債務整理
2026/08/14
自己破産すると生命保険はどうなる?解約したくない・新規加入したい場合は?

自己破産を検討しているときに「生命保険は解約しなければならないのか」「家族の保障まで失ってしまうのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。家族の生活を守るために加入してきた保険であれば、簡単に手放す判断はできないかもしれません。
しかし、自己破産をしたからといって生命保険が必ず解約されるわけではありません。保険の種類や解約返戻金の有無・金額などによって継続できるケースもあります。
本記事では、自己破産と生命保険の関係について、解約の判断基準や残せる条件を分かりやすく解説します。
【この記事で分かること】
- 自己破産時に生命保険が解約対象になるかどうかの判断基準
- 終身保険・定期保険など保険の種類ごとの影響の違い
- 生命保険を残せるケースや、維持しながら借金を整理する方法
自己破産をすると生命保険はどうなる?
自己破産では、債務者が持っている財産を整理し、債権者へ公平に配当することが原則となります。そのため、一定の価値がある財産は処分の対象となります。
生命保険も例外ではなく、条件によっては解約が求められる場合があります。ただし、全ての保険が一律に処分されるわけではありません。保険の内容や返戻金の有無によって扱いは異なります。
ここでは、まず基本的な考え方を整理した上で、どのような場合に影響を受けるのかを具体的に見ていきましょう。
生命保険が「必ず解約」とは限らない
自己破産をすると生命保険は必ず解約されると考えてしまうかもしれませんが、実際には必ず解約になるとは限りません。保険の内容や価値によって、処分の対象になるかどうかが判断されます。
例えば、解約返戻金がない掛け捨て型の保険には資産性がないため、原則として処分対象にはなりません。また解約返戻金があっても一定額以下であれば、自由財産として手元に残せる可能性があります。
自由財産とは、破産後の生活維持のために一定範囲で保有が認められる財産のことです。現金であれば99万円まで、または個別財産として20万円以下のものが対象になるのが一般的です。
ただし、残せる財産の基準は一律ではなく、裁判所の運用や個別事情によって判断が異なります。実際に生命保険の契約を維持できるかどうかは専門的な判断が必要になるため、自己判断せず弁護士へ相談することが重要です。
ポイントは解約返戻金の有無と金額
生命保険が自己破産でどのように扱われるかを判断する上で重要なのが、解約返戻金の有無とその金額です。解約返戻金とは、主に貯蓄型の生命保険を途中解約した際に戻ってくるお金のことで、実質的な資産と見なされます。
この解約返戻金が一定額を超える場合、財産として評価され、処分対象となる可能性が高まります。一般的には20万円という基準が目安とされることが多く、この金額を超えるかどうかが判断ポイントになります。
また複数の保険に加入している場合は、多くの裁判所でそれぞれの解約返戻金ではなく合計額で判断される点にも注意が必要です。個々では少額でも、合算すると基準を超えるケースもあります。
なお、解約返戻金の額は加入期間や契約内容によって変動します。正確な金額を把握したい場合は、保険会社に問い合わせて確認しておくとよいでしょう。
自己破産で影響を受ける生命保険の種類
生命保険は全て同じ扱いになるわけではなく、種類によって自己破産時の影響が大きく異なります。
ここでは、代表的な保険の種類ごとに、その特徴と影響を整理していきます。
終身保険・養老保険は解約対象になりやすい
終身保険や養老保険といった貯蓄型の生命保険は、自己破産において解約対象になりやすい傾向があります。これらの保険は、支払った保険料の一部が積み立てられ、解約時に返戻金として戻ってくる仕組みです。
特に長期間加入している場合は解約返戻金が高額になりやすく、20万円の基準を超える可能性が高まります。その結果、財産として評価され、解約して現金化するよう求められる可能性があります。
また同様に貯蓄に近い機能を持つ保険として、以下のようなものも注意が必要です。
- 学資保険
- 個人年金保険
これらも解約返戻金が発生するため対象となる可能性があります。
定期保険・掛け捨て保険は影響が小さい
定期保険などの掛け捨て型保険は、自己破産の影響を受けにくいといえます。これらの保険は、一定期間の保障を目的としており、解約しても返戻金が発生しない、または非常に少額であることが一般的です。
そのため、換金可能な資産とは見なされず、処分対象にならないケースが多くなります。結果として、破産手続き後もそのまま契約を継続できることが多いでしょう。
ただし、契約内容によっては解約返戻金が発生する場合もあるため、完全に影響がないとは限りません。必要に応じて保険会社や弁護士へ相談し、状況を正しく把握しておきましょう。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
- 相談料は何度でも0円
- 分割払い対応
- 最短で即日取り立てストップ
解約返戻金のある生命保険を解約せずに残す方法
解約返戻金のある生命保険は原則として財産と見なされるため、そのままでは解約が求められる可能性があります。ただし、一定の条件を満たせば例外的に契約を維持できるケースもあります。
ここでは、解約返戻金がある保険を残すために検討される代表的な方法について見ていきましょう。
自由財産の拡張を申し立てる
解約返戻金のある生命保険を残したい場合、自由財産の拡張を申し立てる方法があります。先述したように、通常は一定の基準が設けられていますが、個別事情に応じてその範囲を広げることができる場合があるのです。
例えば、生命保険が家族の生活保障として不可欠である場合や、解約すると大きな不利益が生じる場合などは、裁判所が必要性を認める可能性があります。特に小さな子どもがいる家庭や収入が不安定な状況では、保障の継続が生活維持に直結すると判断されることもあります。
ただし、自由財産の拡張が必ず認められるわけではありません。申し立てには合理的な理由や具体的な事情の説明が求められ、裁判所ごとの運用にも差があります。単に残したいという希望だけではなく、生活再建との関係を明確に示すことが重要になります。
解約返戻金相当額を破産財団に支払う
もう一つの方法として、解約返戻金に相当する金額を破産財団に支払うことで、保険契約そのものを維持する方法があります。本来であれば解約して返戻金を債権者への配当に充てるところを、同等の金額を別の資金で補うことで、契約の継続を認めてもらう考え方です。
例えば、家族からの援助などで返戻金相当額を用意できる場合には、この方法が選択肢となります。これにより、保障を維持しながら破産手続きを進めることが可能になります。
ただし、この方法も資金を準備できることが前提となるため、誰でも利用できるわけではありません。また支払う金額の算定や手続きの進め方には専門的な判断が伴うため、自己判断で進めるのは避けた方が無難でしょう。事前に依頼中の弁護士へ相談し、実現可能性を確認した上で進めることが重要です。
自己破産前に生命保険に関してやってはいけない行動
自己破産を検討している段階での行動によっては、その後の手続きに大きな影響を及ぼすことがあります。特に、生命保険に関する不適切な対応は、思わぬリスクにつながる可能性があります。
知らずに行ってしまうケースも多いため、事前に注意点を把握しておくことが重要です。ここでは、自己破産前に避けるべき代表的な行動について解説します。
直前の解約や名義変更は問題になり得る
自己破産の申し立て直前に生命保険を解約したり、名義を変更したりする行為は、財産を意図的に減少させるものと評価される可能性があります。このような行為は、偏頗弁済や詐害行為と見なされるリスクがあります。
例えば、解約返戻金を特定の債権者への返済に充てた場合は、偏頗弁済として問題視されることがあります。また家族へ無償で名義変更を行った場合も、財産隠しと疑われる可能性があります。
一方で、解約したお金を生活費や弁護士費用に充てるなど、適切な用途であれば問題とならないケースもあります。
実務では、通帳履歴や資金の流れが詳細に確認されるため、不自然な動きは後から指摘される可能性があります。自己判断で行動するのではなく、必ず専門家に相談した上で対応するようにしましょう。
保険を隠すと免責不許可事由になる可能性がある
生命保険の存在を申告せずに隠す行為は、重大なリスクを伴います。自己破産では、全ての財産を正確に申告することが前提となっており、意図的な隠匿は財産隠しと評価されます。
保険料の支払いは銀行口座の履歴に残るため、破産管財人の調査によって発覚する可能性は非常に高いといえます。隠し通すことは現実的ではありません。
もし財産隠しが発覚した場合、免責不許可事由に該当し、借金の免除が認められない可能性があります。さらに、悪質な場合には刑事責任を問われるおそれもあります。
このようなリスクを避けるためにも、保険契約の有無や内容は正直に申告することが重要です。正しく対応すれば手続き自体に大きな問題は生じないため、不安がある場合は早めに専門家へ相談しましょう。
生命保険の受取人が家族の場合の影響
生命保険の受取人が配偶者や子どもなど家族である場合「家族のための保険だから守られるのではないか」と考える方は少なくありません。しかし、自己破産ではそのような単純な判断にはなりません。
重要なのは、受取人ではなく「誰の財産といえるか」という点です。形式上の名義だけではなく、実質的な財産帰属によって扱いが変わります。ここでは、受取人が家族の場合にどのような影響があるのかを整理していきます。
受取人が配偶者でも契約者次第で扱いが変わる
生命保険の扱いは、受取人ではなく契約者を基準に判断されるのが基本です。例えば、夫が契約者である保険において、受取人が妻であったとしても、その保険は夫の財産として評価される可能性があります。
このため、契約者が自己破産を申し立てる場合、保険は処分対象となることがあります。受取人が家族であることだけで保護されるわけではない点に注意が必要です。
一方で、保険料を実質的に誰が負担していたかも重要な判断材料になります。例えば、妻が自身の収入から保険料を支払っていた場合には、通帳履歴などでその事実を証明できれば、夫の財産とはいえないと判断される余地もあります。
ただし、このような判断は非常に個別性が高く、証拠の有無や状況によって結論が変わります。単に「家族が支払っていた」というだけでは不十分なこともあるため、専門家の助言を受けながら慎重に判断することが重要です。
死亡保険金と解約返戻金は別物として考える
生命保険においては「解約返戻金」と「死亡保険金」を区別して考える必要があります。解約返戻金は現在の財産として評価されるのに対し、死亡保険金は将来発生する可能性のある請求権という位置づけになります。
自己破産手続きにおいては、まず解約返戻金が現時点の財産として問題になります。一方で、死亡保険金については、手続き開始時点ではまだ発生していないため、扱いが異なります。
ただし、破産手続き開始前に破産者が受取人に指定されている場合には、その権利は将来の請求権として評価される可能性があります。その状態で手続き中に被保険者が死亡した場合、発生した保険金が債権者への配当に充てられることもあります。
もっとも、全額が対象になるとは限らず、自由財産の範囲で一部を手元に残せるケースもあります。例えば、裁判所に自由財産の拡張を認めてもらう方法があります。
このように、同じ生命保険でも性質によって扱いは大きく異なります。具体的な判断は状況によって変わるため、個別に確認することが重要です。
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
- 相談料は何度でも0円
- 分割払い対応
- 最短で即日取り立てストップ
自己破産中・免責後に生命保険へ加入できる?
自己破産をすると信用情報に事故情報が登録されるため「新たに生命保険に加入できなくなるのではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。結論からいうと、自己破産中や免責後であっても生命保険への加入自体は可能です。
生命保険は、銀行からの借入やクレジットカードの審査とは異なり、信用情報機関の情報を直接参照する仕組みではありません。そのため、いわゆるブラックリストの状態であっても、加入審査に大きく影響しないのが一般的です。
ただし、加入できるかどうかは別の要素に左右されます。特に重要なのは年齢と健康状態です。自己破産の手続きをしている間に時間が経過すれば、その分だけ保険料が上がる可能性があります。
また健康状態が悪化している場合には、加入自体が難しくなったり、条件付きでの加入になったりすることもあります。具体的には、以下のような影響が考えられます。
- 以前より保険料が高くなる
- 健康状態によって加入が制限される
- 特定の保障内容が除外される
このようなリスクがあるため、現在加入している保険を安易に解約するのは避けるべきです。自己破産を検討する段階では、保険を維持できるかどうかも含めて慎重に判断する必要があります。
生命保険の契約を維持しながら借金を整理する方法
借金問題を解決する方法は自己破産だけではありません。状況によっては、生命保険を維持したまま借金を整理できる手続きも存在します。
どの方法が適しているかは、借金の額や収入状況、保有資産などによって異なります。ここでは、代表的な方法として任意整理と個人再生について解説します。
任意整理で保険を解約せずに済むケース
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉を行い、将来利息のカットなどを目指す手続きです。主に3年〜5年程度で分割返済していく仕組みになります。
この手続きの特徴は、財産の処分を伴わない点です。そのため、生命保険の解約返戻金があったとしても、原則として解約を求められることはありません。保険を維持したまま借金の整理ができる可能性があります。
一方で、元本自体は大きく減らないため、継続して返済を行う必要があります。そのため、安定した収入がある方でなければ利用が難しい場合があります。
任意整理は、次のような方に向いているといえます。
- 毎月の返済を継続できる収入がある
- 利息負担を減らしたい
- 財産を手放したくない
自分の状況に合っているかを見極めることが重要です。
個人再生で資産を守れる可能性
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年で返済していく手続きです。条件を満たせば、財産を維持したまま借金整理を行える可能性があります。
この手続きでは、生命保険も直ちに解約されるわけではありません。ただし、保有している財産の価値は「清算価値」として評価され、その金額が返済計画に反映されます。
つまり、解約返戻金が高額である場合、その分だけ最低返済額が引き上げられる可能性があります。結果として返済計画が成り立たない場合には、保険を解約せざるを得ないケースもあります。
また住宅ローン特則を利用すれば自宅を維持できるなど、生活基盤を守りながら再建を目指せる点も特徴です。
このように、個人再生は資産を守れる可能性がある一方で、条件によっては負担が大きくなることもあります。具体的な可否は個別に判断されるため、専門家への相談が欠かせません。
まとめ
自己破産をすると生命保険はどうなるのかという疑問に対しては「必ず解約されるわけではない」という点が重要なポイントです。解約返戻金の有無や金額によって扱いが変わり、少額であれば維持できる可能性もあります。
一方で、高額な返戻金がある場合は処分対象となることが多く、事前の対応によっては不利な結果になることもあります。また受取人が家族であっても一律に守られるわけではなく、実質的な財産の帰属によって判断されます。
このように、生命保険と自己破産の関係は非常に複雑であり、個別事情によって結論が変わります。自己判断で対応すると不利益を被るおそれがあるため、早い段階で専門家に相談することが重要です。
ライズ綜合法律事務所では、月間4,000件、年間5万件の相談実績があり、借金問題に関するノウハウを蓄積しています。電話・メール・LINEでの相談に対応しており、相談料は無料です。借金問題にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
【ご相談専用フリーダイヤル】
0120-657-001(9:00-21:00土日祝も受付中)
毎月の返済が
不安になってきた方へ
いまは「どう対処すればよいか分からない」
という状況でもご相談いただけます。
ご家族や職場に知られずに解決する方法も
ご提案可能です
- 相談料は何度でも0円
- 分割払い対応
- 最短で即日取り立てストップ
このページの監修弁護士

弁護士
久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)
東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。
弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。