債務整理
2026/08/24
自己破産したら税金の支払いは免除される?滞納するリスクは?

自己破産を検討している方の中には、税金の支払いがどうなるのか分からず不安を感じている方も多いのではないでしょうか。借金は免除されると聞いていても、税金まで同じように扱われるのか判断できず、手続きをためらってしまうケースも少なくありません。
また、税金を滞納している場合には、差し押さえなどのリスクが気になるところです。放置してよいのか、それとも優先的に支払うべきなのか迷う方もいるでしょう。
本記事では、自己破産と税金の関係を分かりやすく整理し、免除されるかどうかや具体的な対処法について解説します。正しい知識を身につけることで、今の状況に合った対応を選びやすくなるはずです。迷っている方は、判断の参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 自己破産をしても税金が免除されるのかどうか
- 非免責債権の具体例と支払い義務が残る債務の範囲
- 税金を滞納した場合のリスクや差し押さえを回避するための対処法
自己破産した後の税金の支払いはどうなる?
自己破産をすると借金がなくなるというイメージを持つ方も多いですが、全ての支払いが免除されるわけではありません。特に税金は、一般的な借金とは異なる扱いを受けるため注意が必要です。
ここでは、自己破産後に税金がどのように扱われるのかについて、基本的な考え方を解説します。
原則として免責されない
自己破産を行った場合でも、税金は原則として免責されません。自己破産は、返済が困難になった借金について裁判所の判断により支払い義務を免除してもらう制度ですが、全ての債務が対象になるわけではないためです。
税金や社会保険料は「非免責債権」と呼ばれ、自己破産後も支払い義務が継続します。これは、税金が社会全体を支えるための重要な財源であり、特定の人だけが免除されると公平性が損なわれるためです。
例えば、以下のようなものは免責の対象になりません。
- 所得税や住民税
- 固定資産税
- 国民健康保険料
- 年金保険料
これらを滞納したまま放置すると、延滞金が発生するだけではなく、最終的には差し押さえなどの強制的な手続きに進む可能性があります。自己破産の手続きを進めている場合であっても、税金については別途対応が必要になる点を理解しておきましょう。
非免責債権の一覧
非免責債権とは、自己破産をしても支払いが免除されない債権のことを指します。税金だけではなく、社会的な保護や公共性の観点から免責が認められていないものが含まれます。
主な非免責債権は以下の通りです。
|
種類 |
内容 |
|
公租公課 |
所得税、住民税、固定資産税など |
|
社会保険料 |
国民健康保険料、年金保険料など |
|
養育費 |
子どもの生活維持に必要な費用 |
|
損害賠償 |
悪意による不法行為に基づくもの |
|
罰金・過料 |
刑事罰や行政罰に基づく支払い |
これらの債権は破産手続きの影響を受けないため、免責許可が下りた後も支払い義務が残ります。特に税金については、優先的に回収される仕組みがあるため注意が必要です。
支払いが難しい場合には、放置するのではなく、役所や専門家に相談することが重要です。早めに対応することで、分割納付などの選択肢を検討できる可能性があります。
自己破産の手続き中における税金の扱い
自己破産の手続き中であっても、税金の扱いは通常の借金とは異なります。支払いの優先順位や処理の方法にも違いがあるため、事前に理解しておくことが重要です。
ここでは、手続き中における税金の位置づけについて解説します。
財団債権として取り扱われる
自己破産の手続きにおいて、税金は「財団債権」として扱われる場合があります。財団債権とは、破産手続きの中でも優先的に支払われるべき債権のことです。
一般的な借金は、破産財団からの配当を待つ必要がありますが、財団債権はそれよりも優先して弁済されます。そのため、管財事件となった場合には、保有している財産の売却代金などから税金が先に支払われる仕組みです。
例えば、不動産や自動車が売却された場合、その代金の一部が税金の支払いに充てられることがあります。このようなケースでは、結果的に滞納していた税金が整理されることもあります。
ただし、全てのケースで負担が軽減されるわけではありません。資産の有無や手続きの種類によって扱いが異なるため、個別の状況に応じた判断が必要です。
偏頗弁済にはならない
自己破産の直前に特定の債権者だけに返済を行うことは、「偏頗弁済」として問題になる場合があります。しかし、税金の支払いについてはこの考え方が当てはまりません。
税金は非免責債権であり、破産後も支払い義務が続くため、優先して支払ったとしても他の債権者を不当に害する行為とは評価されにくいとされています。
そのため、手元に資金がある場合には、破産手続きの前後であっても税金の支払いを進めることが認められるケースが一般的です。
ただし、状況によっては判断が分かれることもあるため、自己判断で進めるのではなく、事前に専門家へ相談することが重要です。適切な対応を取ることで、手続き全体を円滑に進めやすくなるでしょう。
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自己破産した後の税金の支払いが免除されるケース
自己破産をした場合でも、税金は原則として免責されません。ただし、一定の条件を満たした場合には、実質的に支払いが不要になるケースが存在します。
ここで重要なのは、「自己破産=税金も免除される」という理解は誤りであり、あくまで例外的な制度や状況によって結果的に負担がなくなる場合があるという点です。
以下では、税金の支払い義務が軽減または消滅する可能性がある代表的なケースについて解説します。
生活保護を受給している場合
自己破産後も税金の支払い義務は原則として残りますが、生活保護を受給している場合には例外的な扱いがされることがあります。生活保護受給者は資力がないと判断されるため、行政により「滞納処分の停止」という措置が取られることがあるためです。
滞納処分の停止とは、差し押さえなどの強制徴収を行わない状態を指します。この状態が継続している間は、税金の徴収が実質的に行われません。さらに、この状態が3年間継続した場合には、納税義務そのものが消滅する仕組みが設けられています。
ただし、生活保護を受給した時点で直ちに税金が免除されるわけではありません。あくまで「滞納処分の停止」が一定期間続くことが前提となるため、制度の流れを正しく理解しておく必要があります。
また、生活保護の受給には厳格な要件があるため、誰でも利用できるわけではありません。該当する可能性がある場合は、自治体の窓口に相談し、自身の状況に応じた判断を受けることが重要です。
法人が破産した場合
法人が破産した場合には、個人の自己破産とは異なる扱いとなります。会社などの法人は、破産手続きの終了とともに法人格そのものが消滅するため、原則として税金の支払い義務も消滅します。
これは、納税義務を負っていた主体である法人が存在しなくなる以上、徴収の対象もなくなるためです。そのため、法人の破産では、未納の税金についても結果的に回収が困難となるケースが多く見られます。
ただし、全ての場合で完全に責任がなくなるわけではありません。例えば、代表者が個人的に納税保証書を提出している場合や、無限責任社員として関与している場合には、個人が支払い責任を負う可能性があります。
このように、法人と個人では責任の範囲が異なるため、自身の立場に応じて正確に判断することが重要です。判断に迷う場合は、専門家へ相談することでリスクを把握しやすくなるでしょう。
税金を滞納し続けるリスク
税金は自己破産後も支払い義務が残るため、放置してしまうとさまざまな不利益が生じます。特に、滞納が長期化すると経済的な負担だけではなく、法的な措置に発展する可能性もあるため注意が必要です。
ここでは、税金を滞納し続けた場合に生じる主なリスクについて解説します。
延滞税・延滞金が発生する
税金を納期限までに支払わなかった場合、その翌日から延滞税や延滞金が発生します。国税の場合は延滞税、地方税の場合は延滞金と呼ばれ、いずれも利息のような性質を持つ追加負担です。
これらは日数に応じて加算されるため、滞納期間が長くなるほど支払額は増えていきます。最初は小さな金額であっても、放置すれば負担が大きくなり、結果として返済がさらに困難になるおそれがあります。
また、自己破産によって他の借金が整理されたとしても、延滞税や延滞金は免除の対象にはなりません。そのため、税金を後回しにしてしまうと、せっかく生活を立て直そうとしても再び負担が重くなる可能性があります。
早い段階で対応することで、負担の拡大を防ぎやすくなります。滞納に気付いた時点で、できるだけ早く対処することが重要です。
財産の差し押さえに進む
税金滞納の大きな特徴は、裁判を経ずに差し押さえが行われる点にあります。一般的な借金の場合、差し押さえには裁判手続きが必要ですが、税金については行政機関の権限により迅速に強制執行が可能です。
通常は、督促状の送付などの手順を経た後、支払いが確認できない場合に差し押さえが実施されます。主な対象は以下の通りです。
- 給与(勤務先からの天引き)
- 預貯金口座(残高の差し押さえ)
- 不動産や自動車(公売による換価)
これらの手続きは、予告なく進むわけではありませんが、通知を無視し続けると実行される可能性が高まります。日常生活に大きな影響が出るため、軽視することはできません。
税金の滞納は時間が経つほど状況が悪化しやすいため、早めに相談し、適切な対応を取ることが重要です。
どうしても税金を支払えない場合の対処法
税金は自己破産後も支払い義務が残るため、支払えない場合には放置せず対処することが重要です。対応を後回しにすると、延滞金の増加や差し押さえといったリスクが高まります。
一方で、支払いが難しい状況であっても、現実的に取り得る対処法はいくつか存在します。ここでは、具体的な方法について順に解説します。
債務整理で他の借金負担を軽減する
税金そのものを減額することはできませんが、他の借金を整理することで家計の負担を軽減することは可能です。特に、消費者金融やカードローンなどの借入がある場合、それらを整理することで支払い余力を確保しやすくなります。
例えば、毎月の返済額が大きくなっている場合、借金の整理によって返済額を抑えられれば、その分を税金の支払いに充てることができます。結果として、滞納状態の解消や生活の立て直しにつながる可能性があります。
税金の問題は、単に税額だけでなく家計全体のバランスで考えることが重要です。次に、具体的な手続きとして代表的なものを紹介します。
個人再生
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年程度で分割返済していく手続きです。借金総額に応じて最低弁済額が決まり、一般的には5分の1程度まで圧縮されるケースが多く見られます。
ただし、税金は減額の対象にはなりません。個人再生においては、税金は「一般優先債権」として扱われるため、減額せずに支払う必要があります。それでも、他の借金が大きく減ることで、結果として納税資金を確保しやすくなる点が特徴です。
また、住宅ローン特則を利用すれば、持ち家を維持したまま再建を図ることも可能です。安定した収入がある方にとっては、生活基盤を守りながら負担を調整できる手段といえるでしょう。
任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、将来利息のカットや分割返済の条件変更を行う手続きです。比較的手続きが簡易であり、対象とする借金を選べる点が特徴です。
税金は任意整理の対象にはなりませんが、弁護士に依頼することで受任通知が送付され、貸金業者からの督促が停止されます。これにより精神的な余裕が生まれ、支払い計画を立て直しやすくなります。
さらに、返済条件が見直されることで毎月の負担が軽減されれば、その分を税金の支払いに充てることができます。保証人がいる借金を除外できるなど柔軟な対応が可能なため、状況に応じて検討する価値があります。
役所や税務署へ早めに相談する
税金を支払えないと分かった時点で、できるだけ早く役所や税務署へ相談することが重要です。督促状を無視し続けると、行政側に「支払う意思がない」と判断され、差し押さえなどの強制措置に進む可能性が高まります。
一方で、誠実に事情を説明し、支払う意思を示すことで、分割納付などの相談に応じてもらえるケースもあります。行政は一律に強制執行を行うわけではなく、状況に応じた対応を検討するためです。
相談の際には、収入や支出、資産状況などを具体的に伝えることが重要です。現状を正確に把握してもらうことで、より現実的な支払い計画を提案してもらいやすくなります。
減免の対象にならないかを確認する
税金には、一定の条件を満たした場合に減免が認められる制度があります。例えば、災害や盗難、病気、失業などにより生活が著しく困難になった場合には、税額の一部または全部が軽減される可能性があります。
また、生活保護を受給している場合には、滞納処分の停止が行われ、その状態が継続することで納税義務が消滅するケースもあります。このような制度は自治体ごとに内容が異なるため、個別に確認することが必要です。
減免制度は申請が前提となるため、何も手続きをしなければ適用されません。自身の状況を正確に伝えたうえで、利用できる制度がないかを確認することが重要です。
猶予制度の利用を検討する
一括での納付が難しい場合には、徴収の猶予や換価の猶予といった制度の利用も検討できます。これらの制度が認められると、原則1年以内の分割納付が可能となり、負担を分散させることができます。
さらに、猶予期間中は延滞税の一部が免除される場合や、差し押さえが猶予されるといったメリットもあります。短期的な資金不足に対して有効な対策といえるでしょう。
ただし、制度の利用には要件があり、災害や事業の著しい損失などの事情が必要となる場合があります。申請すれば必ず認められるものではないため、自身の状況が該当するかを事前に確認することが大切です。
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納税の猶予制度を利用する流れ
税金の支払いが難しい場合には、猶予制度の利用を検討することができます。ただし、この制度は一定の手順に沿って申請し、審査を経て認められる仕組みです。
事前準備から申請、納付までの流れを理解しておくことで、手続きをスムーズに進めやすくなります。ここでは、猶予制度の具体的な流れを順に解説します。
1.申請書類を用意する
猶予制度を利用するためには、まず必要書類を準備する必要があります。行政側は申請者の支払い能力を確認するため、資産や収支の状況を客観的に示す資料の提出を求めます。
主な書類は以下の通りです。
- 猶予申請書
- 財産目録
- 収支明細書
- 預貯金や収入に関する資料
また、災害や病気などが理由で支払いが困難な場合には、それを証明する書類も必要になります。
- り災証明書
- 医師の診断書
これらの書類は、現状を正確に伝えるための重要な資料です。不備や誤りがあると審査に影響する可能性があるため、丁寧に準備することが求められます。事前に必要書類を確認し、漏れのないようにそろえることが大切です。
2.猶予を申請し審査を受ける
必要書類が整ったら、所轄の税務署や自治体の窓口へ提出し、正式に猶予の申請を行います。申請後は、行政側で審査が行われ、支払い能力や制度の要件を満たしているかが確認されます。
特に注意したいのが、申請期限です。例えば、換価の猶予の場合には納期限から6カ月以内に申請する必要があるケースがあります。期限を過ぎると制度を利用できなくなる可能性があるため、早めの対応が重要です。
審査では、収支の状況や資産の有無などが総合的に判断されます。提出書類に不備がある場合には追加提出を求められることもあるため、指示に従って適切に対応しましょう。
3.必要に応じて担保を提供する
猶予を受ける金額が高額な場合や、猶予期間が長期にわたる場合には、担保の提供を求められることがあります。これは、万が一支払いが履行されなかった場合に備えて、行政が回収手段を確保するためです。
担保として認められる主な財産は以下の通りです。
- 土地や建物などの不動産
- 有価証券
- その他換価可能な資産
ただし、全てのケースで担保が必要になるわけではありません。猶予額が少額である場合や、提供できる財産がない場合には、例外的に担保が不要となることもあります。
担保の有無は個別の状況によって判断されるため、事前に確認しておくと安心です。
4.猶予決定の通知を受ける
審査の結果、猶予が認められると「猶予許可通知書」が送付されます。この通知により、正式に猶予が決定したことになります。
猶予が認められると、新たな差し押さえが行われなくなるほか、既に差し押さえられている財産の換価が猶予されるなどの効果が生じます。これにより、生活への影響を抑えながら支払いを進めることが可能になります。
一方で、不許可となった場合には、その理由が通知書に記載されます。内容を確認したうえで、再度の相談や別の対処法を検討する必要があります。結果に応じて柔軟に対応することが重要です。
5.計画の通りに納付する
猶予が認められた後は、決定された分割納付計画に従って税金を支払っていくことになります。猶予期間中は延滞税の一部が軽減される場合もあり、負担を抑えながら支払いを進めることが可能です。
ただし、計画通りに支払いを行わない場合には、猶予が取り消される可能性があります。その場合、再び差し押さえなどの措置に進むおそれがあるため注意が必要です。
安定した支払いを継続するためには、家計の見直しや支出管理も重要になります。再び滞納状態に戻らないよう、無理のない計画で着実に納付を続けていきましょう。
まとめ
自己破産をしても税金は原則として免除されず、支払い義務が残る点には注意が必要です。滞納を続けると延滞金の増加や差し押さえといったリスクがあるため、早めに対応することが重要になります。
一方で、支払いが難しい場合でも、債務整理による負担軽減や分割納付、猶予制度など、現実的な対処法は複数存在します。状況に応じた方法を選択することで、生活の立て直しにつなげることができるでしょう。
もしどの方法を選ぶべきか迷っている場合には、専門家へ相談することをおすすめします。ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があり、電話やメール、LINEでの相談にも対応しています。相談料は無料のため、まずはお気軽にお問い合わせください。
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このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。