債務整理
2026/09/11
債務整理(任意整理)で費用を払えず弁護士に辞任された場合はどうする?

「弁護士費用を払えず辞任されてしまった」「任意整理後の返済が続かず、今後どうすればよいか分からない」と悩んでいる方もいるでしょう。弁護士が辞任すると、債権者からの督促が再開したり、一括請求を受けたりする可能性があります。そのため、不安や焦りを感じる方も少なくありません。
しかし、辞任されたからといって、借金問題の解決手段がなくなるわけではありません。状況に応じて再度専門家へ相談したり、個人再生や自己破産への切り替えを検討したりすることで、生活を立て直せる可能性があります。重要なのは、放置せず早めに対応することです。
この記事では、弁護士に辞任された場合の主なリスクや、その後に取るべき具体的な対処法を分かりやすく解説します。
【この記事で分かること】
- 弁護士に辞任された後に起こりやすい督促再開や一括請求などのリスク
- 2回目の任意整理を依頼する際の注意点
- 任意整理の継続が難しい場合に個人再生や自己破産へ切り替える判断基準
任意整理の途中で弁護士が辞任することがあるケース
任意整理は、弁護士と依頼者が協力しながら進める手続きです。しかし、費用の未払いや連絡不能などにより信頼関係の維持が難しくなると、弁護士が辞任する場合があります。辞任されると、債権者からの督促再開や手続きの中断につながる可能性があるため注意が必要です。
ここでは、任意整理の途中で弁護士が辞任に至る主なケースを解説します。
着手金などの支払いが長期間滞っている場合
任意整理などを依頼する際、まずは着手金を支払う必要があります。しかし、支払いが長期間滞ると、弁護士は手続きを継続できないと判断し、辞任につながることがあります。
例えば、毎月3万円の分割払いを約束していたものの、数カ月連続して支払いが止まってしまうケースです。弁護士から連絡があっても返答せず、支払いの見通しについて相談もしない場合「今後も手続きを進めることが難しい」と判断される可能性があります。
特に費用の未払いだけでなく、連絡が取れない状態が続くと、信頼関係が破綻したと見なされやすくなります。支払いが厳しい場合は、放置せず早めに弁護士へ相談することが重要です。
和解後の返済が長期間滞っている場合
任意整理では、和解後の返済を弁護士が代行しているケースがあります。この場合、依頼者は毎月、弁護士の口座へ返済資金を振り込まなければなりません。ところが、返済が数カ月滞ると、弁護士が辞任する可能性があります。
例えば、複数の債権者と和解し、毎月5万円を返済していたものの、失業などを理由に2〜3カ月間振り込みが止まってしまうケースです。弁護士は依頼者から資金を受け取れなければ、債権者へ返済できません。その結果、和解契約が解除され、一括請求を受ける恐れもあります。
このような状況では、弁護士が債権者との窓口を継続できなくなり、辞任に至る場合があります。返済が難しくなった時点で、すぐに弁護士へ事情を説明することが大切です。
手続きへの協力が十分に得られない場合
弁護士からの連絡を無視したり、必要書類を提出しなかったりすると、手続きの継続が困難となり、辞任されることがあります。
例えば、以下のようなケースです。
- 必要書類を提出しない
- 面談を無断でキャンセルする
- 借入状況について虚偽の説明をする
- 依頼後もギャンブルや高額な浪費を続ける
このような行為があると、弁護士は債権者との交渉を適切に進められません。依頼者の協力が得られない状態が続けば、弁護士は手続きを継続できず、辞任に至ることがあります。
任意整理の費用を払えずに弁護士に辞任された場合の影響
弁護士に辞任されると、任意整理の手続きが止まるだけでなく、債権者からの督促再開や一括請求など、さまざまな問題が生じる可能性があります。特に、辞任後は弁護士によるサポートがなくなるため、状況が依頼前より厳しくなるケースも少なくありません。
ここでは、費用未払いによって弁護士に辞任された場合に起こりやすい影響を解説します。
債権者からの督促が再開する
弁護士が辞任すると、債権者へ「辞任通知」が送られます。これにより、弁護士介入後に止まっていた電話や郵送による督促が再開する可能性があります。
それまでは弁護士が窓口となり、債権者とのやり取りを代行していました。しかし辞任後は、自分自身で督促に対応しなければなりません。場合によっては職場へ連絡される可能性もあり、精神的な負担が大きくなることもあるでしょう。
督促を放置すると、さらに状況が悪化する恐れがあるため、早めに別の専門家へ相談することが重要です。
手続きや交渉が止まる
弁護士に辞任されると、委任契約が終了するため、それまで進めていた和解交渉などが中断します。和解成立前であれば再び交渉をやり直さなければならない場合があります。
例えば「あと1社と和解できれば現実的に返済できる見通しが立つ」という段階で辞任された場合でも交渉が中断してしまい、そこからは自力で対処しなければなりません。結果として、解決までの期間が長引く可能性があります。
残債の一括請求を受ける
弁護士に辞任されると、債権者から借金残額の一括請求を受ける可能性があります。
これは、返済を分割で行う前提が崩れ「期限の利益」を失うことが主な理由です。期限の利益とは、本来は分割で返済できる権利を指します。これを失うと、債権者は残額をまとめて請求できるようになります。
例えば、100万円の借金について任意整理を進めていたにもかかわらず「○日以内に全額を支払ってください」という通知が届くケースがあります。
一括請求に対応できず放置すると、最終的には裁判や差し押さえへ発展する可能性もあるため注意が必要です。
遅延損害金が上乗せされる
弁護士に辞任された後は、借金の元本だけでなく、遅延損害金が加算される点にも注意が必要です。
遅延損害金とは、返済が遅れたことに対するペナルティであり、通常の利息より高い利率が設定されていることが一般的です。滞納期間が長引くほど、請求額は増えていきます。
例えば、消費者金融では年20.0%前後の遅延損害金が設定されているケースがあります。返済を止めていた期間が長い場合、その分だけ負担も大きくなります。
そのため、辞任後に何も対応しないままでいると、借金総額がさらに膨らみ、解決が難しくなる恐れがあります。
当初の生活再建計画が崩れる
任意整理は、利息の減額や長期分割によって、無理のない返済計画を立て直すための手続きです。しかし、弁護士に辞任されると、その計画自体が中断してしまいます。
また、すでに支払った着手金などは、原則として返金されないケースが多く、費用負担だけが残ることもあります。さらに、別の弁護士へ再依頼する場合には、新たな費用が必要になる可能性があります。
加えて、2回目の交渉では、債権者から「以前も支払いが続かなかった」と判断され、和解条件が厳しくなることもあります。
このように、辞任によって当初予定していた生活再建プランが崩れ、より厳しい条件で再スタートを求められる可能性があります。
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任意整理の費用を払えずに弁護士に辞任された場合の対処法
弁護士に辞任された場合でも、借金問題の解決を諦める必要はありません。早めに対応することで、督促や差し押さえなどの深刻な事態を回避できる可能性があります。重要なのは、状況を放置せず、現在の収支や返済状況に合った方法を選び直すことです。
ここでは、弁護士に辞任された後に取るべき主な対処法を解説します。
1.再依頼に必要な費用を準備する
別の弁護士や司法書士へ再依頼する場合には、改めて着手金などの費用が必要になることがあります。そのため、まずは再依頼に向けた資金確保を検討しましょう。
ただし、まとまったお金がなくても、分割払いや後払いに対応している事務所を利用できる場合があります。また、収入や資産の条件を満たせば、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる可能性もあります。法テラスでは、弁護士費用を立て替えてもらい、月々5,000円程度から分割返済できるケースがあります。
例えば、不要品の売却や家族からの一時的な援助によって最低限の費用を準備し、分割払い可能な事務所へ相談する方法も考えられます。
費用面に不安がある場合でも選択肢はあるため、まずは支払い方法について相談できる事務所を探すことが大切です。
2.別の弁護士や司法書士へ早めに相談する
任意整理には原則として回数制限がないため、辞任された後でも再度依頼することは可能です。督促や一括請求が本格化する前に、できるだけ早く別の専門家へ相談しましょう。
再依頼する際は、前任の弁護士に辞任された理由を正直に説明することが重要です。例えば「費用の支払いが続かなかった」「連絡を後回しにしてしまった」など、事情を隠さず伝えることで、現在の状況に合った返済計画や進め方を提案してもらいやすくなります。
また前任者へ預けていた資料や契約書などは、早めに返却を依頼しておきましょう。必要書類が揃っていれば、新しい弁護士も迅速に受任通知を送ることができ、督促停止につながる可能性があります。
2回目の任意整理では、専門家との信頼関係を築き直すことが重要です。
3.現在の状況に合った手続きを選び直す
辞任後は、現在の収入や借金状況を整理し、今後の方針を見直す必要があります。状況によっては、任意整理以外の方法を検討した方が良いケースもあります。
例えば、返済額を調整すれば継続できる見込みがある場合は、再度任意整理を行い、和解条件の見直しを目指すことになります。一方で、収入減少や失業などにより返済継続が難しい場合は、個人再生や自己破産への切り替えを検討することも重要です。
特に、すでに和解後の返済が滞って辞任されたケースでは、同じ条件で再和解することが難しくなる傾向にあります。そのため、無理に任意整理へこだわるのではなく、借金を大幅に減額できる個人再生や、返済義務の免除を目指す自己破産を含めて検討することが現実的です。
現在の収支や生活状況を踏まえ、無理のない解決方法を選び直すことが、生活再建への近道となります。
別の弁護士に任意整理を再依頼する際の注意点
任意整理を途中で辞任された場合でも、別の弁護士や司法書士へ再依頼することは可能です。ただし、再依頼をスムーズに進めるためには、事前に確認しておくべきポイントがあります。
特に、辞任理由を隠したり、必要資料の引き継ぎが不十分だったりすると、再び手続きが滞る原因になりかねません。ここでは、再依頼時に押さえておきたい注意点を解説します。
辞任通知が送付されているか確認する
新しい弁護士へ依頼する前に、前任の弁護士から債権者へ辞任通知が送付されているか確認しておきましょう。
原則として、同じ債権者に対し、複数の弁護士が同時に代理人となることはできません。そのため、前任者の辞任手続きが完了していない場合、新しい弁護士の受任通知が受け付けられない可能性があります。
例えば、一部の債権者にだけ辞任通知が送られていなかった場合、その業者からの督促だけが再開し、手続きがスムーズに進まないケースがあります。
辞任の連絡を受けた際は、全ての債権者へ通知済みか確認し、可能であれば通知書の控えを保管しておくと安心です。
辞任された経緯を正直に伝える
再依頼する際は、前任の弁護士に辞任された理由を隠さず説明することが重要です。
例えば、費用の滞納や連絡不足などが原因であった場合でも、正直に伝えることで、新しい弁護士が状況に応じた対応を検討しやすくなります。反対に、事情を隠したまま依頼すると、後から発覚した際に信頼関係を損ね、再び辞任につながる可能性があります。
また辞任理由を共有することで、無理のない分割払い計画を提案してもらえたり、任意整理以外の手続きを勧めてもらえたりするケースもあります。
2回目の任意整理を成功させるためには、現在の収支状況や生活状況を含め、できるだけ正確に伝えることが大切です。
資料は忘れずに返却してもらう
前任の弁護士へ提出していた書類や資料は、忘れず返却してもらいましょう。
例えば、以下のような資料です。
- 債権者一覧
- 契約書や利用明細
- 督促状
- 家計簿や収支資料
これらを新しい弁護士へ引き継ぐことで、資料を一から集め直す手間を減らせます。
特に、督促状や債権者情報が不足していると、受任通知の送付が遅れ、督促や法的措置のリスクが高まる可能性があります。辞任が決まった時点で、できるだけ早く資料一式の返却を依頼しましょう。
着手金は原則返金されない
依頼者側の事情で弁護士が辞任した場合、すでに支払った着手金は原則として返金されません。例えば、費用の滞納や連絡不能が理由で辞任となった場合、それまで行われた事務作業や交渉対応の対価として扱われることが一般的です。
そのため「返金されたお金を再依頼費用に充てる」という前提で資金計画を立てるのは危険です。再依頼時には、新たな着手金や分割費用が必要になる可能性があります。
ただし、弁護士側の事情による辞任など、例外的に返金されるケースもあります。返金の有無は契約内容によって異なるため、委任契約書を確認しておくとよいでしょう。
再依頼を検討する際は、無理のない支払い方法について新しい弁護士へ相談することが大切です。
任意整理で支払いが厳しくなった場合の対応
任意整理の途中で「もう支払えないかもしれない」と感じた場合でも、すぐに手続きが失敗するわけではありません。ただし、滞納を放置したり、弁護士からの連絡を無視したりすると、辞任や一括請求につながる可能性があります。
状況が悪化する前に行動することで、返済計画の見直しや別の解決方法を検討できる場合があります。ここでは、支払いが厳しくなったときに取るべき対応を解説します。
早めに弁護士へ相談する
弁護士費用や和解後の返済が難しくなった場合は、滞納する前に担当の弁護士へ相談することが重要です。
事前に事情を説明することで、支払いスケジュールの調整など、状況に応じた対応を提案してもらえる可能性があります。一方で、連絡を絶ってしまうと、弁護士との信頼関係が崩れ、辞任につながるリスクが高まります。
例えば「急な医療費が発生し、今月は満額を支払えない」と早めに相談すれば、分割額の調整や一時的な支払い猶予について検討してもらえる場合があります。
支払いが難しいと感じた時点で、できるだけ早く相談することが大切です。
家計を見直して返済を継続する
返済を続けるためには、まず現在の家計状況を見直し、支出を整理することが重要です。
例えば、以下のような固定費を見直すことで、返済資金を確保できる場合があります。
- スマートフォン料金の見直し
- 不要なサブスクリプションの解約
- 保険料や通信費の見直し
- 外食や娯楽費の削減
また給料日に返済分を先に確保しておくなど、計画的に管理する工夫も必要です。
なお、1カ月程度の遅れであれば、すぐに一括請求へ発展しないケースもあります。遅れた分を早めに解消し、返済を継続できれば、大きな問題にならずに済む可能性もあります。
債権者と再度交渉を行う
和解後に返済が難しくなった場合は、弁護士を通じて再和解を検討できるケースがあります。
再和解とは、すでに成立した和解条件を見直し、現在の収支状況に合わせて返済計画を組み直す手続きです。例えば、毎月の返済額を減額したり、返済期間を延ばしたりする交渉が行われます。
ただし、一度返済が滞っているため、最初の任意整理より条件が厳しくなる傾向があります。場合によっては、一部の利息負担を求められるケースもあります。
それでも、何も対応せず放置するよりは、再交渉によって返済継続を目指した方が、差し押さえなどのリスクを抑えやすくなります。
個人再生や自己破産への切り替えを検討する
収入減少や失業などにより、任意整理を続けること自体が難しい場合は、個人再生や自己破産への切り替えを検討する必要があります。
例えば、利息をカットしても返済額が高過ぎる場合や、再和解後でも完済の見込みが立たない場合は、任意整理だけでの解決が難しい可能性があります。
個人再生では、借金を大幅に減額しながら分割返済を目指せます。また自己破産では、免責が認められれば借金の支払い義務が免除される可能性があります。
無理に返済を続けようとして生活が破綻してしまう前に、現在の収入や支払い能力に合った手続きを選び直すことが重要です。専門家へ現状を正確に伝え、最適な解決方法を相談しましょう。
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まとめ
任意整理の費用を払えず弁護士に辞任されると、督促の再開や一括請求などにより、不安や負担が大きくなる可能性があります。しかし、辞任されたからといって、借金問題の解決手段がなくなるわけではありません。
重要なのは、状況を放置せず、できるだけ早く次の対応を取ることです。現在の収入や返済状況を整理した上で、別の弁護士へ再依頼したり、必要に応じて個人再生や自己破産への切り替えを検討したりすることで、生活を立て直せる可能性があります。
また2回目の債務整理を進める際は、辞任理由や現在の状況を正直に伝え、無理のない返済計画を立てることが大切です。早めに相談することで、差し押さえなど深刻な事態を回避しやすくなります。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。