債務整理

2026/08/25

過払い金請求すると住宅ローンは組めない?審査や車のローンはどうなる?

過払い金請求すると住宅ローンは組めない?審査や車のローンはどうなる?

過去にグレーゾーン金利で消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた場合、払い過ぎた利息を取り戻せる可能性があります。しかし、住宅ローンを検討している方は、過払い金請求によって審査に通りにくくならないか不安に感じるかもしれません。

本記事では、過払い金請求が住宅ローンや車のローンに与える影響を解説します。請求時期を判断する際のポイントも紹介するため、自身の状況を整理するためにぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 過払い金請求が住宅ローンや車のローンの審査に与える影響
  • 過払い金請求が住宅ローン審査に影響するケースと影響しないケース
  • 住宅ローン審査前の注意点や過払い金が発生しているかを判断する基準

過払い金請求が住宅ローン審査に影響するケース

返済中の借金について過払い金請求をする場合は、引き直し計算後に借金が残るかどうかで、信用情報への影響が変わります。

引き直し計算とは、これまでの取引履歴を基に、利息制限法の上限金利で利息を計算し直すことです。計算の結果、借金が全てなくなれば原則として完済扱いとなり、過払い金請求をしても事故情報として登録されません。

一方、過払い金相当額を差し引いても借金が残り、その残額について分割回数や将来利息などを交渉すると、過払い金請求ではなく任意整理として扱われる可能性があります。

例えば、帳簿上の借金が100万円あり、引き直し計算によって60万円減額されても、40万円の債務は残ります。この40万円について返済条件を変更すれば、任意整理を行った状態となるでしょう。

任意整理に関する情報が信用情報機関へ登録されると、住宅ローンを申し込んだ金融機関が審査時に確認する可能性があります。その結果、返済能力や信用面に懸念があると判断され、審査に通りにくくなる恐れがあります。

住宅ローンの申し込みを予定している場合は、弁護士に過払い金の概算を依頼するなどして、借金が残る可能性を確認しておくことが大切です。

過払い金の仕組みとは?請求のからくりや条件を分かりやすく解説

過払い金請求が住宅ローン審査に影響しないケース

完済後の請求や、過払い金によって残債を解消できる場合は、原則として事故情報の登録対象にはなりません。ここでは、住宅ローン審査への影響を避けやすいケースを紹介します。

すでに借金を完済している場合

完済した借金について過払い金請求をしても、原則として信用情報に事故情報は登録されません。過払い金請求は、法律上支払う必要がなかった利息の返還を求める権利の行使だからです。

かつては、過払い金請求をした際に「契約見直し」という情報が登録される運用もありました。しかし、この登録は2010年に廃止されており、現在は請求した事実そのものが事故情報として扱われることはありません。

ただし、返済中に長期延滞していた場合は、その情報が別途残っている可能性があります。完済後に過払い金請求をしても、すでに登録された延滞情報まで消えるわけではない点には注意が必要でしょう。

また請求先の会社内には、過払い金請求を受けた履歴が残る可能性もあります。信用情報に問題がなくても、同じ会社や関連する金融機関の審査に影響するケースは否定できません。

引き直し計算によって残債がなくなる場合

返済中の借金であっても、過払い金相当額が現在の残債を上回れば、引き直し計算によって借金を解消できます。相殺後に残る金額は、過払い金として返還を求められます。

例えば、貸金業者の帳簿上では50万円の借金が残っていても、取引開始時から引き直し計算をすると、借金がすでに完済となり、さらに30万円の過払い金が発生していると判明する場合があります。この場合、30万円の返還を請求できます。

先述したように、過払い金請求をした事実そのものが事故情報として登録されるわけではありません。そのため、この場合は住宅ローンの審査への直接の影響もないでしょう。

住宅ローン審査後に過払い金請求を行う場合

住宅ローンの契約を締結し、融資実行まで完了している場合、その後の過払い金請求が契約済みの住宅ローンへ直ちに影響することは通常ありません。返済を契約通り続けていれば、請求しただけで一括返済や契約解除を求められる可能性は低いでしょう。

ただし、事前審査や本審査に通っただけで、融資が実行されていない段階は別です。金融機関によっては融資実行前に信用情報や借入状況を再確認するため、その間に任意整理の情報が登録されると融資を受けられない恐れがあります。

「審査通過後なら影響しない」と一律に考えるのではなく、契約と融資実行が完了しているかを確認することが大切です。また過払い金請求後に別の借金が残り、住宅ローンを滞納すれば、自宅を失うリスクも生じます。

返還された過払い金は、住宅ローンの繰り上げ返済や生活資金に充てることも可能です。手数料や手元資金を考慮し、使い道を検討するとよいでしょう。

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過払い金請求をする際の車のローンへの影響

車のローンへの影響も、基本的には住宅ローンと同じです。請求後に借金が残るか、新規の審査か契約済みのローンかによって扱いが異なります。

完済後の借金に対する過払い金請求であれば、原則として事故情報は登録されません。そのため、請求した事実だけを理由に、新たな自動車ローンの審査で不利になるとは限らないでしょう。

一方、返済中の借金に過払い金を充当しても債務が残り、返済条件を変更すると、信用情報へ影響する可能性があります。自動車ローン会社も審査時に信用情報を確認するため、新たなローンを組みにくくなる恐れがあります。

すでに契約している自動車ローンについては、別の貸金業者へ過払い金を請求しただけで、直ちに車を引き揚げられるわけではありません。ただし、自動車ローン自体を滞納した場合は話が別です。

自動車ローンでは、完済まで販売会社や信販会社に車の所有権を残す契約があります。このような所有権留保付きのローンを滞納すると、契約を解除され、車の返還を求められる可能性があるでしょう。

なお、自動車ローンは一般に利息制限法の上限を下回る金利であり、ローン自体に過払い金が発生するケースは通常ありません。主な対象は、過去の消費者金融やクレジットカードのキャッシングです。

住宅ローン審査前に過払い金請求をする際の注意点

住宅ローンの申し込み前に請求する場合は、信用情報や時効、請求先との関係を確認する必要があります。ここでは、手続きを進める前後に押さえておきたい注意点を解説します。

手続き完了後に信用情報を確認する

過払い金請求が終わったら、住宅ローンへ申し込む前に信用情報を確認すると安心です。引き直し計算によって借金がなくなった場合でも、貸金業者からの情報更新に時間がかかるケースがあります。

信用情報は、主に以下の機関へ開示を申し込めます。

  • CIC
  • JICC
  • 全国銀行個人信用情報センター

各機関が保有する情報は同一ではありません。利用していた貸金業者やカード会社、銀行が加盟する機関に応じて開示先を選ぶ必要があります。

登録内容に誤りがあるときは、原則として情報を登録した会社へ訂正を求めます。正しい情報については、本人の希望だけで早期に削除してもらうことはできません。

事故情報が消えるまで申し込みを待つ

過払い金を差し引いても借金が残り、返済条件を変更した場合は、住宅ローンの申し込みを待った方がよいケースがあります。信用情報に債務整理や支払状況が残っている間は、審査で不利になりやすいためです。

登録期間は、信用情報機関や契約時期、情報の種類によって異なります。CICのクレジット情報は、原則として契約中および契約終了後5年間が保有期間です。JICCでも、債務整理などの情報について契約終了後5年以内などの期間が設けられています。

※参考:CIC.「自己破産の登録は何年間ですか?」.

https://www.cic.co.jp/faq/detail/cre/cre01/002585.html ,(参照2026-08-15).

したがって「過払い金請求から5年待てばよい」とは限りません。契約終了や完済の時期によって、情報が消える時点は変わります。

住宅ローンを申し込む前に信用情報を開示し、該当する登録がなくなったかを確認すると確実です。ただし、事故情報が消えても、年収や他社借入などの理由で審査に通らない場合はあります。

過払い金請求先と同じグループの金融機関を避ける

過払い金を請求した貸金業者と同じグループの金融機関では、住宅ローンの申し込みを慎重に検討した方がよいでしょう。信用情報機関の登録とは別に、過去の取引や請求に関する情報が会社内に残っている可能性があるためです。

このような社内情報は、一般に「社内ブラック」と呼ばれることがあります。ただし、保存内容や期間は各社の内部基準によるため、外部から正確に確認するのは困難です。

同じグループだからといって、必ず情報が共有され、審査に落ちるわけではありません。それでも選択肢が複数ある場合は、請求先と関係のない金融機関も候補に含めるとよいでしょう。

過払い金の時効が近い場合は早めに判断する

住宅ローン審査への影響を避けようとして請求を先延ばしにすると、過払い金の消滅時効が成立する恐れがあります。時効が完成し、貸金業者が援用すれば、原則として返還を受けられません。

2020年3月31日以前に取引が終了した過払い金は、原則として取引終了時から10年で時効を迎えます。2020年4月1日以降に終了した取引には改正民法が適用され、原則として次のいずれか早い時点で時効となります。

  • 権利を行使できることを知った時から5年
  • 権利を行使できる時から10年

借り入れと完済を繰り返している場合は、前後の取引を一つと扱えるかによって起算点が変わることもあります。時効が迫っている可能性があれば、住宅ローンの予定だけを優先せず、早めに取引履歴を確認することが大切です。

住宅ローン審査で信用情報以外にチェックされるポイント

住宅ローンの審査結果は、信用情報だけで決まるものではありません。ここでは、返済能力を判断するために確認される主な項目を紹介します。

世帯年収

住宅ローン審査では、申込者本人の年収が重要な判断材料となります。年収に対して希望借入額が大きい場合、返済が難しいと判断される可能性があるでしょう。

配偶者などに収入があれば、収入合算やペアローンを利用できる場合もあります。ただし、世帯収入が自動的に合算されるわけではなく、金融機関が定める条件を満たさなければなりません。

収入合算によって借入可能額が増えても、将来の離職や収入減少まで考慮する必要があります。借りられる金額ではなく、家計に無理のない返済額を基準に判断することが大切です。

他社での借入状況

住宅ローン審査では、カードローンや自動車ローン、クレジットカードの分割払いなども確認されます。金融機関は、住宅ローン以外の返済額も含めた返済負担率を審査するためです。

主に確認される債務には、以下のようなものがあります。

  • カードローンやフリーローン
  • 自動車ローン
  • クレジットカードの分割払いやリボ払い
  • 奨学金
  • スマートフォン端末代金の分割払い

借入残高が少なくても、毎月の返済額が大きければ返済負担率は高くなります。申し込み前に完済できる借り入れがある場合は、返済を検討する余地があるでしょう。

ただし、自己資金を使い切ると、住宅購入後の諸費用や生活資金が不足します。手元資金とのバランスを考えて対応することが必要です。

雇用形態や勤続年数

雇用形態や勤続年数は、収入の継続性を判断する材料です。一般的には、同じ勤務先で長く働いている方が、安定収入を得られると評価されやすいでしょう。

ただし、転職直後だからといって、必ず審査に落ちるわけではありません。同業種への転職や年収が上がったケースでは、経歴を考慮してもらえる場合があります。

正社員以外でも利用できる住宅ローンはありますが、契約社員や派遣社員、個人事業主などは、複数年分の所得証明を求められることがあります。金融機関によって基準が異なるため、申し込み前に確認するとよいでしょう。

完済時の年齢

住宅ローンでは、申し込み時だけではなく、完済時の年齢も重視されます。例えば、同じ年齢で申し込んでも、借入期間が20年と35年では完済時年齢が異なります。

完済時年齢が金融機関の上限を超える場合、希望する期間では借りられない可能性があるでしょう。期間を短くすれば条件を満たしやすくなりますが、毎月の返済額は増えます。

反対に、期間を長くすると月々の負担を抑えられるものの、定年後まで返済が続くかもしれません。年金や退職金を過度に当て込まず、老後の生活費も踏まえて返済計画を立てる必要があります。

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過払い金が発生しているかを判断する基準

過払い金は、全ての借り入れで発生するわけではありません。ここでは、請求できる可能性を判断するための3つの基準を解説します。

2010年の法改正以前から借り入れをしている

過払い金が発生している可能性があるのは、主に2010年6月18日より前から消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた方です。同日から改正貸金業法が完全施行され、出資法の上限金利は年29.2%から年20%へ引き下げられました。

ただし、2010年6月18日より前の借り入れなら、必ず過払い金があるわけではありません。貸金業者の中には、法改正前から金利を引き下げていた会社もあるためです。

借入時期が分からない場合は、契約書や利用明細、通帳などから確認できます。資料が残っていなくても、貸金業者へ取引履歴の開示を求めることは可能です。

なお、住宅ローンや自動車ローン、銀行カードローンは一般に金利が低く、通常は過払い金の対象になりません。クレジットカードも、対象になり得るのは主にキャッシングであり、ショッピング利用分には発生しないでしょう。

グレーゾーン金利で借り入れをしていた

過払い金が発生するのは、利息制限法の上限を超える金利で返済していた場合です。かつては、利息制限法の上限を超え、当時の出資法の上限である年29.2%以下に収まる「グレーゾーン金利」が存在していました。

利息制限法の上限金利は、借入元本によって以下のように異なります。

借入元本

利息制限法の上限金利

10万円未満

年20%

10万円以上100万円未満

年18%

100万円以上

年15%

例えば、借入元本が50万円で年25%の利息を支払っていた場合、年18%を超える部分が過払い金となる可能性があります。

ただし、契約書の金利だけでは正確な金額は分かりません。借り入れや返済による元本の変動を反映し、取引開始時から引き直し計算を行う必要があります。

最後の取引から10年以上経過していない

過払い金が発生していても、消滅時効が成立すれば返還を受けられない可能性があります。2020年3月31日以前に終了した取引では、原則として取引終了時から10年で時効です。

取引終了時とは、一般に最後の返済日や完済日を指します。借り入れと返済を継続していた場合は、一連の取引が終了した日から数えることがあります。

2020年4月1日以降に終了した取引については、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い時点で時効となります。

完済後に同じ業者から再び借りている場合は、前後の取引を一つと扱えるかによって時効の起算点が変わるでしょう。判断が難しいため、過去の取引から時間が経過している方は、早めに弁護士へ相談することが大切です。

過払い金や住宅ローンの悩みは弁護士に相談を

過払い金請求による住宅ローンへの影響は、現在の残債や請求先、申し込み時期によって異なります。判断に迷う場合は、手続きを始める前に弁護士へ相談するとよいでしょう。

弁護士へ依頼すれば、取引履歴の取り寄せや引き直し計算、貸金業者との交渉を任せられます。過払い金を差し引いた後に借金が残るか確認し、住宅ローンの予定を踏まえて請求時期を検討してもらうことも可能です。

自分で計算すると、途中の借り入れや返済を見落とし、金額を誤る恐れがあります。また貸金業者が提示する返還額が、計算上の金額より少ない場合もあるでしょう。

特に返済中の借金を調査する場合は、計算後に債務が残る可能性があります。そのまま返済条件を変更すると信用情報へ影響するため、請求前の確認が欠かせません。

弁護士は、請求額にかかわらず代理人として交渉や訴訟を行えます。古い契約書や明細が手元になくても調査できる場合があるため、借入先とおおよその利用時期を整理して相談するとよいでしょう。

まとめ

過払い金請求をした事実だけで、住宅ローン審査に通らなくなるわけではありません。残債が残らない場合は、原則として事故情報の登録対象にはならないでしょう。

一方、過払い金を差し引いても借金が残り、その返済条件を変更すると、信用情報に影響する可能性があります。ショッピング残高や保証会社に関係する借り入れも含め、事前に確認することが大切です。

過払い金の有無は、借入時期や当時の金利、時効の成立状況などから判断します。ただし、正確な金額や住宅ローンへの影響は、取引履歴を調べなければ分かりません。

ライズ綜合法律事務所では、過払い金を含む債務整理の相談を無料で受け付けています。電話の他、メールやLINEからのお問い合わせにも対応可能です。過払い金が発生しているか知りたい方や、住宅ローンへの影響が心配な方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。