債務整理

2026/08/14

自己破産すると親に迷惑?同居家族への影響やデメリットを解説

自己破産すると親に迷惑?同居家族への影響やデメリットを解説

自己破産を検討していても、親や家族に借金の返済義務が生じたり、実家の財産まで処分されたりしないか不安になりますよね。自分の借金が原因で負担をかけたくないため、手続きをためらう方もいるのではないでしょうか。

本記事では、自己破産が親・家族に与える影響や、避けるべき行為について解説します。家族への影響を抑えられる債務整理の方法も紹介するため、自分に適した解決策を考える際の参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 自己破産が親や同居家族の返済義務、信用情報、財産に与える影響
  • 保証人や共有財産、本人名義の家・車がある場合に生じるデメリット
  • 家族に知られる主なタイミングや避けるべき行為、自己破産以外の解決方法

自己破産をすると親・家族に迷惑はかかる?

自己破産は、借金を負っている本人の財産や返済義務を整理する手続きです。親や家族が保証人になっているなどの事情がなければ、本人が自己破産をしただけで家族に返済義務が生じることはありません。

処分の対象となるのも、原則として本人が所有する財産です。親名義の預貯金や不動産、車、家財などが、本人の自己破産を理由に処分されるわけではないでしょう。ただし、名義が親になっていても、実際には本人が代金を負担して所有している場合は調査対象になる可能性があります。

また本人が自己破産をしても、親・家族の信用情報に事故情報が登録されることはありません。家族が自分名義のクレジットカードを利用したり、ローンを申し込んだりすることも原則として可能です。

自己破産を理由に、家族の就職や結婚が法律上制限されることもありません。戸籍や住民票にも自己破産の事実は記載されないため、通常は公的な書類から知られる心配もないでしょう。

一方、保証契約や財産の名義によっては、家族に間接的な負担が及びます。本人名義の家や車を家族も利用していれば、処分によって生活環境が変わることも考えられます。

自己破産で親・家族にデメリットがあるケース

自己破産そのものが家族の財産や信用情報に影響するわけではありません。しかし、保証人や共有財産などの事情があると、家族にも負担が生じます。ここでは、代表的なケースを解説します。

親・家族が保証人になっている場合

親や家族が保証人または連帯保証人になっている場合、本人が返済を停止すると、債権者から保証人へ請求される可能性があります。本人が免責を受けても、その効力は保証人には及ばないためです。

保証人の支払義務が自己破産によって新たに生じるわけではありません。保証契約に基づいてもともと負っていた義務が残り、債権者から残額の一括返済を求められることがあります。

保証人が一括で支払えない場合は、債権者との分割交渉や債務整理が必要になることもあるでしょう。本人だけではなく保証人も返済が難しいときは、それぞれに適した解決方法を検討する必要があります。

親・家族からお金を借りている場合

親や家族から借りたお金も、法律上は銀行や貸金業者からの借金と同じ債務です。自己破産を申し立てる際は、親・家族も債権者として扱わなければなりません。

免責が認められれば、親・家族に対する返済義務も原則として免除されます。そのため、貸した側はお金を回収できず、経済的な損失を受ける可能性があるでしょう。

親への返済を優先したり、借金の存在を申告しなかったりする行為は認められません。手続きへの影響については、後ほど詳しく解説します。

本人名義の家に親・家族が同居している場合

本人名義の持ち家は、自己破産による換価処分の対象になるのが原則です。売却代金は、手続きの費用や債権者への配当に充てられます。

親や家族が同居していても、本人名義である以上、住んでいることだけを理由に処分を免れるのは困難でしょう。売却後は物件を引き渡す必要があるため、同居家族も転居を余儀なくされる可能性があります。

住宅ローンが残っている場合は、抵当権を持つ金融機関による競売や、金融機関の同意を得た任意売却が行われることもあります。家族の住居に関わるため、申し立て前に転居先や費用を検討しておくことが大切です。

なお、親名義の実家に本人が同居しているだけであれば、通常は実家そのものが処分されることはありません。

本人名義の車を親・家族も使用している場合

本人名義の車に一定以上の価値がある場合は、処分の対象となる可能性があります。評価額や処分基準は裁判所によって異なるため、価値が20万円を超えれば必ず処分されるとは限りません。

親の通院や家族の送迎、買い物などに使っている車を失えば、日常生活に支障が生じるでしょう。公共交通機関が少ない地域では、影響がより大きくなります。

自動車ローンが残っており、信販会社などに所有権が留保されている場合は、契約に基づいて車の返還を求められることがあります。一方、親名義で購入代金も親が負担している車は、原則として本人の破産財産には含まれません。

親・家族と共有名義の財産がある場合

親・家族と不動産などを共有している場合、原則として処分対象になるのは本人の共有持分です。親が所有する持分まで、本人の自己破産によって失われるわけではありません。

ただし、共有持分だけを第三者へ売却することは容易ではないため、破産管財人から他の共有者へ買い取りを打診される場合があります。家族が買い取るには、そのための資金が必要です。

買い取りが難しければ、本人の持分が第三者へ売却される可能性もあります。新たな共有者から共有物分割請求を受け、最終的に不動産全体を売却する事態も考えられるでしょう。

家族の住居となっている共有不動産がある場合は、早めに対応を検討することが重要です。

親・家族名義の不動産などが借金の担保になっている場合

親・家族名義の土地や建物が本人の借金の担保に入っている場合、その不動産を失う可能性があります。

本人が自己破産で免責を受けても、債権者が家族の提供した担保を実行する権利には影響しません。返済が滞れば、抵当権を持つ債権者が親名義の不動産を競売にかけることもあります。

不動産を残すには、親・家族が債務を返済したり、債権者と返済条件を交渉したりする必要があるでしょう。ただし、本人から親へ資金を渡して返済させる行為は問題となり得るため、独断で進めるのは避けるべきです。

本人が未成年である場合

2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられたため、現在の未成年者は原則として18歳未満です。18歳・19歳であれば、親の同意を得ずに契約や自己破産の申し立てを行えます。

18歳未満の未成年者は、原則として単独で自己破産を申し立てられません。通常は親権者などの法定代理人が代理して手続きを行うため、親に内緒で進めるのは困難でしょう。

もっとも、未成年者が法定代理人の同意を得ずに結んだ借入契約は、原則として取り消せます。契約を取り消せる場合は、自己破産が不要になる可能性もあります。

ただし、年齢を偽って契約した場合などは、取消しが認められないこともあるため注意が必要です。

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自己破産の手続きが親・家族に知られる主なタイミング

自己破産を家族に知らせず進められるかどうかは、同居の有無や財産状況によって異なります。ここでは、親・家族に知られやすいタイミングを紹介します。

同居家族の収入証明などの提出を求められたとき

自己破産を申し立てる際は、家計の収支を記載した書類と、その内容を裏付ける資料を提出します。同居家族が生活費を負担している場合には、給与明細や源泉徴収票など、収入が分かる資料を求められることがあります。

必要書類は、裁判所の運用や世帯の状況によって異なります。家族との間に多額の資金移動がある場合などは、通帳に関する説明や追加資料が必要になる可能性もあるでしょう。

家族に書類の用意を頼めば、使い道を尋ねられることが考えられます。家族の協力が必要なケースでは、自己破産を完全に隠して進めるのは難しいでしょう。

裁判所や債権者からの郵便物が自宅に届いたとき

借金を滞納すると、債権者から督促状や一括請求の通知が自宅へ届くことがあります。訴訟や支払督促を申し立てられれば、裁判所から特別送達が届き、家族に知られるきっかけになり得ます。

弁護士へ依頼した後は、債権者との連絡窓口を弁護士に一本化できるのが一般的です。ただし、すでに訴訟が始まっている場合や、税金などを滞納している場合は、自宅への郵送が続く可能性があります。

管財事件では、本人宛ての郵便物が破産管財人へ転送されることもあります。普段と異なる方法で郵便物を受け取るため、同居家族に不審に思われる場合があるでしょう。

自宅の訪問調査が行われるとき

管財事件になったからといって、必ず破産管財人が自宅を訪問するわけではありません。通常は、申立書や提出資料、本人との面談を通じて財産状況を調査します。

ただし、高価な動産や事業用設備がある場合、財産関係に不明な点がある場合などは、自宅や事業所を確認される可能性があります。同居家族がいる時間帯に訪問調査が行われれば、自己破産を知られる可能性は高いでしょう。

訪問の見込みや対応方法は、事前に依頼先の弁護士へ確認しておくと安心です。

自宅や車が処分の対象になったとき

先述のように、本人名義の自宅や車が処分される場合、家族に自己破産を隠し続けるのは困難です。

自宅の売却に伴う転居や、車の引き渡しによって生活環境が変われば、事情を説明せざるを得ないケースが多いでしょう。家族が日常的に利用している財産ほど、影響は大きくなります。

手続きの影響で本人の様子が変わったとき

自己破産に向けて支払いを停止すると、クレジットカードが利用できなくなったり、新たなローンを組めなくなったりします。本人が本会員となっている家族カードや、付帯するETCカードも使えなくなる可能性があります。

これまでカードで支払っていた生活費を現金やデビットカードへ切り替えれば、家族に不審に思われるかもしれません。家族カードが突然使えなくなったことから、借金問題を疑われることもあるでしょう。

また弁護士との面談や書類収集、裁判所への出頭などで行動が変わる場合もあります。日常生活の変化をきっかけに、事情を尋ねられる可能性があります。

官報に掲載された情報を見られたとき

自己破産では、破産手続開始決定や免責許可決定などの情報が官報に掲載されます。官報には本人の氏名や住所が記載されるため、家族が該当する公告を見れば自己破産を知られるでしょう。

ただし、一般の人が日常的に官報の破産公告を確認する機会は多くありません。そのため、官報から家族に知られる可能性は、郵便物や財産処分と比べれば低いと考えられます。

自己破産の流れや手続き

自己破産でやってはいけないこと

家族への影響を抑えようとして借金や財産を隠すと、かえって手続きが複雑になる恐れがあります。ここでは、自己破産の前後に避けるべき行為を解説します。

親・家族からの借金だけを優先して返済する

親や家族から借りたお金も、他の借金と同じ債務です。自己破産をする前に親・家族だけへ返済する行為は避けなければなりません。

一部の債権者だけを優先して返済する行為は、偏頗弁済と呼ばれます。破産管財人によって返済の効力を否定され、受け取った家族が返還を求められる可能性もあるでしょう。

また支払不能になった後の偏頗弁済は、免責の判断にも影響し得ます。すでに親へ返済している場合は、その時期や金額を隠さず弁護士へ伝える必要があります。

財産の名義を変更して隠そうとする

自宅や車、預貯金などを守る目的で、自己破産の直前に家族へ名義変更することは認められません。名義だけを移して実質的には本人が所有し続ける行為は、財産隠しと判断される可能性があります。

破産手続では、通帳の取引履歴や不動産の登記、自動車の登録情報などが確認されます。そのため、申し立て前の不自然な名義変更や贈与は、調査によって判明するケースが多いでしょう。

財産の隠匿や仮装譲渡は免責不許可事由となり得る他、悪質な場合には刑事責任を問われる可能性もあります。残したい財産があっても、名義を動かす前に弁護士へ相談することが大切です。

親・家族からの借金を申告せず隠そうとする

親・家族からの借金も、債権者一覧表に記載する必要があります。借用書がない場合や利息を付けていない場合でも、返済の約束があるなら申告しなければなりません。

親を一覧表から意図的に外すと、虚偽の申告として免責判断に悪影響を及ぼす恐れがあります。また記載しなかった借金は、免責後も返済義務が残る可能性があるでしょう。

親に知られたくない場合でも、借金を隠す方法は適切ではありません。親に通知が届く可能性も含め、申し立て前に弁護士から説明を受けることが重要です。

ヤミ金や闇バイトに手を出す

返済資金や弁護士費用を用意するために、ヤミ金から借り入れることは避けるべきです。違法な高金利を要求されるだけではなく、親や勤務先へ執拗な連絡をされる危険があります。

SNS上の個人間融資にも注意が必要です。融資を装って個人情報や口座情報を取得されたり、保証金などの名目で金銭をだまし取られたりする場合があります。

闇バイトに応募すると、特殊詐欺や強盗などの犯罪に加担させられかねません。逮捕や損害賠償によって、本人だけではなく家族にも深刻な負担が及ぶでしょう。

すでにヤミ金を利用している場合は、相手へ独断で連絡せず、弁護士や警察へ相談することが大切です。

親・家族になるべく迷惑をかけずに借金を整理する方法

家族への影響を抑えたい場合は、自己破産以外の債務整理が適していることもあります。個人再生と任意整理の主な違いは、次の通りです。

比較項目

個人再生

任意整理

裁判所の利用

あり

なし

借金の減額

元金を大幅に減額できる可能性がある

主に将来利息の減免を目指す

対象とする借金

原則として選べない

選べる

自宅への影響

住宅資金特別条項で残せる可能性がある

住宅ローンを対象外にできる

家族に知られる可能性

任意整理より高い

比較的低い

主な条件

減額後の借金を返済できる収入が必要

原則3~5年で返済できる見込みが必要

個人再生

個人再生は、裁判所へ再生計画案を提出し、減額された借金を原則3年で返済する手続きです。借金総額に応じた最低弁済額が定められていますが、保有財産の価値などによって返済額が高くなる場合もあります。

自己破産とは異なり、財産を必ず処分する仕組みではありません。そのため、ローンを完済した車などを残しながら借金を整理できる可能性があります。

住宅ローンが残っている自宅は、住宅資金特別条項の要件を満たせば、ローンを返済しながらその他の借金を減額できます。本人名義の家に親・家族が同居している場合でも、住み続けられる可能性があるでしょう。

ただし、住宅ローン以外の債権者は原則として全て手続きの対象です。親が保証人になっている借金があれば、保証人へ請求される点には注意しなければなりません。

任意整理

任意整理は、裁判所を利用せず、弁護士などが債権者と返済条件を交渉する手続きです。一般的には将来利息の減免を求め、残った元金を3~5年程度で分割返済します。

任意整理では、手続きの対象にする借金を選べます。親が保証人になっている借金や自動車ローンを対象から外し、契約通り返済を続けられれば、家族への請求や車の引き揚げを回避できる可能性があります。

裁判所への申し立てが不要なため、同居家族の収入資料を求められることは通常ありません。官報にも掲載されず、裁判所から自宅へ書類が届かないことから、家族に知られず進めやすい方法です。

一方、任意整理では元金が大幅に減るケースは多くありません。返済を継続できる見込みがなければ、個人再生や自己破産を検討する必要があるでしょう。

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まとめ

自己破産は原則として本人だけを対象とする手続きです。親・家族が保証人になっていなければ、本人の借金を代わりに返済する義務はなく、家族名義の財産が処分されることも基本的にありません。

ただし、親が保証人になっている場合や、本人名義の家・車を家族も利用している場合などは、金銭面や生活面に影響が及びます。親から借りたお金も申告が必要であり、親だけへの優先的な返済や財産の名義変更は避けなければなりません。

家族への影響を抑えたい場合は、個人再生や任意整理などの他の手続きの方が適していることがあります。ただし、収入や借金総額、財産、保証人の有無によって適した手続きは異なるため、早めに弁護士へ相談することが大切です。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。