債務整理
2026/08/14
自己破産ができない人やケースは?理由や言われた場合の対処法を解説

借金の返済に悩み、自己破産を検討しているものの「自分はできないのではないか」と不安を感じている方も多いでしょう。インターネット上では様々な情報が見られますが、条件や例外が多く、自分が該当するのか判断が難しいと感じることもあるはずです。
しかし、自己破産は単純な条件だけで判断される制度ではありません。一定のルールはあるものの、事情によって判断が変わることもあり、過度に不安になる必要はないケースもあります。
本記事では、自己破産ができないとされる主なケースや判断基準を整理し、誤解されやすいポイントや対処法まで分かりやすく解説します。自己判断で諦めてしまう前に、正しい知識を知ることで適切な選択につなげていきましょう。
【この記事で分かること】
- 自己破産ができないと判断される主な7つのケースと具体的な理由
- 免責が認められるかどうかの判断基準や裁量免責の考え方
- 自己破産が難しい場合の対処法や相談の重要性
自己破産をできない人とは?基本的な考え方
自己破産の手続きを行えば、誰でも無条件に借金の返済が免除されるというわけではありません。結果的に自己破産をできない人も一定数います。
まず押さえておきたいのは、自己破産には申し立てと免責という2つの段階がある点です。裁判所に申し立てを行うこと自体は、多くの場合可能ですが、最終的に借金の支払い義務が免除されるかどうかは別の判断になります。裁判所は、債務者の収入や生活状況、借金の原因や経緯などを総合的に考慮して免責の可否を判断します。
自己破産の可否は一律ではなく、個別の事情により判断されるものだと理解しておきましょう。
自己破産をできない主なケース
具体的に、どのような場合に自己破産において免責が認められにくくなるのでしょうか。ここでは、具体的なケースを紹介します。
借金の原因がギャンブルや浪費である場合
借金の原因がギャンブルや浪費である場合は、免責不許可事由に該当する代表的なケースとされています。特に、長期間にわたって借入と消費を繰り返している場合や、収入に見合わない支出を続けている場合は、問題視されやすくなります。
例えば、以下のような行為が該当する可能性があります。
- パチンコや競馬などのギャンブルによる借入の繰り返し
- ブランド品や高額な買い物を続けた結果の多重債務
- 返済の見込みがない状態での借入の継続
ただし、原因がギャンブルや浪費であっても、それだけで直ちに免責が認められないとは限りません。借金の経緯や期間、本人の反省状況、生活改善の取り組みなどが総合的に判断されます。
現在は生活を見直している、再発防止の取り組みをしているといった事情があれば、裁量免責が認められる可能性もあります。重要なのは、原因そのものだけでなく、その後の対応や姿勢です。
財産を隠す・名義を移すなどした場合
自己破産においては、債務者が保有する財産を正確に申告することが前提となります。そのため、財産を隠したり、家族名義などに移したりする行為は重大な問題とされます。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 預貯金を引き出して現金で保管し、申告しない
- 不動産や車を家族名義に変更する
- 保険の解約返戻金を隠す
これらは、債権者への公平な配当を妨げる行為と判断されるため、免責が認められにくくなります。
また本人に悪意がない場合でも、結果として財産隠しと評価される可能性があります。例えば「家族に迷惑をかけたくない」という理由で名義変更をしたとしても、手続き上は問題となることがあります。
自己破産では、正確で誠実な申告が何より重要です。不明な点がある場合は自己判断せず、専門家に確認することが重要となります。
特定の債権者だけを優遇して返済した場合
自己破産の手続きでは、全ての債権者を公平に扱うことが原則です。そのため、特定の債権者だけに優先して返済を行う行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれ、問題となります。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 家族や知人からの借金だけを優先して返済する
- 特定の金融機関にのみ返済を続ける
- 一部の借入だけを完済する
これらは、他の債権者との公平性を損なうため、免責不許可事由に該当する可能性があります。
特に注意したいのは、善意で行った場合でも問題になる点です。「迷惑をかけたくない」という気持ちで返済したとしても、結果として一部の債権者を優遇したと評価される可能性があります。
返済に不安を感じた段階で無理に返済を続けるのではなく、早めに弁護士などの専門家へ相談することが重要です。
虚偽の申告や資料の改ざんがあった場合
自己破産では、申立人の誠実性が非常に重視されます。そのため、収入や財産、借入状況について虚偽の申告を行った場合、免責が認められにくくなります。
例えば、以下のような行為が問題となります。
- 収入を実際より少なく申告する
- 借金の一部を隠す
- 通帳の履歴を改ざんする
これらは裁判所や破産管財人からの信頼を損なう行為とされ、手続き全体に大きな影響を与えます。
なお、単なる記載ミスや記憶違いといった軽微な誤りであれば、訂正によって問題とならない場合もあります。一方で、意図的な虚偽や隠匿は重大な不利益につながる可能性があります。正確な情報を提出することが、自己破産手続きを進める上で不可欠です。
支払不能と認められない場合
自己破産を利用するためには「支払不能」の状態にあることが前提となります。支払不能とは、継続的に借金の返済ができない状態を指します。
単に返済が苦しいと感じているだけでは足りず、客観的に見て返済が困難であると判断される必要があります。
例えば、以下のような点が考慮されます。
- 収入と支出のバランス
- 保有している資産の状況
- 今後の収入見込み
一定の収入があり、生活費を差し引いても返済が可能と判断される場合は、支払不能とは認められないことがあります。このように、自己破産は主観的な判断ではなく、客観的な状況をもとに判断される制度です。現状を正確に整理することが重要となります。
非免責債権しかない場合
自己破産をしても、全ての借金が免除されるわけではありません。法律上、免責の対象とならない非免責債権が存在します。
主な非免責債権は以下の通りです。
- 税金や社会保険料
- 養育費や婚姻費用
- 罰金や過料
これらの債務は、自己破産後も支払い義務が残ります。そのため、これらの債務しかない場合は、手続きを行っても実質的な負担軽減につながらない可能性があります。
自己破産を検討する際は、借金の総額だけではなく、その内訳を確認することが重要です。どの債務が対象になるのかを把握することで、適切な判断につながります。
過去7年以内に免責を受けている場合
自己破産では、原則として前回の免責決定から7年を経過していない場合、再度の免責は認められにくいとされています。そのため、過去に自己破産をして間もない状態で再度申し立てを行った場合、免責が認められない可能性が高くなります。
ただし、全てのケースで一律に認められないわけではありません。やむを得ない事情がある場合には、個別に判断されることもあります。いずれにしても、再度の自己破産は通常よりも慎重な判断が行われます。過去の手続き状況を踏まえた上で、専門家に相談することが重要です。
手続きに非協力的な態度である場合
自己破産の手続きでは、裁判所や破産管財人に対して協力する義務があります。そのため、非協力的な態度は免責判断に大きな影響を与えます。
例えば、以下のような行為が問題となります。
- 必要書類の提出を怠る
- 質問に対して十分な説明を行わない
- 調査への協力を拒む
これらは不誠実な対応と評価される可能性があり、手続きの進行にも支障が生じます。
自己破産は、単に申し立てを行えば完了するものではありません。最後まで誠実に対応する姿勢が求められます。手続きに不安がある場合は、早めに専門家へ相談しながら進めることが重要です。
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自己破産をできないと誤解されやすいケース
自己破産に不利になると思われがちな要件でも、実は影響しないものがいくつかあります。ここでは、誤解されやすい代表的なケースについて見ていきましょう。
生活保護を受給している場合
生活保護を受給している場合でも、それだけを理由に自己破産ができないわけではありません。むしろ、収入が限られている状況であれば、継続的な返済が困難と判断されやすく、支払不能の要件を満たすケースも見られます。
生活保護費は最低限の生活を維持するためのものであり、原則として借金の返済に充てることは想定されていません。そのため、借金を抱えたまま生活保護を受給している場合、自己破産による整理を検討する余地があります。
また費用面に不安がある場合は、法テラスの立替制度を利用できる可能性があります。弁護士費用などを一時的に立て替えてもらい、後から分割で返済する仕組みです。
ただし、全てのケースで同様に判断されるわけではありません。収入状況や債務内容などに応じて個別に判断されるため、具体的な状況を踏まえて検討することが重要です。
持ち家がある場合
持ち家があると自己破産できないのではないかと不安に感じる方もいますが、不動産を所有していること自体は手続きの可否に直接影響しません。自己破産の申し立ては可能です。
ただし、自己破産では債権者への公平な配当が重視されるため、一定の価値がある財産は処分対象となります。自宅も原則として売却され、その売却代金が債権者への配当に充てられます。
住宅ローンが残っている場合は、金融機関によって競売や任意売却の手続きに進むことが一般的です。いずれにしても、自宅を維持することは難しいケースが多いといえます。
自宅を残したい場合は、個人再生の住宅ローン特則を利用する方法も検討されます。このように、状況に応じて手続きの選択肢を見直すことが重要です。
個人事業主・法人代表者の場合
個人事業主や法人代表者であっても、自己破産を利用することは可能です。職業や立場だけを理由に、手続きが制限されることはありません。
事業の失敗などにより返済が困難になった場合でも、個人としての債務について自己破産を申し立てることができます。法人代表者の場合は、会社の債務とは別に、個人保証している借入について整理する形になります。
一方で、事業者の場合は資産や取引関係が複雑になる傾向があり、調査対象が多くなる点が特徴です。例えば、売掛金や在庫、設備などの事業資産も確認の対象となります。
そのため、一般的なケースと比べて手続きに時間がかかる場合もあります。ただし、これは不利というよりも、確認事項が多いことによるものです。正確な情報を整理した上で進めることが重要となります。
例外的に自己破産が認められる「裁量免責」とは?
先述のように、自己破産には免責が認められにくいとされる免責不許可事由が定められています。しかし、これに該当する場合でも、一律に免責が否定されるわけではありません。
その判断を補う仕組みが裁量免責です。裁量免責とは、一定の不利な事情がある場合でも、裁判所が個別の事情を考慮し、例外的に免責を認める制度です。
判断に当たっては、借金の原因だけでなく、その後の対応や生活状況なども含めて総合的に評価されます。例えば、浪費やギャンブルが原因であっても、現在は生活を見直している場合や再発防止に取り組んでいる場合は、前向きに評価される可能性があります。
また手続きに対して誠実に対応しているかどうかも重要な要素です。資料提出や説明に協力的であるか、隠し事がないかといった点が判断に影響します。
このように、裁量免責は単に条件を満たすかどうかではなく、再出発の可能性を見極めるための制度です。ただし、容易に認められるものではなく、慎重な判断が行われる点には注意が必要です。
自己破産をできない場合の代替手段
自己破産が難しい場合でも、借金問題を解決する方法は他にもあります。債務整理には複数の手続きがあり、それぞれ特徴や適したケースが異なります。
自己破産は返済義務の免除を目指す手続きですが、他の方法では返済を前提に負担を軽減していきます。収入や資産の状況に応じて、適切な手段を選択することが重要です。
以下では、代表的な代替手段について確認していきましょう。
個人再生
個人再生は、裁判所に申し立てることで借金の大幅な減額を目指す手続きです。もし減額が認められた場合、残りの借金を原則3年で分割返済していくことになります。そのため一定の収入があり、継続的な返済が可能であることが利用の前提となります。
大きな特徴は、借金の元本自体を減額できる点です。自己破産のように全ての返済が免除されるわけではありませんが、負担を現実的な水準まで軽減できる可能性があります。
また住宅ローン特則を利用すれば、自宅を維持したまま手続きを進められる場合があります。自宅を手放したくない方にとっては有力な選択肢となります。
ただし、全てのケースで自宅を残せるわけではありません。収入状況やローンの内容によって判断されるため、事前の確認が重要です。
任意整理
任意整理は、裁判所を利用せずに債権者と直接交渉し、返済条件の緩和を目指す手続きです。主に将来利息のカットや3~5年など長期分割での返済などを交渉します。
比較的柔軟に進められる点が特徴で、整理する債務を選べることもあります。例えば、保証人がついている借入を除外するなど、状況に応じた対応が可能です。
一方で、元本そのものが減額されるケースは多くありません。そのため、ある程度の返済能力が必要となります。負担を軽減しつつ返済を継続したい場合に適した方法といえるでしょう。
任意整理・個人再生・自己破産の違いとは?手続きの比較と選び方を解説
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自己破産を検討している際の相談先
自己破産を検討する際は、自分だけで判断するのではなく、専門家に相談することが重要です。インターネットの情報だけでは判断が難しく、誤った理解のまま行動してしまう可能性があります。
また相談先によって対応できる範囲や役割は異なります。初期的な方向性の確認に適した窓口もあれば、具体的な手続きを任せられる機関もあります。
早めに相談することで、偏頗弁済などの不利な行動を避けやすくなります。不安を抱えたまま放置するのではなく、自分に合った相談先を知ることが大切です。
自治体の法律相談窓口
自治体が実施している法律相談窓口では、弁護士や司法書士による無料相談を受けられる場合があります。費用をかけずに専門家の意見を聞けるため、初めて相談する方にとって利用しやすい選択肢です。
このような窓口では、自己破産が可能かどうかの大まかな判断や、今後の方向性についてアドバイスを受けることができます。制度の概要や基本的な流れを理解する場としても有用です。
一方で、相談時間は限られていることが多く、継続的な対応や代理業務は依頼できません。多くの場合、1回30分程度の相談となり、回数にも制限があります。
そのため、自治体の法律相談窓口はあくまで初期相談として活用し、具体的な手続きを進める場合は別途専門家へ依頼することが現実的です。
法テラス
法テラスは、国が設立した法律支援機関であり、借金問題についても相談することができます。収入や資産が一定基準以下であれば、無料法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できる点が特徴です。
費用面に不安がある方にとっては、利用しやすい相談先といえます。立替制度を利用した場合でも、後から分割で返済できるため、一度に大きな負担が生じにくい仕組みとなっています。
ただし、利用には条件があり、全ての方が対象となるわけではありません。また申し込みから実際の相談までに時間がかかる場合もあります。
このように、費用面のハードルを下げられる点は大きなメリットですが、スピード感を重視する場合は他の相談先と併せて検討することが重要です。
弁護士事務所
弁護士事務所では、自己破産を前提とした具体的な見通しやリスクについて、個別事情に応じた判断を受けることができます。免責が認められる可能性や、注意すべき点についても詳しく説明してもらえます。
また依頼後は申し立てから免責決定までの手続きを一貫して任せることができるため、手続きに不安がある方にとって安心感があります。書類作成や裁判所対応などもサポートしてもらえます。
早い段階で相談することで、偏頗弁済や財産処分などの不利な行動を避けやすくなる点も重要です。状況が悪化する前に相談することで、選択肢の幅が広がる可能性があります。
弁護士事務所は、具体的な解決まで見据えて対応してもらえる相談先といえるでしょう。
まとめ
本記事では、自己破産ができないとされる主なケースや、誤解されやすいポイントについて解説しました。免責不許可事由に該当する場合でも、事情によっては判断が変わることがあり、一律に可否が決まるわけではありません。
また生活保護の受給や持ち家の有無など、一見すると不利に思える事情であっても、それだけで自己破産が否定されるわけではない点も重要です。最終的な判断は個別事情によって行われます。
そのため、自己判断で諦めてしまうのではなく、早めに専門家へ相談することが重要です。適切なアドバイスを受けることで、自分に合った解決方法が見えてくる可能性があります。
ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があり、借金問題に関する相談に幅広く対応しています。電話やメール、LINEでの相談が可能であり、相談料は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。