債務整理

2026/08/19

個人再生と自己破産の違いとは?どっちがいい?選ぶ基準やポイントを解説

個人再生と自己破産の違いとは?どっちがいい?選ぶ基準やポイントを解説

「借金の返済が苦しいけど家は残したい」「借金をゼロにしたいが仕事への影響が不安」と悩んでいる方も多いでしょう。返済のために借入を繰り返す生活に限界を感じながらも、ブラックリストへの登録を恐れて一歩を踏み出せない方は少なくありません。

しかし、悩んでいる間にも利息は膨らみ、解決の選択肢は狭まってきます。本記事では、個人再生と自己破産の違いを徹底比較し、選ぶ基準を解説します。

【この記事で分かること】

  • 個人再生と自己破産における借金の減額幅と財産への影響の明確な違い
  • 住宅や車を残せるか、特定の職業制限があるかといった具体的な判断ポイント
  • 月間4,000件、年間5万件の相談実績に基づく、自分に最適な債務整理の手続きを選ぶコツ

個人再生の概要

個人再生とは、裁判所に再生計画を提出して認められることで借金を減額してもらう債務整理手続きです。減額された借金は、原則として3年、特別な事情がある場合は最長5年かけて分割で返済していくことになります。

例えば、消費者金融や銀行からの借入が総額500万円ある場合、個人再生の手続きで借金が100万円まで圧縮される可能性があります。この100万円を3年間(36回払い)で返済する場合、月々の返済額は約2.8万円となり、生活の負担を抑えながら完済を目指せるでしょう。

手続き後も返済は続きますが、自己破産のように家や車などの財産が強制的に処分されない点が大きな特徴です。最終的に再生計画通りに返済を完了することによって、残りの債務については支払義務が免除(免責)されます。

自己破産の概要

自己破産とは、裁判所から免責許可を受けることにより、借金の支払義務を全て免除してもらう手続きです。税金や養育費、罰金などの非免責債権を除く全ての負債がゼロになるため、経済的に再スタートを切るための強力な救済手段といえます。

例えば、年収を大きく上回る800万円の借金があり、利息の支払いすらままならない状況であっても、免責が認められればその全額を支払う必要がなくなります。手続き後は収入を全て生活費や貯蓄に回せるようになるため、生活基盤を迅速に立て直すことが可能です。

一方で、持ち家や一定の時価を超える車などの価値ある財産は、原則処分され、債権者への配当に充てられることになります。失うものもありますが、安定した収入がない方でも利用でき、借金問題から完全に解放される点がメリットです。

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個人再生と自己破産の違い

個人再生と自己破産は、どちらも裁判所を通じて多額の負債を整理し、生活を立て直すための法的手段です。しかし、借金がゼロになるか一部を返すか、あるいは家を残せるかといった点で大きな違いがあります。

まずは、両者の主な違いを比較表で確認しましょう。

比較項目

個人再生

自己破産

借金の減額幅

原則5分の1〜10分の1に圧縮

原則全額免除

手続き後の支払い

3〜5年の返済継続が必要

支払い義務なし

持ち家(住宅)

住宅ローン特則で残せる可能性あり

原則として処分される

車などの財産

原則として手元に残せる

一定以上の価値があるものは処分

利用できる条件

安定した収入、負債5,000万円以下

支払不能状態であること

職業・資格制限

制限なし

手続き期間中のみ一部制限あり

借金の理由

問われない

ギャンブルなどは免責不許可の可能性

借金をどれだけ減らせるか

個人再生では、借金総額に応じて法律で定められた最低弁済額までの負債が圧縮されます。借金の総額にもよりますが、おおむね5分の1から10分の1程度まで減額されるケースが一般的です。

例えば、消費者金融などから合計500万円の借入がある場合は、個人再生を利用することで100万円まで減額される可能性があり、残った100万円を3年かけて分割返済していきます。

これに対し、自己破産は免責許可が下りた場合、非免責債権(税金や養育費など)を除いた借金の全額が免除されます。個人再生は減額後の返済が必要ですが、自己破産は手続き後の支払いが一切不要になる点が根本的な違いです。

利用できる条件

裁判所から手続きの認可を得るには、それぞれ異なる条件をクリアしなければなりません。個人再生は、将来にわたって返済を続ける必要があるため、継続的かつ安定した収入があることが重要な条件です。また、住宅ローンを除く借金総額が5,000万円以下でなければ利用できません。

一方で、自己破産は支払不能(借金を返せる見込みがない状態)であれば、現在無職の方や収入が少ない方でも利用可能です。例えば、年金生活で返済が立ち行かなくなった場合は、個人再生での返済継続は困難と見なされることが多いですが、自己破産であれば手続きを進めることができます。

さらに個人再生では借金の原因は問われませんが、自己破産ではギャンブルや過度な浪費が原因の場合、免責不許可事由に該当することで借金が免除されないリスクがある点も注意が必要です。

持ち家を残せるか

持ち家がある方にとって、個人再生の住宅ローン特則(住宅資金特別条項)は大きなメリットです。この制度を利用した場合、住宅ローンの返済だけはこれまで通り(あるいはリスケジュールして)続けながら、他の借金だけ大きく減らすことができます。

多額のカードローンがあり、このままでは住宅ローンが払えなくなりそうな場合でも、個人再生なら自宅を手放さずに済みます。一方、自己破産の法的な目的は、債務者の財産を清算して債権者に配分することです。そのため、持ち家などの価値ある財産は原則として全て裁判所に処分・売却されることになり、住み続けることは困難です。

車を残せるか

個人再生は借金を減らして返す手続きであり、財産を処分することを強制するものではありません。そのため、すでにローンの支払いが終わっている車であれば、原則としてそのまま手元に残せます。

これに対し、自己破産では時価20万円を超えるような価値のある車は、原則として処分の対象となります。購入から10年以上経過し、中古車市場での価値がほとんどない車であれば自己破産でも手元に残せる可能性がありますが、比較的新しい車や高級車の場合は手放さざるを得ません。

ただし、どちらの手続きでも、ローンが残っていて信販会社などに所有権留保が設定されている場合、手続き開始と同時に車が引き揚げられる可能性が高いことに注意が必要です。

職業・資格制限があるか

自己破産の手続き中、特定の職業や資格については、一時的に仕事ができなくなる資格制限があります。具体的には、警備員、生命保険募集人、弁護士、税理士、宅地建物取引業者などがこれに該当します。免責許可が確定するまでの期間(数カ月程度)、これらの仕事に従事できないのは大きなデメリットです。

一方、個人再生には、このような職業制限や資格制限は一切設けられていません。例えば、現在警備会社で働いている方が借金整理を検討する際、自己破産を選んだ場合に今の仕事を一時的に休むか部署異動をする必要がありますが、個人再生であれば今まで通り業務を続けることが可能です。

手続きの複雑さの違い

事務的な負担で見ると、個人再生の方が自己破産よりも複雑で、認可までのハードルが高い傾向にあります。個人再生では、数年間にわたる収支をシミュレーションした再生計画案を作成し、裁判所に認めてもらわなければなりません。また、東京地裁などでは履行テストとして、半年間ほど実際に返済予定額を積み立てる試験期間も設けられます。

自己破産も、資産がある管財事件になれば管財人による厳格な調査が行われますが、資産がない同時廃止であれば比較的スムーズに進みます。個人再生は債権者の反対によって手続きが失敗するリスクもゼロではありませんが、自己破産は裁判所が免責を許可すれば完了するため、手続き上の見通しは立てやすいでしょう。

手続きにかかる費用

裁判所に支払う費用や予納金にも違いがあります。個人再生では、裁判所から選任される個人再生委員への報酬(予納金)として、約15万~25万円が必要になるケースが多いです。

自己破産の場合、資産がない同時廃止なら実費は数万円程度で済みますが、一定以上の資産がある管財事件になると、管財人への報酬(引継予納金)として最低20万円以上が必要となります。これらに加え、弁護士への依頼費用(着手金・報酬金)が発生しますが、借金の返済を止めている間に、分割で弁護士費用を積み立てるといった対応が可能な事務所も多いため、手元に現金がなくても相談可能です。

手続きにかかる期間

手続きを開始してから終了するまでの期間は、全体的に個人再生の方が長くなる傾向にあります。個人再生は申立てから再生計画の認可決定まで、スムーズに進んでも6カ月程度の期間が必要です。

自己破産の場合、資産がない同時廃止であれば3カ月程度で免責まで完了することもあります。一刻も早く「督促を止め、法的な返済義務からも解放されたい」といった急ぎの事情がある場合は、要件を満たしているのであれば自己破産の方がスピーディーに決着する可能性が高いといえます。管財事件になった場合、資産の処分などで1年近くかかることもあるので注意が必要です。

信用情報への影響

ブラックリストに載る(信用情報機関に事故情報が登録される)という点については、どちらの手続きを選んでも避けられません。登録期間中は、新たなクレジットカードの発行やローンの借入、分割払いでの商品購入などが困難になります。

登録される期間は、一般的に個人再生も自己破産も5〜7年程度です。「住宅ローンを組みたいから個人再生にしたい」と考えても、手続き後数年間はローンの審査に通ることは難しいです。どちらを選んでも一定期間の現金生活は覚悟する必要があります。

家族や勤務先への影響

周囲への影響については、どちらの手続きも原則としてバレる可能性は低いと考えられますが、一部例外があります。官報という広報に氏名が掲載されますが、一般の人がこれを確認することは稀です。

ただし、注意が必要なのは、家族が保証人になっているケースです。例えば、自分の借金の保証人に配偶者や親がなっている場合、自分が個人再生や自己破産をすると債権者は即座に保証人へ一括請求を行います。この場合、家族にも連鎖して債務整理が必要になるリスクがあるため、事前の相談が欠かせません。勤務先については、退職金見込額証明書などの書類取得が必要になる場合がありますが、債務整理を理由に直ちに解雇できるわけではありません。

個人再生か自己破産かの主な判断基準

個人再生と自己破産のどちらを選ぶべきかは、単に借金の額だけでなく、所有している財産や今後の生活設計を総合的に考慮して決める必要があります。判断の軸となる主な3つの基準を解説します。

持ち家の有無から判断する

手続きを選択する上での最大の分かれ目は、ローンが残っている自宅を手放したくないかという点です。住宅を手放したくないのであれば、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用できる個人再生が最優先の選択肢となります。この制度を使えば、住宅ローン以外の借金だけを大幅に減額し、マイホームを守りながら完済を目指せるでしょう。

例えば、住宅ローンの残債が2,000万円あり、それとは別に消費者金融などから500万円の借入がある場合、個人再生なら500万円の借金を100万円程度まで減らし、家を維持したまま無理のない返済計画を立てることが可能です。

逆に、自宅を処分しても構わない、すでに賃貸住まいで守るべき不動産がない場合は、自己破産で借金をゼロにする方が経済的メリットは大きいといえます。無理に個人再生を選んで数年間の返済に追われるよりも、自己破産で一度リセットする方が、早期の生活再建につながるケースも多いです。

収入の安定性から判断する

個人再生を利用するには、将来にわたり継続的・安定的に収入を得る見込みが不可欠です。個人再生は減額された借金を3〜5年かけて完済する手続きであるため、裁判所に対して、確実に返済し続けられる能力があることを証明しなければなりません。

毎月の手取り収入から家計の支出を引いた際、減額後の返済額(月々2〜3万円程度など)を安定して捻出できる家計状況が求められます。単に働いているというだけでなく、病気や失業などのリスクを考慮してもなお返済が継続できるかという完遂の可能性が厳しく判断されます。

現在無職であったり、病気療養中で今後の収入の目処が立たなかったり、あるいは自営業で月々の収入の波が激しく返済が滞るリスクが高い場合は、自己破産を選ぶのが現実的です。自己破産であれば手続き後の返済は一切不要になるため、現在の収入状況に関係なく再起を図ることができます。

借金額や返済見込みから判断する

借金総額と完遂の可能性も重要な基準です。まず法的な制限として、住宅ローンを除いた借金総額が5,000万円を超えている場合は、個人再生(小規模個人再生など)の手続き自体を利用できません。

また、借金を大幅に減らしたとしても、残った金額を3〜5年で返済することが困難なほど負債が巨額であれば、自己破産を検討することになります。利息をカットするだけの任意整理では到底解決できないような負債に対し、どちらの手続きなら自分が最後までやり遂げられるか(完遂可能か)を見極めなくてはなりません。

借金が1,500万円あり、個人再生で300万円まで減額されたとします。これを3年で返済する場合、月々の返済額は約8.3万円です。もし生活が困窮するレベルの返済になるのであれば無理に個人再生を選ばず、自己破産で完全に債務を免除してもらった方が、将来的な生活破綻を防ぐ賢明な判断となります。

個人再生が適している人

個人再生は、安定した収入があり、大切な財産を守りながら借金を大幅に減らしたい方に最適な手続きです。最大のメリットは住宅ローン特則を利用できる点で、マイホームを維持したまま他の負債を整理したい人におすすめです。

また、警備員や生命保険募集人など、自己破産をすると一定期間仕事ができなくなる資格制限がある職業を継続したい場合や、借金の原因がギャンブルや過度な浪費にあり、自己破産では免責(借金の帳消し)が下りない不安がある人にも向いています。任意整理では支払いきれないほど負債が膨らんでいるものの、一部を返済する意思と能力があり、車や家などの大切な財産を残したい人が選ぶべき手続きといえるでしょう。

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自己破産が適している人

自己破産は、現在の収入では借金を大幅に減額しても返済を続けていくことが困難な方に適しています。特に、守るべき不動産や高価な資産がなく、全ての借金をゼロにして一刻も早く経済的に再起したい場合に有効な手段です。

手続き後の返済が一切なくなるため、返済への心理的・経済的プレッシャーから完全に解き放たれる点が最大の特徴です。最短距離で生活を立て直したい人や、今後の収入の目処が立たない無職の人にとって、法的に認められた確実性の高い生活再建の手法といえます。

個人再生・自己破産についてよくある誤解

債務整理に対して「人生が終わる」「家族に迷惑がかかる」といった過度な不安を抱いている方は多いですが、その多くは法的な事実とは異なる誤解です。

まとまったお金がないと手続きできない

債務整理を専門に扱う多くの法律事務所では、借金問題に関する相談を無料で行っており、弁護士費用の支払いについても最大10回程度(事務所により異なる)の分割払いに対応していることが多いです。

弁護士に依頼した時点で、弁護士から債権者へ受任通知が送付されます。これにより貸金業者からの督促や返済が法的にストップするため、それまで返済に充てていた資金をそのまま弁護士費用や当面の生活費に充てることが可能になります。最初から多額の現金を手元に用意しておく必要はなく、まずは現状を相談することが解決への第一歩となるでしょう。

勤務先に必ずバレてしまう

手続きをした事実は官報という国が発行する機関紙に掲載されますが、一般の会社員や周囲の人がこれを日常的に確認することはまずありません。そのため、自分から話さない限りは職場や知人に知られる可能性は低いです。

ただし、自己破産の場合は警備員や生命保険募集人など、特定の職業で資格制限を受けるため、その職種に就いている人は業務内容の変更や一時的な休職が必要になることがあり、その過程で職場に知られる可能性はゼロではありません。一方、個人再生にはこのような職業制限が一切ないため、仕事への影響を最小限に抑えつつ、周囲に知られずに手続きを進めることが可能です。

二度とローンを組めなくなる

個人再生や自己破産を行った場合、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載った状態になります。これにより、一般的に5〜7年程度は新たなローンの審査に通らなくなったり、クレジットカードの作成ができなくなったりするのは事実です。しかし、一生ローンが組めないというのは大きな誤解です。

一定期間が過ぎた場合は事故情報は抹消され、再び住宅ローンを組んだりカードを作ったりできるようになります。また、手続き後であっても、ローンを使わず現金で車などの物品を購入することについては何の制限も受けません。問題を先送りにして延滞を続けるよりも、早めに手続きを完了させた方が、将来的に信用を回復させる近道となります。

まとめ

個人再生と自己破産のどちらが適しているかは、現在の負債額や収入状況、そして「持ち家を残したいか」などの将来の希望によって異なります。家を守りつつ仕事を継続したい方は個人再生、全ての負債をリセットして一刻も早く再起したい方は自己破産が有力な選択肢となります。しかし、法的要件の確認や減額幅の試算をご自身で行うのは困難です。

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このページの監修弁護士

弁護士

久松亮一(弁護士法人ライズ綜合法律事務所)

東京大学法学部、及び法政大学法科大学院卒。
2012年弁護士登録。

弁護士歴10年以上の知見を活かし、法律の専門家として、債務整理・慰謝料請求・立ち退き問題など、同事務所が取り扱う幅広い法律問題に従事している。