えながら生活を維持しやすくなります。

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自己破産後に新たに銀行口座を開設する際の注意点

自己破産の手続きが完了した後でも、銀行口座を新たに開設すること自体は可能です。ただし、どの金融機関でも無条件に開設できるわけではなく、一定の制約がある点には注意が必要です。

自己破産後は信用情報や金融機関の判断が影響するため、事前に注意点を把握しておくことで手続きをスムーズに進めやすくなります。ここでは、口座開設時に押さえておきたいポイントを具体的に見ていきましょう。

同じ銀行での開設は難しい

自己破産の対象となった銀行で再び口座を開設することは、難しい傾向があります。その理由の一つが「社内ブラック」と呼ばれる状態です。

社内ブラックとは、過去に貸し倒れや返済不能があった顧客情報を、金融機関が内部で管理している状態を指します。この情報は信用情報機関とは別に管理されるため、長期間にわたって影響が残る可能性があります。

そのため、自己破産後に同じ銀行で口座開設やローン審査を申し込んでも、断られるケースが少なくありません。新たに口座を作る場合は、これまで借入をしていない別の金融機関を選ぶことが現実的です。

銀行選びに迷う場合は、過去の取引状況を整理し、関係のない金融機関を検討するとよいでしょう。

クレジット・ローン機能は付帯できない

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。この影響により、審査が必要な金融サービスの利用が制限される場合があります。

具体的には、クレジットカード機能やカードローン機能が付いたキャッシュカードは発行が難しくなります。そのため、新たに口座を開設する際は、こうした機能が付帯していない通常の預金口座を選ぶ必要があります。

信用情報の影響は一定期間続くといわれており、その間は審査が厳しくなる傾向があります。ただし、全ての金融サービスが利用できなくなるわけではありません。

例えば、即時引き落としで利用できるデビットカードなど、審査が不要な決済手段を活用することも可能です。状況に応じて代替手段を選ぶことが大切です。

利用目的を求められる場合がある

自己破産後に口座を開設する場合、金融機関の審査が慎重になることがあります。そのため、申込時に口座の利用目的について説明を求められるケースもあります。

スムーズに手続きを進めるためには、あらかじめ利用目的を明確にしておくことが重要です。例えば、次のような用途を整理しておくとよいでしょう。

  • 給与の受け取り
  • 公共料金の支払い
  • 日常の生活費の管理

このように具体的な目的を伝えられると、金融機関側も利用内容を把握しやすくなります。事前準備を行うことで、口座開設の手続きが円滑に進みやすくなるでしょう。

自己破産時の銀行口座の扱いに不安があるときの相談先

自己破産に伴う銀行口座の扱いについて不安がある場合は、一人で抱え込まずに適切な相談先を利用することが重要です。状況によって必要な対応は異なるため、相談先を使い分けることで問題の解決につながりやすくなります。

特に、給与の受け取りや生活費の確保といった具体的な課題は、早めに対応することで影響を抑えやすくなります。ここでは、主な相談先とその役割について見ていきましょう。

勤務先や年金事務所

給与や年金の振込口座が凍結される可能性がある場合は、勤務先や年金事務所への相談が必要です。振込先の変更が間に合わないと、入金された資金を引き出せなくなるおそれがあります。

勤務先では、総務や人事、経理などの担当部署に相談することで、次のような対応を検討できます。

  • 借入のない別口座への振込先変更
  • 一時的な現金支給への切り替え
  • 支給方法の調整に関する相談

年金についても同様に、振込口座の変更手続きを行うことができます。手続きには一定の時間がかかる場合があるため、できるだけ早めに相談しておくと安心です。

依頼中の弁護士

銀行口座の扱いについて最も具体的なアドバイスを得られるのは、依頼中の弁護士です。手続き全体を把握しているため、状況に応じた適切な対応を提示してもらえます。

弁護士に相談する際は、次のような情報を正確に伝えることが重要です。

  • 凍結の可能性がある口座の状況
  • 口座残高や引き出しの予定
  • クレジットカードの引き落とし状況
  • ネット銀行や使用していない口座の有無

これらの情報をもとに、生活費の確保方法や適切な対応について具体的な指示を受けられます。

自己判断で多額の現金を引き出すと、財産隠しと疑われる可能性もあります。その結果、免責に影響するおそれもあるため、必ず事前に専門家へ相談することが大切です。

まとめ

自己破産をすると銀行口座が全て使えなくなるわけではありません。借入がある金融機関の口座が凍結される可能性がある一方で、借入のない口座は利用を継続できる場合があります。

口座凍結は、預金と借入金を相殺するために行われる仕組みです。一般的には1~3カ月程度で解除されることが多いものの、その間は引き出しや支払いが制限されるため、事前の準備が重要になります。

給与振込口座の変更や生活費の確保など、早めに対策を行うことで生活への影響を抑えやすくなります。不安がある場合は、勤務先や弁護士などに相談しながら進めていくことが大切です。

ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があります。電話やメール、LINEでの相談にも対応していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。