法律コラム

債務整理

2022/12/09

リボ払いは債務整理ができます|デメリットや債務整理の手順を徹底解説

クレジットカードでリボ払いを利用していると「気付いたら支払額が膨らんでしまっていた」という人も少なくありません。このように毎月の支払いに苦しんでいる人も、場合によっては債務整理を利用して負担を軽減できることがあります。 この記事ではリボ払いのしくみと債務整理のメリット・デメリットなど、法的アプローチによる支払減額の基礎知識について解説します。
リボ払いは債務整理ができます|デメリットや債務整理の手順を徹底解説

1.クレジットカードのリボ払いとは?

リボ払いはクレジットカードの支払い方法の一つです。
リボ払いの方式としては、定額方式があります。
定額方式では、利用金額や現在の債務残高に関係なく、毎月固定の金額を支払います。たとえば、支払方法を毎月2万円のリボ払いに設定していれば、支払残高が10万円でも100万円でも、月に支払う金額は2万円です。

このように、リボ払いの定額方式では、いくら利用しても月の支払いが定額であるため、どうしても支払いができない、といったことにはなりにくいでしょう。ただし、支払残高に対して返済額が少なすぎると、元本が減らずなかなか完済できないという問題があります。

1-1 分割払いとの違い

リボ払いと分割払いは「複数回に分けて支払いを行う」という点では共通しています。異なるのは、分割払いが「支払回数を固定」しているのに対し、リボ払いは「毎月の返済額を固定」している点です。

分割払いは支払回数が決まっているため、計画通りに規定の回数だけ支払えば完済できます。しかし、リボ払いの場合は金額で支払回数が決まるため、長期に渡り支払いが終わらないこともあります。

 

2.リボ払いの返済が長引く理由

リボ払いの利用者からは「いつになっても払い終わらない」「支払い残高が減っている気がしない」といった声を聞くことがあります。

これには、リボ払いの仕組みが関係しています。詳しく見てみましょう。

2-1 手数料が高い

リボ払いが終わらない大きな理由の一つが、高額な手数料(利息)です。

リボ払いは利用金額に応じて手数料が発生します。この手数料にかかる割合はクレジットカード会社によって異なりますが、一般的には実質年15%から16%ほどに設定されています。これは、銀行カードローンの年利とほぼ同水準です。

仮に、50万円の買い物を手数料15%、月額1万5,000円(手数料込)のリボ払いで支払った場合、結果は次のようになります。

  • 総支払額:65万823円(うち手数料15万823円)
  • 完済にかかる期間:3年7ヶ月

ここでは50万円の買い物一回分で計算していますが、日常的にクレジットカードを利用している人であれば、返済中にさらに支払残高が増加することも考えられます。実質的な完済までの期間はさらに長くなるでしょう。

2-2 利用額が把握しにくい

リボ払いでは毎月の支払額が固定されます。そのため、使った分だけ請求される一括払いと異なり、いくら使ったのか把握しづらいという点が特徴的です。

現在の利用額が分かりにくいため、利用額が多い状態でもあまり気にせずクレジットカードを使ってしまいやすくなる人もいます。なかには、限度額に到達してはじめて事態の深刻さに気付く、という人もいます。

2-3 毎月の支払額によっては元本が減りにくい

リボ払いは利用額の多少にかかわらず一定額を支払い続けます。そのため、毎月の支払額に対して利用額が大きい場合支払う手数料の割合が大きくなり、なかなか元本の支払いが終わらないという事態に陥りがちです。

毎月きちんと返済していても、ほとんど手数料分に消えており、元本がほとんど減っていないというケースも珍しくありません。

 

3.債務整理とは

リボ払いの支払期間が長期に渡り、完済が難しいと感じる場合、債務整理も選択肢の1つとなります。債務整理は、法的アプローチで借金問題を解決することで、大きく分けて「任意整理」「民事再生(個人再生)」「自己破産」の3種類があります。

それぞれどのような方法なのか確認してみましょう。

3-1 任意整理

任意整理とは、債権者(この場合はクレジットカード会社)と交渉し、元本完済に向けて返済の調整を行うことです。利息や遅延損害金のカット・減額を求め、元本を完済できるように支払い条件を調整します。

債務の金額にもよりますが、おおむね3年から5年で完済できるよう交渉することが一般的です。任意整理は、以降の二つの方法とは違って裁判所を通しません。そのため比較的手続きが簡単でスピーディです。裁判所からの書類の到着などもないため、家族にも秘密にしやすいといえます。

3-2 民事再生(個人再生)

民事再生(個人再生)は、裁判所を通じて債務を整理・減額する方法の一つです。債務者側で借金を3年から5年で返済するよう再生計画案を作成し、再生計画を裁判所が認可する決定が出されて確定することにより,債務の減額及び残債務の分割払いを定めた再生計画が法的効力を生じます。

各種手続き書類の収集や再生計画の作成に相応の手間がかかりますが、その分削減効果は任意整理よりも大きいといえます。また、後述の自己破産とは違い、財産の強制的な処分は発生しません。

ただし、民事再生(個人再生)で債務を圧縮しようとしても、債務者の保有している財産の額より下回ってはならない(再生計画での弁済額は債務者の保有する財産の額(清算価値)を下回ってはいけない)点には注意が必要です。

3-3 自己破産

自己破産は、裁判所の決定を受けて債務の支払い義務の免除を受ける方法です。破産申立書を裁判所に提出し、免責許可決定が下りて,決定が確定すると(破産法所定の非免責債権を除いて)借金の支払い義務がなくなります。

ただし、自己破産では財産と債務の清算を行いますので、一定金額以上の預貯金や不動産などの財産がある場合は換価処分の対象となります。

また、自己破産は裁判所からの書類の到着や財産の処分が発生しうることから、家族に知られずに手続きするのは難しいでしょう。

 

4.リボ払いは債務整理できる

債務整理というと「借金の処理方法」というイメージが強いかもしれません。「リボ払いは買い物の代金だし、債務整理はできないのではないか」と思う人もいるでしょう。

債務整理の「債務」は、厳密には借金ではなく「お金を払う法的な義務」を指します。そのため、ショッピングでクレジットカードを利用した人の支払いも債務整理の対象です。任意整理でクレジットカード会社と交渉する、裁判所を通じて支払額を減少させるといった対処が可能です。

 

5.リボ払いで債務整理するための手順

前述のように、債務整理にはいくつか種類があり、人によって適した方法も異なります。手続き自体も難解なため、弁護士に依頼することが一般的です。

弁護士に依頼する際はどのような流れで行うのでしょうか。具体的な手順を見てみましょう。

5-1 弁護士に法律相談する

債務整理には法的な専門知識が必要なため、自分で行うことはおすすめできません。債務整理に失敗し、借金の減額ができなくなる可能性があります。まずは、法律相談などを行いながら依頼する弁護士を探しましょう。

最初の相談では、現在の状況(借入額や借入残高など)とどのような形で解決を望むかを伝えましょう。そうすると、弁護士からどのような解決方法があるのか提示されます。自分の借金の金額や、現在の財産の内訳などをまとめておくと相談がスムーズに進むため、メモ程度でよいので準備してみてください。

5-2 契約を行う

次に、債務整理を依頼する弁護士を決めて契約します。

債務整理の結果は弁護士の腕にかかっています。信頼できる弁護士を探し出すためには、なるべく複数の事務所に相談して依頼先を決めることをおすすめします。「女性弁護士が良い」「話しやすい同年代が良い」など希望がある場合、弁護士が複数人在籍している事務所を選ぶと効率的です。

無事依頼する弁護士が決まったら契約したい旨を伝えてください。ここから本格的に債務整理に向けて準備が始まります。

5-3 債務整理の方法を決める

弁護士と話し合いながら、自分にもっとも適した債務整理の方法を考えていきます。

前述のとおり「任意整理」「民事再生(個人再生)」「自己破産」には、それぞれ特徴が異なります。メリット・デメリットを理解したうえで、慎重に方針を決定しましょう。それぞれの状況によって最適な方法は異なるため、弁護士に相談して見解を聞いてみてください。

 

6.リボ払いで債務整理するときのメリット

リボ払いの支払いを債務整理してもよいかどうか悩む人も少なくありません。債務整理を利用して解決することのメリットを紹介します。

6-1 返済の負担が軽くなる

大きなメリットの一つは、返済の負担が軽くなる、またはなくなることです。どの方法を採用するかによっても異なりますが、いずれの手続きで債務整理をしても、次のように債務の削減効果があります。

削減できる債務 注意事項
任意整理 利息や遅延損害金 元本の削減はできない
個人再生 元本の一部も減額の対象 保有する財産の額に相当する金額は支払う必要あり
自己破産 免責許可決定が出れば返済義務免除
(実質借金がゼロに)
一部免責対象外の債務あり
財産がある場合は換価の対象になる

自力での返済が難しい場合、債務整理で返済額を減らすことも視野に入れてみてください。

6-2 金融機関からの支払督促が来なくなる

返済を滞納していると、クレジットカード会社から電話や書面で督促が行われます。返済するまで督促は行われるため、精神的な負担になることもあるでしょう。しかし、弁護士に債務整理を依頼したあとは弁護士が窓口になるため、それ以降は債務者本人に督促はされません。

債権者からの督促は、債務者にとっては大きな精神的負担です。「早く払わなければ」という意識から、闇金業者に手を出してしまう人もいるほどです。弁護士に債務整理を依頼していると、こういったストレスからは解放されます。

6-3 キャッシングのリボ払いは過払い金請求も可能

過去にもキャッシングを利用していた人であれば、過払い金請求で現在の債務を減少させられることもあります。

過払い金とは、本来払う必要がないのに、返済金として払い過ぎた利息のことです。かつて、融資の金利の上限として「出資法」「利息制限法」の二重の基準があった時代があり、多くの金融機関が利息制限法の上限以上の金利で貸し付けを行っていました。

この頃に支払っている返済金のうち、利息制限法の上限金利で計算し直した結果、払い過ぎている分は過払い金です。この分は返還を受けることができます。

対象となるのは2010年6月18日(改正貸金業法の施行日)より前に、利息制限法以上の金利で契約した債務です。過払い金の返還があったり、現在の債務と相殺して大きく減額できたりする場合があります。

 

7.リボ払いを債務整理するデメリット

リボ払いの債務整理にはメリットもある一方デメリットも存在します。債務整理を検討する際はこちらも把握しておきましょう。

7-1 個人信用情報機関に事故情報が登録される

債務整理を行うと、個人信用情報機関のデータベースに事故情報が登録されます。これが、いわゆるブラックリスト入りした状態です。

事故情報が登録されると、金融機関や信販会社の申し込みの審査に通りづらくなります。また、下記のように、クレジットカードが使えないとか、新規のローンを組むことができなくなります。
もっとも、債務者に借金に依存する傾向が見られる場合には、借金を増やさないという点で新規の借り入れができないことはむしろ有益といえます。

7-2 クレジットカードが使えない

債務整理を行い事故情報が信用情報に登録されると、原則として手続き完了後(任意整理の場合には債務完済後)約5年から7年の間、クレジットカードは使えません。

債務整理を行ったクレジットカードは、弁護士が介入した時点で強制解約になります。ETCカードや家族カードを持っている場合、こちらも使えなくなるため注意してください。債務整理の対象としていないクレジットカード会社も、カード更新時の審査などで信用情報を確認します。事故情報の登録が発覚すると、カードの利用ができなくなる可能性があります。

債務整理を行う際は、もしクレジットカードが使えなくなっても問題ないように準備をしておきましょう。代替のデビットカードの発行や、支払方法の変更手続きをしておいてください。

7-3 ローンを組めない

信用情報機関に事故情報が残っている約5年から7年のうちは、住宅ローンやカーローンといったローンも組めなくなる可能性があります。こちらも、審査の際に金融機関が信用情報を確認するためです。また、ローンの連帯保証になる際も、審査に通らなくなるケースがあります。

ローンを利用する際は、家族の了解を得た上での家族名義での契約や、連帯保証人ではなく保証会社の利用ができないか検討してみましょう。

 


まとめ

リボ払いは債務整理可能!弁護士に依頼して負担を軽くしよう

クレジットカードのリボ払いは債務整理の対象にできます。どうしても支払いが厳しい場合や、借金の増加で悩まされているときは、債務整理を検討してみましょう。

ただし、債務整理の種類には複数あり人によって適した解決策も異なるうえ、手続きは難解です。自分の状況に最適な方法を選びスムーズに借金問題を解消するには、債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼することは必須でしょう。

弁護士法人ライズ綜合法律事務所には、「借金から抜け出せずに苦しい」「カードの支払いが終わらない」このような方から多くの相談が寄せられています。当事務所には債務整理の経験が豊富な弁護士が多数在籍しており、一人ひとりに最適な解決方法をご提案しております。

まずは何にお困りなのか、どのような形で解決したいのか、思いやご希望をお聞かせください。

 

このページの監修弁護士

弁護士

三上 陽平(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

中央大学法学部、及び東京大学法科大学院卒。
2014年弁護士登録。

都内の法律事務所を経て、2015年にライズ綜合法律事務所へ入所。
多くの民事事件解決実績を持つ。東京弁護士会所属。

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